医師ブログ

2020.02.29更新

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、色々とマスコミでも大騒ぎになっています。その中で、「PCR」というウイルスの有無を調べる検査をするべきかどうかということが多くのメディアで議論の対象になっています。
新型コロナウイルスのPCRを今どの程度行うべきかということの議論に関してはここでは述べません。が、「検査」というのは本来どのような性質を持ったもので、どのように解釈すべきなのかということを知らないと、誤った議論になってしまう危険性があります。

このことを一部のメディアは説明をしてくれてはいますが、やはりなかなか一般の方には理解が難しいのではないでしょうか。
そこで今回は、よりなじみやすい形で説明してみることにチャレンジしてみたいと思いますのでお付き合いください(あくまでここに出している数字は説明のためのものであり、架空の数字になります)。
この考えは今回の新型コロナに限らず、インフルエンザの検査や腫瘍マーカーの検査など、すべての検査に応用ができる知識です。

まず前提として、検査というものは、数値などの連続性のあるものを、一番都合のいいところで区切ってそれより大きい(もしくは小さい)ものを異常としようとするものです。
100%完璧に異常とそうでないものを見分けられる検査は存在しません(高血圧、糖尿病、高コレステロール血症など、人為的に値を区切ることで決める病気は別です)。
そして、陽性者を取り逃さないような設定をすると,陰性者を多く拾ってしまうし、陰性者をなるべく除外できるように設定をすると,陽性者を多く取り逃してしまうという、お互いトレードオフの関係があります。

検査1

今回は検査を調査に置き換えて考えてみます。
「1000人の学校の中で読書が好きな人を見つける」調査をしてみましょう。
いろいろな方法が考えられますが、今回は「所有している本の冊数を調べる」という調査方法にしてみましょう。
ここでは「読書が好きな人」が「病気を持っている人」の例え、「所有してる本」が「検査データ」の例えです(決して読書好きが病気だと言っているわけではありません、念のため)。

おそらく本好きな人は本をより多く持っているでしょう。となれば何冊以上持っていたら読書好きの可能性が高いかを決めます。
まずはそのラインを300冊にしてみましょう。結構多い冊数ですよね。読書好きじゃない人を確実に外せる可能性は高まりますが、読書好きの人を見逃す可能性が高くなります。
また10冊にするとどうでしょう。今度は読書好きの人をカウントできる可能性は極端に高まりますが、読書好きじゃない人もカウントしてしまう可能性もが同時に高まります。
ということで、間をとって50冊にするとバランスがよくなりそうなので、ここをボーダーラインとして設定することとしてみましょう。

さて、学校の中で読書が好きな人の割合はそれほど少なくないでしょう。それを60%としてみましょう。
50冊をボーダーラインと置くと、読書好きを70%の割合でカウントでき(感度70%)、読書好きじゃない人を90%の割合でカウントから外せる(特異度90%)とします。
読書好きは600人のうち、50冊の本を持っているのは600×0.7=420人持っていないのは180人です。また読書好きじゃない400人のうち、50冊持っていないのは400×0.9=360人50冊以上持っているのが40人です。
すると、50冊以上持っている420+40=460人の中で本物の読書好きは420人(正しく選べた率:陽性的中率91.3%)50冊未満しか持っていない180+360=540人の中で本当に読書好きじゃない人は360人(正しく選べた率:陰性的中率66.7%)との結果が出ました。
陰性だと読書好きではないというにはやや不安ですが、陽性なら読書好きといえる可能性はまずまず高いとは言えそうです。

ところが、これを「ゴキブリ好きな人を見つけるために、家にいるゴキブリの数を数える」としたらどうでしょう(気分を害した方、すみません・・・)
ゴキブリが好きな人って相当珍しいですよね。家にゴキブリが多くても好きで飼っている人なんてほとんどいないでしょう。でも1%くらいはそのようなマニアがいて、見つけても退治せずに共生していると仮定しましょう。
同様に例えば50匹をボーダーラインとすると、ゴキブリ好きの70%をカウントでき、ゴキブリ嫌いを90%カウントから外すことができるとしましょう(感度70%、特異度90%であり、読書好きを見つける検査と精度は同様です)。
50匹以上家にゴキブリがいる106人中、本当にゴキブリが好きな人はたった7人でした。正解率(陽性的中率)はたった6.6%であり、実に93.4%の人をカウントし間違えました。一方50匹以下しか家にゴキブリがいない993人のうち99.7%である990人は本当にゴキブリ嫌い(=陰性的中率99.7%)です。こちらはとても正確に調べられたようです。

確率2

というわけで何が言いたいかというと、その集団での有病率が極端に低いとき、つまり検査前から確率が非常に低いと予想されるときは、同じ精度の検査をしても、病気のない人を間違って陽性と出してしまう可能性が極めて高くなるのです。
ですので、その患者さんの検査前に考えられる確率によって検査結果の解釈は変えなければなりません。
例えば新型コロナの話でいえば、武漢、ダイヤモンドプリンセス、今の日本の街中で、PCR検査の考え方、検査の解釈はそれぞれ変えないといけないわけです。今の日本の街中は「ゴキブリ発見検査」に近い状況であると考えられ、コロナじゃないのに検査陽性となる人が多く出る危険性があります(もちろんダイヤモンドプリンセス同様、ある町や学校、会社などで特に流行しているなど特定の集団で有病率が変わる場合があれば、それは考慮しなければなりませんし、今後全体の有病率が高くなってくると当然状況は変わってきます)。

またより正しい検査の解釈に近づけるには、対象の人が病気である確率を高めることが出来れば、「ゴキブリ好き発見検査」の例から「読書好き発見検査」の例に近づけることが出来るようになります(これを「検査前確率」を高めるといいます)。
逆に無症状であったり、コロナウイルスとの接点がないなどの状態では「検査前確率」は低くなり、ますます偽陽性が増えてしまいます(裏を返せば、このように検査前確率を低めていけば、検査が陰性と出た場合にコロナではないと言い切ることはしやすくなります)。
この検査前確率を高めたり、低めたりする手法が「問診」であり、「診察」であり、「他の検査」であるというわけです。
検査の解釈は「検査前確率」の高さ、「感度」、「特異度」によって変えなくてはならず、いくらかの情報は必ず犠牲になります。犠牲になるはずの情報を取り入れてしまうと、解釈を誤り、かえって混乱を招く可能性をあげさえしてしまうかもしれないというわけです。

長い・・・

やはりこの話をまとめてわかりやすくお伝えするのは難しい・・・ですが、多少の理解にでもつながるきっかけになっていただければ嬉しいです。

ということで、アレルギーとせきに関しては週末中に連投で掲載する予定です!!

投稿者: 医療法人社団加藤医院

2020.02.25更新

新型コロナウイルス騒ぎがまだまだ収まらないようです。前回ブログでは今回は花粉症の続きを書こうと思っていると書きましたが、世間的にはこちらのほうが心配ごとかと思われましたので、今回は今からでも覚えていただきたい「感染対策」について書いてみようと思います。花粉症の続編については近々に再度アップしますのでお待ちください。
今回のウイルスは初期症状が普通の風邪とほとんど変わらないと言われているため、初期段階では見分けがつかず、それが世の中に大きな不安をもたらしているようです。
現時点ではまだ咳、熱があってもほとんどの場合は普通の風邪なのだとは思いますが、やはり前々回にお話ししたように普通の風邪にせよ、新型コロナにせよ、基本的には飛沫感染接触感染の予防になります。

まずは咳をしている方は、できればマスクをして、周りへの飛沫の飛散を軽減することが大事です。
マスクは当然のことながら鼻を口とを覆い、鼻部分にワイヤーの入っているタイプのマスクでは、しっかりと鼻の付け根にワイヤーを押し付けて、鼻の上のスキマをできる限り狭くします。

マスクの付け方
ただ現在はどうしてもマスクが手に入りにくいため、やむを得ずマスクなしで咳をする場合には、ティッシュやハンカチで口をおさえて咳をします。とっさの時は手のひらでなく、腕で口を押さえます。
そして周りの人はできれば2m程度の距離を取ることが望ましいです。

そして大事なのはとにかく手のひらを守ることです。
手のひらは一番モノと触れる部分であり、手のひらからモノへ、モノから手のひらへウイルスは移っていくので、「人にうつさないようにする」、「人からうつらないようにする」、これらのどちらにとっても重要なことになります。
そのためにはこまめな手洗いを行い、できる限り消毒用エタノールで消毒することが大事なのは前々回述べた通りです。

ちなみに手を洗うときに洗い残しやすい部位をお示ししてみます(私はICD:インフェクションコントロールドクターという資格を持っており、赴任先の各病院でも感染対策部門を担当していましたが、プロの医療職である職員の手洗いチェックしても、やはり多くの人に下のような傾向がみられました)。
手洗いの洗い残し

こちらのデータからは、実際にやはり手のひら以外のところは洗い残しが多い傾向があり、特に指先と指の間は残りやすいと言われています。
指先は指の腹は比較的洗いやすいのですが、がかなり洗いにくく要注意です(爪を切るのも大事です)。
また盲点になりやすいのは手のひらのくぼみの部分と、手首の部分です。ここは普段意識しないと気を付けない部分でもあると思いますのでよく気を付けて洗ってください。

手洗いの方法を載せておきます(サラヤさんの資料を引用させていただきました)

手洗いの方法

自分が接触感染の対策が出来ているかの考え方として、「手に小麦粉をまぶしたところ」を想像してもらうといいと思います。
この「小麦粉」は洗うと落ちますが、しばらくするとまた手につくものと想像してください。
この「小麦粉」が、1日のどこかで鼻や口についたらアウトです。

手の粉
たぶん私も意識していないと、家に帰ったころには顔中小麦粉だらけになっていると思います(笑)

というわけで現在当院では、発熱があるなどで感染症が疑われる方は何ヵ所かの隔離ブースにてお待ちいただくようにしております。症状のある方にはできるだけマスク、アルコール消毒剤を使用して頂くようにお願いさせていただいておりますので、ご協力をよろしくお願い致します。
ご不明な点やご心配な点がありましたら何でもご相談ください。

投稿者: 医療法人社団加藤医院

2020.02.11更新

ここ数日は冬らしい寒さになっていますが、それでも少しずつ花粉が飛び始め、症状を訴えられる患者さんも当院にお見えになるようになってきました。来週あたりからは気温も上昇し、本格的にスギ、ヒノキの花粉が飛散しそうです。

人間の体には異物を除去するための免疫機能が備わっています。
このうち、免疫グロブリンという、血「液」や体「液」の中にある武器を利用して異物を除去する免疫を「液性免疫」と言います。
この免疫グロブリンにも種類があり、通常は体にとって有益な仕事をしてくれます。

ところが、IgEとよばれる免疫グロブリンはちょっと困った免疫グロブリンで、これを使った免疫反応が起きてしまうと、体には起こってほしくない反応が起こってしまいます。これがアレルギー(正しくはⅠ型アレルギー)症状です。

花粉症は簡単に説明すると、体にとっての異物である花粉を排除しようとしたときに、残念ながら有害なタイプのIgEによる免疫反応が起こってしまうことで起きます。
花粉症の方は、このIgEによる免疫反応が起こりやすい体質を持った方と言えます。

ですので、治療としてはこの有害反応を起こりづらくして、症状を抑えることが目的になります。
まずは花粉を寄せ付けない対策(つるつるした生地の服の着用、帽子やマスク・めがねの使用、帰ったら玄関で花粉を落とす、家の窓を開けすぎない、など)が大事です。また薬による治療ですが、症状が出てから始めるよりも、シーズン開始の2週間くらい前から始めたほうが効果的ともいわれています。

花粉症の治療は、まずは抗ヒスタミン薬と呼ばれるタイプの抗アレルギー薬が使われます。この薬も近年さまざまな特色を持った薬剤が出てきているので、症状や体質、その方の生活や体質に合った薬剤を使用することで効果的な治療が可能になってきています。
また鼻づまり(=鼻の粘膜のむくみ)に関しては、これを引き起こすロイコトリエンという物質を抑える、抗ヒスタミン薬とは違った抗アレルギー薬(ロイコトリエン受容体拮抗薬)の飲み薬が有効です。
さらには鼻の粘膜に直接効かせる点鼻薬(点鼻ステロイド薬や、場合によっては短期間の点鼻血管収縮薬)も有効となってきます。
一方眼に対しても抗アレルギー点眼薬、症状が強いときはステロイド点眼薬などを用いて症状を抑えます。
また別の観点から、漢方による症状の緩和もかなり有効とのデータが集まってきているようです。

花粉症の症状があると、仕事の効率が落ちたり、睡眠がとりにくくなって疲れやすくなったりと、日常生活に与える影響が大きくなります。なのでガマンしてもあまりいいことはなく、しっかりとアレルギーに詳しい医療機関(内科や耳鼻科、眼科など)で診てもらって症状をコントロールしたほうがいいと思います(し、患者でもある私は実感しています)。

それと!実は花粉症に代表されるこれらのアレルギー反応が、近年咳にも大きく関与していることがわかってきました。次回はそのお話をしようと思います。

投稿者: 医療法人社団加藤医院

2020.01.27更新

さて,世間では新型コロナウイルスが連日トップニュースとして扱われています.


コロナウイルスは多くの種類があり,我々の周りにも多くいる,いわゆる「かぜ」のウイルスの一つです.
通常人間にかかるコロナウイルスはそれ程強毒性を持っていないのですが,動物の間でかかるウイルスの中に,人間にかかると強毒性を持つウイルスがいます.このウイルスに変異が起こり,人間に感染できるようになると問題になることがあります.
この類の変異ウイルスはここ最近数年おきに現れており.2002年にはSARS(重症急性呼吸器症候群),2012年にはMARS(中東呼吸器症候群)が現れています.


そして今回の新型コロナウイルスです.まだその感染性や強毒性については定まった評価はされていませんが.少なくとも60歳以上と比較的高齢であり,高血圧,糖尿病などの持病のある方には重症化しやすい傾向があるようです.
これは実は他のウイルスによる風邪も同様の傾向であり,これだけの情報ではこのウイルスの危険度は判断出来ません.
ただ本来元気なはずの医療者が死亡したという報告も出ているようであり,変異を重ねて強毒化,感染性強化が起きている可能性,または今後起きてしまう可能性は十分にあります.
やはり注意深く最新の情報を信頼できる情報先から手に入れて,冷静に見極めることが必要になると思います.

 

で,我々が今何ができるかということですが,結局のところこのウイルスは他の風邪やインフルエンザのウイルスと同様,飛沫感染(せきやくしゃみによってその飛沫の中に含まれるウイルスが相手の粘膜にくっつくことで感染する)や、接触感染(患者の手から直接,もしくは触ったものから相手の手にウイルスがうつり,それが鼻や口の粘膜に付着する)であり,空気感染(同じ空間にいるだけでウイルスが漂い感染する)は起きません.
すると対策としては,正しい知識でこれらに対する感染対策を行うこととなります.
具体的には,人にうつさないようにすること:つまり咳をしている人がマスクをすること,それから人からうつされないようにすること:つまり手洗い,手指消毒をシッカリとすることになります.
手指消毒は非常に大事で,家に帰ったら30秒かけて手と指,手首まで洗うと効果的と言われています.またアルコール消毒はウイルスを著しく減少させる効果がありオススメです.

なお,現在では通常のマスクをすることによってウイルス感染を予防することは難しいといわれています(いくつかの研究で,マスクをした群とそうでない群にインフルエンザなどの感染率の差がなかったとの報告がでています).
手で顔を触ることで,手についたウイルスが鼻や口の粘膜から侵入してしまうことがあり,これを防ぐ効果はあるかもしれないとも言われていますが,やはりまずは手をきれいに保つことが何よりも大事なようです.

なのでマスクはしてもいいとは思いますが,過信はしないようにしましょう.


他にもせきをしている人から離れる,部屋の温度,湿度を適度に保つ(乾燥しすぎないようにする),しっかり栄養と睡眠をとって体力を温存するなど,今まで当たり前と思われていたことを律儀に行うことが大切なようです.

 

今後も新しい情報があればこのブログでも書いてみたいと思います.

投稿者: 医療法人社団加藤医院

2020.01.12更新

(ちょっと遅いですが)あけましておめでとうございます。本年も加藤医院をどうぞよろしくお願いいたします!


加藤医院は来週模様替えを行う予定です。
具体的には、透視用レントゲンを撤去し、空いたスペースが新しい内視鏡室になる予定です。その他さまざまな配置換えも予定しています。
それに向けて現在徐々に下準備をしており、診療時間中も若干バタバタしているかもしれません。ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願い致します。
また完成したらブログ内でも紹介してみたいと思います。

 

さて話は変わりますが、当院はせき、息切れなど呼吸器の症状の診療に力を入れております。長く続くせき、息切れにはぜんそく、COPDが潜んでいることが少なくありません。

以前も書いた通り、ぜんそく、COPDには吸入薬が大事な役割を果たしています。
吸入薬というお薬は、他の飲み薬と比べて大きく違う点があります。
通常飲み薬は(処方の仕方が間違ってない限り)飲めば基本的には体のなかに取り込まれます。
ところが吸入薬は、その吸入器を正しく使えなければ薬が全く肺に入ってきません・・・
せっかく薬を使っても体にしっかりと入らなければ全く効果がないわけで、私はここが吸入治療の一番難しいところと考えています。

吸入薬はここ最近新しい薬が続々と登場しており、吸入器も各メーカーがいろいろと工夫を凝らしています。そのためその使い分けは近年とても複雑になっています。

吸入薬一覧


吸入器にはそれぞれに長所があるのですが、もちろん短所もあり、これらを患者さんが理解することで吸入治療は初めてうまく行うことが出来ます。
ですので吸入薬は、ただ処方してもらうだけではダメで、しっかりと使用方法の指導を受けることが大事だとされているのです。
そこで当院では新しく吸入薬を処方する方に、必ず一度は私自身、もしくは薬局の薬剤師から吸入の正しいやり方をお伝えし、私たちの前で実際にご自身で吸入をやってみてもらうことにしています(人は教わるとき、ただ聞くよりも実際に見たほうが、人のを見るよりも自分がやってみたほうが記憶に残るとされています)。そして薬局の薬剤師に依頼した場合は、必ずその指導の結果を当院にフィードバックしてもらう体制を作っています。
また今まで使っていた方にも当院にいらっしゃった際には、一度正しく使えているか確認させていただくことにしています(私の印象では、正しい使い方をお伝えする前から正しく吸入薬が使用できている方は、2割にも届かないのではという印象を持っています)。
と同時に患者さんの病態や吸入手技の得手不得手に応じて適宜吸入薬の種類、用量を変更、調整するようにしています。

当院を受診された方は、指導の細かさにはじめはちょっとびっくりされる方もいらっしゃいますが、せっかく使う薬ですので、是非私たちと一緒にその効果を最大限に引き出して治療していきましょう!
そのうちそれぞれのお薬についての、私が考える特徴、注意点なんかも少しずつ書いてみようかな、と思っています。

投稿者: 医療法人社団加藤医院

2019.12.31更新

皆様年の瀬をいかがお過ごしでしょうか。

 

今年の加藤医院は、私が4月から院長として赴任し、医院にとっても私にとっても大きな変化があった一年でした。

しばらくは私もスタッフも新しい環境に慣れず、色々と患者さんにはご迷惑をお掛けしたかと思います。

最近はようやく我々もスムーズに診察することができるようになり、最近は今までいらして頂いた患者さんに加え、咳やアレルギー、なかなか他院で治らないぜんそくの方など、新しくお見えになる患者さんも数多くいらして頂いております。そのため待ち時間が長くなってしまう日もありますが、なるべく待ち時間が減らせるように診療体制を工夫するなどスタッフ一同努力してまいります。

という訳で、来年は年明け早々にクリニックの模様替えを計画しております。新しい診療体制に合った導線を確保し、今以上に患者さんにご満足いただける加藤医院にしていければと考えております。

 

2020年もどうぞよろしくお願いします。

 

ちなみにインフルエンザワクチンはまだ若干の残りがありますが。かなり少なくなってきております。年明けからはご予約いただいた上で火曜と土曜のみの接種とさせていただきます。

 

おそらくもう2〜3週間で流行のピークが来そうです。打ちそびれた方、受験対策などで対策が必要な方などはお早めに!

 

投稿者: 医療法人社団加藤医院

2019.12.16更新

今週土曜日、院長はお休みをいただき、横浜で行われた日本アレルギー学会総合アレルギー講習会に出席させていただきました。
今まで何度も出席している会でしたが、プライマリケア医となってからは初めての出席であり、あえて主に内科以外の分野(耳鼻科、皮膚科、小児科など)を勉強して参りました。とは言ってもどれも内科診療ともいろんな面でつながってくる分野です(アレルギーは体全体に起こる反応なので)。アレルギー専門医としての診療の幅を広げるいい機会となりました。

ところで今回は当院で行っている自由診療についてお話ししようと思います。
当院では自由診療として、点滴療法を数種類行っています。
具体的には高濃度ビタミンC療法、グルタチオン点滴、マイヤーズカクテル、ニンニク注射などです。
これらは体力改善、美容目的の他に、病気による症状の改善などの効果も謳われているとされています。例えばグルタチオン点滴には、パーキンソン病患者さんの症状改善が期待できるとされており、実際に当院でも症状の改善を認めた方がいらっしゃいます(点滴治療については、詳しくは自費診療のページをご覧ください)。

しかし、これらの治療には、質の高い臨床試験による効果の証明がされていないというのも事実です。臨床試験が行われないのにはいろいろ理由もあるようなのですが、私は医療者として、客観的なデータを基にした治療法の選択をしなければならないと思っています。そのような点からは、やはりこれらの治療法の根拠は少し物足りないと言わざるを得ないとも考えています。
ただ、データがない=効果がない、とも言えないのかもしれません。
まず、疲労回復や美容効果というものは、その効果が客観的な尺度で測れないのでそもそも評価が難しいです(疲労度合いや肌の状態を、数値で表すことは難しいのです)。それに症状の改善効果にしてもデータが少なく、必ずしも信用には足らないのかもしれませんが、例えば一部の患者さんにしかその治療が効かなかったとしても、その効いた一部の患者さんにとってはとてもありがたい治療となるわけです。
クリニックとして患者さんにとってのベストを考えるのであれば、自由診療を治療法の選択肢の一つとしてご提示できることも必要なことなのかな、って考えています。

とはいっても根拠の少ない治療法を行うからには、その治療を行う妥当性を少しでも高めないといけません(これを怠ると、昨今マスコミやネットで騒がれるトンデモ医療に近づいてしまうと思いますし、それは患者さん側のデメリットになるだけでなく、我々提供者側の信頼を失うという意味で医療者側の大きなデメリットにもなってしまいます)。

ということで、この数か月間は自由診療についての当院の新たなスタンスを考えていました。
そして以下の結論に至りましたので、ここでお話しさせていただきます。

自由診療による治療効果は、ご本人がその効果に納得されるかどうかで続けるかどうかを決めていただくべきと考えます。ですので、
① いくつかの治療では、まず数回、ほぼ当院には利益の出ない料金でお試しいただくこととしました。そこで治療効果を実感したり、続けてみたいと思われた方に、通常料金での治療の継続をさせて頂くこととします。
② そのため、治療効果がなさそうだとこちらから判断させていただいた方は、中止を含めたご提案をさせて頂くこととしました。
③ 大変申し訳ありませんが、現時点では、がんに関しての新規の自由診療受付は終了させていただくことといたしました。

③ に関してですが、やはりがんというのは治療の方法、タイミングを誤ると、そのまま命に係わってしまう病気です。がんには標準治療というものが存在し、基本的には標準治療が最適な治療法です。ですのでがんの患者さんにはまず適切な時期に標準治療を受けていただきたいと思うこと、そしてがんに関する自由診療の存在は、標準治療を選ぶことに対するノイズになりえることという、2つの理由からです。

というわけで、2020年1月から料金体系、診療体系を見直させていただくことと致しました。保険診療による治療を主体としつつも、その効果が十分でない場合は、日常生活の質を上げる道具として、病気の治療に対する選択肢の一つとして、自由診療による治療もご検討ください。

投稿者: 医療法人社団加藤医院

2019.12.03更新

本日から当院のブロガー兼事務、もとい事務兼ブロガーの深田おねえさんが加藤医院に帰ってきました。

まだ病み上がりですのでゆっくり仕事をしてもらっています。皆様やさしく見守ってあげてください。

 

さて、インフルエンザがだいぶ流行り始めています。

神奈川県も注意報レベルの流行をすでに起こしている地域が出てきており、当院でもインフルエンザの患者さんがお見えになるようになってきました。

前回は抗インフルエンザ薬についてお話ししましたが、今回は抗インフルエンザ薬以外の治療についてのお話しです。

 

それは何かというと・・・漢方薬です。


で、漢方薬とは何かというところから簡単に。


漢方薬は数千年の歴史の上に成り立っている薬剤です。

当然昔は病気の原因というのはよくわからないことがほとんどでした。ですので漢方治療というのは、長年の経験で「このような状態、このような症状にはこれらの生薬を煎じて飲ませたら効く」というのが見出されて確立してきた治療法です。

これは病気の原因に対して、その原因に対処しようとする西洋医学(つまり現在の主要な医学)と根本的に違うところです。

例えば、麻黄湯というよくインフルエンザ感染症に使われる漢方があります。

でも麻黄湯は「インフルエンザウイルスに対して」効く薬ではありません。麻黄湯は簡単に言うと、「高い熱があって、頭や体の節々が痛く、寒気がする、汗の出ない 状態 」の人に対して効く薬です。

これがインフルエンザ感染症の症状とよく合致するために多く使われるのです。


漢方の強みは、このような症状があってもインフルエンザと断定できない場合、それでも効くということです。

仮にインフルエンザでなければ抗インフルエンザ薬は(ターゲットとなるインフルエンザウイルスがいないため)当然効きません。一方麻黄湯は症状さえ合っていれば他のウイルスによる風邪でも効くというわけです(ということは当然インフルエンザ感染症であっても、症状が上のような典型的なものでなければ効きにくいということも言えます)。


インフルエンザの検査は、実は完璧なものではありません。

検査が陽性ならほとんどビンゴなのですが、インフルエンザの患者さんの40%近くを検査陰性として見逃してしまう検査でもあります。

そう考えると、実際にインフルエンザ感染症かどうかわからなくても効く漢方治療は、なかなか使い勝手のいい治療法なのではないかと私は思っています。

また前回お話ししたように、抗インフルエンザ薬にも耐性や副作用の欠点があり、必ずしも抗インフルエンザ薬を使わなければならないわけではない人には、ぜひ検討していただきたい治療です(数は少ないながらも抗インフルエンザ薬と比べて麻黄湯が同等以上の効果を示したという報告も出ています Journal of Infection and Chemotherapy 2012:18; 534-543)

もちろん漢方より抗インフルエンザ薬を使ったほうが好ましい場合も多々あり、味の好みの問題などもありますので、当院では患者さんの状態に応じて適宜使い分けていくこととしています。

 

最後にお知らせです。

インフルエンザ予防接種のワクチンの在庫が徐々に少なくなってきました。

まだ現在は予約なしで受けていただけますが、さらに在庫が少なくなり次第、先着の予約制に切り替えさせていただく予定です。

今のペースですと、おそらく年末年始には本格的な流行期が来ると予想されます。

ワクチン接種は本人だけでなく周りの方のためでもあります。まだの方はぜひ早めの接種をお願いします!

投稿者: 医療法人社団加藤医院

2019.11.21更新

速報:当院のブロガー(兼受付)の深田さんがようやく退院されました!入院生活お疲れさまでした!

さて、今回は私の抗インフルエンザ薬についての考えを少しだけお話ししてみたいと思います。
まずインフルエンザの治療の主役は抗インフルエンザ薬ではなく、休息、水分補給です。ウイルス感染症は基本、体に備わる免疫で排除するものです。抗インフルエンザ薬を飲みながら仕事や学校に行くなど、体に負担をかけることはできるだけやめましょう。また健常者の軽症例では発熱から丸2日以上たったら抗インフルエンザ薬は効果はありません(重症例では別です)。


さて本題に移ります。
抗インフルエンザ薬として最初に出てきたのはタミフルでした。タミフル5日間内服する薬で、感染後早期に開始すると、約半日~1日程度解熱を早めることが出来ることがわかっています。

一方デメリットとしてタミフル耐性ウイルスの存在を考える必要があり(新型インフルエンザ騒動の前年には、流行したほぼすべてのインフルエンザがタミフル耐性だったこともありました)、また5%程度の確率で腹痛や下痢が起こることがあります。


次にリレンザです。こちらは5日間吸入治療をする薬で、タミフルと比較し、耐性ウイルスがほとんどないといわれています。B型に対しては効果が高いとの報告もあります。吸入がしっかりとできるかが大事な点です。


一方イナビル1日だけ吸入治療を行えばいい薬です。こちらも耐性ウイルスはほとんどないといわれています。

ただ、主に日本人が多く含まれていた国際試験で、「タミフルを使用した群」と比べて効果は劣っていないとの結果は出ていますが、「使用しなかった群」との試験は行われておらず、実は「使用しなかった場合と比べて」有効かどうかは保証されてはいません(欧米主導で行われた試験では、イナビルを使用しなかった時と比べて効果がなかったとの試験結果があり、発売されていません)。


点滴薬であるラピアクタですが、効果は他剤と比べて優れているという結果が出ているわけではありません(劣っていないとの結果だけです)。

 

これらの薬剤使用に関し、重症化予防に関してはいくつか見解があり、効果があるとの見方とそれほどないとの見方がありますが、ただやはり重症化しやすい方への投与は推奨されます。
成人の方については、65歳以上の方や基礎疾患をお持ちの方、妊婦の方は投与をしたほうがいいです。そうでない場合、メリットとデメリットの差が少ないので投与すべきかは個々の判断となります。

 

使用する場合やはり基本薬は、一番データの多いタミフルだと私は思っています(昨年からジェネリックも使用できるようになり、一番安価でもあります)。
1日で治療が完結するメリットが多いと考えられる場合は(有効性を示すデータは心もとないですが)イナビルも一応選択肢です。
ただ1日で終わることのデメリットは副作用が出た時にはどうしようもないということです。5日間投与する薬ならその時点でやめればいいのですから。それに喘息をお持ちの方であれば吸入薬であるイナビル、リレンザは念のため避けたほうがいいようです(気道を刺激する可能性があるため)。
ラピアクタはかなり高価ですし、上記の理由から、内服や吸入が不可能な方のみに使っています。


一方昨年発売され、大々的にマスコミでも取り上げられた、1回だけの内服で治療が終わるゾフルーザです。
この薬剤も症状改善、ウイルス排泄量の減少が報告され、新薬にも関わらず昨年はかなり大きなシェアを取る薬になりました。
ただ新薬というのは未知の副作用という大きな懸念があります。他にも新薬としての懸念点があったため私は昨シーズン、在籍していた市立病院で1年間様子を見ることにしてみました(当時院内感染制御も兼務していたため、院内では成人に関してはひとまず第一優先の薬剤としては勧めない方針としていました)。
結果、シーズン後半から薬剤の耐性ウイルスが多く検出されたという報告が上がってきました(タミフルの耐性の頻度より明らかに多い頻度でした)。
この薬剤は今までの薬剤と全く違う仕組みを持ちます。今までの薬が、感染した細胞からウイルスが新たに放出されるのを防ぐ薬剤なのに対し、ゾフルーザはウイルスが細胞内で増殖するのを抑える薬です。そのためタミフルの耐性とゾフルーザの耐性は別のものと考えられています。
ゾフルーザは使いどころを間違えなければ効果の高いいい薬だと思います。だからこそ大事に使って耐性のリスクを減らさないといけません。私はリスクのより高い方や、他の薬で無効だった方に使うべき薬と考えています(決して1回飲むだけで楽だからという理由だけでは処方してはいけないのではと思っています)。

このようにいろいろとある抗インフルエンザ薬ですが、実はインフルエンザにはもう一つの有効な対処法があります。それを次回お話ししようかと思います。

 

あと私事ですが、昨日晴れて40代の仲間入りをしました。うれしいのかどうかはよくわかりませんが、30代に居残るジムチョーはサヨナラと言い放ち、周りで聞いていた他のお姉さま達からはヒンシュク買ってましたw

ケーキ

 

40代の院長も引き続きよろしくお願いします。

投稿者: 医療法人社団加藤医院

2019.11.18更新

厚労省による集計で、各医療機関からのインフルエンザ患者の報告が平均1週間に1人を超えると、全国的にインフルエンザの流行が始まったと判断されます。
この数字がいよいよ先週1.03人と1人を上回ったため、全国的な流行開始が宣言されました(神奈川県は1.11人/1医療機関)。
今年はやはり例年より早く、おそらく12月には本格的な流行になると思われます。ワクチンはできるだけ今月中の接種をおすすめします。

さて今日はインフルエンザの治療薬の話です。
おととしまで、抗インフルエンザ薬としては5日間内服する「タミフル」、5日間吸入する「リレンザ」、1回だけ吸入する「イナビル」、それに注射薬である「ラピアクタ」の4種類の薬剤が出ていました。そこに昨年、1回内服するだけで今までの抗インフルエンザ薬に劣らない効果を示すという新薬である「ゾフルーザ」が発売され、マスコミに取り上げられたこともあり、多く処方されました。


で、まずそもそもが「本当に抗インフルエンザ薬って必要なの?」って話です。


インフルエンザは最近現れた病気ではなく、以前からあった病気です。一方、抗インフルエンザ薬はまだ出てから20年しか経っていません。
では20年以上前は社会に深刻な影響を与えていた病気かというとそういうわけではなく、おそらくは「熱が高い風邪」として扱われていただけでした。

つまり人類にとって絶対に欠かせない薬、というわけではないのです。しかも風邪薬よりははるかに高価です。なので欧米では抗インフルエンザ薬が処方されるケースはそう多くないそうです(日本と異なる医療保険制度も大きく影響していると思われます)。

ただ、10年前の新型インフルエンザ騒ぎの時、他国では多くの重症患者、死者を出したにも関わらず、日本では他国より重症化率、死亡率は著しく低かったと報告されています(いつものインフルエンザと同じくらいの状態だった)。
実はこれは、抗インフルエンザ薬を他の国よりも積極的に使う国内事情も影響したのではないかとも言われています。

そういう意味では、抗インフルエンザ薬というのもまったく意味がないわけではなさそうで、私はここにこの薬を使う一番の意義があると考えています(もちろん症状を早く良くしてさしあげる、ということも確かに大事なのではありますが)。
一見似ているような、それでいて何種類もある抗インフルエンザ薬ですが、私はやはりプロである医師が、根拠をもってしっかりと使い分けなければいけないんじゃないかと考えています。それにはこの視点がブレないことが大事だと思っています。

では当院ではどのように考えているか、どの点に注意しているか。それはまた次回ご紹介したいと思います(長くなりそうだし、もう眠いんで・・・)。

投稿者: 医療法人社団加藤医院

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