医師ブログ

2021.10.13更新

ようやくコロナも落ち着いてきて、緊急事態宣言も解除されました。

10月に入り、当院でもほとんどコロナ陽性の方を見ることはなくなっています。
ワクチンも行き渡りつつあり、重症者も大幅に減っているようです。

ウイルスの動きはまだわからないことも多くあり、日本よりワクチン接種が先行している他国でも、患者数が一旦極端に減った後にまた増加に転じてしまった国が多くあるようですので、やはり油断はできません。

とはいえ、ゼロリスクが必ずしも正しい戦略ではありません。
今だからこそ、羽目を外しすぎず、ちょうどいいくらいの感染対策をしながら、少しずつ経済を回すべき時期に来ているのかもしれませんね。


というわけで今回は、久しぶりに落ち着いてきたコロナから少し外れて、当院が診療しているメインターゲットの一つである、喘息について触れてみます。
なかでも、外来でよくあるご質問に「喘息の治療って、いつまで続けるんですか?」というのがあります。
今回はそのことについて考えてみたいと思います。

まずは喘息とはどんな病気か、考えてみたいと思います。

喘息は、ここにも書いた通り、慢性的に気管支に炎症が起きてしまうという病気です。
そして様々な悪化要因(花粉やダニなどのアレルギーや、天候、寒暖差、ストレスなどなど・・・)によって悪化します。
この炎症に対しては、基本的には吸入ステロイド薬を用い火消しにかかります。

ただ一方、それらの悪化要因がなくなると、薬がなくても症状が自然に軽くなることも少なくありません。
実際には「喘息が治った」わけではないのですが、この時患者さんはしばしば「喘息が治った」と思ってしまいます。

喘息は治ったわけではないので、ここで治療を止めてしまうと次に悪化要因にさらされたときに、当然また症状が悪化してしまいます。
ですので、悪化要因にさらされたときにも悪くならないように、治療を続けて悪化を防ぐ必要があるわけです。

そしてこれは、喘息になってしまう「体質」のために起きます。
「体質」というのはそう簡単には変えられないものです。
喘息「体質」が変わらない以上、喘息という病気は、基本的には一生付き合っていかなければならないものとなります。ですので、治療は基本的には続けて頂くのが「正解」です。

よく考えるとこれは、治療を続けることで悪化を食い止めている高血圧や糖尿病などの病気と、本質的には同じな訳です。


ところが喘息は、高血圧、糖尿病などと比べ、患者さんが途中で治療を止めてしまいやすい病気でもあります。
どちらも、治療を続けることで悪化を食い止める「慢性疾患」であるのに、です。

血圧の薬に比べ、喘息の薬は実際に服用されている率が半分以下になってしまうデータもあります。
薬剤アドヒアランス
つまり喘息の患者さんは、同じ慢性疾患である高血圧や糖尿病の患者さんと比べ、治療を続けてくれる割合が非常に低いということになります。

 

ここで喘息治療でよくある日常の外来風景を、それぞれの心の中を代弁しながら見てみたいと思います(うちの外来の話、というわけではなく、あくまで一例です。こうじゃない展開も実際はたくさんありますので悪しからず)。

患者さん「最近咳がとまらないんです、以前から風邪ひくと咳が長引くんです」(また風邪ひいちゃったな、風邪ひくといつも厄介になるから早めに薬もらおう
医師「なるほど、咳がとまらないんですね」(咳も長いし何度も繰り返してるから、風邪だけじゃないっぽいなあ

 診察、検査後

医師「喘息だと思います、吸入治療を始めてみましょう」(やっぱり、風邪の咳がこんなに長く続くはずないもんな
患者さん「私、喘息なんですか。わかりました」(風邪だと思ってたのに・・・聞いてないよぉー

 治療後

患者さん「咳がだいぶ止まってきました」(やっと治ってきたよ。でも吸入治療って薬飲むのと違ってメンドくさいな・・・
医師「良かったですね。喘息は治療を続けることが大事ですから、良くなってもやめないでくださいね」
患者さん「わかりました」(えっ、もう症状ないのにまだ止めちゃダメなの!?)「いつまで続ければいいんですか?」
医師「基本的にはずっと続けてください」
患者さん「・・・わかりました」(風邪かと思ってたのに喘息って言われて、症状何にもないのにこんなメンドくさいことずっと続けるなんて、やってられないよぉ・・・

とまあ、こんな感じで患者さんの胸の内はもやもやしたまま、何度か通院した後に治療を止めてしまうパターンは少なくありません。

 

では、それって全部喘息の患者さんが悪いのでしょうか?

 

私は、喘息には特有の、治療を続けにくい病気としての特徴があるからではないかと思っています。

その原因を挙げてみます。

・吸入がいろいろとメンドくさい

やはり、吸入治療の煩わしさがまず挙げられます。
飲み薬と違い、アクションが多かったり、うがいを必要としたりと、まずは手数が多いことはデメリットです。
それでもしっかり使用して効果があれば使おうと思えるのですが、吸入はコツがいることが多く、このコツを知らないとうまく薬が気管支に届かないため効きません(そして、そのコツを教えてくれるところが非常に少ないのも問題です・・・)。
また、声がれ口内炎なども問題となりますが、これも避けるためのコツを教わったり、声がれのしにくい薬の種類に変えてもらったりしないと、吸入薬を使用している限り続いてしまいます。

症状が(正しい使い方ができずに)十分に改善しないにも関わらず、声がれや口内炎によって日常生活に支障が生じると、患者さんは当然吸入治療を止めようと考えてしまいます。

 

・喘息がいろいろとわかりにくい

風邪と喘息は全く異なる病気です。
しかし、どちらも咳をきたします。
また、喘息は風邪がきっかけで起こることも非常に多いです。
すると、喘息は「風邪がこじれてなるもの」と考えられてしまうことがあります。
風邪は治ったらそれで終わりなので、喘息も同様に治ったら終わりと考えられてしまうことがあるのです。

また幸か不幸か、治療を自己判断で止めてしまった後も、症状が悪化しないこともしばしばあります(悪化要因がなくなっていたり、治療による効果がしばらく続いたりするためです)。
それでもしばらく経ってから(場合によっては数年経ってから)、またその悪化要因にさらされることで症状が再発することもあります。
でも患者さんには、一旦治療を止めても(一時的にですが)悪くならなかったという成功体験が残っています。

すると悪くなったらまた治療をはじめて、良くなったら止めればいいやいう考え方になりやすくなってしまうのです。

・喘息には数字がない

高血圧や糖尿病などは、その時の状態が数字で出てき、患者さんもその数値を気にしてしっかりと治療を続けていこうとする意志が働きやすくなります。
一方、喘息にはそのような簡便な数値がありません(ピークフローという器具もありますが、患者さんによって適切な数値が違ったり、器具の使い方の巧拙で数値が変わったりと、うまく活用することはなかなか簡単ではありません)。
上のわかりにくさともつながりますが、患者さんが客観的に「良くなった」と感じる目安がなく、自分に起きた症状からのみでしか判断できなくなり、良くなったらやめてもいいかなと思ってしまいがちなのです。




と、このように喘息とは、どうしても患者さんが治療を続けにくい要素を多く抱えた病気なのです。
決して患者さんばかりが悪いわけではないと私は思います(医療者の関わりが非常に重要な病気ともいえます)。


それではいっそのこと、症状のないときは治療せずに、症状のある時だけ治療するという考え方はどうでしょうか。

でも、これに対する答えは、やはり基本的には「NO」です。

やはり「体質」で起こっている病気である以上、一見症状がないときにも気管支に軽い炎症は起こっている場合があります。
また小さな症状が起こっても、通院していない場合、多くは治療再開に至ることはありません(喘息は患者さんが自分の症状を過小評価しやすい病気です)が、その時には気管支の炎症はしっかり起きている状態になります。

そしてそのような状態が続くと、だんだんと炎症が固定化してしまい、症状が治りにくくなってしまいます(リモデリングと言います)。
またさらに悪いことにこの変化は遅いので、患者さんが症状が治りにくく悪くなっていくことに気づかずにいつのまにか進行し、治しにくくなってしまうことも起こります。

ですので、基本的にはできれば吸入治療を続けたほうがいいということの正しさは揺らぎません。

とは言っても現実問題、先ほど述べた声がかれる、口が荒れる、金がかかる、メンドくさいなど、吸入治療を続けることによるデメリットは確かにあります。

臨床家としてはここにも目を向けなければなりません。


「正解」だけ振りかざしても、実際の診療はうまくいかないのです。

となると、どこかで落としどころを探る必要が出てきます。

この落としどころに正解はなく、答えを出すのには悩ましいところなのですが、近年そのヒントとなる面白いデータも出てきています。
じらすようで申し訳ありませんが、長くなりましたのでそれに対する答えは、次回探っていこうかと思います。

 

投稿者: 加藤医院院長 浅井偉信(内科・呼吸器・アレルギー専門医)

2021.09.26更新

9月末になり一旦コロナの感染者数は落ち着いてきたようですが、まだまだ世間への影響は大きく、残念ながら日常の話題の中心です。

いいのか悪いのかわかりませんが、当院のブログも私の想定以上の方に読んでいただいているようです。
先日、ある患者さんに教えていただいたのですが、Similarwebという、全世界のサイトの閲覧数を順位付けしてくれる集計サイトがあり、そこには・・・

1位:EPARKさん、2位:日本医師会さん、3位:エムスリーさん、4位:MSDマニュアルさん。
そして・・・

similarweb

いやいや、明らかに場違いでしょ、katoiin.info(笑)

まあこの夏はコロナ第5波で皆さん心配になり、当ブログに行きつかれた方が一時的にでも大きく増えたのが原因というわけですが、こんなにも多くの方にご覧頂いていたとは知らずにのほほんと情報発信をしていたこのブログ、さすがにちょっとビビりましたので、ほとぼりが冷めるまでは(?)しばらく気を引き締めて書いていこうと思います。

 

さて、コロナワクチン接種もそろそろ佳境に入り、若年者の接種もだいぶ進んできました。
茅ヶ崎市も10月にはほぼ接種が行き渡るとみているようで、第6波の山が小さくなることが期待されます。

しかし、ここ最近はブレイクスルー感染(ワクチン接種後にもかかわらず感染してしまうこと)の事例も報告されはじめ、外来でも3回目の接種:ブースター接種についてお問い合わせを頂く機会が増えています。
そろそろブースター接種について調べてみなきゃなと思っていたところ、ちょうど9月15日に2つの新しいデータが発表されました。

今回はブースター接種について、今わかっていることをお伝えしてみたいと思います。

今回のデータはいずれも、世界で一番早くファイザー社製のワクチン接種を行ったイスラエルからのデータです。
一つはまだ査読をされていないものですが、時間経過によるワクチンの効果の推移を示すデータ、もう一つがかのThe New England Journal of Medicineからの、3回目のブースター接種の効果をみたデータです。


まずは一つ目から。Waning immunity of the BNT162b2 vaccine: A nationwide study from Israel. medRxiv. 2021
イスラエルで2021年3月にワクチンを2回打ち終えた人と、その2カ月前の1月に2回打ち終えた人が、7月11日~31日までにどれくらい感染、重症化したかのデータです(この時期のイスラエルはほぼ全てデルタ株だったようです)。

この期間、60歳以上の高齢者では、3月に打った人、つまり接種後4カ月経過した人は1000人当たり1.6人感染したのに対し、1月に打った人、つまり接種後6カ月経過した人は1000人当たり3.2人と、約2倍に増えていたようです。
また重症化率も同じく約2倍の差があったようです(ちなみに重症者に占める未接種者の割合は、2回以上接種した人に比べ10倍以上もいるため、2回(接種済み)vs0回(未接種)の違いは3回vs2回の違いに比べてずっと大きいです)。

これに伴い、ワクチンを打たない時と比べた、打った時の重症化予防効果も、接種後4カ月の91%に対し、接種後6カ月は86%に、わずかですが低下したようです。(若い人のデータに関しては、日本同様イスラエルも高齢者から接種が始まり、若い人は接種が遅れたため、まだ十分なデータとは判断できないため、ここでは割愛します)


ここでいったん補足。
8月に藤田医科大学がファイザー社のコロナワクチンで接種3か月後に抗体が1/4まで低下すると報告をしました。https://www.fujita-hu.ac.jp/news/j93sdv000000b3zd.html

ただこれを効果が1/4になってしまっていると勘違いされる方が多いようです。
抗体の量と予防効果は必ずしも比例関係にはなりません(1/4の抗体量でも、十分予防には足りる量である場合もあるわけです)。
また抗体だけが仕事をするわけなく、T細胞の働きなども予防には重要な効果を示します(T細胞がどのように効果を示しているかはこちらから)。

あえてミスリードを狙ったようなデマっぽい情報もあったようなので、一度確認していただきたいと思い補足しました。

 

そして二つ目です。Protection of BNT162b2 Vaccine Booster against Covid-19 in Israel;N Engl J Med. 2021 Sep 15. doi: 10.1056/NEJMoa2114255.
2回接種を終えた60歳以上の1,137,804人が、2回目から5か月以上空けてブースター接種を行った際に、ブースター接種を行っていない人とどれくらいの差が出たかというデータが示されました。

まずブースター接種12日後以降のデータを見ると、感染率はブースター接種で91.2%、重症化率は94.9%減らすことができたとのことです。
またファイザー社からの報告を見る限り、3回目の接種での副反応は、高齢者、若者いずれも2回目と比べそこまで大きな差はないようです。VACCINES AND RELATED BIOLOGICAL PRODUCTS ADVISORY COMMITTEE BRIEFING DOCUMENT MEETING DATE: 17 September 2021

ブースター接種副反応

 

ブースター接種副反応

 

これらの報告から言えることとしては、やはり多少ではありますが、時間の経過とともに徐々にワクチンの効果は落ちていくだろうということ、それと少なくとも高齢者にはやはりブースター接種は効果がありそうだということです。

ただ今回の報告の問題点としては、まずは観察期間が非常に短いことです(2つ目の報告はブースター接種後最大1か月程度しか追っていません)。
そのためブースター接種の効果がどれくらい続くのかはわかっていません。
またブースター接種を行うことによる長期的な安全性もまだわからないと言わざるを得ません。

加えて接種が遅れた若者のデータはまだ少なく、ブースター接種の有効性もまだはっきりとしていないこと、そもそも若者ではもともと重症化率は低いので、ブースター接種のコスト(お金だけではなく、安全性などのリスクも含めてです)に見合う利益が得られるかどうかがわからないという点もあります(若者に関しては、周りへの感染の頻度を減らすことができるか、それとコロナの後遺症であるLong COVIDを減らすことができるかどうかということが、ブースター接種の必要性を決めるのには大事になるんじゃないかなと思いますが、これらの点は調べた限り、まだ結論が出ていません)。



国からは、今年の年末から3回目のワクチンブースター接種開始のお達しが出ているようですが、高齢者だけを対象とするのか、基礎疾患を持つ人を含めるのか、それとも若者を含めた全員に行うのか、これらをよーく考える必要がありそうですし、またもう少し時間が経ってからわかってくることも見てみる必要がありそうです。今後まだまだいろんな検討が必要そうです。

また新しい情報が出てきたら、(日常業務の支障のない範囲で・・・)書いてみようと思います。

投稿者: 加藤医院院長 浅井偉信(内科・呼吸器・アレルギー専門医)

2021.09.07更新

首都圏は一旦コロナのピークを越えつつあるようです。

ここ茅ヶ崎でもやや落ち着いてきたのか、当院でもPCRが陽性になる方が減ってきている印象です。
もちろん全体でみると検査数が少ない(=発熱でも受診する患者が少ないor受診できない)事情もあるかもしれませんが、8月中旬の当院でも繰り広げられた「PCR出せば陽性」という壮絶な状況でなくなったところを見ると、やはり実際に落ち着いてきているというのが私の肌感覚です。

とはいえ、まだ一昔前の患者数とはけた違いの患者数ですし、まだまだ先は長そうです。

コロナのワクチンも茅ケ崎市からの通達では10月までにほぼすべての希望者にワクチンが行きわたるとのことで、9月をもって個別医療機関へのワクチン配送を終了するとの通達がありました。
しかし、当院で先週60人分の予約枠を開放したところ、5分かからず埋まってしまい・・・実際は接種したくても枠を待っている方が非常に多いのが実情です。
集団接種の枠もなかなか取れず、当院で打ちたいとおっしゃる患者さんも多く、正直もっとうちにワクチンを打たせてくれよ!というのが本音です。
ですが、一零細医療機関にはいかんともしようがありません。
市の言う通りなら10月には集団接種も予約が取りやすくなることと思います。ぜひ焦らず行動をしていただきたいと思います。

そうこうしているうちに、来月ごろからはインフルエンザワクチンの接種が始まります。
昨年はワクチンの接種希望者が非常に多く、10月はややパニックになったにも関わらず、結局インフルエンザは全く流行せずに終わったのはご存じのとおりです。

それでは今年のインフルエンザワクチンはどうしようか、迷っておられる方も多いと思います。

インフルエンザワクチン、やっぱり今年も打つべきなのでしょうか?

まず昨年の状況から振り返ってみます。
昨年は1月にコロナが出現、その後4月までには世界中に広がっていき、世界中でロックダウンなどが行われました。
その結果でしょうか、通常3~5月から流行が始まり、6月にピークを迎える南半球のインフルエンザは、まったくと言っていいほど流行しませんでした。

そしてその後日本を含む北半球も全く流行しなかったのはご存じのとおりです。

もちろんコロナによるソーシャルディスタンスマスクや手洗いの徹底という要素や、国際的な人の移動の減少という要素は大きかったと推測されています(ウイルス干渉説もあるようですが、昨年のコロナの患者数は、例年のインフルエンザの患者数と比べてけた違いに少ないため、あったとしてもあまり大きなファクターではなかったかもしれないと私は考えています)。

そして今年ですが、やはり南半球ではインフルエンザは流行していないようです(オーストラリアやニュージーランドでは今でも大都市でロックダウンが行われているようです)。
そしてわが国でも緊急事態宣言で相変わらず人との接触機会が減っている状態です。

この状態を考えると、やはり今年もインフルエンザは流行しないのでは、そんな風に考えることは自然なことだと思います。

ただ本当にそうなるのか、それはまだ誰にもわかりません。

今年の6~7月、突如子供たちの間でRSウイルスが大流行をきたしました。
当院にも子供たちからうつってしまい、発熱したり咳が止まらなくなったお母さんお父さんが非常に多く来院されました。
本来RSウイルスは9月ごろに流行を起こすウイルスです。
ところが今年は例年よりも2か月も早く流行し、その規模は例年以上でした。

その原因としては、RSに罹ったことのない子が今年は多かった可能性が指摘されています。本来RSウイルスは2歳までにほぼ全員が感染するといわれていますが、昨年は感染対策をした結果、RSウイルスにかからなかった子が多くいて、その子たちが初感染を起こしたためではないかともいわれています。
つまり集団免疫が弱かったことが示唆されています。

ただ、ウイルスの挙動は、必ずしもすべてが簡潔に説明できるとは限りません。


このRSウイルスの流行も、ピークを迎えてから約1か月でほぼ完全に収束してしまいました。
減り始めたのは7月中旬からであり、夏休みはまだ始まっておらず、極端な人流の変化もなかったはずです。
外的要因だけでは説明できないように思えます。

ひるがえってインフルエンザですが、こちらも毎年1月下旬ごろをピークに減少していきます。
今までは気候の影響と言われて我々もそれを信じていましたが、よく考えてみると2月はまだまだ寒さ、乾燥のピークです。
なのに2月下旬には急激な減少傾向になっている年が多いのです。
しかも気温だけの要素なら北国のほうが大流行するはずですが、実際は全国でそれほど差はありません。
気候だけでも説明できないように思います。

と考えると、ウイルスの流行のメカニズムって、やはりそう単純なものではないもののようです。
確かに感染対策や人の移動に影響をされることは確かですが、集団が持つ抵抗力や、もしかしたらウイルスそのものの特性も関与しているのかもしれません(今回のコロナ第5波の急激な減少にしたって、人流や感染対策は8月になり急に大きく変化をしたわけでもないですよね。やはり別のファクターを考える余地はあります・・・)。

ウイルスの挙動は、まだまだ分からないことが数多くあります。

 

そして昨年インフルエンザが流行しなかったことが懸念点に挙げられる考え方もあります。
昨年はほぼすべての方がインフルエンザに罹患していません。
実はその前のシーズン(2年前)も流行は小さいものでした。
そのため2年間にわたって感染によって免疫をつけるという機会は奪われていました。これはインフルエンザが流行する世の中になってからは初めてのことです。

集団免疫という点では不利になる可能性は否定できません。

つまり、今年のインフルエンザに関しては、流行しない可能性も低くはないとは思いますが、流行する可能性もないわけではないのです。

昨年が大丈夫だったからといって、今年は流行しないとの決め打ちはやはり危険であるように思います。

そして社会的には、まだまだ発熱をすることに非常に気を使わなければならない状況は続くと思われます。
もしインフルエンザが流行してしまったときに、それをもらってしまうと大変面倒です。
もちろん発熱患者診療を受け入れる医療機関は頑張るでしょうし、当院でも今まで通りできる限り受け入れます。
でも数少ない発熱診療医療機関に非常に多くの方が押し寄せると、さすがにパンクしてしまうでしょう。再度の医療崩壊の悪夢もよぎります・・・

そのような状況を考えると、ワクチンを打つことでそのリスクを減らせるチャンスがあるのであれば、是非インフルエンザワクチンは打っておいていただきたいと考えています。
コロナワクチンほどではないにせよ、インフルエンザワクチンも一定の発症、重症予防効果はしっかりと示されています。
重篤な副反応も非常にまれであることは、皆さんが実感されていると思います。

そしてそれがたとえ空振りになったとしても、春まで皆さんが無事なら良いわけです。

ぜひ、今年も皆さんにはインフルエンザワクチンを接種していただき、そのワクチン接種が本当に空振りに終わってしまうことを、切に願っています!

投稿者: 加藤医院院長 浅井偉信(内科・呼吸器・アレルギー専門医)

2021.08.11更新

本当は楽しい夏休みの真っ最中ですが、残念ながら新型コロナの蔓延が続いています。
茅ヶ崎でも連日1日数十人程度の陽性者が報告され、当院でも8月に入り、PCRで陽性となる方が増えてきております。
喜んでいいのかどうかはわかりませんが、前回の記事公開後さらに当院のホームページをご覧いただく方が数倍に増え、あっという間に月200万PVに達してしまいました。
世の中の関心事が本当にコロナ一色であることをまざまざと実感します・・・

一方ワクチン接種も進んでおりますが、こちらのページにも記載した通り、残念ながら国や自治体からのワクチンの納入が8月に入り極端に減ってきてしまいました・・・
当院では何とか8月中の接種枠は作りましたが、現時点では9月以降、なかなか十分なワクチン接種の枠を作ることができそうにありません。
うちのような零細医療機関には何ともし難い現実なのですが、その中でも何とか少しでもワクチンを確保し、希望される方に1日でも早く接種したいと思います。
最新情報はこちらのページや、当院のLINE公式アカウントにてお伝えいたしますのでご確認ください。

さて今、世の中に大きく意見が割れていることがあります。

若者にとって「コロナは風邪」なのかどうか。
そして「コロナワクチンを打つ必要はない」のかどうか、です。


まずは「コロナは風邪」なのか、考えてみます。

確かに、新型コロナ全体でみると、死亡者は高齢者に偏っており、若い方に死亡者が少ないのは事実です。
しかし、コロナの怖いところは、やはり肺炎や血栓症などで呼吸状態の悪化を起こしうること、それに後遺症を残してしまいやすいところです。

アメリカのテキサス州の医療施設で新型コロナと診断された18~29歳の1853人を、診断から30日間追跡したデータがあります。
これは2020年3~12月までのデータで、アメリカでもまだワクチン接種が始まってない状態でした。

結果ですが、17%の若者が肺炎を発症し、4.6%の若者が呼吸不全になったとのことでした。
その一方、無症状の若者も41%いたとのことでした。Sandoval M, Nguyen DT, Vahidy FS, Graviss EA (2021) Risk factors for severity of COVID-19 in hospital patients age 18–29 years. PLOS ONE 16(7): e0255544.
日本との医療アクセスの違いもあるため、そのままは当てはまらないかもしれませんが、若年者のワクチン接種が完了していない今の日本の現状の参考にはなるのかと思います。

このデータから言えるのは、この新型コロナの症状の幅の広さです。
通常今のインフルエンザでは、ウイルス性肺炎をきたすことはめったにありませんし(高齢者のインフルエンザ感染をきっかけにした2次性の細菌性肺炎は少なくないですが)、ウイルス感染そのもので呼吸不全になるような症例にもほとんど出会いません(前述の肺炎のほか、基礎疾患となる喘息、COPD、心不全などがインフルエンザ感染後に悪化して呼吸不全になることは少なからずあります)。

あくまでイメージ図ですが、インフルエンザと新型コロナの患者分布のイメージ図を作ってみました(実データによるものではありません)。


コロナとインフルエンザの重症度分布

ポイントは先ほどもお話しした、インフルエンザに比べての新型コロナの症状の分布の広さです。


コロナの場合、若い人ではインフルエンザより軽く済んだり、無症状感染者と診断される人が格段に多い一方インフルエンザよりは症状が重くなる人もいらっしゃいます。
これが年齢層が上がってくるとコロナで中等症、重症になる人の割合が増えてきますが、一方微熱程度で済んでしまい、インフルエンザより症状が軽い人もいます。
高齢者になるとコロナ同様、インフルエンザでも重症になりやすくなります(ただこの場合は先ほどもお話しした、インフルエンザ感染をきっかけとした肺炎や基礎疾患の悪化が多く、ウイルスそのものの影響による新型コロナの重症化とは様相が違う印象です)。

コロナに自分がかかったとき、この点のどこに自分が位置するのかということは、なってみるまでわかりません(若くて基礎疾患がなくても、必ずしも無症状、軽症で済むとは限りません。命には関わらないとしても・・・)。
たまたま左側の点に位置した人だけの「コロナは楽勝だったよ」の体験談だけで、自分も同じ体験ができるかはわからないのです。

ぶっちゃけ、要は「ガチャ」なのです。

また、今のインフルエンザは通常ほとんど後遺症なく回復しますが、新型コロナは後遺症をしばしば残すとされています。
これらはLong COVIDと呼ばれている現象ですが、最近の報告だと、Long COVIDが起こる頻度は、コロナの感染したときの症状の強さにはあまり影響せず(つまり先ほどの図で左よりの点だったとしても後遺症は出うるということです)、しかも一番生じやすい年齢層は30~40代であるというデータも報告されていますDennis A, Wamil M, Kapur S, et al. Multi-organ impairment in low-risk individuals with long COVID. MedRxiv 2020;10.14.20212555
イギリスの国家機関からの報告では、発症から5週間たった後でも息切れが4.6%残っていたとされており、別の調査によっては40%以上も残ると報告されている論文もあります。
この中には肺炎がなくても息切れの後遺症が残る人が数多くおり、肺の血管内に非常に小さい血栓が作られることが原因となりうることが示唆されていますHarry Crook, Sanara Raza, Joseph Nowell, Megan Young, Paul Edison Long covid-mechanisms, risk factors, and managementNEW BMJ. 2021 Jul 26;374:n1648. doi: 10.1136/bmj.n1648.
これを証明するように、罹患から60日経った人の21%で胸痛がみられこれらの中には心筋がダメージを受けることで上昇する「トロポニン値」が上昇している例が少なからず見られ、こちらも小さな血栓症による心筋炎が原因の一つではないかと考えられています。
若いスポーツ選手など、極めて健常な人も例外にはなっていないとのことで、新型コロナ後遺症の怖さを示しています。

先ほどのイギリスの報告では、その他にも感染5週後に残る慢性疲労が11.9%、頭痛が10.1%、味覚嗅覚障害が8.2%などと報告されています。
また頭に霧がかかったようになり思考力、意欲が低下する「ブレインフォグ:脳の霧」や、うつ状態、認知機能低下など、認知面でもさまざまな後遺症が問題となっており、海外では現在これらの治療の治験が行われているところです。

このようなことは、今のインフルエンザや他の風邪には決して起こらないことです。

私は現在、中等症以上の患者さんの治療はしていませんが、定期的に総合病院の呼吸器内科に勤務されている先生方から逐一現況をお伺いしています。
また、呼吸器科を主としたプライマリケア医として発熱、呼吸器外来は積極的に行い、新型コロナ診断の入り口は担っています。

そのため、おぼろげながらも新型コロナ診療の全体像は見ているつもりですが、やはりその立場から見ても、とてもとても「コロナは風邪!」とは言えないかな、というのが私の実感です。

そしてここで、ワクチンの意義について考えてみます。

ワクチンはこの点を左よりにすることができるツールです。
そして、95%の発症抑制効果により、Long COVIDのリスクも減らせる可能性があります。

一方、新しいワクチンであり、長期的な安全性については確かにまだわからない点も多いです。
それを恐れてワクチンを避けるのは、それも選択の一つとして否定されるべきものではありません。

ただ、コロナにかかった場合の長期的な経過もわかりませんし、コロナにかかると上に挙げたようないろいろな不都合が起こることは、もうすでにわかっています。
ワクチンによる血栓症も確かにありうることですし恐れるべきですが、コロナにかかることによる血栓症の発症の方がはるかに可能性としては高いわけです。

また今後外来で使える治療薬が出たとしても、その有効性、安全性はワクチンと同様、これから検討されるものになります(ワクチンだけが危なくて、治療薬が絶対安全ということはないのです)。
治療薬はコロナ制圧の大事なツールになり得ますが、まだその威力は未知数です。

世界で2億人以上が感染してしまい、まだまだ収まらない現状を考えると、おそらく少なくとも今後数年は、コロナがなくなることはないと思われます。
ワクチンを接種しない場合、その数年の間に一度はコロナにかかる可能性は非常に高いと思われます。

すると、ワクチンを打つべきがどうかという問いは、「ワクチンを打った時のデメリット」「ワクチンを打たなかったときのデメリット=ワクチンなしでコロナにかかることのデメリットという視点で考えると、答えが出やすくなるのかもしれません。
私は個人的にはこの比較でワクチンを打った方がいいと思っている側の人間ですが、この比較をした結果、ワクチンを打たないと決めたのであればそれも間違いではないとは思います。
が、ただしその場合は正しい感染対策を今後しっかりと継続する必要があることは知っておいていただきたいと思います。

そして、ワクチンを打つ!と決めたら、この前のブログでもお話しした通り、「打てる時に打てる物を打つ」という姿勢で接種に臨んでいただければと思います。

そのためにも当院は一人でも多くの希望される方のワクチン接種を行いたいと思っています。
ワクチンが入ってくれば、いつでも準備はできています!
1日も早く、1本でも多くワクチンが届くことを、切に願っています。

投稿者: 加藤医院院長 浅井偉信(内科・呼吸器・アレルギー専門医)

2021.07.12更新

新型コロナワクチンの接種が進んでいます。
茅ヶ崎でも高齢者の方の接種完了にある程度メドがつき、茅ヶ崎市のシステムでは本日から60-64歳の方のワクチン接種予約が始まりました。

当院でも先週から16~64歳の方に対するワクチン接種予約を開始しています。
全国的にはワクチン供給量の不足が報じられており、まだ見通しが不透明な部分もありますが、茅ヶ崎市はワクチン確保に頑張ってくれているようで、7月にもそれなりの量が入ってくることになったようです。
我々のような個別の医療機関にどれくらい配分されるかはまだわかりませんが、配分量、時期が決定し、配送の目安がつき次第、順次予約枠を開放していきます。


予約開始日時、予約枠などの詳しい内容は逐一下記ページでお伝えし、また当院のLINE公式アカウントでも最新情報をタイムリーにお伝えしておりますので、是非ご活用いただければと思います。

一般の64歳未満の方への新型コロナワクチン接種について

当院のLINE公式アカウント登録は以下よりどうぞ

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さて今回は、最近の外来で皆さんからよくお伺いすることについて書いてみます。

茅ケ崎市ではコロナワクチンの接種を、当院のような医院での個別接種に加え、茅ヶ崎市の施設や公民館などで行う集団接種、それに企業内で行う職域接種でも行っています。
今後変更のある可能性はありますが、現在のところ当院のような医院での個別接種はファイザー社のワクチン集団接種はモデルナ社のワクチンを使用することが多くなっています。

では、このファイザーとモデルナのワクチン、何が違うのでしょうか。このことについて書いてみようと思います。

まず、ファイザー、モデルナのワクチンは、いずれもmRNAを使用したワクチンとなります(mRNAワクチンとはなんぞやという方はこちらへ → 2021.2.21 いよいよ新型コロナワクチン接種開始! ~ところでコロナワクチンってどんなもの?~
ファイザー社のワクチンは、実はドイツのベンチャー会社であるビオンテック社が開発した技術をベースに開発されています(ファイザー社がビオンテック社に開発協力をした形です)。
ビオンテック社は以前よりRNAをがん治療に用いることを目指し医薬品開発をしていた企業です。

一方モデルナ社もmRNAを用いるワクチンなどの医薬品開発を目指して設立されたアメリカのベンチャー企業です。

ということで、どちらも実は大企業が財力に任せて何もない所から新たに開発したというわけではなく、これらのノウハウをすでに持っていた企業の技術が、今回の事態になり初めて活かせるようになったという経緯のようです(こんなに早く開発できるのはおかしいという人もいますが、もともとのベースはコロナ前からすでにあったわけですね。その他にも理由はあると思いますが、それらはこちらに)。

同じシステムを用いている両社のワクチンですが、全く同じものというわけではありません。

内部に含まれるmRNAの量が違ったり(モデルナの方がファイザーより大きいmRNAを使用します)、mRNAを包む脂質の膜に使われている脂質の違いがあったりします。

また両者には、保存方法の違いファイザーは-90~-60℃、モデルナは-20℃で保管)があります。
ただこの違いの根拠は実は明らかにはなっておらず、おそらく双方のワクチンの安定性に大きな違いはないだろうと考えられていますファイザー社はやや安全圏を広くとって考えているようです。実際ファイザーのワクチンは新しいデータが出たことにより、保管条件がここ1か月ほどで緩和されてきています)。International Journal of Pharmaceutics Volume 601, 15 May 2021, 120586

また使用間隔にも違いがありますファイザーは3週、モデルナは4週空けて2回)。
これも、治験のやり方の違いがそのまま使用方法の違いになったためです。
動物実験や少数の人への治験(第1相試験といいます)で得られた結果は、さらに大人数での試験を行う(第2相、第3相試験といいます)時の基礎になります。
この得られた基礎データを活かすときに、ファイザーのワクチンでは3週間、モデルナのワクチンでは4週間空けて治験をするという判断の違いが出たわけです。
これは基礎データに対する解釈の違いであり、現時点では両者が異なるということを必ずしも示すものではありません。

次に効果ですが、これも両者ほぼ同様で、ファイザーが95%、モデルナが94.1%の発症予防効果が示されています(発症予防効果とは?という点についてはこちらからどうぞ)。
両者に大きな差はないと言っていいでしょう。

ただほんのわずかだけ違いを見つけるならば、治験では両方ともほぼ全ての人に抗体ができたものの、モデルナの方がほんの少しだけ(数日程度)早く抗体ができる可能性があるかもという報告がありました。
これはモデルナのワクチンはファイザーに比べて、使用するmRNAの量が多いためではないかとされています。https://www.news-medical.net/news/20210622/Do-the-Moderna-and-Pfizer-COVID-19-vaccines-elicit-different-antibody-responses.aspx(not peer-reviewed)
まあこれも判断材料になるほどの差ではないように思います。

副反応についても両者は近い結果になっていますが、全体的にはモデルナのほうがファイザーよりも副反応の頻度は高い傾向があることが報告されています。Eur Rev Med Pharmacol Sci 2021; 25(3):1663-1669
特にモデルナでは、いわゆる「モデルナアーム」と言われる、ワクチン接種の後にやや遅れて(4~11日後)腕がかゆみを伴って赤く腫れる現象が0.8~3.5%に起こるようです。N Engl J Med 2021; 384:403-416、厚生労働省研究班
これはファイザーではあまり見ない副反応です。
とはいえ基本的には自然に改善し、症状が強い場合は痛み止めや抗アレルギー薬でだいたい対処できます。後はこれが起こっても特に2回目の接種の可否には影響はありませんので、あまり気にすべきことでもないかもしれません。

 

アナフィラキシーは一見ファイザーの方が多く見えます(報告ではファイザーは100万回に4.7回、モデルナは100万回に2.5回)。
しかしアナフィラキシーの頻度は非常に少ないため、1件の差でも数字が大きく変わる数字のマジックも考える必要があります。
また同じ条件で比較した数字ではないので本来は直接比較をすべきではなく双方とも大きな差はない(つまり、どちらも非常にまれ)と考えていいと思います。

そして変異株についての効果ですが、これも双方の違いを直接比較する報告はありません。
これらのmRNAワクチンは、多少発症予防効果が低下する可能性は言われているものの、未接種時と比べた発症予防効果は十分に保たれているとの報告が多いです。
今一番蔓延が危惧されているデルタ株(いわゆる「インド型」)に対しての最新のデータは以下の通りです。

両者とも十分な効果はあると考えてよいでしょう。

 英国の研究
ファイザー:1回接種で33%、2回接種で88%の感染予防効果。
アストラゼネカ:1回接種で33%、2回接種で60%の感染予防効果。

 カナダの研究
ファイザー: 初回接種後14日以降に56%、2回接種後87%の感染予防効果。
モデルナ:初回接種後14日以降に72%の感染予防効果。
アストラゼネカ: 初回接種後14日以降に67%の感染予防効果。
(モデルナ、アストラゼネカでは2回目の投与については十分なデータなし)

 イスラエルの研究
ファイザー: 2回接種で64%の感染予防効果。
(調査期間中に感染した人数が少なく、無症状の感染も含まれている可能性あり)

 スコットランドの研究
ファイザー:2回目接種後14日以降に79%の感染予防効果。
アストラゼネカ社:2回目接種後14日以降に60%の感染予防効果。

これらはまだ生データの段階のものも多く、より統計学的にデータを処理する必要があるものも多く残っていますので、はっきりとしたことはもう少し待たないと言えないかもしれませんが、大きく覆ることもないでしょう。

いずれにせよ、何とか違いを見つけようと頑張りましたが、違いはやはり小さいものでした。

ここで最後に、東京都の感染者数の推移を見てみましょう。

こちらが全体の感染者数の推移です。


東京都感染者数


一方こちらが65歳以上の感染者の推移です。

65歳以上東京都感染者数

いずれも東京都ホームページ

 


現在(7月8日時点)東京では65歳以上の方の中で、1回目接種完了が約75%、2回目接種完了が約50%とのことです。
65歳以上のワクチン接種が進んだ5月以降、明らかに全体の感染者数と65歳以上の感染者数の動きに違いが出ています。

これが、「ワクチンの効果」、なのでしょう。

というわけで、両者には確かに副作用の種類や頻度など、細かい所に違いはあります。

でもワクチンを打つのなら、その細かな違いに特に深いこだわりがない限り、両者の選択よりもまずは「射てる時に射てるものを射つ」、という姿勢でいいんじゃないかな、って思います。

 

最後に。おかげさまで当院のホームページが月100万PVを達成しました。
100万PV
特にアフィリエイトをやっているわけでもないので、1円の収益にもなるわけではありませんが(笑)、良くも悪くもさまざまな情報が飛び交うこのご時世、なるべく少しでも正確な情報を広めていきたいと、診療終了後や休みの日に眠い目こすって書いています。
この「医師ブログ」も、小難しい医学の内容を、なるべく多くの方に理解していただけるように「翻訳」をしながら書いているつもりです。

これをお読み頂く皆さんが、医学や病気、ご自身のカラダに興味を持って、正しく理解を深めていただくことを心より願っています。

そのお役に、このホームページが少しでも立っていられるよう、今後も気合いを入れて書いていきます!

投稿者: 加藤医院院長 浅井偉信(内科・呼吸器・アレルギー専門医)

2021.06.27更新

世の中は高齢者の方へのワクチン接種が佳境に入ってきており、当院でも1日最大42人のペースで接種を続けております。
とりあえず当院で接種予定の高齢者の方は、7月第3週までには何とか1回目が終わりそうです。また集団接種で接種されている方もちらほらいらっしゃり、少なくても当院の周りでは接種は順調に進んでいるようです。

また若い方からも、職域接種などによる接種の予定のお話を多く伺うようになりました。
これに合わせ、接種についての不安点、疑問点をお聞きいただく方も増えてきております。
こちらのブログも参考にされつつ、少しでもわからないこと、不安なことがありましたら、お気軽にお聞きいただければと思います。


2021.2.21 いよいよ新型コロナワクチン接種開始! ~ところでコロナワクチンってどんなもの?~

2021.4.18 「私、ワクチン打っていいの?」にお答えします。


当院の若年者へのワクチン接種も、茅ヶ崎市や医師会からのゴーサインが出たら速やかに予約を開始しますので、ご希望の方は以下のページを随時ご確認いただきます様よろしくお願い致します。

一般の64歳未満の方への新型コロナワクチン接種について

このようなご時世で世の中はまだまだコロナだらけですが、我々はコロナ以外の病気もおろそかにはできません。
当院には咳が続いて、風邪なのかそうでないのかを心配される方が多く来院されます。

日本においては慢性咳嗽の原因の最多は喘息(咳喘息を含む)とされています(欧米では後鼻漏逆流性食道炎の頻度が日本よりは多いようです)。ともかく喘息は、実に多くの方が持っている病気ですので、当院だけでなく多くのクリニックで適格に診断、治療する必要性が高い病気です。
ですので少しでもそのお手伝いをすべく、先日一般クリニックの医師向け講演会の座長をして参りました。
岐阜県で、全国に吸入指導の啓発活動をされている大林浩幸先生を(リモートで)お迎えし、吸入薬の使い方に関する講演をお手伝いさせていただきました(この界隈ではかなり有名な先生です)。
講演会

その中でもやはり患者さんご本人が思いのほかうまく吸入薬を使えていないことが少なくないとのことであり、その実例を多くご紹介いただきました。
その中には、私の診療中にも出会ったうまく使えていない方の例と類似のケースも多く、やはり患者さんが間違えやすいポイントを我々医療者がしっかりとお伝えしないと、せっかくの薬剤が患者さんのためにならないんだなあと改めて実感しました。

というわけで、おそらく半年以上ぶりの吸入薬の落とし穴シリーズ第4弾、エアゾール製剤について今回は書いてみましょう。


エアゾール製剤と言いましたが、簡単に言うといわゆる「スプレー」のタイプの吸入剤です。
現在吸入薬にはパウダーを自分で吸う「ドライパウダー」タイプの吸入薬が多くありますが、それと一線を画するものとなります。

スプレータイプの吸入薬は、まず何よりもわかりやすいことがメリットです。
押せば霧が出てきますし、それを吸えば吸入したこともわかりやすいので(何となく吸入薬のイメージというとこれを想像される方は多いのではないでしょうか)、この点が使いやすいポイントの一つです。

ただ、やはりこの吸入薬にも落とし穴があるのです。

まず吸入薬については、ボンベの中が分離する薬剤があるので、これらは使用前に振らないといけません。以下のものが振るべきものとされていますが、わからなければ何でも振っちゃって大丈夫です(笑)
吸入器を振るべきかどうか
そして次は持ち方です。
先日の講演でも例があり、私も出会ったことがあるものですが、ボンベを逆さまに持ってはいけません。

とはいってもどっちが逆さまか・・・

ヘアスプレーや殺虫剤は噴射口が上に来ますが、吸入薬は噴射口が下です。噴射口が上、つまりヘアスプレーや殺虫剤と同じ向きにすると逆さまになってしまいます。
このことは大林先生の講演にもありましたが、結構違いやすいポイントなのかもしれません・・・

次は吸入の仕方です。
このタイプの吸入薬は、パウダータイプのものと比べて、それほど吸入をするのに強い力はいりません。
ただ、粒子径が比較的小さいため、奥まで深く吸い込み、それを沈着させることが必要になります。
ですのでこのタイプの吸入薬は、ゆっくり、深く大きく吸って最低5秒程度、息止めをする必要があります。浅いと吸いきれないですし、小さく吸ってすぐ吐くと、薬が肺に沈着しないでそのまま外に出て行ってしまうと考えられています。

次に、このタイプの吸入薬は、吸入力はあまり必要ないものの、タイミングを合わせる必要があります。
タイミングは押してから直後に吸い始める、です。これが合わないと、口からスプレーのミストが漏れ出てくるのが分かります。
こうなっていないか、周りの方や、おひとりの時は鏡などで確認されるとよろしいかと思います。

最後に、当然ボンベは押さないと出てこないのですが、握力が弱かったり、手を痛めていたりしていると、ボンベが固くて押せないケースが時々あります。
その場合は写真のような補助器具が無料で使え、力が半分ぐらいで済みます。
通常の調剤薬局なら準備があるはずなので、処方薬をもらう際に薬剤師にご相談ください。

吸入補助具
以上、今回はスプレー剤であるエアゾールについて書いてみました。
あと吸入薬のメジャー処では、COPDや比較的重症の喘息に使われているレスピマットが残っています。
コロナに関しては旬なネタがいろいろ出てきますが、コロナの話題ばかりだといささか食傷気味にもなるので、コロナの話題の合間にまた書いてみようと思います。

投稿者: 加藤医院院長 浅井偉信(内科・呼吸器・アレルギー専門医)

2021.06.06更新

5月下旬から茅ヶ崎市でも高齢者に対するコロナワクチン接種が始まり、当院でも5月24日から一般高齢者、医療従事者へのワクチン接種が進んでいます。
高齢者のワクチン接種に関しては、当初診察時間内に1日24人の枠で進めていく予定でしたが、かかりつけの方だけでも、このペースだとすべて終わるのが9月までずれ込んでしまうことが判明・・・

そこで急遽診察終了時間にも枠を拡大し、1日42人まで枠を増やす方針としました。

何とかこれで7月までになるべく多くの方の1回目接種を終わらせることを目標とし、8月以降に64歳未満の方の接種がスムーズに開始できるよう、スタッフ一同最大限に頑張っています。
それでもまだ慣れないこともあり、いろいろとご不安、ご迷惑をお掛けしていることもあろうかと思います。お気づきの点に関しては、遠慮なく教えていただけるとありがたいです。皆さんのご協力をよろしくお願い致します。



さて、呼吸器内科、アレルギー科を掲げる当院には、長い間咳が続き、いろんなところに受診しても改善しなかったためにいらっしゃる方が、茅ヶ崎市内に限らず、市外からも多くいらっしゃいます。

症状が残っている方の中で、一番多いのが、喘息に対して続けるべき吸入薬を続けていなかったケースです(よくなったらやめてもいいと言われたという、医師から不適切な指導をされたケースも残念ながら少なくありません・・・)。
吸入薬は使っていたものの、正しく使えていなかったために改善しないケースも少なくありません(そういえば吸入薬の落とし穴シリーズ、まだ完結していませんでした・・・今度続き書きます!)

あとはアトピー咳嗽喉頭アレルギーなどの喘息より中枢の気道アレルギーのケース、さらに上の部分となる、花粉症などのアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎に伴う咳も少なくないようです。
中高齢の方になると、タバコの影響と、これに伴うCOPDが原因であることが増えてきますし、案外逆流性食道炎に伴う咳も少なくありません。
百日咳やマイコプラズマなどの感染後咳嗽間質性肺炎気管支拡張症や結核、非結核性抗酸菌症などの慢性気道感染症薬(特に高血圧の薬)の副作用、それに肺がんなど・・・そしてこれらが複数重なっている場合など、とにかく原因として考えられるものはできるだけすべて頭の中に浮かべ診察、診断をしています。

それでも、全体の2割程度は、どう頑張っても診断にたどり着けないこともあります。

原因が見つからず、よくお話を伺うとプライベートで問題を抱えていらっしゃり、精神的な影響で咳が収まらなかった例もありますが、それさえもなく、私も途方に暮れてしまう例もあります・・・

このような症状では、原因から治療しようとしてもなかなか咳が治りません。
そこで、これらの咳については最近、全く違う視点からアプローチしようという考え方が出てきています。

最近の研究で、「ささいな原因でも、その刺激ですぐに咳が起こってしまいやすく、しかもその咳が長く続いたり繰り返したりして治りにくい」という方たちがいることが分かってきました。
どうもその理由として、その原因となる刺激(花粉などのアレルギー物質の刺激や、タバコ、病原体、煙などの機械的刺激、温度や気候の変化などなど)を感じ取って気道から脳に伝える神経が、知覚過敏を起こしていたり脳の咳中枢が過敏に反応してしまう脳の過敏症があるのではと言われており、これらが「咳過敏症症候群」と名付けられました。

原因を探り当てその治療をしても、これらの神経の過敏症が残ってしまっているために、症状がなかなか改善しなかった、というわけです。

これらの状態に対しては脳に効かせる、いわゆる中枢性鎮咳薬(コデイン、メジコン、アスベリン、アストミン、フスタゾールなど)が多少の効果を示す場合があります。
ただしこれらの薬は、原因が究明できないまま安易に使うと、本来原因が特定できるはずの場合でもその原因を隠してしまい、何度も再発を繰り返すことにつながってしまうケース、また異物や痰、病原体を追い出すために起こっている「必要な咳」まで止めてしまい、かえって症状を悪化させるケースがあり、呼吸器学会のガイドラインでは、安易な使用はできるだけ控えるように推奨されています。

近年の報告では、神経性の痛みの薬や、てんかんの薬抗うつ剤などが神経過敏に効いて咳を改善させるという報告もでています。
実際に当院でもこのような患者さんにこれらの薬を使用したところ、咳が大幅に改善した例があります。

また最近は、気道や脳にある、これらの知覚神経の受容体をブロックする新しい薬も発売が近づいているという情報もあります。味覚障害の副作用も報告されているようであり、やはり安易な使用は慎みたいところですが、なかなか治せない咳の有力な武器になってくれることが期待されています。

咳の治療は、患者さんの症状が非常につらいにもかかわらず、考えられる原因が非常に多く、その推測は簡単ではありません。
そして血圧やコレステロール、血糖などと違い、検査の数値だけで診断したり、経過観察をすることが難しい分野です。
またそのように客観的な数値などで測ることが難しく、症状の良し悪しをデータで把握することが簡単ではないこと、症状が落ち着いているときと悪いときの差が激しかったりすることで、われわれ治療する側も正確に病状を把握することが容易でない場合も多く、咳の診療は一筋縄ではいかない「職人芸」が要求される面が多いと思っています(だからこそ、おそらくしばらくAIに置き換えられることもないでしょう。医学生、研修医の皆さん、ここだけの話、呼吸器内科、面白いですよ。是非オススメです・・・)。

その中でも、徐々に進歩しているこの分野、しっかり最先端の知見についていき、一人でも多くの方のお役にたてればと思っています。

投稿者: 加藤医院院長 浅井偉信(内科・呼吸器・アレルギー専門医)

2021.05.20更新

前回の1回目のワクチン接種後レポートはこちら
2020.5.4 ワクチン打ってどうなった?? ~コロナワクチン接種レポートその1~

全国の自治体で、コロナワクチンの接種が始まろうとしています。

そしてここ茅ヶ崎でも、コロナワクチンの接種がいよいよ本格化します。
集団接種は6月に入ってからですが、ワクチン配送が今週後半から開始され、クリニックで行う個別接種は来週から始まる医療機関が多いようです。

当院も来週から高齢者のワクチン、それに医療従事者のワクチンの接種を開始します。

高齢者ワクチンに関しては、当院に2020年7月以降におかかりの方(今後新規で受診される方も含みます)を対象に、窓口予約のみで接種を受け付けています(市の予約システムは使用しませんので、当院接種ご希望の方は使用なさらないようによろしくお願い致します)。詳しくは以下のページをご覧ください。

当院の一般高齢者へのワクチン接種について

また医療従事者の接種に関しては告知が十分でなく大変申し訳ありませんでしたが、当院では1回目の接種をご予約の方は全て当院で3週間後に2回目を接種いただくこととしております(1回目の接種の反応を我々が把握している方が、2回目のリスクマネジメントを行いやすいという理由からです)。
当院で接種希望の際は、県の予約システムより、1回目の分のみのご予約をお願い致します。
該当の方は以下のページをご覧いただきますようよろしくお願い致します。

当院の医療従事者へのワクチン接種について

というわけで、当院スタッフもこの度2回目の接種を迎えました。
今回は前回の1回目の接種後の様子に引き続き、2回目の接種後の様子をレポートしたいと思います。

今回のワクチンは、海外の統計や、本邦の今までに接種した医療従事者の報告から、2回目の副反応が比較的強い傾向があることが分かっています。
前回の接種時には、接種し割とすぐに症状が出た人と、やや遅れてから症状が出た人がいました。今回はそのことを勘案し、14日の金曜組と15日の土曜組に分かれて接種することとしました。

みんな揃って日曜日に苦しんでほしいという、院長の親心です(笑)

私は前回のブログでお伝えした通り、軽かったものの接種翌日に症状が出ていたので、土曜日を選択しました。
1回目の接種では、かなり奥まで針を刺されたものの、ほとんど痛くなかったとレポートしました。
今回ももちろん同様の針を、同様の打ち方で接種します。
まずは他の医療スタッフを私が接種していきます(基本的には副反応の頻度として筋肉痛が多く出現し、動かしづらくなるため、1回目と同様に利き手ではない方の上腕へ接種しています)。

「いたっ!」

今回は何人かのスタッフが多少痛がります。俺、調子悪い?
一方、前回同様ほとんど痛くないというスタッフもいました。

最後に私の番が回ってきました。手技に熟練した当院看護師に接種してもらいます。プスッ

あれ、痛っ・・・!

注入時の痛みはあまりないのですが、針を入れた後の痛みが前回よりはやや強い印象でした。

そして、私の場合は、針を抜いた後もなんか結構チクっとした痛みが続く印象でした。
感覚的には腕に点滴針がずっと入っている感じ?なんかものがずっと刺さっている感じです(当然実際針はとっくに抜いているのですが)。とはいえ、我慢できないほどの痛みではありません。インフルエンザワクチンの皮下接種と同じくらいでしょうか。

他のスタッフの反応を見ても、刺されるときに1回目よりは痛いと感じる頻度は上がるのかもしれませんうちの看護師が打っても痛かったんだから、決して私が下手だったから、ではない、はずです・・・

というわけで、強いと言われる2回目接種後の副反応、覚悟して帰宅し、待ち構えることとしました。

まずは接種後の夜です。
チクっとした痛みがそのまま鈍い痛みとなり、筋肉痛になってきました。
筋肉痛はほぼ前回と一緒です。
腕から肩、首にかけての多少のだるさも出ています。
しかしまだ全身のだるさ、発熱などは出ません。とりあえず覚悟しながら床に入ります。翌日寝込んだ時に備え、本や飲み物を取り揃えて・・・


2日目起床、覚悟しましたがそこまでではありません。
朝はいつもだるいので・・・それとほぼ同じような感じです。一方腕の痛みは昨日よりはやや強いようです。

2日目は完全ダウンの覚悟でしたが、思いのほか大丈夫だったので子供の遊び相手、勉強の面倒、部屋の片づけなどを行いました。
さすがに昼頃はややだるくなりましたが、調子に乗って動きすぎたせいかもしれません。(またこの週は過去にないくらいの多くの患者さんにお越しいただいていたので、正直相当疲れており、接種後の副反応なのか、ただの疲れなのかはよくわかりませんでした)。
午後は動きをセーブしたところ体調は回復、夕にはほぼ普段通りの状態に戻り、腕の痛みもこの頃にはだいぶ良くなってきました。

そして月曜日出勤。
体調はほぼいつも通り。
腕の痛みもほぼ気にならない状態となり、私の場合2回目の接種後の経過中は一度も37.0℃を超えることはありませんでした。

結局私の場合は接種後の副反応としては1回目と比べて極端に強かったという印象はありませんでした。

職員も大多数は体調に問題なく、当初用心して減らした受付枠を通常運用とし、当日は診療することができました。
しかし、みんなに前日までの調子を聞いてみると、38℃以上の発熱をきたした人接種後2日間寝込んだ人、一部には月曜日までだるさを持ち越した人など、やはり1回目よりは強い副反応に苦しんだ人もいました。
そしてその人たちは解熱鎮痛薬(カロナールやロキソニンなど)を飲むと落ち着いたようです。

一方、1回目とあまり変わりないというスタッフも数人はいました。
また副反応の出る時期も、打ったその日から出て次の日には落ち着いた人、打ったその日には何もなく、翌日昼から悪化した人などさまざまでしたが、月曜日に通常業務ができたことを考えると、やはり1回目の副反応の出方は2回目の副反応のピークの予測に使えるのかもしれません。

今回の当院スタッフの副作用をグラフにして比較すると、やはり発熱、だるさは2回目の方が比較的強そうです。
とはいえ、1回目と変わりなかったり、2回目もあまり出なかったりしたスタッフも何人かはいたようで、全員が必ず2回目にキツくなるというわけではなさそうでした。
たぶんこれはもう運です・・・

腕の痛みについては、針刺入直後は2回目の方が痛そうですが、その後は1回目とあまり変わりはなさそうでした。

1回目接種後副作用

1回目接種後

 

2回目接種後副反応

2回目接種後
(振られた番号は1回目の番号と同一者ではありません)


というわけで、今後接種される皆さんの参考になるかはわかりませんが、2回の接種を通じて得られた当院のレポートを報告してみました。

接種が不安となっている方の、多少の一助となれれば幸いです。

投稿者: 加藤医院院長 浅井偉信(内科・呼吸器・アレルギー専門医)

2021.05.04更新

遅ればせながら、茅ヶ崎でも一般高齢者の方への新形コロナワクチン接種の準備が進んでおり、今月末ごろから当院でも接種が開始できる予定です。

当院では現在、通院中の方にワクチン接種のご希望をお取りしています。
当院での接種をご希望の方から、リスクや年齢を考慮しながら当院の責任で接種順を決定させていただいております。

→当院の新型コロナワクチン接種ついて

今回のファイザー社の新型コロナワクチンはインフルエンザワクチンとは違い、1バイアルから6人分採取(インフルエンザワクチンは2人分程度)との人数的制約一般冷凍庫で2週間、解凍後5日間、分注後6時間などとの時間的制約がとにかくキツいので、接種体制が複雑にならざるを得ません。
加えて並行して行う通常診療と、6月からは特定健診事業も始まるなど、とにかくファンキーな未来しか想像できません。
それでも今からアタマとカラダと財布を精いっぱい使って、少しでも来院される皆さんがスムーズに診療、接種を受けていただけるような運用を目指していきたいと思います。

これに先立ち、ようやく我々医療従事者のワクチン接種も開始されました。
当院スタッフにも先日1回目の接種を実施しました。


加藤先生も
加藤先生ワクチン接種


私も
浅井院長ワクチン接種

というわけで今回は、今後接種される皆さんの参考になればと、我々のコロナワクチンの接種レポート第1弾をお送りしたいと思います。

私たちは4月23日午後6時ごろに接種を行いました。

ご存知の通り、このワクチンは筋肉注射で行います。
イメージとしては痛そうな筋肉注射ですが、実は理論上は筋肉注射の方が痛くないとされています。
垂直な分、知覚神経が多く分布する皮膚に近いエリアを最短距離で突っ切ること、筋肉には痛みを感じる知覚神経が少ないことが理由とされています。

でも、実のところ、私たちの多くは、筋肉注射をされた経験がありません。
そして・・・今回使用する(ワクチンと同時に配られる)針、結構長いんです。
針の長さは25mmあり、これを垂直に差すわけです。結構インパクトあるなあ・・・

ワクチンシリンジ針

まあしかし、これにもしっかりと根拠はあるわけです。

統計上ほとんどの場合、BMI18-19以上の方では25mmの針をしっかり垂直に刺すと、しっかりと三角筋の中に到達し、かつ骨には届かないとのことだそうですNakajima Y,et al.Hum Vaccines Immunother.2020;16(1):189-196 
ちなみにこれ以上やせている方の場合は16mm程度の深さとし、男性118kg、女性90kg以上の方では38mmの針を用いることを検討するそうです。

というわけで、私たちも推奨されているように25mmの針をしっかりと垂直に、奥まで刺しました。ブスッ。

あれっ、痛くない・・・

そう、感想としてはホントに痛くなかったんです。
当院スタッフの間でも、刺されたときにチクッと感じたスタッフが数名、中には少し痛いという人もいましたが、刺されたことに気づかなかったという人も複数いました。
あと、皮下注で行うインフルエンザワクチンの時は、薬を注入するときに痛みを感じますが、筋注のコロナワクチンでは、確かに注入時の痛みはほとんど感じませんでした。
やはり理論通りです。

さて、これからは打った後の経過です。
以前のブログでもお話しした通り、このワクチンは打った後の副反応が比較的多いと言われています。
ですので、まずは私のその後の経過です。

打った直後は特に変化はありませんでした(スタッフも全員アレルギー反応などは起きず、いつもと変わらない様子でした)。
が、帰宅して2-3時間経つと、軽度の接種部位の違和感を覚えるようになりました。
インフルエンザでも打った後には接種部位の痛みを感じますが、この時は腫れた感じの痛さを感じます。一方新型コロナワクチンではやはり薬剤の到達部位の違いでしょう、外から見た脹れはないものの、筋肉が重い感じで違和感を覚えます。
で、当日はこれ以上の悪化はなくそのまま就寝しました。

翌日(2日目)朝、やや痛みが強くなりました。
起きた時に接種した腕を下にすると、あっ、痛いって感じるくらいです。
また少し重いものを持つと痛みはありましたが、腕は上まで挙げられる程度です。

昼になり、多少のだるさを感じました。
とはいっても全身のだるさではなく、私の場合は首から肩にかけてのだるさといった感じで、日常生活には問題あるレベルではありませんでした。
夜には腕の痛みはやや引いてきて、翌朝(3日目)にはだるさは消失、筋肉の違和感は多少残っていたものの、昼にはほぼ消失し、いつも通りになりました。

ただ経過はやはり人によりいろいろなようでした。
下のグラフは当院スタッフの接種後の経過を記録してもらったものをグラフ化したものですが(わかりにくくてすみません・・・)、やはり人によってさまざまでピークがその日の夜に来た人もいれば、24~36時間経過してからピークが来る方もいました。
今回の当院の接種者は20~60代で、今回の接種ではあまり年齢と副反応の強さは関連がない印象でした。

ワクチン副反応1回目
というわけで、翌月曜の診療は通常通りに行えました。
しかし、3週間後に2回目の接種が待っています。
このワクチンの副反応はご存知の通り、2回目に強く出るケースが多いと言われています。
今回の副反応の出方を見て、診療になるべく影響がないようにスケジュールをするつもりなのですが、果たしてうまくいくのか・・・?

次回は2回目接種後のレポートをしてみたいと思います。

というわけで、念のため、5月17日(月)の外来予約は、申し訳ありませんが上記の理由によりあらかじめ通常より枠を減らさせて頂きました。
ただ私自身はどんなにしんどくても医院は開けるつもりでいます。


もし診察室で私が、そして医院内でスタッフがしんどそうにしていたら・・・お察しいただけますと幸いです(笑)

追記:5月14日、15日に当院スタッフは2回目のワクチン接種を行いました。
そのレポートはこちら!

2021.5.20 ワクチン打ってどうなった??完結編 ~コロナワクチン接種レポートその2~

投稿者: 加藤医院院長 浅井偉信(内科・呼吸器・アレルギー専門医)

2021.04.18更新

トップページにも掲載しておりますが、当院は新型コロナワクチンの接種開始に向けて動き始めています。
当院は一般高齢者の方と、近隣の医療従事者の方へのワクチン接種を行います。
ワクチン供給数、接種体制を考え、一般高齢者向けは、当面の間は当院かかりつけの方のみに限定させていただくこととしました(詳しくはこちらをどうぞ)。
医療従事者の方はこの限りではありませんので、今後開始される神奈川県の予約システム稼働開始をお待ちください(詳しくはこちらをどうぞ)。

というわけで、いよいよ接種開始間近のワクチンですが、いざ始まるとなると不安になる方も多いようです。

特に「私は打っていいの?」という質問が多く寄せられています。

とりあえず接種開始に向け、今回は「私は打っていいの?」という疑問にお答えしてみようと思います。
ややこしくなるので、今回は「私は打った方がいいの?」「ワクチンって大丈夫なの」という議論はしません。ワクチンそのものについての情報については以下をどうぞ。

2021.2.11 いよいよ新型コロナワクチン接種開始! ~ところでコロナワクチンってどんなもの?~

もちろんまだわからないことも多く、また医学に絶対はありませんが、ひとまず現時点でわかっていることがここにまとめられていますので、この中から疑問の解消になりそうな部分をいくつか抜粋して紹介しましょう(なおThe New England Journal of Medicine(NEJM):「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」は、医学系雑誌の中で最も歴史が長く、最も有名な雑誌です。ここに掲載されている情報の信ぴょう性は医学界では一般的に非常に高いと言われており、我々もコロナに限らず普段から多くの最新情報をこの雑誌から学んでいます)。あくまで今回の内容はこのNEJMに記載されている情報が基本となります。

Q1:「私は打っていいの?」
A1:このワクチンを絶対打ってはいけない人(「禁忌」といいます)は、過去にこのワクチンでアナフィラキシーなどの重度のアレルギーを起こした人(今回は誰もがはじめてこのワクチンを打つので、つまり1回目で反応を起こしてしまった人)、またこのワクチンに含まれている添加物である「ポリエチレングリコール」、またこれと交差反応を起こしうる「ポリソルベート」に重度のアレルギーを起こしたことのある人だけです。
「ポリエチレングリコール」は他にも軟膏剤や化粧品、食品(乳化剤として)など、日常的に多く使われています。また大腸内視鏡検査で用いる下剤(ニフレック®)はまんまこれです。
また「ポリソルベート」様々な薬の添加物に加え、インフルエンザワクチンや13価肺炎球菌ワクチン(プレベナー)、ロタウイルスワクチン、ポリオワクチンなど様々なワクチンに含まれていますワクチン接種後に熱が出た、だるくなった、強く腫れた程度の症状は重度のアレルギーには該当しません)。

つまりこれらに対しアナフィラキシーなどの重度アレルギーが起こったことがある人以外は、すべて「打っていけない」人ではないということが言えます。

Q2:「っていっても、私アレルギーあるんだけど、本当に大丈夫?」
A2:アレルギーを持っているだけではワクチンを打てない理由にはなりません。
上記の添加物以外のアレルギーは問題視されません。つまり食物アレルギー、花粉症、喘息などのあるなしには関わらないということです。
ただしアレルギーを持っている方は接種後15分ではなく、念のため30分の経過観察が勧められます。

Q3:「私は癌にかかったことあるんだけど・・・本当に大丈夫?」
A3:癌を持っていたり、免疫を抑制する薬を飲んでいたりする方は新型コロナの重症化リスクが高いため、できれば接種したほうがいいです。
ただし、これらの人のデータが少なく、安全性や効果のデータは少ないのが現状です。
また免疫機能が低い方では、理論上有効性が低くなる可能性があります(あくまで推定です。データはありません)。

Q4:「何か症状があったらワクチンは打てないの?」
A4:基本的に急性疾患にかかっている方は接種を延期する必要があります。
つまり風邪をひいたり、37.5℃以上の発熱をきたしている方などです。
ただし、この症状が慢性的にある方はこの限りではありません。例えばCOPDの方の咳や呼吸困難、炎症性腸疾患の方の慢性胃腸症状などです。

Q5:「コロナにかかったことあるんだけど、打った方がいいの?」
A5:結論から言えば打った方がいいです。
新型コロナにかかっても、3か月以降は再感染するリスクがあります。かかってから3か月以上経過してから、ワクチンを接種することが推奨されています。

以上、今回はコロナワクチンの疑問の中から、「私は打っていいの?」という部分にフォーカスを当てて情報を載せてみました。
あくまでも任意接種ですし、強制されるべきものではないと思いますが、やはり客観的なデータや分子生物学的な原理から考えると、それほど危険なものとは思えないという印象は持っています。
現時点では、ファイザーのワクチンに関しては、他のワクチンで騒がれている「血栓症」の目立った報告もないようです(因果関係不明の死亡例は某週刊誌が大騒ぎしていますが・・・)。

ワクチン接種も近くなり、ワクチンの情報量も増えてきました。
中には信用性の低いデータや、個人の主張にとどまる情報も少なくないようです。
接種するにせよ、しないにせよ、とにかく信用度の高い情報を正しく理解することで、皆さんが十分納得して判断をしていただければと思います。

私どもも、もうそろそろワクチンが回ってくるようです。私は接種しようと思っていますので、接種したらそのレポートをまたこちらで行いたいなと思います。

あとご報告。
懲りずに行った院内改装工事第4弾が終わりました。
今回はレントゲン室の前、呼吸機能検査エリアから第3診察室入口、処置室(現発熱外来連絡口)入口エリアまでの壁塗装です。
以前はあまり患者さんが入るエリアでなかったため、だいぶ年季が入ったままの状態でしたが、今回ツートンカラーに塗りなおし、だいぶ明るい印象になりました。

 壁塗り替え

壁塗り替え

壁塗り替え


ひとまず予定していた今回の改装工事は一旦完成です。が、古くなっている部分もまだ多く残っており、そのうち続きをやるかもと考えています。改装マニアの方、次回まで今しばらくお待ちください(笑)

 

投稿者: 加藤医院院長 浅井偉信(内科・呼吸器・アレルギー専門医)

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