医師ブログ

2022.08.16更新

当院は現在改装工事にてお休みをいただいております。

世の中はまだまだコロナ感染者数が落ち着いている状況とは程遠く、この期間にお力になれないのは申し訳ない限りですが、再オープン後は今まで通り、少しでも社会のお役に立てるクリニックでいられるよう、職員一同精いっぱい診療に取り組みます!

 

ということで、今回は今の工事の進捗状況を簡単にお写真で紹介してみます。

まずは受付から。

(前回のブログでも掲載しましたが)30年以上頑張った大理石のカウンターでしたが

改装

このように撤去され

改装

新しいカウンターを受け入れる準備を整えています。

 

次に廊下です。

こちらは中待合から裏入口(現在の発熱・感染症外来入口)を望む方向の写真ですが、

改装

途中にある壁が壊され、向こう側の裏入口とまっすぐの動線となりました(今後この間に扉ができ、通常診察室と発熱・感染症外来待合室が区切られます)。

改装

 

 

次に第2診察室(今までの院長診察室)です。

改装

このように診察室の後ろに壁ができました。

改装
それはなぜかと言うと・・・

 

こちらは中待合の受付から遠い側(身長体重計と視力・呼吸機能検査エリア)になりますが

改装

このように

改装

2つの入り口が新設されました。

手前側は

改装

このように第二診察室に通じる新しい通路です(この写真の右側の壁の裏が、先ほどお出しした第2診察室後ろに新設された壁になります)。

患者さんと職員の動線の重なりを極力減らす構造としています。

 

そしてもう一つの入り口は

改装

こちら、新しいレントゲン室の入り口となります。今までよりもレントゲン室へのアクセスが良くなります。

 

最後にこちらは元発熱・感染症外来待合エリアでしたが、

改装

間に壁が出来ました。

改装

向こう側の空間が今回新設した、常設の発熱・感染症外来診察室となり、手前側がその待合エリアとなる空間です。

こちらはその診察室を中から見た光景です。

改装

改装

 

 

工期はもう半分です。この後、また劇的に変化します。またお知らせしますのでお楽しみに!!

 

またこのホームページも(予定よりかなり遅くなってしまいましたが)改装とほぼ同時のタイミングでようやく全面改装をすることとなりました。

こちらも近日中に公開いたしますので今しばらくお待ちください!

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2022.08.10更新

怒涛の1週間が終わりました。


改装前の、過去に例を見ない長い休診期間を前に、先週は非常に多くの患者様にご来院頂きました。
加えて発熱外来、ワクチン接種の方々にご来院頂いたことで、当院はもうそれは目の回るような忙しさでした。

先週は実に平均1日200人ほどの患者様にご来院頂き、皆様には大変な混雑でご不便をお掛け致しました。


ただ幸いなことに、私たちの肌感覚では、第7波はピークを過ぎつつあるように感じます。

7月中旬~下旬は、朝の受付開始からおよそ数十分で発熱・感染症外来の枠が埋まり、かつ抗原検査の実に8~9割が陽性となってしまう惨状でしたが、最後の1週間は午前の終わりや日によっては午後まで発熱・感染症外来のお受け入れを行うことができ、抗原検査の陽性率も半分を割るくらいまで落ちてきていました。

もちろんまだまだ波は続いてはいるのですが、ピーク時に当院が休診期間に入らずに発熱・感染症外来が全うできたようなのは本当に良かったなと思います。

結局第7波に入って以降、当院ではこの約1か月の間に350人ほどの発熱・感染症外来のお受け入れを行い、約200名の新型コロナ陽性患者さんの診断を致しました。


その中でこのコロナ禍、そして第7波で感じた雑感を今日はここに残してみたいと思います。

今回の第7波では、症状はいわゆる発熱、だるさ、喉の痛みといった「普通の風邪」の症状で済む人が数多かったのは確かですが、中には肺炎にまで進行していた方や、酸素飽和度が低下して、酸素の体への取り込みが悪化してしまった方、そして数日間食事がとれず脱水気味になってしまった方も確かにいらっしゃいました。
若い方でもそのようになってしまった方がいらっしゃいましたし、またこの波では「後遺症」や「症状の長引き」としてのだるさ、頭痛、呼吸器症状などの多彩な症状が良くならないと訴えられる方も非常に多かったです。

やはりオミクロン株とはいえ、まだまだ「普通の風邪」では済まない人は一定数でてしまうんだなという印象でした。


一方そして、ワクチンの効果も実感した第7波でした。

確かに3回ワクチンを接種して感染した方は少なくなかったのですが、そのうちのほとんどの方が非常に軽い症状で済んでいました。
一方、率直な肌感覚では、若い方を中心にワクチン未接種の方や、2回目接種から時間が空いてしまった方に比較的症状が重い方が多かった印象です。

とはいっても、2年前、1年前に比べれば、我々もワクチンや治療薬といった新たな武器を手にし、一方当初よりも確実に弱毒化が進んだことも事実です。

前回のブログでも述べたように、それぞれ個々のリスクに応じて、その人にあった感染対策を取ったうえで適度にコロナを受け入れざるを得ないんだろうなとも思った第7波でした。
普通の風邪の症状で済んでしまった多くの方にとっては、発症から10日間の自宅隔離はいささか長すぎるのではと、かわいそうにも思いますし、いざ自分に置き換えて考えても10日間家に隔離されるのはそれ自体が恐怖です。
確かに10日以内の解除だと他者への感染リスクは0にはならないかもしれませんが、今年7月に発表された報告では(サンプル数が小さいものの)オミクロン株の場合、PCR陽性からウイルスが検出されなくなるまでの期間は5日程度とされておりN Engl J Med 2022; 387:275-277隔離解除後も数日は十分な感染対策を取ることを条件に、もう少し短くなってもいいんじゃないかなと思うのが正直なところです(もちろん症状が長引いたり、重くなったりした場合は話は別です)。


そして、もうしばらくは「インフルエンザと同じ5類感染症運用」は難しいとも思います。

やはりオミクロン株とはいえ、今はまだ「普通の風邪」で済まない人もいらっしゃるのは事実です。
またこの時期にこんなに流行る風邪を今まで我々はそう経験したことはありません。

やはり今でも新型コロナはインパクトのある感染症です。


そうした中、コロナを5類感染症にしたところで、コロナ禍以前みたく通常の待合室に発熱患者さんがお待ちいただく構図が社会的に許されるようになるわけではないのではないでしょうか。
単純に5類にしたらどの医療機関でも簡単に診れるようになるというのは現場を知らない人の幻想でしょう。
5類の目的がここにあったら絶対に社会や医療現場は混乱します。

2類に残すにせよ5類に移行するにせよ、行政と医療機関の連携を切らないようにしたり、負担をおそれて受診しないことで病状悪化のリスクを上げることがないよう、公費治療の枠組みは残したりと、弾力的に考えて頂かないとうまく回らない気がします。





という訳で、当院も一度ここで一時的に最前線から離れることになりました(もちろん再開後はいままで通り全開で頑張ります!)。ここからは改装に関して、すこし情報を。

今回の改装は、現在3期~4期にわけて工事を行う予定で、今回の1期工事が最大となります。
今回は受付エリアから診察室にかけての改装レントゲン室の移設発熱・感染症外来診察室の恒久設置化を中心に行います(受付エリアは窓口を最大4つに拡大し、併せて自動釣銭機を導入することで、少しでも受付でのお待ち時間を減らせるようにする予定です。)

早速月曜から工事が開始となり、30年以上頑張ってくれた受付カウンターも、すでに旅立ってしまいました・・・

受付工事

そして2期工事は9月のシルバーウィークを利用し検査室エリアの拡張廊下の拡張発熱・感染症外来待合エリアの拡張を予定しております(1期工事と2期工事の間はほんの少しですが、待合エリアが小さくなってしまう可能性があります。ゴメンなさい・・・)。

3期工事以降は未定ですが、いろんなところの見た目が変わることを考えています。


という訳で、皆様にはご迷惑をお掛け致しますが、当院の機能をさらに向上させる改装工事となります。
当院の診察再開まで、今しばらくお待ち頂ければと存じます。

なお、当院が休診の間は、その分発熱患者さんを受け入れられる医療機関が少なくなってしまっています。
ましてやこれからお盆の時期で、開いている医療機関もさらに少なくなってしまうことが予想されます。

現在発熱して、医療機関にどうしても受診できない場合は、行政から配布されている抗原キットを利用し、陽性であれば、重症化リスクがなければ自主療養を届け出していただくことが可能です。

解熱薬に関してはアセトアミノフェン(商品名:カロナールなど)が推奨されておりますが、今は大変な品薄になっています。
ロキソプロフェン(商品名:ロキソニンなど)やイブプロフェン(商品名:イブなど)など、当初コロナの重症化が危惧された解熱鎮痛薬についても、コロナに関してはあまり悪さをしないというデータも多く出てきておりLancet Rheumatol. 2021 Jul;3(7):e498-e506. Drug Saf. 2021 Sep;44(9):929-938.とりあえず手に入る解熱鎮痛薬で急場をしのいでいただければよいかと思います(ロキソニン、イブプロフェンは多く使うと胃が荒れるので、使い過ぎに気を付けてください。また小児の方はロキソニンはダメですので注意してください)。

皆様がこの第7波を切り抜けて頂き、楽しい夏をお過ごしいただけることを切に願っております。

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2022.07.18更新

いやあ、ヤバいっす・・・

2週間前から発熱・感染症外来の受診を希望される方が突然急増しました。

1月の時のデジャブを感じますが、今回はワクチン接種や特定検診の方もいらっしゃること、1か月後に控えた改装工事のための受診調整も重なっていることから、当院は第6波の頃よりもそのヤバさが際立っています。

間もなく改装工事が始まり、クリニックの中は待合スペースの拡張、受付エリアの拡張、発熱・感染症専用診察室の新設など、今よりも多くの患者さんに対応できるようになる予定ですが、それまではご不便をおかけするかもしれません。

できるだけ一人でも多くの、症状に困っていらっしゃる患者さんに対応したいとの思いで診察をつづけておりますので、ご理解、ご協力の程、よろしくお願い致します。

 


さて今回はそんなコロナのオミクロン株、今わかっていることと、これからやるべきことをまとめてみようと思います。

 

おそらく今回の第7波の中心となるのは、オミクロン株の中でもBA.4BA.5という変異型(その中でもBA.5が主役になるでしょう)になるだろうと言われています。
東京都のデータによると、このうちのBA.5は、感染力がBA.2(第7波の前の主流)の27%増しとされており、今まで以上に広がりやすい可能性が考えられています。

またこのBA.4、BA.5は、「感染阻止」の面では、既存のワクチンの効果が出にくいとも言われ、さらには第6波以前に感染した人も感染する可能性が十分にあることが示唆されています。
これは、以前ワクチンの仕組みでお話しした、ワクチンによって産生できる抗体(中和抗体と言います)が、ウイルスにくっつきにくくなるようなウイルス側の構造の変化がおきたため(つまりそれを引き起こす変異があるため)と考えられています。

今回のBA.4、BA.5に関するデータは、5月に流行した南アフリカから(査読前ですが)報告されています。https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2022.06.28.22276983v2.full.pdf

これによると、BA.4、BA.5が流行した期間に感染した人の割合は、1回が12.9%、2回が36.1%、3回以上が6.7%とされています。
さらには再感染と判断された人が19%にものぼります。
南アフリカのワクチン接種率は40%前後とのことであり、2回目接種の人の割合がこれだけ多いとなると、少なくとも2回接種程度ではワクチンの感染予防効果は多くなさそうと考えられます。

それではワクチンが全く意味がなくなったのかと言うと、そうではなさそうです。

重症化・死亡率は、2回ワクチンを打った人は全く打っていない人に比べて63%3回以上打った人は全く打っていない人に比べて83%も下がったともされており、(後遺症のリスクは別にすると)しっかりとワクチンを打っていれば従来の風邪にかなり近い存在になってきたとも言えるようになっているのかもしれません(逆から見るとワクチン未接種だと重症化・死亡リスクが約3~6倍に上がってしまうとも言い換えられます。動物実験ではこの変異株は従来のオミクロン株よりも肺で増殖しやすく重症化につながる可能性が指摘されており、ワクチンが全く未接種の人はまだまだ注意する必要がありそうです)。

ワクチンを接種してからの期間も、重症化率と関連があるデータが多く出ているので、2回目からの接種から時間の経っている方は3回目の接種を考えていただいたほうが良さそうです。
また高齢者の方や重症化リスクの高い方は以前のブログでお示しした通り4回目の接種を済ませておくメリットは大きいかと思います。

 


次は感染リスクをなるべく下げるために、私たちはどうしたらいいのか、このことについても色々と新しい知見が出てきています。

 

まず、コロナの感染は飛沫、エアロゾルを介して感染するのが主流であることがわかっておりClin Infect Dis. 2022 Mar 10;ciac202マスクを着用することで感染リスクが下げられることが分かっていますBMJ. 2021 Nov 17;375:e068302
そして、そのエアロゾルや飛沫が床やテーブルに落下するとウイルスは比較的短時間で死滅するため、環境から感染する確率は飛沫、エアロゾルからの感染の1万分の1以下でありEnviron Sci Technol Lett. 2021 Feb 9;8(2):168-175環境を消毒することによる感染予防効果は低いことがわかっています。Am J Infect Control. 2021 Jun;49(6):846-848. Nat Hum Behav. 2020 Dec;4(12):1303-1312.
手洗いの感染予防効果は50%程度BMJ. 2021 Nov 17;375:e068302ソーシャルディスタンスを取ることによる感染予防効果は25%程度とのことでした。BMJ. 2021 Nov 17;375:e068302
そして感染予防に効果的なのは換気であることが示されています。Clin Infect Dis. 2021 Oct 30;ciab933.J Hosp Infect. 2022 Jan;119:163-169.


という訳で、これを踏まえたうえで、今後のコロナに対する私たちのあり方について、僭越ながら私見を話してみたいと思います。

軽症の範疇でもコロナの場合、普通の風邪よりも症状が重い方もいらっしゃいます。
後遺症をきたす方もいらっしゃいます。

それでもワクチンをしっかり打っている人で肺炎や酸素化の悪化等、重症化した方を見る機会は非常に稀になりました。

そして今後今の状態が収まることはもう当分はないのかもしれません。
これがいわゆるウィズコロナ、アフターコロナの状態なのだと思います。

もちろんウィズコロナ、アフターコロナの世界では、常にコロナの感染と隣り合わせの状態になるので、なるべく感染しないような、そして一人でも重症化を少なくする対策は必要です。
リスクの高い場所でのマスクはまだ致し方ないと思います。

一方、屋外など、空気の流れている場所でのマスクの必要性は低いと言って差し支えないと思います。


費用対効果の高い対策(手洗いや換気、換気の悪い場所での適度な距離など)は行っていきつつ、費用対効果の低い対策(屋外や他者と十分な距離の取れる場所でのマスクや環境消毒、空間除菌など)はどんどん止めていくことが必要かもしれません。

これを行ったうえで、規定通りワクチンを打っている人は普通の生活を、ワクチンを打っていない人や重症化リスクの高い人はもう一歩踏み込んだ感染対策を行いながら生活をすることがニューノーマルとなるでしょう。
そして感染はだれにでも起きうることですし、上記の対策をした上で、感染リスクはある程度は受け入れていく必要があるのかもしれません(それはインフルエンザなど、他の感染症とも似た形と考えます)。

感染をした際の隔離期間や濃厚接触者の対処も、最新の知見をもとに柔軟に、より最適化された形に変えていくことが必要なのだと思います(それを迅速に決められる行政の力が試されます)。

 

秋にはオミクロン株に対応したワクチンができる見込みではあるようですが、その間にも新しい変異が生じて効果が下がってしまうことも十分に考えられます。
ですのでこの状態は当分は変わらないでしょうし、緩くても長い期間続けられる対策が、長い目で見たら一番有効なのかもしれません。

 

現場は非常にヤバいのですが、それでも私達医療者は精いっぱい、力の限り頑張ります。
是非政治、行政の方々、少しでも早く、みんなが少しでも過ごしやすい世の中にしていただけるように、今こそ知恵をいっぱい絞ってください!心から応援しています!

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2022.07.03更新

いやあ、暑いですね・・・


今年は梅雨があっという間に駆け抜けてしまい、6月らしからぬ猛暑にぐったりでした。


梅雨時に気を付けるべきアレルギーについて書こうと思っていたのに、どうもタイミングを逸してしまったか・・・と思ったら、またジメジメした天気が戻ってきそうな雰囲気もあり、このスキに前回の続きを書いてみようと思います!

 

さて前回は、「梅雨時に気を付けたいアレルギー」として、カビのことを書いてみました。今回はその他にもこの時期に気を付けるべきアレルギーとして、いろいろな草木を挙げてみたいと思います。


スギ、ヒノキの花粉が終わる時期に飛散が始まるのが、イネ科の花粉です。


イネ科というと、田んぼに生えそろっている稲をとうしても想像してしまいますが、実際に人々に影響を及ぼすのは、空き地や庭に生えている雑草であるイネ科の植物です(田んぼの稲はあまりアレルギー性は強くないと言われています)。

ですので稲作地域ではないここ茅ヶ崎でも、多くの方がイネ科の花粉に悩まされています。


カモガヤというイネ科の植物があります。これは空き地や河川敷などの荒れ地に多く繁殖する雑草です。
またイネ科にはオオアワガエリという雑草もあります(英語ではチモシーと呼ばれ、こっちの名前をご存知の方も多いかもしれません)。

これも空き地や河川敷、土手などの荒れ地に生えることが多い植物です。
いずれも繁殖力が強く、よく目にする植物です。


花粉は5月くらいから飛び始め、6月ごろが一番多く、7月ごろまで続くこともあります。
症状としては鼻や目の症状が主ですが、咳や喘息悪化の原因になることも少なくなく、もともと咳が出やすい方や喘息を持たれている方は特に注意が必要です。

スギやヒノキの花粉は山から数十kmの距離を飛散しますが
イネ科の花粉は数百ⅿ程度しか飛散しません。
ですので、この時期はなるべく草むらに近づかないこと、家の周りにそのような環境がある方は、外の花粉を家に入れないようにすることが重要です。

またこの花粉症を持っている方は、反応が強く起こることが少なくありません。
一般的に運動をすると、アレルギー反応が強くなることが少なくありません。
ですので、これらの植物が多く生えているところでランニングやサイクリングなどをするアスリートの方に、アナフィラキシーなどの強いアレルギー反応が起こることがあるので、該当する方はより一層注意が必要です。


次に挙げるのがキク科です。

代表的なのがブタクサです。
結構ブタクサアレルギーを自覚される方は多い印象で、統計学上もアレルギー性鼻炎の方の10~20%がブタクサに感作されていると言われています。

時期は8月から10月、夏からが本格的なシーズンになります。

またヨモギキク科の草で、こちらはややブタクサより早く、7月から飛散が開始します。
お餅に混ぜたり、おひたしにしたりとおいしいイメージのあるヨモギですが、こちらもアレルギー性鼻炎の方の15~25%が感作されているという、夏から秋の花粉症の重要な原因となってしまっています。

また時期はもう過ぎてしまっているようですが、カバノキ科の花粉もあまり知られていないものの、喘息の方には結構悪さをすることが知られています。

関東など温かい所ではハンノキオオバヤシャブシという木がそれにあたり、北海道や本州でも標高の高いところではシラカバもその仲間です。

時期はヒノキと被る4~5月ごろで、スギやヒノキがあまりない北海道では、花粉症の一番大きい原因となっています。

前にも書いた通り、カバノキ花粉症、イネ科花粉症では、果物や野菜の食物アレルギーを合併しやすいという側面も持っており、花粉症の時期に食物アレルギーの症状が出やすくなるということもあるので、そのことに気づけるかも重要になります(大人の食物アレルギーは残念ながらあまり広くは知られていないため、長年にわたりこのことに気づかれない方も少なからずいらっしゃるのが実情です)。


あとは花粉症の後にもしつこく残るアレルゲンとしてはダニやペット、それに昆虫が挙げられます。次回以降は、これについても触れてみたいと思います。

 

さて、当院では7月4日から新型コロナのワクチン接種を開始します。
回は4回目が主になっていますが、当院では1~3回目の方も受付いたします(4回目接種についての情報はコチラ)。

当院予約システム、および茅ヶ崎市ワクチン予約ページから、それぞれ枠をご用意しています。
居住地、当院での接種歴や受診歴は問いませんし(茅ヶ崎市外に在住の方は茅ヶ崎市の予約ページはご利用いただけませんので、当院予約システムからご予約下さい)、お手元に接種券が届いていない方も、予約日が接種可能な日時なら(4回目接種は3回目接種から5ヵ月経過後となっています)、接種当日に前回接種日が分かるものがあれば大丈夫です。

また以前からお伝えしているように、当院は8月7日(日)~8月25日(木)まで2週間半の間、改装工事のためにお休みを頂きます。
当院かかりつけの方は受診時にお薬がなくならないように適宜調整を致しますし、病態によってはこの時期に悪化を極力避けられるよう、治療内容の調整を行うこともございます。

ご不明な点、ご不安な点がございましたら、お気軽に外来受診時に私など医師にお申し付けください!

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2022.06.16更新

6月に入り、だいぶ発熱の方、風邪症状の方も減ってきたように思います。

当院でもコロナ陽性者は週に2〜3人出るかどうかというところまで減ってきており、いよいよアフターコロナが見えてきたのではないか、というように思えるような状況です。

 

一方、ここ最近は3〜4月ごろから咳が増えて止まらないという、風邪というには長すぎる咳の症状でお悩みの方が増えてきております。

いわゆる「花粉症」が終わった頃から咳が出るパターンの方が少なからずいらっしゃいます。

 

今年は当院も名称変更を行い、やはり例年より咳の患者さんが多いなあと感じていたそんな折、ケーブルテレビのJCOMさんから取材の依頼を頂きました。
内容は「梅雨時期に気をつけたいこと」というお題です。

 

クリニック勤務となってから、多くの取材を受けてきましたが、今回は初めての映像。

今までの幾多の経験上、セリフを覚えて話そうとすると100%噛むという揺るぎない自信があったため、あえてカメラには目をくれず、何も考えずに一発撮りで話してみることとしました。

 

JCOMさんはケーブルテレビですので、加入していない私はあいにく自分の醜態を直接目にすることはできなかったのですが、我が元祖ブロガー兼受付の深田さんがありがたくも動画を撮っていてくれていましたので、そのキャプチャーを晒してみたいと思います。

JCOMインタビュー

結構カメラ目線じゃん(笑)


と言うわけで、この取材でアレルギー専門医の私が話した、この時期、皆様に気をつけていただきたいことを、今回はもう少し深めて今回のブログネタにしようと思います。

 


スギやヒノキの花粉症の時期も終わり、一般的にはアレルギーの方はホッとする時期という印象を持たれる方が多いのですが、春から夏にかけてのこの時期は、実はさまざまなアレルギーの原因が出現する時期でもあります。

例えば、この時期一番思い浮かぶ厄介者としては、カビが挙げられると思います。

 

特に喘息を悪くさせやすいものとしては、アスペルギルスというカビが挙げられます。
これは温かく乾燥した場所に多く発生するカビで、ホコリの中や畳、寝具などに多く生えます。
空気中に飛散しやすく、このアレルギーがあるとかなり厄介な喘息になることが知られています。

 

一方クラドスポリウムというカビも厄介です。
これはいわゆる「黒カビ」で、温かくジメジメしたところに多く生えます(皆さんが一番想像するカビでしょうか)。
湿気が多い風呂場や水回りに多く生息し、このカビも大量の胞子を空気中にまき散らし、咳の悪化の原因になります。

 

またアルテルナリアというカビもいます。
これは「ススカビ」とも呼ばれ、やはり湿気の高いところを好み、浴室や水回り、押し入れの奥や台所や床下収納によく生えてきますが、胞子になると乾いたところにも出現し、空気中に舞ったり、畳や寝具からも検出されます。

 

それに面白い、といっては何なのですが、クラドスポリウムやアルテルナリアは大雨や雷雨が降ると、屋外に飛散している胞子が割れて細かく飛散し、より吸い込まれやすくなる現象がおき、これを吸い込むことによって喘息が悪化する「雷雨喘息」という病態もあります。
花粉も同じ条件で細かくなることも知られており、天気が良くなったタイミングで咳や喘息が悪化する方が増える方は実際多い傾向にあります。

 

そしてこれらのカビはプラスチックの表面にも住み着くことができます。そのため、エアコンの内部に繁殖しやすく、しばしばエアコンを使い始めるこの時期から大きな影響を引き起こします。

エアコンは吹き出し口、フィルターなどが目立つため、ここの掃除はされる方が多いのですが、我々素人が届かない内部にも当然カビは届いています。
そのため古いエアコンを使っていたり、長く内部クリーニングをされていなかったりした場合は、エアコン使用開始とともに空気中にカビの胞子が飛散し、咳が止まらなくなったり、喘息が悪化したりするケースが少なくありません。


エアコンを使用する前であるこの時期、しばらく内部クリーニングをされていなかった方は、是非業者さんにお願いしてクリーニングをしていただくといいかもしれません。

 

 

そのほかにもこの時期に原因になりやすいアレルゲンとしては、6月くらいから9月ごろにかけて増えるダニ(おもにその死骸やフン)、道端や空き地に多く生える雑草、家の内外で影響を及ぼし得る昆虫、それにペット(特にネコやイヌ)など、実にバラエティ豊かです

 

これらのアレルゲンに関しても、今後詳しくお話ししてみようと思いますが、なかなかボリュームがあって長くなりそうですので、また次回。

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2022.05.29更新

前回お伝えした入り口のプチ改装、GW明けより稼働しております。

おかげ様で新たに設置した待合席は、ちょっとした読書や作業などをしていただけるとご好評の声をいただいております。
まだまだ混雑でご迷惑をお掛けしておりますが、少しでも新しい席がお役に立てれば幸いです。


そしていよいよ、当院は今回、大改装を行うこととなりました!

今回は当院のレイアウトそのものが大きく変わります。

具体的には①受付エリアの刷新、②レントゲン室の移動・新設、③第2診察室の移動・新設、④検査室の拡充、⑤新たな発熱外来診察室の設置⑥発熱外来待合室の拡充、⑦内視鏡・エコー室の新設を行います。

これだけの内容を行いますので、今回は数回に分けて工事を行うことになりました。

まずは第1期工事をこの8月に行います。

今回の工事がメインで、①~③を行う予定です。
これらのレイアウト変更に伴い、お待ちいただけるエリアも今までより少し広くなる予定です。

という訳で、今回当院は夏季休暇を長めに頂きます。
8月7日(日)~25日(木)まで、19日間のお休みをいただきます。

これに伴い、今年の8月の特定検診の受け入れ枠が少なくなります。

茅ヶ崎市の特定検診は例年6~8月に行われておりますので、当院で検診をご希望の方は、できるだけ7月までにお早めにご予約、ご受診を頂けると大変助かります。

例年8月は駆け込み受診が多くなりますが、今年は十分なお受け入れができないと思いますので、是非ご協力頂ければと思います。


さて、ようやくコロナワクチンの3回目もピークを過ぎ、当院もひとまず6月4日で一度終了することにしておりますが、そうこうしているうちに4回目のワクチン接種開始の通達が出されました。

いったいいつまで続くのやら・・・と思いますが、4回目のワクチン接種について、今回もやはり客観的データでその妥当性を判断していこうと思います。

現時点で一番大きなデータは、ニューイングランドジャーナル・オブ・メディシン(医学界では一番信用度の高い雑誌です)に4月に発表された、イスラエルのデータ(N Engl J Med 2022; 386:1712-1720)だと思います。
まずはこのデータを見てみましょう。

このデータではイスラエルでオミクロン株が流行していた今年1月~3月に、4回目をファイザーのワクチンで接種した60歳以上の方、120万人を対象としています。

4回目のワクチンの効果

N Engl J Med 2022; 386:1712-1720より改変

まず感染予防効果ですが、3回目接種の方と比べ、4回目を接種した方は、接種後3~4週間で効果が最大になり、感染予防効果3回目接種の方と比べて約2.1倍(つまり53%リスクを減らす)となりました。しかし接種後8週が経過するとその効果は約1.1倍(つまり10%もリスクを減らせない)となり、2カ月で感染予防効果はほとんどなくなってしまいました。

一方重症化予防効果ですが、こちらは接種後徐々に効果が高まり、接種後6週間で4.3倍(つまり70~80%予防できる:3回目しか接種しない場合を100とすると、4回目を接種すると20~30くらいまで減らせる)ことがわかりました。

 

ただオミクロンはそもそもが重症化しにくいウイルスです。
割合が大きく減ったとしても、その実際の重症化を起こす人の数がもともと少なければ、重症化を予防できる実際の人数はたかがしれている、というのもあながち間違いの主張ではありません。

そして若い方については4回目接種についてのデータはほとんどありません。

またイギリスからの報告では、3回目接種についてのより長い期間の情報が出ており、18~64歳の方では、3回目の接種による効果接種後15週(約3か月半)を経過しても、入院リスクを67.4%、重症化リスクを75.9%減らせるデータが出ておりCOVID-19 vaccine surveillance report Week 16 UK Health Security Agency 2022/4/21、3回だけで十分との考え方もあろうかと思います。

一方、現時点では4回目の接種による副反応は3回目とそれほど大きな差はなく、一部で懸念されているADE:抗体依存性免疫増強(ワクチンの影響でかえって病気が重症化しやすくなる現象)も、現在のところは客観的データとしては認められません。

というわけで、わが国ではリスクの高い方のみ、すなわち

60歳以上の方
18~59歳の、基礎疾患を持っている方

を対象に、3回目接種後5カ月を経過したら接種ができるという運用をされることとなりました。

※基礎疾患とは以下の病態です(頻度の高いものを太字にしました)

1.慢性の呼吸器の病気(喘息、COPDを含む)
2.慢性の心臓病 (高血圧を含む)
3.慢性の腎臓病
4.慢性の肝臓病(肝硬変等)
5.インスリンや飲み薬で治療中の糖尿病、他の病気を併発している糖尿病
6.血液の病気(鉄欠乏性貧血を除く)
7.免疫の機能が低下する病気(治療中の悪性腫瘍を含む)
8.内服や注射のステロイドなど、免疫の機能を低下させる治療を受けている
9.免疫の異常に伴う神経疾患や神経筋疾患
10.神経疾患や神経筋疾患が原因で身体の機能が衰えた状態 (呼吸障害等)
11.染色体異常
12.重症心身障害(重度の肢体不自由と重度の知的障害とが重複した状態)
13.睡眠時無呼吸症候群
14.重い精神疾患

 

私は、まあ妥当かなと思っています。

 

正直このオミクロン株によるコロナをここ5カ月ほど診療していますが、ほとんどの方が普通の風邪症状です。

確かに肺炎の方もいらっしゃいました(それは普通の風邪にはまずない兆候でしょう。インフルエンザウイルスの肺炎も、出会うのはもっと稀です)。
そして後遺症として様々な症状をきたす方も少なからず当院にはいらっしゃっています(よく診察をしたら、実は後遺症ではなく喘息やアレルギーだったという例も少なくないのですが)。

ですので、まだまだ「普通の風邪」ではありません。

ただ、デルタのころと比べれば、確実にその性質は風邪に「近づいて」います。
そして、高齢者や基礎疾患をお持ちの方にとっては、まだ少し「普通の風邪」から距離があり、一方若い方にとっては、「普通の風邪」との距離が非常に短くなっている。そのように考えれば、よりリスクの高い方にしぼって、「普通の風邪」に近づけるツールとしての4回目のワクチンを行うことは、理にかなっていると思います。

オミクロン株のその後

そして、この「普通の風邪」との距離を、みんなが受け入れるようになれば、この「コロナパンデミック」は終了する、そのように私は解釈しています。

オミクロン株のその後
その距離がどれくらいなら受け入れられるのか、あとどれくらい近づけばいいのか、あとどれくらいの人がその許容される距離内に収まればいいのか。それが人それぞれなのでこの議論はもつれます。
しかし「普通の風邪」との距離が0になるまで待つのはおそらく現実的ではないので、どこかで妥協する必要は必ず出てくると思います。

 

それが「今」であるべきかどうかは私にはわかりませんが、どこかのタイミングで「決断」をしなければならない時がくるでしょう。そしてそれが、より多くの人が納得する形での「決断」の形にして、社会に分断を残さないようにしないといけないのです。

今後の我が国の経済や教育、その他のことも総合的に考えて、しかるべき時に、しかるべき方法で「決断」をする覚悟、それが我が国にとって今一番大事なのかもしれません。

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2022.05.09更新

「茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック」として新しい船出をしてから1ヶ月、おかげさまで少しずつ新名称にも慣れてきました。

当初はスタッフの言いまつがいもありましたが、最近は新名称がスムーズに出てくる様になっています。


直接電話応対をすることの少ない私が、実は一番慣れてません(笑)

 

また4月から髙倉先生の循環器専門外来が開始し、おかげさまでこの1ヶ月で、すでに多くの患者さんにご来院いただいております。

この時期、花粉症から始まった長引く咳など、咳のなかなか治らない多くの患者さんにもご来院いただいており、それは医師冥利につきますが、いよいよ院内の待合スペースに限界が来つつあります。

 

そこで今回、GWを利用して、少しだけ待合室を拡充する工事をしました。

 

入口のスロープを少し狭めて(車椅子も通れる十分なスペースは残しています)ベンチを下げ、できたスペースにテーブルでお待ちいただける待合スペースを増設しました。

玄関改装

よしできた!工事が終わってホッとしていたのですが、

 

「椅子、ないじゃん・・・」

 

スペースを作ることばっかり目を向けて、椅子を買うことを忘れてました(๑´ڡ`๑)テヘペロ♡

とりあえず院内にあるパイプ椅子をかき集めて何とか3席確保しました(あとでちゃんとした椅子、買います!)。

入口改装

このスペースでの飲食はできませんが、本を読んだり、書き物をしたり、PCなどを使って作業することもできたりするスペースです。なるべく待ち時間を少なくできるように努力しますが、貴重なお時間をお使いいただくスペースとして是非ご活用ください!

 


さて、スギ、ヒノキの花粉症の方も、ようやく症状のピークを超え、今年も一般的な花粉症シーズンは終わりを迎えつつあります。

しかし、中にはこれからの季節も花粉症シーズンが続く方がいらっしゃいます。

そして、実はこの時期に合わせて、果物などの食物を食べると口の中が痒くなったり、じんましんが出てきたりする「食物アレルギー」の症状が出てくる方がいらっしゃいます。

 

実は、一部の食物アレルギーの方には、ある花粉症と関連がある場合があります。

 

例えば、バラ科の果物、例えばモモやビワ、さくらんぼ、苺、りんご、梨など、それに豆類特に豆乳では強く出やすく、アナフィラキシーまで起こる可能性があり要注意!、ヘーゼルナッツ、セロリやニンジンなどで、喉や口のかゆみなどの症状が出たりする方の中に、カバノキ科(ハンノキ、シラカバなど)の花粉症がある方がいらっしゃいます。

この花粉には、「PR-10」というタンパク質が含まれているのですが、このタンパク質へのアレルギーを持っていると花粉症を発症します。

そして、先に挙げた食べ物にも、この「PR-10」というタンパク質が含まれているため、アレルギー症状を起こしてしまうのです。

そして、この花粉症の時期が4〜6月、つまり今頃であり、この時期に食物アレルギー反応の症状が出やすくなることも知られています。


また、ブタクサ、ヨモギ、イネ科の花粉症の方も、同様に花粉に含まれる、「プロフィリン」というタンパク質に対するアレルギーを持っている場合、ウリ科の果物など、例えばメロンやスイカ、カボチャ、きゅうりなど、それに柑橘系の果物、トマト、バナナなどにも含まれる「プロフィリン」にも反応をしてしまい、アレルギー症状を起こしてしまう例も知られています。

これらの花粉は初夏〜秋がシーズンなので、こちらもこれから気をつけるべき季節となります。

その他にも、スギやヒノキの花粉症に関連したバラ科や柑橘系果物、梅干しなどの食物アレルギーなども知られており、これらは「花粉-食物アレルギー症候群」と呼ばれ、症状をコントロールするには、花粉症の治療も正しくしっかりと行うことが大事になります。

 

 


またゴム製品に対してのアレルギー(ゴム手袋をしていると手が赤くなったり腫れたりするといったエピソードが多いです)があると、食物(特にバナナ、栗、桃、キウイ、パパイア、パイナップルなどの果物やアボカドが代表的です)アレルギーを発症してしまう「ラテックス-フルーツ症候群」という病態があったりもします。

 

これらはいずれも、一見関係なさそうな2つの症状が関係しあっている、知らないと気付かない病態です。


食物アレルギーといえば子供の方が圧倒的に多く、一般的には小児科で取り扱われることが多い病気なのですが、実は上に挙げたような病態は大人特有のものなのです。

大人の食物アレルギーを診断、治療できる医療機関が非常に少ないため、何年も原因不明として扱われてしまい、生活の質が低下したまま長年が経過するケースも少なくありません。

このような症状は、やはりアレルギー専門医にご相談されると、花粉症ともどもうまく治療できると思います(鼻の中を見たり、処置までできたりするという意味では、食物アレルギーにも非常に精通している耳鼻科の先生がベストかもしれませんが、耳鼻科的な処置までは必要なく、薬だけでよくできる程度であれば、我々の様な内科のアレルギー専門医でも大丈夫だと思います)。

手前味噌ですが、当院でも今後皮膚アレルギーテストの導入を予定しており、採血だけではわからないアレルギーの原因をより見極めることができるようになる予定です。


アレルギー診療は、原因の見極めや薬の選択、さじ加減、それに正しい薬の使い方や生活面での指導など、診療の質の違いが結果の差になって現れます。

 

なんか治りがイマイチだなあ・・・と感じる時は、是非アレルギー専門医の受診をお考えになってみてください!

 

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2022.04.20更新

当院は、2月から花粉症の患者さんが増え始め、それに伴いこの時期から咳が止まらなくなった方がこの3~4月ごろに多くご来院頂きます。

この時期から出る咳は、やはり花粉症と関連をしている咳の割合が非常に高くなります。

そのような咳の原因としては、のどの粘膜や気管にアレルギー反応が起こる喉頭アレルギーアトピー咳嗽(ちなみに「気管」は、のどから、左右に気管支として分かれるところまでを指します)、アレルギー性鼻炎副鼻腔炎、それによる後鼻漏などなど、様々な原因が考えられています。

しかし、やはり私の印象では、この時期の咳は喘息が原因であることが一番多いように感じます。

以前のブログでお伝えしたように、花粉症などのアレルギー性鼻炎と喘息には、密接な関係があります。

鼻と気管支はよく見ると1本の管としてつながっており、鼻のアレルギーがあるときに、気管支でも同様にアレルギー反応が起こることはよくあることです。

また、この時期に長引く咳で来院される方は、いままで他の病院で治療を受けたものの改善しなかったために来院される方が多く、当院で初めて喘息と診断される方の割合が非常に大きな気がします。

当然そのように診断された方は、ステロイドの吸入薬がよく効くため、次に来院されたときは症状が良くなっている方がほとんどです(よくならなかった場合は、診断が間違ってしまったか、診断はあっていたものの他の要因が重なっていたというケースで、この場合は更なる検査や治療の追加を必要とすることが多いです)。

こちらにもお書きした通り、喘息の場合は、その治療をある程度長く続けていかなければなりません。が、症状が良くなったあと、多くの方が私の目の前から消えてしまいます。

そしてしばらく経ち、症状がぶり返した後に再度お目にかかれることが多いのです(もちろん一度止めてしまって悪化してしまった方、私はそんなことで怒ったりなぞしませんので、気兼ねなくご相談ください!)。

という訳で、このような方に喘息の治療を続けてもらうことの重要性をよりご理解いただくために、いままで落書きしかしたことのなかったiPadで、初めて絵をかいてみました(クリニックのサイネージでもお出ししていますので、ご興味のある方は是非どうぞ!)。

さて、喘息では、その「体質」により、気管支に慢性的な炎症がおきています。

そこで今回は気管支を草原、炎症を火で表現してみます。

 

まず草原である気管支では、慢性的に「種火」がくすぶっています。

喘息1

これは「体質」ですので、なかなか改善することは出来ません。

しかしこの状態では大火事(=強い炎症)は起こっていないので、強い症状は感じません。
が、火が少し大きくなったり、また小さくなったりすることで、時に咳などの症状が出てきたり、また治まったりすることもあります。

これが、日照りや強い風が吹くなど、「ある出来事」をきっかけとして急に燃え広がることがあります。
この状態はいわゆる「発作」の状態です。
喘息でのこの「ある出来事」とは、風邪などの感染症、気候(台風や季節の変わり目など)、アレルギー、温度差、ストレスなど、さまざまです(そしてこれを「トリガー(=引き金)」と呼びます)。

喘息2

この状態になると消火活動が必要になりますので、消防士がやってきて水をかけます。

これが喘息でいう「吸入ステロイド薬」になります。
吸入ステロイド薬は、炎症である炎に水をかけ、消火、つまり炎症を抑える作用をします。

喘息3

水をかけ続けたことで、ようやく火の勢いは収まりました。

もちろんあたりは水浸しです。

喘息4

この状態で、水をかけることを止めてしまった場合でも、火はすぐには広がらないことも少なくありません。
落ち着いたと思って吸入ステロイドを一度止めてみても、すぐには症状が悪化しないことも珍しくはないのです。

しかし喘息では、種火は常に残っている状態です(先ほども述べたようにこれは「体質」なので、なかなか根本的に種火を取り去るのは難しい問題です)。

ではこの状態でこのまま放置するとどうでしょう・・・

喘息5

徐々に水が乾いてきました。だんだんと再度燃え広がってしまう条件がそろってきます。

そして・・・

喘息6

あーあ、また「トリガー」をきっかけに、乾いた草原に火が燃え広がってしまいました。

大きく燃え広がると、なかなか消火にも時間がかかる状態となります。
症状が出てしまってからでは遅いのです。

ではどうしたらいいのでしょう??

喘息7

カンのいい方ならお気づきかと思います。

種火にずっと水をかけ続ければいいのです。

喘息
そうすれば、火を直接抑えるだけでなく、周りへの延焼を防ぎ、大きな火事になることを防ぐこともできるわけです。


さて、ここで振り返ってみましょう。

4番目の絵のように、びしょ濡れの原っぱではすぐに火が燃え広がらないように、吸入をやめても、すぐには悪くならないことは珍しくありません。
これは一見いいことにも思えますが、実はこの時に、患者さんは喘息が「治った」と勘違いをしてしまいがちになるのです。

ところが実際は常に消えない種火があるので、「治って」はいません。
「落ち着いて」いるだけです。

患者さんはこのことに気づけないと、症状が悪化したら治療を行い、良くなったらやめてしまうという無限ループに陥ってしまうことになります。

さらに悪いことに、何度も症状の悪化(つまり延焼)を繰り返していると、草原は黒こげとなり、焼け野原になってしまい、元の草原に戻らなくなってしまいます。

気道でも同じことが起きえます。気道も炎症を繰り返すと元に戻らなくなり、症状が治りにくくなってしまいます。

焼け野原にしないためにも、種火が常にある草原には、常に消火用水をかけ続けたほうがいいというわけです。

しかし、吸入ステロイド薬もいいことばかりではありません。

もちろん非常に治療には有効な薬なのですが、不必要に使用すると、口の中が荒れたり、声が枯れたりすることが増えます(ステロイドと聞くと、もっとひどい副作用を想像される方も多いですが、吸入ステロイド薬においては、全身に薬が回るわけではないのでこの点はあまり心配はいりません。その理由はまたいずれ書いてみます)。
もちろん続けることでお金も手間もかかります。

そこで我々喘息治療医は、できるだけ少ない薬で、種火を広がらせないギリギリのラインを常に狙って治療します。


喘息の方には、それぞれ固有の「トリガー」が起きやすい状況があります(風邪をひきやすい冬、花粉の影響を受けやすい春や夏、ハウスダストや台風の影響を受けやすい秋、それに環境や気候、仕事で忙しくなりやすい時期などなど・・・)。

これらを見越して、かけるべき水の量を事前に予測して調節できると、非常に炎がコントロールしやすくなります。

われわれ喘息治療医はこの調節を、毎回患者さんにお会いした時に、アレルギーの有無や環境変化、前年までの同じ時期の経過などを考え、一人ひとり予想を立てながら、かけるべき水の量を調節していっているのです。

ですので、治療期間が2ヵ月、3ヵ月と空いてくると、長期の予測となりその一気に精度が落ちるため、途端にコントロールが悪化するケースが増えてしまうのです。

やはり喘息は状態が安定していてもしっかり定期的に診察をし、種火が拡がる兆候がないか、注意深く経過を見ていかなきゃいけないと、私は思っています。


そして最後に、「喘息治療のやめ時」もこのモデルで考えてみましょう。

この種火は、年齢の経過や長い時間をかけて徐々に弱くなる場合もあります。
またもともと種火の勢いが弱く、めったなことでは燃え広がらないこともあります。

その場合、消火活動をやめても(=吸入薬をやめても)、めったには延焼(=炎症)を起こさないケースも確かにあり得る話です。

すると消火活動を続けることと、やめることのどっちがデメリットが大きいかで、治療の止め時を決めていくことになります。

ただ未来のことは誰にもわかりません。

どれくらいの種火になったら絶対燃え上がらなくなるか、そんなこともやってみないとわからないのです(そもそもその種火の大きさを客観的に知ること自体、かなり喘息治療に精通していないと見当がつけられません)。


一方、年を経るに従い、種火が強くなるケースもあります。

子供の時に喘息があった方は、大人になり完全に治るケースは多くあります。が、一旦落ち着いた後に大人になってからまた種火が大きくなることも珍しくありません。
また前の年まで小さな種火でその存在に気づかなかった程度のものが、今年になり急に大きくなったということもあり得ます。

ですので、治療を止めていいかどうか、というのは、これら不確実な未来を予想しながら考えなければならないことなのです。
これは我々でも常に悩む、非常に難しい作業なのです。


という訳で今回も長くなりましたが、まとめると、

「勝手に治療はやめないでね♡」

ということでした。

皆さんの心にこの絵が伝われば幸いです!

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2022.04.04更新

みなさんこんにちは!「医療法人社団加藤医院 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック」院長、浅井偉信です。


今までお伝えしたとおり、当院は2022年4月1日に上記名称に改称させていただきました。

今回の名称変更にともなう診療体制の大きな変更はなく、当院は今まで通りに診療を継続しています。

それでも名称、ロゴの変更とその準備はいろいろと大変でした。

この名称は、私が当院に来る前からいろいろと考えていた選択肢の一つでした。

他にも自分の名前を入れたり、今風のユニークなクリニック名にしたりすることも考えましたが、やはり当院は、呼吸器診療ならだれにも負けないという自信を持ちつつも、かつ敷居の低いクリニックでありたいという私の願いから、わかりやすさと親しみやすさを込めたこの名前を選ぶこととしました。

またロゴは、Web上のクラウドソーシングサイトからご応募いただいた20名以上の候補者の中から契約させていただいたデザイナーの方とともに、数カ月かけてデザインを練り上げました。
茅ヶ崎のCの形をモチーフとして、多種多様なカラダのお悩みを気軽に当院に相談できる雰囲気を多色のパステルカラーで表現しつつ、Cの中で舞う青いイメージでさわやかな空気感を表現し、当院にお越しいただいた方に気持ちよく呼吸していただきたいと言う願いを込めました。

茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック ロゴ


これらが決まり、行政機関への届出を数ヶ月前から進めました。それに周辺の方々(患者さん、各医療施設の方々、出入りされる業者さんなど)への周知を、これも時間をかけて行いました。

そしていよいよ変更日が近づき、表の看板、建物入口、医院入口の看板に加え(表の一番大きい柱の看板は老朽化で新調中です)、

看板入口表記

処方箋や紹介状の名前の変更、

紹介状

院内各所の掲示物のロゴや名称の変更、

サイネージ

封筒や診察券などの一新などなど、

診察券

普段の診察に加えて行う作業がここしばらくはチリツモでした・・・


それと、4月からは当院の電話応対も変わりました。

何せ60年以上も「加藤医院」として運営されていたクリニックですので、そう簡単には慣れません。
「加藤いい・・・あっ、茅ヶ崎内科と呼吸のクリニックです」「茅ヶ崎呼吸と内科のクリニックです」「茅ヶ崎呼吸のクリニックです」などなど、しばらくは色んなバージョンの電話応対がお聴きいただけると思います・・・


当院スタッフもこのようにして、

カンペ

なるべく間違わないように気をつけておりますので、しばらくは温かい目で見守って頂ければと思います。

また「加藤医院」の名称も残っていますので、今まで「加藤医院」で馴染んでいらっしゃった方は、どうぞそのままお使いください。

それと来週11日から、当院に新しい仲間が加わります。

循環器内科専門医の髙倉美登里先生をお迎えして、循環器専門診療を開始します。

髙倉先生は3月まで茅ヶ崎市立病院循環器内科で若手エースとしてお仕事をされていた、非常に臨床能力の高い先生です(私も勤務医時代はいろいろと助けてもらいました。そのうち、病院の勤務医がどのような仕事をしているのか、我々開業医とはどのように違うのか、そんなこともブログに書いて見ようかなと思います)。
当院診察室にも循環器内科専門グッズがお目見えし、また新しい雰囲気になりつつあります。
循環器内科ツール
当初は月曜午前、水曜午後の診療から開始しますが、来院いただく患者さんが増えたら徐々に診療日を増やす予定です。
まだまだ加藤先生も元気に金曜、土曜の午前に消化器専門診療を行っており、引き続き土曜日には横浜市立大学病院から2名の消化器内科の先生をお迎えして胃カメラ検査を行なっております。

という訳で当院には3科の専門医が揃い、様々なお悩みに高いレベルでお応えできる体制が整いました。
それぞれの専門医が最新の知識に基づいて、今の時代に沿った正確な医療を行うクリニックでありたいと思います。

そしてその診察の結果、専門的検査や治療が必要であれば、速やかに茅ヶ崎市立病院湘南藤沢徳洲会病院をはじめ、総合病院に紹介することができます(我々ももちろんその検査、治療については精通していますので、その治療の経過に合わせていろいろなこと聞いていただける、気軽な相談相手になることもできます)。
もちろん専門的な検査や医療が終わったら、また当院に戻ってくることも可能ですし、総合病院を離れるからといって診療の質が落ちることもありません。

また実はこの茅ヶ崎の中にも、隠れた名医が数多くいらっしゃいます。

その先生方もかつては総合病院の専門外来で、それぞれの領域で辣腕を奮っておられた先生方です(我々医師が、医師免許を取った後にどのようにキャリアを磨いているのかということも、ネタが尽きてきたらブログに書いてみようかなと思っています)。
そのような先生方と連携を取り、「いいとこどり」をすることで、より質の高い医療を受けて頂くことも可能です。


総合病院でないと専門的な医療は受けられないと思っている方もおられるかもしれませんが、私たちはそのような考えを覆していけるように研鑽しています。

それぞれの科の専門医として、専門医であることの責任を持ってベストの選択を患者さんに提供したいと思っております。

 

末永く、「茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック」を、よろしくお願い致します!

集合写真

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2022.03.24更新

3月中旬を過ぎて、発熱・感染症外来にお見えになる方はピークと比べても半分かそれ以下になってきました。世間もマンボウがようやく解除され、報道でも(ウクライナ、北朝鮮の報道に追いやられているのかも知れませんが・・・)コロナ一色では無くなってきたようです。
当院にとっても少しホッとする一面ではありますが、依然花粉症や長引く咳、そしてワクチン接種にて多くの方に受診いただき、混雑や予約の取りづらさで皆様にはご迷惑をおかけしております。


以前のブログでお話しした通り、当院は4月から「医療法人社団加藤医院 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック」へとバージョンアップをします。


これと共に、4月から循環器専門医である高倉美登里先生が仲間に入り、診察枠が増やせることになりました。


高倉先生は、専門である循環器専門診療に加え、生活習慣病や風邪などの急性期疾患などを含めた一般内科診療も担当いたします。
一般的な現在のところ曜日限定ではありますが、診察枠増枠による混雑の緩和も期待できるかと思います。

現在はほぼ3日先までの診療枠が埋まってしまっている状態で、直近でのご予約がなかなか取れないとのお声も多くいただいておりますが、この状態の解消まで今しばらくお待ちいただければ幸いです。

 

そして本日、当院で使用するレントゲン装置の刷新を行いました。


やはり呼吸器専門診療をするにあたり、そのキモとなるレントゲン装置は妥協できません。ましてやこれからは循環器専門診療も始まり、心臓や血管もなるべくわかりやすい画像でより正確に診断したいものです。


ですので当院で今まで使用していたレントゲン装置と比べ、圧倒的な解像度の違いを誇る、最新式の「いいヤツ」を導入しました(お陰でけっこういい高級外車を購入できるくらいの諭吉さん達がめでたく旅立って行きました(^^)/~~~)

新しいレントゲン装置
(新旧の比較写真を載せてみましたが、外見はほとんど一緒でしたね・・・)


というわけで、今回は祝!最新式レントゲン装置導入記念ブログということで、レントゲンって一体どんなものなの?ということを書いてみようと思います。

 

レントゲン写真は、正式にはX線写真と言います。
X線を見つけたのがレントゲン先生だったので、今でもその名前が残っているのです。

ご存知の通り、レントゲン撮影には放射線を用います。

放射線を浴びるのは心配だとお考えの方も多いのですが、人間が普通に生活して受ける1年間の放射線量がおおよそ2.1ミリシーベルト、健康に影響が出る放射線量が年間100ミリシーベルト以上とされる中、一度の胸部レントゲン検査で浴びる放射線量は、けた違いの0.06ミリシーベルト程度です(ちなみに放射線は宇宙から多く届くため、飛行機で空を飛ぶと放射線を受けやすくなります。東京からニューヨークまで飛行機で往復すると、胸部レントゲン撮影3〜4回分に相当する0.2ミリシーベルトを浴びるそうです)。

少なくとも胸部レントゲンの放射線量は常識の範囲内であれば複数回取ってもほとんど問題ない程度と言っていいと思います。

さて、できあがった胸部レントゲン写真を見てみましょう。まずは正常なレントゲンを。

正常胸部レントゲン


このレントゲン写真ですが、皆さんの中には、この中に肺や心臓しか映っていないように思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、このレントゲン写真は、後ろから照射したX線が背中の皮膚から胸の皮膚まで貫通し、そのデータをすべて前方のカセッテという板に焼き付けることで作る画像です。

ですので、その写真には肺や心臓だけでなく、肺の中の気管支、血管、リンパ節、心臓へつながる血管、胃や食道に加えてその中に含まれる空気、それに肺の外側である骨、筋肉、脂肪組織、乳房、皮膚など、そこに存在する臓器すべてが1枚の写真の中に重なり合って映っています。

胸部レントゲン正常像の解説

だいたいの概要を描いています。専門的な線の解説は全て省いています。


これがレントゲン検査の奥深く、難しい所です。

たった1枚の写真なのですが、これらが重なり合うことで、偶然肺の中の影のように見えてしまう場合、それに偶然他のものに隠されて病変が見えにくくなってしまう場合が常に起こりえることになるのです(ですので、当院ではなるべく見落としを防ぐ方法として、基本的に横からのレントゲン撮影も同時に行っています)。

例えばこんな画像。どこかに2か所、異常があるのですがわかるでしょうか?

胸部レントゲン

答えはここです。

胸部レントゲン

CTで見るとこんな感じ。赤い矢印が病変です。これは肺がんでした。

肺がん胸部CT

特に肺のてっぺんのあたりは、鎖骨、肋骨、肩甲骨などが重なり合って映る場所で、非常に見にくいところです。

 

次はこの写真です。これはかなり難易度高いです(我ながらよく見つけられたなって思います)。

胸部レントゲン

答えはここでした。

胸部レントゲン

CTでみるとわかりやすいのですが、レントゲンでは完全に横隔膜の裏に隠れちゃってます。

胸部CT肺がん

実際、矢印のところが肺がんで、この方は手術して助かりました。
実は横隔膜の裏や心臓の裏にも肺があり、こんなところに病気が隠れている場合もあるのです。

ですので、私たちは少しでも怪しいと思ったらCT検査などで確認するようにしています(2次元の画像であるレントゲン検査で前後に重なる影も、3次元の画像であるCT検査では分けて見ることが可能なのです)。
CT検査は1回で5~20ミリシーベルトと、胸部レントゲンに比べると多くの被ばくがあるため、簡単に何度も撮ることは避けるべきですが、数回程度ならまず健康被害は出ないので安心して撮影していただいて大丈夫です。

レントゲン検査の一番のメリットは、なんといってもその手軽さ、被爆の少なさです。
確かにそれをしっかりと読み切るのは医師の技量を必要としますし、どうしてもその検査の特性上、「読みすぎ」、もしくは「見落とし」は(例えどんなに優れた読影医、それにAIが読んだとしても)必ず起こり得ます。

しかしこの簡単な検査で病気が見つかることも非常に多いのも事実です。


是非必要な時は、信頼できる医療機関でレントゲン検査、受けてみてください!

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

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