医師ブログ

2020.10.07更新

10月からインフルエンザの予防接種を開始しております。
今年のインフルエンザ予防接種はいつもの年とは運用が変わっております。
昨年と大きく変わっていることでいろいろとご不便をおかけしているとは思いますが、なるべく院内での密を回避し、安心してご受診いただけるようにとの策です。どうかご理解いただきますようよろしくお願い致します。

さて今回は吸入薬の落とし穴シリーズ第二弾、タービュヘイラー編をお送りします。

タービュヘイラーは、主に喘息の治療薬であるシムビコート、パルミコート、COPDに対するオーキシスに使われている器具です(シムビコートの後発品であるブデホルという薬剤も、タービュヘイラーに近い器具ですが、厳密には異なるもののようです)。
ここではおそらく一番使っている方が多いであろうシムビコートに焦点を絞ってお話ししてみます。

シムビコート

まずタービュヘイラーの使い方です。

この器具もエリプタと同様、パウダーを吸うタイプの薬剤です。
下の丸い円盤を一度半回転させ、それを戻すことで(クルッカチッ)1回分の薬が充填されます。充填された薬剤を勢いよく吸い込むことで薬剤が肺へ届きます。

この吸い方のコツ、落とし穴はエリプタと共通しています。すなわち吸入する力が弱かったり、吸入時間が短いと、しっかりと肺に薬剤が届きません(シムビコートはパウダーの粒が比較的小さく、一度吸い込むと肺の末梢まで行き渡りやすいといわれているので、すべての方の息止めは必須ではないようです)。

次に円盤の回し方です。
円盤の回し方
この薬剤は円盤を回すと上のタンクから薬剤が1回分落ちてくる仕組みなのですが、しばしば図のように傾けて回してしまうことが少なくありません(これ、自分でもやってみたのですが、立てて回すのって結構意識しないとできないもので、無意識にやると誰もが傾けたり倒したりしながら回すだろうなあと思いました)。

傾ける
傾けると当然1回分の薬剤が充填されない可能性があるので、治療不足に陥ってしまうリスクが出てきます。

またシムビコートはステロイドと気管支拡張薬のパウダーが配合された薬剤です。
同じものに前回お書きしたレルベアやアドエアなどがあります。レルベア、アドエアは症状の強さによって、それぞれ強さの異なる剤型が用意されています。
一方シムビコートは1種類しかありません、ではどのように症状の強弱によって調整するのかというと、1回の吸入の回数を増減することによって行っています。

そこでときどき起こる勘違いです。
例えば1回に2吸入してくださいと指示があった場合、正しくは一度円盤を充填してから(クルッ、カチッしてから)吸入するという動作を2回繰り返すのですが、クルッ、カチッを2度続けてから吸入する方がいらっしゃいます。
2度クルッ、カチッとやると、1回目に充填された薬剤はキャンセルされてしまうので、治療不足に陥ってしまいます。

また、タービュヘイラーには上下部に吸気口があります。

吸気口位置
吸ったときにここから外気を取り入れることで空気の流れを作るのですが、吸うときに指で下部吸気口を塞いでしまうとうまく薬が流れません。

吸気口塞ぐ
一方吸うときに唇を浅く加えると、十分な吸気になりませんが、逆に深く加えすぎると、今度は上部にある吸気口を唇で押さえてしまうことがあり、この場合も薬が出なくなってしまいます。

くわえ方


最後に、この器具、振るとシャカシャカ音がします。
これは薬の音ではありません。中に乾燥剤が入っているためです。
ですので薬を使い切って空になってもシャカシャカ音がしますので、これを「薬が残っている」と勘違いしないように気を付けましょう。

この器具は吸入が一見簡単そうに見える器具なのですが、落とし穴も少なからずちりばめられています。不安な場合はぜひ処方医や薬剤師にお聞きください。

投稿者: 加藤医院 院長 浅井偉信

2020.09.20更新

茅ヶ崎もようやく猛暑から解放されて、少し過ごしやすい季節になってきました。
しかし昨年にもお書きした通り、この時期は、実は喘息が悪化しやすい時期です。
季節の変わり目であり温度、湿度が変化しやすい時期であるうえ、ダニアレルギーのピークとなる時期でもあります。

特に毎年この季節に咳が出やすい方は要注意です。
急激な悪化をきたす前に早めにご相談いただくことをお勧めします。


さて、当院は9月20日から5日間のお休みをいただいております。
この時期より、当院は順次大きなリニューアルを行って参ります。

一つ目は施設の改装です。

メインはトイレの全面改装です。設備が古くなってきたことに加え、このコロナ禍でなるべく感染リスクを減らすように、手洗いの水栓をタッチレス化、また今まで分かれていた手洗い室とトイレのスペースを一体化します。
合わせてより開け閉めしやすい診察室の扉の導入、受付の荷物置き台の新設、待合室に柔らかな光を取り入れるロールスクリーンの導入を行い、皆様によりご利用いただきやすいクリニックにしてまいります。


二つ目は通常受診の患者さんと発熱など感染症が疑われる患者さんの動線の一層の分離と、冬に向けての発熱患者さんの診療、検査体制強化に向けたレイアウト変更です。

具体的には今まで点滴、処置用として使用していた診察室裏のスペースを、全面的に模様替えしております。
また当院でも新型コロナの抗原検査が実施できるように運用面での調整を行っています。
こちらは9月中に完成する予定ですので、完成次第HPでお伝えしようと思います。

また今年度のインフルエンザ予防接種を10月1日から開始する予定です。
以前のブログでもお伝えしたように、コロナ禍の収まっていない今年は特にインフルエンザ予防接種を受けていただくことが重要となります。

当院に通院されている方は、昨年と同様、診療時に随時お受けいただくことができるように致します。

また当院に通院されていない方で、接種をご希望の方には以下の方法をご用意することといたしました。

① 月、水、金の14時から14時15分までの間に、完全予約制のインフルエンザ予防注射専用受付枠をご準備いたします。
現在のところ1日10名までお受けし、インターネット予約専用ページ、もしくはお電話で予約をお受け致します(予約専用ページについてはこちら)。
この時間は通常診療の方はクリニックにお入りになりません。また待ち時間も少ないと思われますので、他の患者さんとの接触をできるだけ避けたい方はこちらの枠をお使いいただくことをお勧めいたします。

② 通常の診療時間帯でもインフルエンザ予防接種をお受けいたします。
但し混雑予防のために、当院おかかりつけでない方は必ず事前にお電話でお問い合わせください。なるべく混雑の少ない時間でご案内する予定です。
お電話を頂かずに直接お越しになった場合は、かなりの待ち時間となる可能性がありますので、御協力を宜しくお願い致します。


三つ目は、現在、そして今後の院内混雑回避、感染リスク低減です。

当院に受診いただく患者さんの急増により、現在受診していただいている患者さんの皆様には、ここ最近の混雑で大変ご迷惑をお掛けしております。
先日椅子の入れ替えを行いました(スタッフブログもご覧ください)が、今後この椅子の間にアクリルパーティションを設置いたします。お座りになれる患者さんを増やしつつ、感染リスクを低減するレイアウトを導入いたします。

またもう少し後になりますが、更なる混雑回避のために、新規予約システムを導入する予定です。
初診や再診の方が今まで以上に予約しやすく、一方今まで予約なしで直接来院されていた方にもなるべくご負担をお掛けしないシステムを考えております。
とは言え、当初は運用面で慣れないこともあるかと思いますので、多少の面はご容赦いただければ幸いです。


今年の冬は、当院にとっても初めて経験する冬です。
至らない点も数々生じるとは思いますが、スタッフ一同全力で、当院にいらっしゃる方が少しでも快適に受診できるよう、できる限り最善の診療体制を作ってまいります。



引き続き新しくなる加藤医院をよろしくお願い致します!

投稿者: 加藤医院 院長 浅井偉信

2020.09.11更新

8月26日に、新しい気管支喘息の吸入治療薬である「エナジア」「アテキュラ」が発売されました。
これらは、気管支喘息の治療の基本である「吸入ステロイド」に「吸入気管支拡張薬」が配合されたお薬です。特に「エナジア」は喘息に対する吸入薬としては、3種類の薬剤を1つにまとめた初めてのお薬ということで、今後の治療の幅が拡がる可能性があり注目されています。

これで喘息の吸入治療薬のラインナップは以下の通りとなりましたCOPDのみに使用できる吸入薬はここには掲載していません)。

喘息治療薬一覧
ご覧のように、今は本当に多くの薬剤があります。
吸入による喘息症状の予防治療が本格的に行われるようになってからおよそ20年、当初はスプレータイプのお薬だけでしたが、その後パウダータイプ、ミストタイプのお薬が発売され、その形、方法もどんどん増えてきています。

それはより治療効果を上げるための製薬会社の努力があってのことなのですが、治療選択肢が増えることにより、患者さんにとっては薬の使い方がどんどん複雑になってきているという側面もあります


このブログを読まれている方でも、これらの吸入薬をすでに使われている方が少なからずいらっしゃると思います。
本来であれば、これらの薬の正しい使い方、コツなどは対面でお話しし、実際に器具を使ってみないとなかなか伝わりづらいことです。
しかし、なかなか皆さん全員がアドバイスを受けられる環境にいらっしゃるとも限りませんので、今回から不定期になると思いますが、各吸入薬のいわゆる「落とし穴」を書いてみようかと思います(すべてを書くスペースは到底なさそうなので、代表的な落とし穴を挙げてみたいと思います)。

まず今回は、レルベアやアニュイティという薬剤で使用される「エリプタ」という器具について取り上げます。

この吸入薬はフタを開けると、その動作でパウダーの薬剤が充填されるので、あとは吸うだけという非常にわかりやすい吸入器具です。
症状のよく出る、比較的重い喘息の方に対しては吸入薬を多く使う必要があるのですが、この器具は、多い量の薬でも1日1回1吸入で済ませることができるので、簡便性は群を抜いています。
そのため多くの喘息の方に使われているお薬です。

ただこの吸入薬にも「落とし穴」があります。

元来パウダータイプのお薬は、吸っている感触があまりありません。
ですので、正しい使い方をしないまま使っていると、気づかないで正しく吸えていないということが起こってしまいます。

この薬剤は、先ほども書いたようにフタを開けることで薬剤が充填されますが、これはフタを最後までしっかり開けないと起こりません。中途半端に開ける状態では薬が充填されていません。
この状態で使用しても全く薬が体内に入らないので、意味がなくなってしまいます。
これに気づかないまま時間が経過していると、しっかり薬を使っているのになかなか良くならないという事態がおきることが少なくありません。
(一方、逆に何度もフタを開け閉めしてしまうと、吸入しなかった薬が破棄されてムダになってしまうという落とし穴もあります)。

また、吸入薬はしっかりと気管支の奥まで薬剤を届ける必要があります。そのためにはある程度強い吸入力が必要となります。しかもしっかりと薬を吸いきるにはある程度の長い時間吸い続ける必要があり、さらに吸った薬を気管支の奥まで充満させるために、吸入後に息止めをする必要があります。

しかしこれができていない方が非常に多いのが実情です。

当院にいらっしゃる方で以前からエリプタを使用されていた方に、エリプタを診察室で実際使用していただくと、吸入力が非常に弱かったり、吸入の持続時間が短かったり、息止めができていないケースが少なくありません。
これによって症状が十分に取れないことが多いのです。

エリプタの正しい使い方は「しっかりした強さで」「男性なら3-4秒、女性なら2-3秒、胸がしっかり膨らむまで吸い」「その後5秒間息止めをする」が基本になります。

これらは教わらない限り、正しく行うことはほぼ不可能ですし、一度教わっても時間が経つと徐々にできなくなっていることも少なくありません。

他にもいろいろポイントがありますが、すべての手順を正しく使用するというのはなかなか難しいことです。
せっかくの吸入薬です、安くもない薬剤なので、使用する方には最大限の効果を得てほしいものです。ほかの器具でもそうですが、吸入薬を使用する際はぜひ医師や薬剤師などからしっかりサポートを受けられる環境で使用していただきたいと思います。

投稿者: 加藤医院 院長 浅井偉信

2020.08.24更新

まだまだ新型コロナ禍は終わりを見せませんが、全国的には発表される陽性患者数はピークを過ぎつつあるという見方もあるようです。
ただまだこの状況がこのまま落ち着くかはまだわかりません(実際ここ茅ヶ崎でも本日は過去最高の1日9例の陽性患者を確認したようです)
またこのまま仮に落ち着いたとしても、冬にかけてはまた新たな波がやってくる可能性も決して小さくはありません。

当院でも発熱、咳、だるさなど、いわゆる「風邪」の症状にお困りの方がこの時期でも1日数人はお見えになります(感染症についての現在の院内感染対策はこちらをご覧ください)。
既往歴や症状の経過など、いろいろな情報からその症状の原因を見極めていきますが、やはり新型コロナ感染症の見極めは困難を極めます。

新型コロナ感染症はその症状の程度の幅広さが特徴です(ほぼ無症状の方から、命に係わる最重症の方まで様々です)。
感染症にはその症状の強さによって病原体が見極められるケースも少なくないのですが、そのため新型コロナに関しては症状の強弱による見極めがあまりできません。
特に軽症の場合は、味覚嗅覚障害以外には特徴となる症状があまりないため、他の病気の可能性が高いと言えない限り、新型コロナ感染を否定することが難しいというのが実情です。

そこでやはり心配になるのがインフルエンザシーズンに入った時の対応です。
かつて新型コロナがいない頃のインフルエンザ感染症は、流行期に症状から強く疑われる場合はインフルエンザ抗原の検査をせずとも治療を開始することが許されていました。これは検査前確率がすでに高く見積もられる上に、例え診断を外した場合でもその後重症化するリスクが極めて低いためです。
ですので、典型的な症状でないときがインフルエンザ抗原検査の一番の出番でした。

ただ今年は状況が違います。

新型コロナはインフルエンザと比べて、重症化率が高い可能性があり、その治療法もまだ確立されていないという大きな課題があります。
また新型コロナのその性質から、隔離期間もインフルエンザより長く設定する必要があり、その間も重症化の兆候を見逃さないように注意深く観察する必要があります。

ですのでもし新型コロナをインフルエンザと誤認すると、隔離が不十分となり他者への感染リスクとなったり、その後悪化するタイミングを見逃したりする問題が出てきます。逆にインフルエンザを新型コロナと誤認すると、隔離期間が長くなったり、必要のない対応をしなければならなくなったりと、本人の生活への無用な影響や医療資源の浪費につながってしまうという面が出てきてしまいます。

以上を考えると、今年は発熱患者さんには今まで以上に積極的にインフルエンザ抗原検査を行う必要があると思われます。もちろん新型コロナ検査も、見極めが難しいときは積極的に検査しなければならないものと思われます。

そしてご存知の通り、インフルエンザ抗原検査鼻腔粘膜から採取する検体で行います。
この検査法は咳やくしゃみを誘発するため、万全の感染対策が必要であり(本来今までもこのようにするべきでしたが、新型コロナがいない時代はここまでしていませんでした。それは万が一感染しても重症化率が低いため、労力や費用対効果に合わなったためとご理解ください)なかなか診療所レベルでは鼻腔検査は難しかったのが実情ですが、今冬にむけてそんなことも言ってられない状況になりそうです。

当院でも今、知恵と財布をフルに絞って、通常診療を行いながら、通常診療を妨げずに何とか冬の発熱患者さんに適切な検査、治療ができる体制が整えられないか、鋭意検討中です。体制が決まりましたらHPでお知らせしたいと思います。

 

 

また今冬は発熱するだけでご本人やその周囲の方の負担はかなりのものになってしまうと思われます。

ですので今冬はどちらの感染症にもできればなるべきではないと思います。

残念ながら新型コロナを予防するワクチンはまだありませんが、できる限りの対策を取る必要がある今冬は、インフルエンザワクチン接種の重要性が非常に高いと考えられます。
おそらくマスコミでも同様の情報が今後流れることが予想され、ワクチンの需要が非常に高まると思われます。
まずは65歳以上の高齢者の方は打ちそびれないように、今年はなるべく早くに打っておいた方がいいかもしれません(来春にインフルエンザの流行が続いていた場合に作用切れで効果が低下するリスクはありますが、結果接種できなかった場合と比べればかなりマシでしょう)。
もちろんワクチンが潤沢にあれば、今年は接種可能なすべての方が接種を強く推奨されます。毎年接種をされている方のみならず、いつもは接種していない方も今年は接種をご検討ください。

当院では現時点では例年通り10月頃から接種を開始する予定です(流行状況や入荷状況などにより調整する場合があります)。

予防接種を行うにあたっての院内感染対策も今後策定する予定ですので、接種方法、感染対策などは引き続き当院HPにてご確認いただけると幸いです。

投稿者: 加藤医院 院長 浅井偉信

2020.08.04更新

今日の午後、いつものように診療をおこなっていたところ、数名の患者さんから「イソジンってコロナに効くんですか?」という質問を立て続けにお受けしました。
そんな話は聞いたこともなかったので、頭の中が「???」となりました。
でも何故にみなさん聞く??

後になりニュースを見て納得。
どうも大阪府の吉村知事が「ポピヨンヨードによるうがいがコロナのPCR陽性率を減らす。ポピヨンヨードによるうがいを励行する」といった内容の記者会見を行ったようです。

診療終了後家に帰り、その会見を詳しく見てみました。
曰く、“コロナ陽性の軽症患者さんにポピヨンヨードで1日4回うがいをしたところ、うがい前の唾液で行ったPCRで陽性率が40%から9%に大幅に減った。もしかしたら重症化も抑えられる「かもしれない」のではないか“とのこと。

私が最初に思ったこと。「そりゃ陽性率は減るだろうね。んで?」

ポピヨンヨードは抗微生物作用があります。抗ウイルス効果もおそらくはあるでしょう。
今回は唾液でPCRを行った研究とのことで、うがいにより口腔内のウイルス量は減る可能性があることは十分にありえるとは思います。その結果PCRも陰性になりやすくはなるでしょう。

ただし、これが何を意味しているかということを冷静に考える必要があります。

前回のブログでも書いたように、ウイルス感染症は基本的には全身感染症です。
鼻や気道、口、もしくは目などの粘膜から細胞内に侵入し、そこから全身に広がっていきます。
ですので、症状はもともとの侵入経路の部位だけでなく、全身倦怠感、関節痛、肺炎など全身に、多種多様にわたることが多いのです。

ですので、うがいにより口の中のウイルス量は減るかもしれませんが、全身のウイルス量が減ることとは当然イコールになりません。

また例え全身のウイルス量が減ったとしても、それが病気の予後を改善するとイコールであるとの確証も全くありません(今回はうがいにより重症患者が減ったという研究結果ではなく、重症化予防との因果関係はまだ何もわかっていません)。

ここまでで、現時点で言えることは

・イソジンは、軽症コロナ患者の唾液によるPCRの陰性化を促すことはできるかもしれない
・イソジンが、コロナの重症化を抑える根拠は何もない

ということです。

次に、今回の会見では「飛沫感染の頻度の低下の可能性」についても述べられていました。

感染者に関しては、確かに唾液内のウイルス量が減ることで「他者へ感染させる危険性」が減る可能性はあるかもしれません(しかしこれもあくまで推論です。裏付けるデータは何も出ていません)。
ただ、うがいをすることにより、「他者からの感染の可能性」を減らせるかということに関しては、今回の情報からは何もわかりません(というよりも何も検討されていません)。
また、ポピドンヨードのうがいによる感染予防に関しては、いままで否定的なデータも出ています。
水によるうがいに比べて、ポピドンヨードによるうがいでは風邪を防ぐことができなかったというデータがあります。Am J Prev Med 2005;29(4)

口の中は常に細菌が大量にいます。
これらはすべてが有害ではなく、無害な菌も多いのです。体の中はこのような場所が多くあり、有害な菌、無害な菌がバランスよく存在することで均衡を保ち(これを正常細菌叢「せいじょうさいきんそう」といいます)、粘膜の防御機能を保っています。
ポピドンヨードはこれらを一気に排除します。
一時的には菌もウイルスも減るでしょうが、そのような環境では正常な粘膜の抵抗力が失われてしまうケースがあり、これがむしろウイルスの侵入経路となってしまう可能性があるのです。
殺菌、殺ウイルス効果が、粘膜機能低下よりも強く出るとは示せなかったというのが、この試験の結果だったということになるわけです(今回の会見で知事が「決してうがいは害になるものではない」と何度も言及していましたが、必ずしもそうとは限らない、ということですね)。

ここから考えると、

・イソジンは、他者への感染を減らす効果はあるかもしれないが、まだわからない
・イソジンは、感染予防効果があるかどうかは全くわからない(むしろ不利になる可能性も否定できない)

ということが言えると思います。

あわせて、気を付けなければならないのが、このうがい薬を使わないほうがいい人もいることです。
まずは甲状腺機能低下症の方。この状態の方は、ヨードの過剰摂取でホルモン産生が減ってしまい、症状を悪化する可能性があります。
また妊娠中の方も、ヨードを過剰摂取することにより、ヨードが胎児に移行することで赤ちゃんの甲状腺機能低下症をおこし得るため、頻繁には使用しないほうがいいでしょう。
これについても触れられている報道はほとんどなかったため、該当する方は注意が必要です。

・イソジンは甲状腺機能低下症の方、妊娠中の方はあまり使用しないほうがいい

というのも押さえておきましょう。

会見を全て見ると、同席した医師により、これらのうちいくつかは言及されているようです。
ただほとんどの報道は(時間、紙面の制約もあるのでしょうが)これらを全てカットしており、かなりミスリードされやすい状況であったことは否めないかと思います。実際ドラッグストアでは、報道の数時間後にはすでに売り切れていたようですし、当院でも夕方に薬局から「ポピドンヨードの仕入れができなくなり、新たに仕入れるメドも立たない」との連絡が来ています。コロナに関係なく普段から使用している患者さんの処方箋も受けられなくなってしまったとのことです(というわけで当院でもしばらくは出せないかと思われますのでご了承ください)。
今後研究が進み、さらにいろいろなことが分かると、もしかしたら新型コロナ蔓延抑制の突破口になるのかもしれません。是非そうなってほしいのですが、この段階でのこの形式の発表は、社会の影響を考えると(知事のはやる気持ちはわかるのですが)やはりやや不用意、拙速であったかもしれません。

コロナ禍で様々な報道が飛び交う昨今、皆さんも、あらゆる報道に振り回されることなく、常に一つ一つの情報が信頼に足るものかを考えて、行動していただけるとうれしいです。

投稿者: 加藤医院 院長 浅井偉信

2020.07.24更新

新型コロナ感染者増加の勢いがさらに加速しています。
東京での増加に続き、隣接する川崎横浜、そしてここ茅ヶ崎へと、日に日に東海道線を下るように感染の輪が広がっています。

そしてこのコロナ禍は、我々内科医に大きな挑戦状を突き付けています。

コロナ感染が蔓延する状態となると、いわゆる「風邪」症状の中に新型コロナ感染症が隠れているという現実に向き合わなくてはならなくなります。
withコロナのこの時代、我々内科医は「風邪」に対して、持っている能力を最大限用い、全力で取り組む技量が求められるようになりました。

そこで、我々が普段どのように「風邪」と対峙しているか、少し手の内をお見せしつつ、そして自戒を込めながら、withコロナ下における今後の診療の課題を考えてみます。
今回はちょっと長くなる気がしますが、それでもスペース上到底すべてを書き切れるわけはなく、お示しする内容は診察時の私の思考のごく一部でしかないこと、それにあくまでこれは私個人の方法、見解であることはご了解ください。

さて、以前もお書きしたように、「風邪」とは、鼻腔からのどまで、つまり上気道に、病原体による急性の炎症を引き起こす病態を言います。
この病原体の大半がウイルスとされており、基本的には「ウイルス性急性上気道炎」を「風邪」として考えてよいと思います。

では診察をはじめましょう。

まず「風邪を引いた」という方がいらっしゃった時には、まず診察室に入るその方の様子を見て、何か局所の症状がないかどうかを気にかけます。そして顔色や歩き方を見ながら、何となくその重症度を測っていきます(例えば上気道炎にとどまらず気管支や肺に炎症が及んでいる場合は、咳の程度が強くなったり、息遣いが荒くなったりしているので、そのサインを見逃さないようにします)。
「風邪」は重症になることはまれなので、重症感が漂う場合は何か別の病気がないかどうか、考え直す必要が出てきます。

次にお話をお伺いします。症状が「風邪」として矛盾しないかどうかを考えていきます。
「風邪」=「ウイルス性急性上気道炎」は、その感染部位から、起こりやすい症状としては鼻の症状、のどの症状、軽い咳、そして軽い発熱があります(もちろんすべてが揃わないこともあります)。
これらのうち、何か一つの症状が突出している場合は、その部分の細菌感染症も可能性として考えなければなりません細菌感染症は、原則として感染した部位のみに強い炎症を引き起こすため、一つの症状が強い代わりに症状のバラエティさに欠ける傾向があります。その場合は抗菌薬が必要となる場合があり、抗菌薬治療の適応のない一般的な風邪の治療法とは異なってきます)。

そしてその症状の出方も鑑別には重要です。

基本的には「風邪」=「ウイルス性急性上気道炎」の場合、これらの症状はそれほど大きなタイムラグがなく現れる場合が多いですが、感染症の種類によっては特徴的なパターンを示す場合があり、これにあてはまるものがあるかどうかを考えます。
またその症状が想定よりも長く続いている場合は、感染以外の原因も考えなければいけません(一例として咳を考えたとき、風邪の咳は長くてもせいぜい1~2週間です。これ以上続く場合や、良く繰り返している場合は、結核などを含めた様々な病原体の、気管支や肺への炎症の波及や、喘息、COPD、それに癌などの可能性も考えなければいけません)。
これを鑑別するために、その症状が続いている期間や出やすいシチュエーション、今までの既往歴や、何か他に特徴的な他の症状が伴っていないかなど、いろいろ推測しながら当たりを付けていきます。

一方、患者さん自身は「風邪」とおっしゃいながらも、「急性上気道炎」の症状が伴わないケース(例えば熱はあるがのど、鼻、咳の症状がないなど)も少なくなく、この場合はより全身に目を向けながら、何か他に見逃している病気がないか、質問を重ねていくことなります。

次に診察を行っていきます。
まず口の中を見て、のどを見ていきます。
例えば周りの人に極めて移しやすいはしかは、口の中に特徴的な発疹ができるので見逃してはいけません。のどの奥に白い膿がついていたら溶連菌感染症やウイルスによる伝染性単核球症の可能性が考えられるので、これらで治療法も変わってきます。

次に胸の音で呼吸の音、心臓の音を聞きますが、呼吸の音で肺炎、喘息などが見つかることは少なくありません。
また熱の原因が心臓の弁の感染症のことがあり、これは見逃してはいけない疾患ですがこれも音でわかることがあります。
またこの時に皮膚も一緒に見て、訴えられている症状と結び付く特徴的な所見がないかどうかも考えながら見ていきます。

そしてここまでの診察で、何かピンと来た場合はリンパ節を探ったり、おなかを触ったり、背中をたたいてみたり、手や足を見るなどしていき、疑っている病気を肯定、もしくは否定しながら、検査をすべきかどうか、するならどんな検査を出すかということを決めていき、そして最後に治療法を決めるという手順になります。

ただ、正直に告白すると、全ての「風邪」患者さんにこの手順を完璧に踏んでいたかというと、私の場合は必ずしもそうではなかったというのが現実でした。

やはり他の患者さんのお待ち時間ともにらめっこしながら、ある程度は妥協せざるを得なかったという事情はありました。
現実的な落としどころとしては、患者さんの入室時の様子が大丈夫そうで、お話になる症状が風邪として典型的なケースでは、万が一他の病気だったとしてもほぼ手遅れになることはないので、その時点で風邪として対処をするというところでした(もちろん「風邪」ではないかもと考えた場合は深く追求していきますが)。

ところが新型コロナは、皆さんご存知の通り症状のバリエーションが非常に広いこと、そして「典型的な風邪の症状」をきたすことも少なくないことから、他の「風邪」と見分けることが簡単ではありません。
であるにも関わらず見逃すと患者さん本人だけでなくその周囲や社会全体にも大きな影響を与えてしまう病気であり、しっかりと他の「風邪」と見極めなければなりません。
これからのwithコロナの時代、我々はしばらくの間、すべての「風邪」患者さんにもれなくこの手順を確実に踏まなくてはならなくなったと言えるのです。

やはり本来「風邪」の診断、治療というのは、上にお話ししたように他の病気と見極めるための知っておくべき知識が非常に多く、多くの判断も求められるので奥が深く、私は内科医の本当の力量が試される領域だと思います。

診療に携わる我々医師はwithコロナの時代、医師としての基本に立ち返り、今まで培った知識、技量を最大限使い、改めて心して病気と真剣に向き合う姿勢が求められているのでしょう。

投稿者: 加藤医院 院長 浅井偉信

2020.07.14更新

残念ながら、一度落ち着いたと見えたコロナ禍がまたぶり返してしまったのでしょうか。
茅ヶ崎でも先週約1か月ぶりに感染者が検出された後、本日までに3例の感染事例が報告されているようです。
街を歩いているとクラスターになりかねない屋内の密集も少なからず見かけます。
頭の片隅には常に感染防御を意識してもらいたいと、医療機関として切に願っております。

さて、ここ最近疲れやすいとおっしゃる患者さんが増えてきた印象があります。
だいぶ暑くなり、雨も多く湿度も増したことでバテやすい陽気になってきたことがあるようです。

ただ、この疲れやすさの中に気を付けなければいけないものが混じっているケースが少なくないようです。

それはこのブログにも何度か登場している「COPD」による疲れやすさです。

COPDは主にタバコを長年吸っていた(以前吸っていたけどやめた人を含む)ことにより、肺の機能が低下してしまう病気のことです。ここら辺のブログ記事このページで詳しく解説しているのでご覧ください。
で、このCOPDという病気は、本人がなかなか気づくことができない、厄介な一面を持っています(実際このコロナ禍で、いつもあった呼吸器症状が気になるようになり、受診していただいたおかげで診断、治療に結び付いた方が少なからずいらっしゃいます)。
喘息は若いのに息苦しくなったり、突然激しい咳が続いたりするケースが多いので割と本人が気づきやすい一面を持っています
一方COPDは中高年の方に多く発症し、症状が徐々に進むので、息切れが強くなっても年のせいだと片付けてしまうケースが少なくありません。
また咳、痰も続くのですが、タバコを吸っている方はある意味咳、痰に慣れてしまっている側面があり、この症状も仕方がないといってやり過ごしてしまう方が非常に多いのです。

日本には現在500万人以上のCOPD患者さんがいるのではと推定されています。
しかし診断、治療をされているのはその中のわずか5%、26万人程度しかいません。

COPD患者数

ある一つの都市の検診の結果をまとめた研究があります。40歳以上の人のうち、1割の人に呼吸機能低下が見つかりましたが、その割合は女性より男性の方が、そして40代、50代、60代、70代と年齢を経るに従いその割合は増えました。
70代の男性の実に3割弱が肺機能が病的に低下していることがわかったのです。

高畠研究

そしてCOPDは、ただたばこで肺が壊れるだけの病気じゃないこともわかってきまhiた。
肺が壊れる原因としては、肺に起きる慢性的な炎症が原因といわれています。
この炎症は肺だけでなく全身で起きるようです。すると病気は肺だけでなく、他の臓器の病気も引き起こしやすくなります。
心臓病、糖尿病、骨粗鬆症、うつ病など様々な病気がCOPDに合併しやすくなることがわかっており、これらが放置されると、将来の生活の質や、場合によっては命にかかわることも少なくありません。

ですので、COPDはご自身で一日も早く気づいて、しっかりと診断をしてもらって、治療が遅れないようにすることが大切になるのです。

ではどのような状態になったら気を付けたらいいのでしょうか。

簡単に確認してみましょう。以下にいくつか当てはまる場合は相談して頂いたほうがいいと思います(実際臨床で使用されている、いくつかのCOPD診断のセルフチェックツールも参考に作ってみました)。

  普段から普段から1日の中で何回か痰が絡んで咳をする。
 毎年1年に数回は風邪をひく。
  駅の階段を上がりきったら一度休憩したい。
  それがいやだから、いつも上るときはエスカレーターやエレベーター。
 □ 同年代の方(夫、妻や友人など)と歩いたら置いて行かれる。もしくが相手が合わせてくれている。
 □ 重い荷物を運ぶのがしんどい。
 □ ゆるい坂道を休みなしで上るのがしんどい。
  10年以上タバコをすっていた。

肺が壊れる原因としては、先ほども挙げたように、タバコの煙によって起きる、肺の慢性的な炎症です。
人によってこの炎症が起きやすいか、起きにくいかで、タバコを吸っていてもCOPDになりやすいか、なりにくいかが左右される面があります。
それにもともと生まれつき肺が小さい人がCOPDになりやすいことも最近わかってきました。

COPDになりやすいか、そうでないかは人それぞれです。
あなたの知り合いがタバコを吸い続けて元気だったとしても、それがあなたに当てはまるとは限りません。

そして、今は特定健診の時期です。今までタバコを吸われていたことがある方は、健康診断でぜひ肺機能の検査も行ってみて下さい。

 

この時期、一生に二つしか持つことのできない大事な自分の肺、一度向き合ってみてみませんか?

 

投稿者: 加藤医院 院長 浅井偉信

2020.07.02更新

当院には引き続き、茅ヶ崎市内から近隣市町村、遠方の方々まで、長引く咳でお困りの多くの患者さんにご受診いただいております。
やはりコロナのこともあり、感染を心配されてご相談に見える方が多くいらっしゃいますが、咳が3週間以上続く場合や、咳が繰り返して出る場合は、その原因がウイルスや細菌などの感染よりも、他のものによる咳の可能性が増えます。

当院にお見えになる、これらの長引く咳、繰り返す咳の方のうち(正確に統計を取ったわけではありませんが私の感覚的には)5~6割が喘息によるという印象です(その他多いものとしては後鼻漏、喉頭アレルギーやアトピー咳嗽、逆流性食道炎が比較的多いように思われます)。

長引く咳は、その原因を明確な見極めることが難しい症状なのですが、喘息は基本的に気道の炎症を鎮める吸入ステロイドがよく効きます(効果がない場合は診断が間違ってたり他の疾患が合併したりする他に、吸い方が正しくない、環境が悪い、それに重症例でさらに強い治療が必要などの理由があります)。
問診や診察、検査によって喘息を強く疑った場合は吸入ステロイド薬を使用し、これの効果があればほぼ診断が確定できるというわけです。

ということで正しく診断、治療ができると症状は劇的によくなることも少なくありません。

よかったよかった・・・と言いたいところなのですが、実は喘息の治療の難しさがここに隠されています。

喘息は、慢性的な気道の炎症を吸入ステロイドで抑え続ける事が大事です。
この治療を続けていかないと気道には慢性的な炎症が残ってしまい、長期的にはますます症状のコントロールが難しくなってしまいます。

これは高血圧の方が薬を飲み続けて血圧を下げることを続けたり、コレステロールの高い方が薬を飲み続けて数値を下げることを続けたりすることにより、将来の脳梗塞、心筋梗塞などが起こるリスクを下げることと本質的には変わりがありません。

ところが喘息はしばしば症状がよくなると治療をご自身でやめてしまうことが多い代表的な疾患と言われています。

ある報告によると、喘息の患者さんで吸入ステロイド薬をしっかりと正しく継続できている方は全体の4割程度しかいなかったとされています。Tamura G, et al : Respir Med 101(9);1895-1902 
また高血圧、高脂血症の患者さんは薬を10日に平均6~7日程度は飲んでおられるのに対し、喘息の方は10日に平均2~3日程度しか使ってもらえていないという、我々からしたら何とも恐ろしいデータもあります。lnternational Review of Asthma&COPD vol13 No4 2011

なんでこうなってしまうのでしょうか。

一つには喘息の患者さんはご自身の状態を過剰評価してしまう傾向があるからとされています。
日本で行われたある電話調査では、喘息治療状態に満足している患者のうち、医師も十分に喘息症状がコントロールできていると判断した人は30%程度しかいなかったという報告がされています。アレルギー59(6)676-687.2010

一番悪かった状態よりも少し良くなると、それで満足してしまうことが多いようなのです。

また高血圧、高脂血症などのように、数字による治療目安が一般的でないことも自己管理を難しくしてしまうようです(喘息の数値による自己管理としてはピークフローという器具もあるにはあり、必要な方には当院でも導入、使用しております)。

やはり大事なのは症状が落ち着いているときにいかにしっかりと治療が続けられるか、に尽きると思います。

ただ残念ながら呼吸器科の非専門である医師の中にも、この治療の継続が重要であるという考えが浸透しているとは言えないのが現状です。
是非皆さんにはこのブログで正しい情報を知って頂ければと思います。

治療をいつまで続けるべきか、明確なお答えは現時点ではないのが現状ですが、当院では喘息の場合、吸入薬を最小限まで減らしてから1年間(すべての季節)無症状で乗り越えられたら、吸入薬の中止にトライしてみましょうとお話ししています。
また軽度の喘息の方は、シムビコートを症状のあるときだけ使用するという治療が従来の治療に遜色ないことが海外よりここ1-2年で相次いで報告されており、月に1-2回程度しか症状の生じない喘息の方にはこの治療をおすすめすることもあります(ただし、しっかりした根拠なく安易に軽症と判断しないよう、気を付けなければなりません)。

 

いずれにしてもご自身の判断で治療を止めてしまうことは避けて頂きたいと思います。

 

そしてご自身の判断で治療を止めてしまって症状が出てしまった方、遠慮なくいつでも当院にご相談ください。決して叱ったりはしませんのでご安心を(笑)

投稿者: 加藤医院 院長 浅井偉信

2020.06.22更新

世間はだいぶコロナの雰囲気から遠ざかっているようで、この週末も街や観光地はにぎわったそうです。茅ヶ崎駅から当院の面する雄三通りにかけても、ずいぶん行き交う方が増えた印象で、どこか私もホッとした気分になります
しかし東京も神奈川もまだまだコロナの陽性患者は継続的に出ており、まだまだ収束とまでは呼べないのが実情です。

先日週刊誌に掲載させていただきましたが、今回は糖尿病の方向けの情報誌に1ページ頂いて寄稿させていただきました。

糖尿病情報誌

詳しくはこちらをクリック!


内容は2月に当ブログに掲載した内容に若干手を加えたものです。
当時はこれからヤマが来るという時期であり、皆さん興味を持って読んでいただいたブログでしたが、やや気が緩みやすくなっている今、改めて皆さんにお読みいただきたい内容です。今一度、振り返ってご確認いただければ幸いです。

今回私にとってはやや畑違いの糖尿病の情報誌というメディアへの掲載となりましたが、これは言わずもがな、糖尿病の方には新型コロナの重症化リスクが高いとのことで、糖尿病患者の方に知っていただくべく出版社からご依頼を頂いたものでした。

やはりこの時期においても、特に糖尿病、高血圧、COPDなど、基礎疾患をお持ちの方は気を付ける必要があります。
そして何より一番怖いのはこれらの病気があるにもかかわらず治療していない(もしくは不十分な)方、これらの病気の傾向があるにも関わらず未治療の方、そして何よりこれらの病気の傾向がありながらも気づいていない方です。

やはりどんな元気な方でも1年に1回は健診を受けたほうがいいのです。
職場などで健診を受けているならいいのですが、そのような機会がない方は特定健診を活用してください。

健診を受けていただくことで自分の今の状態を知っておくことができ、早期に対策を打つことができればこれがコロナ第2波以降の非常に有効な対策となります。

茅ヶ崎市、寒川町では本来毎年6月~8月に行われていますが、今年はコロナ禍の影響で6月が実施されず、7月、8月と2ヶ月に短縮して行われることになっています。

 

当院では待合の座席はお互い距離を取れるように設定し、感染症が少しでも疑われる方との動線も分離しております。
先ほど挙げた寄稿のように、大事なのは飛沫を浴びないこと、手のひらを守り、顔面からウイルスが侵入してこないようにすることです。
基本的対策がなされていれば、飛沫感染、接触感染は必要以上に恐れる必要はありません。例年通り是非安心して健診を受診していただければと思います。

昨今コロナを必要以上に恐れ、慢性疾患の治療を中断する(幸い当院の患者さんはほとんど全ての方がしっかり治療を継続していただいておりますが)、健診を受けない、予防接種を受けないなど、必要な受診までもしなくなってしまっている例が多く報道されています。
自分のため、周りの方のため、コロナは正しく恐れ、是非必要な行動はしていきましょう!

投稿者: 加藤医院 院長 浅井偉信

2020.06.07更新

緊急事態宣言が解除され、茅ヶ崎市内も人通りが戻ってきているようです。
加藤医院のある茅ヶ崎駅周囲もお店が開き始めて活気が戻ってきていますが、3密っぽい環境もちらほら見かけるようです。
引き続き感染予防を続けていただくことが大事です。少しずつ日常を楽しみながらも、依然油断しないように過ごしていきましょう。

前回は高齢者の肺炎の原因、対策までお書きしました。
今回は肺炎の対策で、大きな役割を占める「予防接種」についてお話しします。どうしても長くなってしまうので、途中難しかったらそこは飛ばしてお読みください。

肺炎はその20-30%が肺炎球菌という菌が原因となることが分かっています。

肺炎球菌は、莢膜という厚い膜に覆われている菌で、攻撃性の強い菌と言われています。
この菌はその名の通り、肺炎を引き起こすことが多い菌で、特に小さな子供と高齢者にとって重症肺炎をおこるリスクが高い菌です。
また喘息、COPD、糖尿病、慢性的な心臓、腎臓、肝臓の病気を持っている方など、抵抗力の弱い方はより重症化しやすいとのデータも出ています。Shea, K. M. et al.:Open Forum Infect Dis 1(1)
加えて、肺炎球菌という名前にも関わらず、この菌は脳炎や髄膜炎、中耳炎なども引き起こすことがあり、命にかかわることも少なくありません。

これらに対し、肺炎球菌ワクチンというワクチンが存在し、上記のような方には接種をしたほうがいいと言われています。

成人の方が接種できる肺炎球菌ワクチンには、23価肺炎球菌ワクチン(ニューモバックスNP)と、13価肺炎球菌結合型ワクチン(プレベナー13)という2種類があります。(ちなみにプレベナー13は以前加山雄三がCMキャラクターを演じていました。雄三通りにある当院との相性はバッチシです(笑))

これらのワクチンは高齢者の重症肺炎球菌性感染症の発症率を減らすという報告がされています。
ここからはワクチンと免疫のちょっと難しい話をするので、説明不要な方は読み流してください。

 

「23価」肺炎球菌ワクチン「13価」肺炎球菌結合型ワクチンの「価」とは、肺炎球菌の莢膜がもっている型のことです。この型が違うと、毒性や感染性などの性質が少しずつ変わるとされており、この型は現在90種類以上あると言われています。ただこの中で我々人間に対し強い影響を示す型はいくつかに限られています。
で、23価のワクチンというのは23種類の型を、13価のワクチンというのは13種類の型をカバーするというわけです。13価ワクチンでカバーする型は、ほぼ23価ワクチンでカバーできています。

そしたら、「23価だけでいいじゃん」ということになるわけですが、ここで13価「結合型」ワクチンという「結合型」という言葉の出番です。

体の中には「B細胞」という、リンパ球の一種があり、このB細胞は外からの刺激を受けると、敵を排除するための「抗体」を作れるようになります。一つのB細胞は1種類の抗体しか作れません。
23価ワクチンは、このB細胞を直接刺激して、23種類の肺炎球菌の型の抗体を作ることを促すワクチンです。

一方、体の中にはもう一つ、「T細胞」といわれるリンパ球もあります。

T細胞にもいろいろありますが、この中のヘルパーT細胞はいわゆる「免疫の司令官」と言われており、T細胞が敵の情報を受けると、B細胞にその敵の性質、弱点などの情報を詳しく提示することができます。
するとB細胞はより的確に敵を排除するための抗体を作れるようになります。
また一度情報を教えてもらったB細胞のうちの一部は、その情報を一生記憶して体内に残り続けます(これをメモリーB細胞といいます)。これがあると次に肺炎球菌が侵入してきたときに、より早く、より多く必要なB細胞を作ることができ、すぐに抗体を大量に作ることができるようになります(これを「免疫応答」といいます)。

13価結合型ワクチンは、この「T細胞」が認識できる成分が「結合」されており、これにより「免疫応答」を導くことが出来るワクチンです(一方23価ワクチンには残念ながらこの「免疫応答」を導くことができず、時間が経つと効果がなくなってしまいます)。

肺炎球菌ワクチンの機序


簡単にまとめると、23価肺炎球菌ワクチンであるニューモバックスNPは、肺炎球菌を広くカバーできるものの効果が長続きしない特性があり、13価肺炎球菌結合型ワクチンであるプレベナー13は、カバーはそこまで広くない(それでも主要なものは大体カバーできています)ものの、その戦い方を覚えこませることで、一生効果を持続させることができるという特性があると言っていいでしょう。

で、これらはどちらかを選びましょうというわけではありません。どちらも接種したほうがいいとされています。それぞれ働きが違うので、両方を接種することで肺炎球菌に対する対策を万全にすることができます。

ただしこれらのワクチンは同時に接種することができず、一定期間開ける必要があります。
またニューモバックスNPは上記のように効果が長続きしないため、1回目接種後5年経過したら再接種することが推奨されています。
そして現在各自治体では肺炎球菌ワクチンに対する助成があり、茅ヶ崎市ではその年に満65,70,75,80,85,90,95歳、そして100歳以上になる方に対し、生涯1回目のニューモバックスNP接種時のみ助成が出て、4000円で接種可能です。
一方プレベナー13この5月に接種できる対象が広がり、対象となる方がニューモバックスNPと多少の違いがあります。

このように状況は人それぞれですので、どちらから接種したほうがいいのか、どのようなスケジュールで行ったほうがいいかは、当院など、肺炎球菌ワクチンに詳しい医師にご相談ください。

肺炎球菌ワクチン

またもう一つ、インフルエンザワクチンは肺炎球菌ワクチンと併用することで、肺炎全体の発症、肺炎球菌性肺炎の発症、侵襲性肺炎球菌感染症による入院、死亡を減らす効果が認められており、必ず毎年接種していただきたいワクチンです。
これはインフルエンザに罹患することで気管支がダメージを受けると肺炎球菌がその後から付きやすくなることで、重複感染しやすくなるためと考えられているからです。

新型コロナもおそらく同様であろうと私は思っています。新型コロナも気管支粘膜に対して作用を示しやすいウイルスです。まだ併用効果を示すデータはありませんが、接種することで新型コロナの肺炎重症化を防止できる可能性は十分にあると考えています。

 

2種類の肺炎球菌ワクチン接種を完了させるには時間が必要です。新型コロナの第2波が訪れる前に、早めに肺炎球菌ワクチンについての行動を取っていただくことを強くお勧めします!

投稿者: 加藤医院 院長 浅井偉信

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