医師ブログ

2022.05.09更新

「茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック」として新しい船出をしてから1ヶ月、おかげさまで少しずつ新名称にも慣れてきました。

当初はスタッフの言いまつがいもありましたが、最近は新名称がスムーズに出てくる様になっています。


直接電話応対をすることの少ない私が、実は一番慣れてません(笑)

 

また4月から髙倉先生の循環器専門外来が開始し、おかげさまでこの1ヶ月で、すでに多くの患者さんにご来院いただいております。

この時期、花粉症から始まった長引く咳など、咳のなかなか治らない多くの患者さんにもご来院いただいており、それは医師冥利につきますが、いよいよ院内の待合スペースに限界が来つつあります。

 

そこで今回、GWを利用して、少しだけ待合室を拡充する工事をしました。

 

入口のスロープを少し狭めて(車椅子も通れる十分なスペースは残しています)ベンチを下げ、できたスペースにテーブルでお待ちいただける待合スペースを増設しました。

玄関改装

よしできた!工事が終わってホッとしていたのですが、

 

「椅子、ないじゃん・・・」

 

スペースを作ることばっかり目を向けて、椅子を買うことを忘れてました(๑´ڡ`๑)テヘペロ♡

とりあえず院内にあるパイプ椅子をかき集めて何とか3席確保しました(あとでちゃんとした椅子、買います!)。

入口改装

このスペースでの飲食はできませんが、本を読んだり、書き物をしたり、PCなどを使って作業することもできたりするスペースです。なるべく待ち時間を少なくできるように努力しますが、貴重なお時間をお使いいただくスペースとして是非ご活用ください!

 


さて、スギ、ヒノキの花粉症の方も、ようやく症状のピークを超え、今年も一般的な花粉症シーズンは終わりを迎えつつあります。

しかし、中にはこれからの季節も花粉症シーズンが続く方がいらっしゃいます。

そして、実はこの時期に合わせて、果物などの食物を食べると口の中が痒くなったり、じんましんが出てきたりする「食物アレルギー」の症状が出てくる方がいらっしゃいます。

 

実は、一部の食物アレルギーの方には、ある花粉症と関連がある場合があります。

 

例えば、バラ科の果物、例えばモモやビワ、さくらんぼ、苺、りんご、梨など、それに豆類特に豆乳では強く出やすく、アナフィラキシーまで起こる可能性があり要注意!、ヘーゼルナッツ、セロリやニンジンなどで、喉や口のかゆみなどの症状が出たりする方の中に、カバノキ科(ハンノキ、シラカバなど)の花粉症がある方がいらっしゃいます。

この花粉には、「PR-10」というタンパク質が含まれているのですが、このタンパク質へのアレルギーを持っていると花粉症を発症します。

そして、先に挙げた食べ物にも、この「PR-10」というタンパク質が含まれているため、アレルギー症状を起こしてしまうのです。

そして、この花粉症の時期が4〜6月、つまり今頃であり、この時期に食物アレルギー反応の症状が出やすくなることも知られています。


また、ブタクサ、ヨモギ、イネ科の花粉症の方も、同様に花粉に含まれる、「プロフィリン」というタンパク質に対するアレルギーを持っている場合、ウリ科の果物など、例えばメロンやスイカ、カボチャ、きゅうりなど、それに柑橘系の果物、トマト、バナナなどにも含まれる「プロフィリン」にも反応をしてしまい、アレルギー症状を起こしてしまう例も知られています。

これらの花粉は初夏〜秋がシーズンなので、こちらもこれから気をつけるべき季節となります。

その他にも、スギやヒノキの花粉症に関連したバラ科や柑橘系果物、梅干しなどの食物アレルギーなども知られており、これらは「花粉-食物アレルギー症候群」と呼ばれ、症状をコントロールするには、花粉症の治療も正しくしっかりと行うことが大事になります。

 

 


またゴム製品に対してのアレルギー(ゴム手袋をしていると手が赤くなったり腫れたりするといったエピソードが多いです)があると、食物(特にバナナ、栗、桃、キウイ、パパイア、パイナップルなどの果物やアボカドが代表的です)アレルギーを発症してしまう「ラテックス-フルーツ症候群」という病態があったりもします。

 

これらはいずれも、一見関係なさそうな2つの症状が関係しあっている、知らないと気付かない病態です。


食物アレルギーといえば子供の方が圧倒的に多く、一般的には小児科で取り扱われることが多い病気なのですが、実は上に挙げたような病態は大人特有のものなのです。

大人の食物アレルギーを診断、治療できる医療機関が非常に少ないため、何年も原因不明として扱われてしまい、生活の質が低下したまま長年が経過するケースも少なくありません。

このような症状は、やはりアレルギー専門医にご相談されると、花粉症ともどもうまく治療できると思います(鼻の中を見たり、処置までできたりするという意味では、食物アレルギーにも非常に精通している耳鼻科の先生がベストかもしれませんが、耳鼻科的な処置までは必要なく、薬だけでよくできる程度であれば、我々の様な内科のアレルギー専門医でも大丈夫だと思います)。

手前味噌ですが、当院でも今後皮膚アレルギーテストの導入を予定しており、採血だけではわからないアレルギーの原因をより見極めることができるようになる予定です。


アレルギー診療は、原因の見極めや薬の選択、さじ加減、それに正しい薬の使い方や生活面での指導など、診療の質の違いが結果の差になって現れます。

 

なんか治りがイマイチだなあ・・・と感じる時は、是非アレルギー専門医の受診をお考えになってみてください!

 

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2022.04.20更新

当院は、2月から花粉症の患者さんが増え始め、それに伴いこの時期から咳が止まらなくなった方がこの3~4月ごろに多くご来院頂きます。

この時期から出る咳は、やはり花粉症と関連をしている咳の割合が非常に高くなります。

そのような咳の原因としては、のどの粘膜や気管にアレルギー反応が起こる喉頭アレルギーアトピー咳嗽(ちなみに「気管」は、のどから、左右に気管支として分かれるところまでを指します)、アレルギー性鼻炎副鼻腔炎、それによる後鼻漏などなど、様々な原因が考えられています。

しかし、やはり私の印象では、この時期の咳は喘息が原因であることが一番多いように感じます。

以前のブログでお伝えしたように、花粉症などのアレルギー性鼻炎と喘息には、密接な関係があります。

鼻と気管支はよく見ると1本の管としてつながっており、鼻のアレルギーがあるときに、気管支でも同様にアレルギー反応が起こることはよくあることです。

また、この時期に長引く咳で来院される方は、いままで他の病院で治療を受けたものの改善しなかったために来院される方が多く、当院で初めて喘息と診断される方の割合が非常に大きな気がします。

当然そのように診断された方は、ステロイドの吸入薬がよく効くため、次に来院されたときは症状が良くなっている方がほとんどです(よくならなかった場合は、診断が間違ってしまったか、診断はあっていたものの他の要因が重なっていたというケースで、この場合は更なる検査や治療の追加を必要とすることが多いです)。

こちらにもお書きした通り、喘息の場合は、その治療をある程度長く続けていかなければなりません。が、症状が良くなったあと、多くの方が私の目の前から消えてしまいます。

そしてしばらく経ち、症状がぶり返した後に再度お目にかかれることが多いのです(もちろん一度止めてしまって悪化してしまった方、私はそんなことで怒ったりなぞしませんので、気兼ねなくご相談ください!)。

という訳で、このような方に喘息の治療を続けてもらうことの重要性をよりご理解いただくために、いままで落書きしかしたことのなかったiPadで、初めて絵をかいてみました(クリニックのサイネージでもお出ししていますので、ご興味のある方は是非どうぞ!)。

さて、喘息では、その「体質」により、気管支に慢性的な炎症がおきています。

そこで今回は気管支を草原、炎症を火で表現してみます。

 

まず草原である気管支では、慢性的に「種火」がくすぶっています。

喘息1

これは「体質」ですので、なかなか改善することは出来ません。

しかしこの状態では大火事(=強い炎症)は起こっていないので、強い症状は感じません。
が、火が少し大きくなったり、また小さくなったりすることで、時に咳などの症状が出てきたり、また治まったりすることもあります。

これが、日照りや強い風が吹くなど、「ある出来事」をきっかけとして急に燃え広がることがあります。
この状態はいわゆる「発作」の状態です。
喘息でのこの「ある出来事」とは、風邪などの感染症、気候(台風や季節の変わり目など)、アレルギー、温度差、ストレスなど、さまざまです(そしてこれを「トリガー(=引き金)」と呼びます)。

喘息2

この状態になると消火活動が必要になりますので、消防士がやってきて水をかけます。

これが喘息でいう「吸入ステロイド薬」になります。
吸入ステロイド薬は、炎症である炎に水をかけ、消火、つまり炎症を抑える作用をします。

喘息3

水をかけ続けたことで、ようやく火の勢いは収まりました。

もちろんあたりは水浸しです。

喘息4

この状態で、水をかけることを止めてしまった場合でも、火はすぐには広がらないことも少なくありません。
落ち着いたと思って吸入ステロイドを一度止めてみても、すぐには症状が悪化しないことも珍しくはないのです。

しかし喘息では、種火は常に残っている状態です(先ほども述べたようにこれは「体質」なので、なかなか根本的に種火を取り去るのは難しい問題です)。

ではこの状態でこのまま放置するとどうでしょう・・・

喘息5

徐々に水が乾いてきました。だんだんと再度燃え広がってしまう条件がそろってきます。

そして・・・

喘息6

あーあ、また「トリガー」をきっかけに、乾いた草原に火が燃え広がってしまいました。

大きく燃え広がると、なかなか消火にも時間がかかる状態となります。
症状が出てしまってからでは遅いのです。

ではどうしたらいいのでしょう??

喘息7

カンのいい方ならお気づきかと思います。

種火にずっと水をかけ続ければいいのです。

喘息
そうすれば、火を直接抑えるだけでなく、周りへの延焼を防ぎ、大きな火事になることを防ぐこともできるわけです。


さて、ここで振り返ってみましょう。

4番目の絵のように、びしょ濡れの原っぱではすぐに火が燃え広がらないように、吸入をやめても、すぐには悪くならないことは珍しくありません。
これは一見いいことにも思えますが、実はこの時に、患者さんは喘息が「治った」と勘違いをしてしまいがちになるのです。

ところが実際は常に消えない種火があるので、「治って」はいません。
「落ち着いて」いるだけです。

患者さんはこのことに気づけないと、症状が悪化したら治療を行い、良くなったらやめてしまうという無限ループに陥ってしまうことになります。

さらに悪いことに、何度も症状の悪化(つまり延焼)を繰り返していると、草原は黒こげとなり、焼け野原になってしまい、元の草原に戻らなくなってしまいます。

気道でも同じことが起きえます。気道も炎症を繰り返すと元に戻らなくなり、症状が治りにくくなってしまいます。

焼け野原にしないためにも、種火が常にある草原には、常に消火用水をかけ続けたほうがいいというわけです。

しかし、吸入ステロイド薬もいいことばかりではありません。

もちろん非常に治療には有効な薬なのですが、不必要に使用すると、口の中が荒れたり、声が枯れたりすることが増えます(ステロイドと聞くと、もっとひどい副作用を想像される方も多いですが、吸入ステロイド薬においては、全身に薬が回るわけではないのでこの点はあまり心配はいりません。その理由はまたいずれ書いてみます)。
もちろん続けることでお金も手間もかかります。

そこで我々喘息治療医は、できるだけ少ない薬で、種火を広がらせないギリギリのラインを常に狙って治療します。


喘息の方には、それぞれ固有の「トリガー」が起きやすい状況があります(風邪をひきやすい冬、花粉の影響を受けやすい春や夏、ハウスダストや台風の影響を受けやすい秋、それに環境や気候、仕事で忙しくなりやすい時期などなど・・・)。

これらを見越して、かけるべき水の量を事前に予測して調節できると、非常に炎がコントロールしやすくなります。

われわれ喘息治療医はこの調節を、毎回患者さんにお会いした時に、アレルギーの有無や環境変化、前年までの同じ時期の経過などを考え、一人ひとり予想を立てながら、かけるべき水の量を調節していっているのです。

ですので、治療期間が2ヵ月、3ヵ月と空いてくると、長期の予測となりその一気に精度が落ちるため、途端にコントロールが悪化するケースが増えてしまうのです。

やはり喘息は状態が安定していてもしっかり定期的に診察をし、種火が拡がる兆候がないか、注意深く経過を見ていかなきゃいけないと、私は思っています。


そして最後に、「喘息治療のやめ時」もこのモデルで考えてみましょう。

この種火は、年齢の経過や長い時間をかけて徐々に弱くなる場合もあります。
またもともと種火の勢いが弱く、めったなことでは燃え広がらないこともあります。

その場合、消火活動をやめても(=吸入薬をやめても)、めったには延焼(=炎症)を起こさないケースも確かにあり得る話です。

すると消火活動を続けることと、やめることのどっちがデメリットが大きいかで、治療の止め時を決めていくことになります。

ただ未来のことは誰にもわかりません。

どれくらいの種火になったら絶対燃え上がらなくなるか、そんなこともやってみないとわからないのです(そもそもその種火の大きさを客観的に知ること自体、かなり喘息治療に精通していないと見当がつけられません)。


一方、年を経るに従い、種火が強くなるケースもあります。

子供の時に喘息があった方は、大人になり完全に治るケースは多くあります。が、一旦落ち着いた後に大人になってからまた種火が大きくなることも珍しくありません。
また前の年まで小さな種火でその存在に気づかなかった程度のものが、今年になり急に大きくなったということもあり得ます。

ですので、治療を止めていいかどうか、というのは、これら不確実な未来を予想しながら考えなければならないことなのです。
これは我々でも常に悩む、非常に難しい作業なのです。


という訳で今回も長くなりましたが、まとめると、

「勝手に治療はやめないでね♡」

ということでした。

皆さんの心にこの絵が伝われば幸いです!

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2022.04.04更新

みなさんこんにちは!「医療法人社団加藤医院 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック」院長、浅井偉信です。


今までお伝えしたとおり、当院は2022年4月1日に上記名称に改称させていただきました。

今回の名称変更にともなう診療体制の大きな変更はなく、当院は今まで通りに診療を継続しています。

それでも名称、ロゴの変更とその準備はいろいろと大変でした。

この名称は、私が当院に来る前からいろいろと考えていた選択肢の一つでした。

他にも自分の名前を入れたり、今風のユニークなクリニック名にしたりすることも考えましたが、やはり当院は、呼吸器診療ならだれにも負けないという自信を持ちつつも、かつ敷居の低いクリニックでありたいという私の願いから、わかりやすさと親しみやすさを込めたこの名前を選ぶこととしました。

またロゴは、Web上のクラウドソーシングサイトからご応募いただいた20名以上の候補者の中から契約させていただいたデザイナーの方とともに、数カ月かけてデザインを練り上げました。
茅ヶ崎のCの形をモチーフとして、多種多様なカラダのお悩みを気軽に当院に相談できる雰囲気を多色のパステルカラーで表現しつつ、Cの中で舞う青いイメージでさわやかな空気感を表現し、当院にお越しいただいた方に気持ちよく呼吸していただきたいと言う願いを込めました。

茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック ロゴ


これらが決まり、行政機関への届出を数ヶ月前から進めました。それに周辺の方々(患者さん、各医療施設の方々、出入りされる業者さんなど)への周知を、これも時間をかけて行いました。

そしていよいよ変更日が近づき、表の看板、建物入口、医院入口の看板に加え(表の一番大きい柱の看板は老朽化で新調中です)、

看板入口表記

処方箋や紹介状の名前の変更、

紹介状

院内各所の掲示物のロゴや名称の変更、

サイネージ

封筒や診察券などの一新などなど、

診察券

普段の診察に加えて行う作業がここしばらくはチリツモでした・・・


それと、4月からは当院の電話応対も変わりました。

何せ60年以上も「加藤医院」として運営されていたクリニックですので、そう簡単には慣れません。
「加藤いい・・・あっ、茅ヶ崎内科と呼吸のクリニックです」「茅ヶ崎呼吸と内科のクリニックです」「茅ヶ崎呼吸のクリニックです」などなど、しばらくは色んなバージョンの電話応対がお聴きいただけると思います・・・


当院スタッフもこのようにして、

カンペ

なるべく間違わないように気をつけておりますので、しばらくは温かい目で見守って頂ければと思います。

また「加藤医院」の名称も残っていますので、今まで「加藤医院」で馴染んでいらっしゃった方は、どうぞそのままお使いください。

それと来週11日から、当院に新しい仲間が加わります。

循環器内科専門医の髙倉美登里先生をお迎えして、循環器専門診療を開始します。

髙倉先生は3月まで茅ヶ崎市立病院循環器内科で若手エースとしてお仕事をされていた、非常に臨床能力の高い先生です(私も勤務医時代はいろいろと助けてもらいました。そのうち、病院の勤務医がどのような仕事をしているのか、我々開業医とはどのように違うのか、そんなこともブログに書いて見ようかなと思います)。
当院診察室にも循環器内科専門グッズがお目見えし、また新しい雰囲気になりつつあります。
循環器内科ツール
当初は月曜午前、水曜午後の診療から開始しますが、来院いただく患者さんが増えたら徐々に診療日を増やす予定です。
まだまだ加藤先生も元気に金曜、土曜の午前に消化器専門診療を行っており、引き続き土曜日には横浜市立大学病院から2名の消化器内科の先生をお迎えして胃カメラ検査を行なっております。

という訳で当院には3科の専門医が揃い、様々なお悩みに高いレベルでお応えできる体制が整いました。
それぞれの専門医が最新の知識に基づいて、今の時代に沿った正確な医療を行うクリニックでありたいと思います。

そしてその診察の結果、専門的検査や治療が必要であれば、速やかに茅ヶ崎市立病院湘南藤沢徳洲会病院をはじめ、総合病院に紹介することができます(我々ももちろんその検査、治療については精通していますので、その治療の経過に合わせていろいろなこと聞いていただける、気軽な相談相手になることもできます)。
もちろん専門的な検査や医療が終わったら、また当院に戻ってくることも可能ですし、総合病院を離れるからといって診療の質が落ちることもありません。

また実はこの茅ヶ崎の中にも、隠れた名医が数多くいらっしゃいます。

その先生方もかつては総合病院の専門外来で、それぞれの領域で辣腕を奮っておられた先生方です(我々医師が、医師免許を取った後にどのようにキャリアを磨いているのかということも、ネタが尽きてきたらブログに書いてみようかなと思っています)。
そのような先生方と連携を取り、「いいとこどり」をすることで、より質の高い医療を受けて頂くことも可能です。


総合病院でないと専門的な医療は受けられないと思っている方もおられるかもしれませんが、私たちはそのような考えを覆していけるように研鑽しています。

それぞれの科の専門医として、専門医であることの責任を持ってベストの選択を患者さんに提供したいと思っております。

 

末永く、「茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック」を、よろしくお願い致します!

集合写真

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2022.03.24更新

3月中旬を過ぎて、発熱・感染症外来にお見えになる方はピークと比べても半分かそれ以下になってきました。世間もマンボウがようやく解除され、報道でも(ウクライナ、北朝鮮の報道に追いやられているのかも知れませんが・・・)コロナ一色では無くなってきたようです。
当院にとっても少しホッとする一面ではありますが、依然花粉症や長引く咳、そしてワクチン接種にて多くの方に受診いただき、混雑や予約の取りづらさで皆様にはご迷惑をおかけしております。


以前のブログでお話しした通り、当院は4月から「医療法人社団加藤医院 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック」へとバージョンアップをします。


これと共に、4月から循環器専門医である高倉美登里先生が仲間に入り、診察枠が増やせることになりました。


高倉先生は、専門である循環器専門診療に加え、生活習慣病や風邪などの急性期疾患などを含めた一般内科診療も担当いたします。
一般的な現在のところ曜日限定ではありますが、診察枠増枠による混雑の緩和も期待できるかと思います。

現在はほぼ3日先までの診療枠が埋まってしまっている状態で、直近でのご予約がなかなか取れないとのお声も多くいただいておりますが、この状態の解消まで今しばらくお待ちいただければ幸いです。

 

そして本日、当院で使用するレントゲン装置の刷新を行いました。


やはり呼吸器専門診療をするにあたり、そのキモとなるレントゲン装置は妥協できません。ましてやこれからは循環器専門診療も始まり、心臓や血管もなるべくわかりやすい画像でより正確に診断したいものです。


ですので当院で今まで使用していたレントゲン装置と比べ、圧倒的な解像度の違いを誇る、最新式の「いいヤツ」を導入しました(お陰でけっこういい高級外車を購入できるくらいの諭吉さん達がめでたく旅立って行きました(^^)/~~~)

新しいレントゲン装置
(新旧の比較写真を載せてみましたが、外見はほとんど一緒でしたね・・・)


というわけで、今回は祝!最新式レントゲン装置導入記念ブログということで、レントゲンって一体どんなものなの?ということを書いてみようと思います。

 

レントゲン写真は、正式にはX線写真と言います。
X線を見つけたのがレントゲン先生だったので、今でもその名前が残っているのです。

ご存知の通り、レントゲン撮影には放射線を用います。

放射線を浴びるのは心配だとお考えの方も多いのですが、人間が普通に生活して受ける1年間の放射線量がおおよそ2.1ミリシーベルト、健康に影響が出る放射線量が年間100ミリシーベルト以上とされる中、一度の胸部レントゲン検査で浴びる放射線量は、けた違いの0.06ミリシーベルト程度です(ちなみに放射線は宇宙から多く届くため、飛行機で空を飛ぶと放射線を受けやすくなります。東京からニューヨークまで飛行機で往復すると、胸部レントゲン撮影3〜4回分に相当する0.2ミリシーベルトを浴びるそうです)。

少なくとも胸部レントゲンの放射線量は常識の範囲内であれば複数回取ってもほとんど問題ない程度と言っていいと思います。

さて、できあがった胸部レントゲン写真を見てみましょう。まずは正常なレントゲンを。

正常胸部レントゲン


このレントゲン写真ですが、皆さんの中には、この中に肺や心臓しか映っていないように思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、このレントゲン写真は、後ろから照射したX線が背中の皮膚から胸の皮膚まで貫通し、そのデータをすべて前方のカセッテという板に焼き付けることで作る画像です。

ですので、その写真には肺や心臓だけでなく、肺の中の気管支、血管、リンパ節、心臓へつながる血管、胃や食道に加えてその中に含まれる空気、それに肺の外側である骨、筋肉、脂肪組織、乳房、皮膚など、そこに存在する臓器すべてが1枚の写真の中に重なり合って映っています。

胸部レントゲン正常像の解説

だいたいの概要を描いています。専門的な線の解説は全て省いています。


これがレントゲン検査の奥深く、難しい所です。

たった1枚の写真なのですが、これらが重なり合うことで、偶然肺の中の影のように見えてしまう場合、それに偶然他のものに隠されて病変が見えにくくなってしまう場合が常に起こりえることになるのです(ですので、当院ではなるべく見落としを防ぐ方法として、基本的に横からのレントゲン撮影も同時に行っています)。

例えばこんな画像。どこかに2か所、異常があるのですがわかるでしょうか?

胸部レントゲン

答えはここです。

胸部レントゲン

CTで見るとこんな感じ。赤い矢印が病変です。これは肺がんでした。

肺がん胸部CT

特に肺のてっぺんのあたりは、鎖骨、肋骨、肩甲骨などが重なり合って映る場所で、非常に見にくいところです。

 

次はこの写真です。これはかなり難易度高いです(我ながらよく見つけられたなって思います)。

胸部レントゲン

答えはここでした。

胸部レントゲン

CTでみるとわかりやすいのですが、レントゲンでは完全に横隔膜の裏に隠れちゃってます。

胸部CT肺がん

実際、矢印のところが肺がんで、この方は手術して助かりました。
実は横隔膜の裏や心臓の裏にも肺があり、こんなところに病気が隠れている場合もあるのです。

ですので、私たちは少しでも怪しいと思ったらCT検査などで確認するようにしています(2次元の画像であるレントゲン検査で前後に重なる影も、3次元の画像であるCT検査では分けて見ることが可能なのです)。
CT検査は1回で5~20ミリシーベルトと、胸部レントゲンに比べると多くの被ばくがあるため、簡単に何度も撮ることは避けるべきですが、数回程度ならまず健康被害は出ないので安心して撮影していただいて大丈夫です。

レントゲン検査の一番のメリットは、なんといってもその手軽さ、被爆の少なさです。
確かにそれをしっかりと読み切るのは医師の技量を必要としますし、どうしてもその検査の特性上、「読みすぎ」、もしくは「見落とし」は(例えどんなに優れた読影医、それにAIが読んだとしても)必ず起こり得ます。

しかしこの簡単な検査で病気が見つかることも非常に多いのも事実です。


是非必要な時は、信頼できる医療機関でレントゲン検査、受けてみてください!

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2022.03.05更新

いつもはやや落ち着きのある2月ですが、当院は過去に例のないくらい多忙を極めました(ブログ更新できなくでスミマセン・・・)。

通常外来に加え花粉シーズンで増えた咳の患者さん、2月から始まったブースター接種を受けに来られる患者さん、それにピーク時は連日20人以上お越しいただいた発熱・感染症外来の患者さん・・・

連日外まで行列を作ってしまい、大変ご不便をおかけしてしまいました。

それでも当院の至らなさを温かく受け入れてくださり、スタッフに優しいねぎらいの言葉をかけて頂いた多くの患者さんのおかげで、当院スタッフは何とか一人も倒れずに頑張ることができ、いよいよ年度末を迎えることができました。(当院のスタッフにも本当に感謝、感謝です・・・)


私が当院の院長に就任して3年、すっかり当院は呼吸器、アレルギー専門診療を提供するクリニックとして皆さんに受け入れて頂くことができました。多くの患者さんにご来院頂けたこと、心より感謝いたします。

そして、当院は4月からバージョンアップを図ることになりました。


まず一番のバージョンアップポイント、それは・・・

医院名の変更です!

当院は4月1日から以下の名称に変更させていただきます(エイプリルフールじゃないよ)

” 医療法人社団加藤医院 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック ”
茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック

 

 

当院は開院以来約70年にわたり、「加藤医院」としてここ茅ヶ崎・雄三通りで診療を続けて参りました。
今回、医療法人社団加藤医院の名はそのままに、一般的な身体のお悩みに加え、咳や息苦しさなどの呼吸器症状、それに様々なアレルギー症状にお困りの方の気軽な相談相手として、そして皆さんがこのような症状で困ったときの最後の砦として、今まで以上に皆さんに親しんでいただきたいとの思いを込めました。

そして、「加藤医院」の名前も残ります。今までの歴史は大切に、ここ茅ヶ崎の雄三通りに根付いた地域密着の医療機関として、今までと同様にご愛顧いただきたいと思います。

4月にはスタッフのユニフォーム、当院の看板、そしてこのホームページもリニューアル予定です。
バージョンアップした「医療法人社団加藤医院 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック」にご期待ください!

 

次はバージョンアップポイント2、Web問診の開始です。

こちらは3月よりすでに開始しております。
今まで来院してからお書き頂いていた紙の問診表に加え、ご来院前、受診前にWeb上で問診表をお書き頂くことができます。
Web問診では細かい内容までお聞きすることができるので、今まで以上に詳しい診療を行うことができるようになります。
併せて事前にゆっくり答えて頂けるので、時間がなくて焦るということもなくなり、患者の皆さんが伝えたい内容を確実に私たちに伝えることができるようになります。
もちろん来院時には問診表の記載が終わっているので、診察までのお待ち時間もその分短縮できます。
Web問診
最初は慣れない方もいらっしゃるとは思いますが、是非ご活用いただければ幸いです。

そしてバージョンアップポイント3、新しい専門診療を開始します。

現在当院では、常時行っている一般内科診療に加え、院長による呼吸器・アレルギー専門診療加藤医師による消化器専門診療を行っておりますが、ここに新たに循環器専門医をお迎えして、循環器専門診療を開始致します。
3月まで総合病院でバリバリ活躍されている、優しい女医さんが、心臓、血管の症状、病気を担当いたします。
動悸、むくみ、息苦しさや胸の痛みなどの症状を専門的な視点から診療いたします。
心臓のエコー検査もすぐできちゃいます。

またもちろん高血圧をはじめとした生活習慣病管理もお手のものです。

当院の診療の幅が今まで以上に広がります。是非こちらもご期待ください!


またこちらのバージョンアップもう少し後になりますが、今夏をめどに今まで以上の大改装を計画しています。
ご来院頂く患者さんの増加により手狭になっている待合エリアの拡大や、今まで以上にしっかりと分離をした発熱・感染症外来エリアの設置など、今までの改装とはレベルの違う改装工事となる予定です(そのため今夏は通常よりも長いお休みを頂く可能性があります。また詳しいことが決まりましたら発信いたします)。


コロナは一時のピークを過ぎたようですが、まだまだ少なくない方が当院にご相談にいらっしゃいます。
コロナだけではない世界のゴタゴタもあり、なかなか落ち着きを見せない世の中ですが、そのような中でも、まずは体の心配をせず健康で過ごせることは大事なことです。

当院が今まで以上にそのお手伝いをできるよう、今後も職員一同、全力でがんばって参ります!

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2022.02.01更新

いやあ、オミクロン、すごいです。


連日感染者数の最高値を更新するニュースで世の中は持ちきりですが、当院でも今までに見たことがない数の陽性患者さんが出ております(もちろんすべて隔離エリアでの診察です)。

またちょっとした症状でも陽性となるケースが見られており、診察には非常に気を遣う日々が続いています(ちょっとでも風邪を疑った方、必ず受付で申し出てくださいね!)。


そして、やはりというか、「オミクロン株はやっぱりまだ風邪じゃなかった・・・」ということを実感しています。

特にワクチン未接種の方、高齢や基礎疾患のある方に、呼吸がしづらくなったり、様々なつらい症状が長く続いたりするケースがぼちぼち見られる印象です。一方もちろん伝えられているように風邪症状、もしくはそれ以下で済んでしまう方も実際多いです。
インフルエンザとも似ていると言われていますが、インフルエンザよりも重い方向、軽い方向双方に大きくぶれる印象ですね(このブログ記事の通りの印象です)。

今の私のオミクロン株に対する印象は、「もしかかったら“ガチャ”で外れが出ないことを祈る病気」、そして「やっぱりまだまだ広まってもいい病気じゃあない」といったところです。

そのオミクロン株に対する大きな武器となるワクチンの3回目ブースター接種が2月から始まります。

このごろ最近、よく3回目接種の接種率が低調とのニュースが時々みられ、その中には「副作用を怖がり避けている人が多い」との論調をしばしば目にします。
しかし現場から言わせてもらうと、その原因の大部分は、単純に1月にはワクチンが現場に届かず接種が開始できていない、それに2回目からの接種間隔が長すぎる(本格的な前倒しの開始が3月にされてしまっており、1月に接種できる高齢者はごく少数です)ことです。

少なくとも当院の患者さんの声は「はやく接種したい」というのがほとんどです。
「副作用を怖がって打ちたくない」というお声は非常に少なく、そのような理由で接種が進んでいないと論評する一部マスコミの言説やSNSが、かなーりミスリードを誘っている印象です。
ワクチンについての意見、考え方はいろいろあるでしょうが、一個人の考えを社会記事に反映させてしまう(もしくは意図がなくてもそう取られてしまう)のはやはりいただけません。
このような社会を大きく動かしかねない、センシティブな問題は、是非憶測ではなく現場の声を聴いてから伝えてもらいたいものです・・・

当院では1月12日、15日に職員の3回目接種を行いました。
当院は市からの配送に従い、3回ともファイザー接種となっております(当院に選択権はありませんでした)

今回もそのレポートをしようと思います。

私は3回目接種を1月12日18時頃に、今回も当院自慢の熟練ナースに、優しく接種してもらいました。チクッ。


えーん、やっぱりいたーい( ノД`)


1回目の痛くなかった筋肉注射は何だったのか・・・2回目同様、私は痛かったです。

でもまあ注射だし、痛いのはしょうがない。
私は2回目までもそこまで全身的な症状は出なかったので、その後は期待して待つことにしました。

しかし接種してすぐ、刺したところの痛みはそのまま早くも筋肉痛に移行しました。
前回よりもやや早く、そして強い感じです。

しかし全身の症状は出ずにそのまま就寝しました。



翌日は休診日です。

やや筋肉痛は強くなって、やはり2回目よりいくぶん強くなったかなという印象です。ただ腕は何とか上まで上がります。


一方、全身症状ですが、こちらは皆無でした。
本当に何もなく休みを満喫し、子供と自転車でサイクリングにも出かけました。

3日目も元気いっぱい、通常診療を行いました(元気いっぱい過ぎて、110人も診させていただきましたので、さすがに終了後は全身倦怠感に襲われました・・・)。
腕の痛みは多少残っていたものの、3日目夜にはほぼなくなっている状態でした。


そして、こちらが当院職員の副作用一覧となります(以前より職員が増えました)。

3回目接種副反応

↑3回目接種の副反応↑

 

2回目接種副反応

↑2回目接種の副反応↑

 


グラフを見ると、腕の痛みはやはり私と同様、2回目より強く感じた人が多かったようです。
一方、発熱、だるさは全体的に減っている印象です。
というか今回は出る人は2回目同様にしっかり出たのですが、全く何も出なかった人が2回目と比べてだいぶ多かったようでした。

全体的には3回目接種、副反応という面では、当院のデータから見た限りではそれほど恐れなくてもいいのではという印象は持っていいものかと思います。

 

さて、今回の我が国の3回目接種では、モデルナワクチン(昨年12月にようやく商品名がつき、「スパイクバックス」という名前がつきました)も使用する予定となっています
そして2回目までと異なるワクチンの接種「交互接種」が全世界的に認められております。

ですので2回目までがファイザー製のワクチンであった方もモデルナは接種可能となりました。

モデルナのワクチンはファイザーのワクチンよりも副反応が多い傾向があるとされていました(その原因としては、こちらにも書いた通り、モデルナワクチンの方がファイザーより使用するメッセンジャーRNAの量が多かったためではないかと推測されています)。

そこで今回の3回目接種で、モデルナワクチンを今までの半分にして、それによってできる抗体量を調べてみたところ、十分な抗体量を作ることができることがわかりFDA, 2021.Vaccines and Related Biological Products Advisory Committee October 14-15, 2021 Meeting Briefing モデルナを使用する場合は半分量の投与と決まりました(ファイザーは2回目までと変わりない量となります)。

またファイザー → ファイザー → モデルナの方が、ファイザー → ファイザー → ファイザーよりも抗体量が多くできる可能性が指摘されておりmedRxiv. 2021 Oct 15;2021.10.10.21264827未査読、実際オミクロン株に対する感染予防効果はファイザーをわずかに上回る可能性を示すデータも出ていましたよね。

副反応に関しては、十分な検討はこれからとされていますが、モデルナの半量投与では副作用の出現が少ない傾向が見られており、総合的に見てファイザー → ファイザー → モデルナは、個人的にはあまり悪くない選択肢だと思います。

国は頑張って交差接種のススメをしていますが、確かに客観的に見ても、3回目はモデルナも一つの選択肢として考えて頂くのもいいかもしれませんね。

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2022.01.19更新

いよいよ第6波が本格的に始まりました。

当院でも発熱・感染症外来にお見えになる方がどーんと増えています。

感染力の非常に強いオミクロン株が中心となっていることもあり、当院は陰圧パーティションを導入してみました(HEPAフィルターのついたパーティションに空気を吸い込み、汚染された空気をほぼ完全に除去できます)。

発熱・感染症外来はもちろん、

発熱診察室

呼吸検査ブースにも陰圧パーティションを備え

呼気NO・モストグラフ感染対策

スパイロ感染対策

オミクロン株に備えた体制を整えてがんばっています。

とはいえ、最近の圧倒的な患者さんの増加を前に、当院のキャパも風前の灯火・・・
できるだけ皆さんも普段の感染対策を今一度ご確認いただき、一人ひとりが感染リスクを減らして頂ければ、我々も非常に助かります!


で、今回は、それでも今コロナにかかってしまった場合、どのような治療がありえるのかを見てきたいと思います。
今回は我々のクリニックのようなプライマリケアからの目線で、主に軽症の方に対し外来で行える治療のおおまかな概要を見てみたいと思います(人工呼吸やECMOなど、入院して行う治療、重症患者さんへの治療は、今回は割愛します)。

まずこちらが、現在行われている治療法のまとめになります(私は入院治療は行ってないので、もし間違いがあったら教えてください、エラい人)。

コロナ治療薬一覧

大前提として、絶対数で言えば、新型コロナ、特にオミクロン株では肺炎、呼吸不全などを起こさない「軽症」の方が多いです(とはいっても中には高熱や激しい頭痛・筋肉痛・喉の痛み、それにだるさがつよく食事がとれないなどという、「分類上は軽症」だけど「なった人にとっては人生で一番ひどい症状」といった方は少なくありません)。
そして、軽症で重症化のリスクが低い方の場合は、特別な治療は行わずに、解熱鎮痛薬や咳止めなど、症状を和らげる治療のみで対処することがほとんどです。


ここからがコロナの治療薬となります。

まずはこの冬に登場した、「コロナの飲み薬」の紹介です。

モルヌピラビル(一発じゃなかなか読めない・・・)、商品名「ラゲブリオ」がその薬となります。

これはウイルスRNAをコピーする装置(RNAポリメラーゼ)に作用し、ウイルスがRNAをコピーする際にエラー情報を書き込み、ウイルスを複製できなくしてしまう薬です(もともとはコロナ禍の前から研究されていた薬のようで、そのころからインフルエンザウイルスなど、RNAウイルス全般への効果が期待されていたようです)。

この薬は発症5日以内の投与で、重症化のリスクをおおよそ30%下げることができたとの結果が出たため、12月に日本でも適応が取れ、使えるようになりました。

これはカプセル剤で、1回4カプセル1日2回5日間内服します(カプセルは直径2cmほどで、1回に4カプセル飲むのはちょっと大変かも・・・)。

ラゲブリオ

© 2009-2021 Merck Sharp & Dohme Corp., a subsidiary of Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A. All rights reserved.

この薬は、現時点ではだれでも投与できるわけではありません。重症化のリスクが高い方のみが投与の対象となっています。

重症化リスク因子
▽61歳以上
▽活動性のがん
▽慢性腎臓病
▽COPD
▽肥満(BMI 30以上)
▽重篤な心疾患
▽糖尿病
▽ダウン症
▽脳神経疾患(多発性硬化症、ハンチントン病、重症筋無力症等)
▽重度の肝臓疾患
▽臓器移植、骨髄移植、幹細胞移植後

【COVID-19に対する薬物治療の考え方 第11報】より

一方妊婦の方には投与できないこととなっています(動物実験で催奇形性が否定できなかったためで、人間でのデータはありません。また投与された場合の「将来の」催奇形性を高めるデータはありません)。
また発症6日以上経ってしまった場合や、重症度が高い場合は投与対象外となっています。

ラゲブリオはアメリカのメルク社が開発したものですが、もうひとつ似たような作用を持つ薬が同じくアメリカのファイザー社から開発されており(商品名:バクスロピド)、こちらは重症化予防率が90%前後と、ラゲブリオよりかなり高くなっています。
日本ではつい先日申請されており、承認されれば使えるようになるでしょう。

次は「抗体カクテル療法」に使用する薬です(ここからは注射剤となります)。

まずは商品名「ロナプリーブ」(カシリビマブ/イムデビマブ)です。

これは、コロナウイルス表面の突起(スパイクタンパク質)に取りつきます。
スパイクたんぱく質は人間の組織にある受容体(ここでは主にACE2受容体)にくっつき、そこから人の細胞と合体して入り込むことで感染、増殖がおこりますが(こちらで説明したことがあります)、この薬はこのスパイクたんぱく質にくっつき、人間側の受容体とくっつかないようにする薬です。

第5波のデルタ株流行の際は非常に活躍しました。
また濃厚接触者に対する予防投与(感染確定者ではない人が、感染、発症リスクを減らすために行う治療)も行えます。

ただ残念ながらオミクロン株に対しては効果が落ちてしまうことが分かっており、今後は活躍場面が減ってしまうのかもしれません。


一方同じ抗体カクテル療法のカテゴリーの薬で、商品名「ゼビュティ」(ソトロビマブ)という薬剤があり、こちらはオミクロン株にも有効と言われています。

こちらも重症者リスクの高い方にのみが対象で、発症1週間以内に1回だけ点滴で投与します。

こちらは妊娠中のデータは少ないものの、現時点は使用可能となっています。
一方重症度が高い方には使えません。またロナプリーブのような予防投与ができません。


また、これは本来入院して行う治療でしょうが、病床がひっ迫した第5波の時は、自宅療養でもステロイド薬であるデキサメタゾンを使用しました。
こちらは酸素の状態が悪いときのみに適応となり、酸素の取り込みが悪化していない状態では使用しません。

できれば今回の波ではこの薬を自宅で使用せざるを得なくなる事態は避けたいです・・・

その他、今回は取り上げませんでしたが、ここ最近は入院で使用できる薬剤もいろいろと増えており、確実に私たちは以前よりも武器を手にすることができるようになりました。

とはいえ、やはり後遺症の問題もありできればかかるべきでない病気であることに変わりはないでしょう。


当院でも2月7日から3回目のコロナワクチン接種を開始します。

ブースター接種によりオミクロン株にも感染、重症化は予防効果が上がることはわかっています。
スタートが第6波に間に合わなかったのは返す返すも残念ですが、希望される一人でも多くの方に、一日でも早くワクチンを接種をできるように、自分のお尻を叩いてがんばります!

 

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2022.01.04更新

あけましておめでとうございます!

前回のブログでもお書きしたように、当院は今年も大きな変化の年になりそうです。
一方コロナもまだすぐに収束という訳には行かなそうで、もう少し落ち着くまでに時間がかかりそうです。
職員一同へこたれずに今年も頑張りますので、何卒よろしくお願い致します。

で、そのコロナです。

またかと言うべきか、やはりと言うべきか、感染者の数がここ数日じわじわと増えてきていますね。
そして世界に目を向けると、オミクロン株がここ1か月であっという間に世界に広がり、多くの国で感染者も過去最高を記録しているようです。

ただ重症化が少ないという情報もあり、その見解については世の中を二分している印象です。

では、我々はこのオミクロン株について、どのように対峙したらいいのでしょうか?

今回は、先日最新の大規模なデータがイギリスの国家機関である英国保健安全保障庁から出てきました。SARS-CoV-2 variants of concern and variants under investigation in England Technical briefing: Update on hospitalisation and vaccine effectiveness for Omicron VOC-21NOV-01 (B.1.1.529) 31 December 2021
イギリスではご存知のように、かなりの勢いでオミクロン株に置き換わっており、今回のデータは昨年11月末からの1か月間で判明したデルタ株約57万例オミクロン株約53万例(!)を比較したデータになっています。

(明日から診療開始ですので、時間と余裕がある今日のうちに)こちらのデータをご紹介しながら、少しこのことについて考えてみたいと思います。

この中で、検査後14日以内に救急搬送、入院した症例数は、デルタ株13,579例オミクロン株3,019例と、やはりかなり減っているようです。
背景の様々な因子を処理してリスクを計算したところ、おおよそ入院率はオミクロン株はデルタ株の1/3となるようです。
そして診断から28日以内に死亡したオミクロン株陽性症例は57人だったとのことで、今までよりもかなり少ない傾向はありそうです(観察期間が短いのは少し気になりますが)。

この原因の一つとして、オミクロン株は今までの株と比べて、気管支でより早く増殖する一方、肺ではあまり増殖しないことが示唆されておりhttps://www.med.hku.hk/en/news/press/20211215-omicron-sars-cov-2-infection?utm_medium=social&utm_source=twitter&utm_campaign=press_release(未査読)肺で悪さをするケースが減っているためかもしれませんいままでのコロナは肺で悪さをしやすいことが大きな問題でした)。

つまり、確実にオミクロン株は旧型コロナ(つまり旧来の風邪)に「近づきつつある」可能性はあるとはいえると思います。

ただ一方、風邪と「同じになった」かどうかは、まだはっきりとはわかりません。

ここで報告されているデータで私が気になるのは、入院した人の中で69.2%が69歳以下、39.1%が39歳以下であるということです。
通常のインフルエンザや風邪なら、若い人が入院する事はほとんどないはずなのですが、その視点から考えるとやはりこれだけ若い世代の割合が高いのは不安材料です(もちろん若者中心に流行しているため、その分若者の母数も多いだろうということは頭に入れるべきですが)。

また新型コロナの怖さは、致死率の高さだけでなく、Long COVIDと呼ばれる後遺症の頻度の高さにもあります。
まだこのLong COVIDがオミクロン株でどうなるかということがほとんど分かっていないのも、また不安材料であるといえると思います。

また、今回のレポートにはオミクロン株に対するワクチンの効果もレポートされていました。

症状のある検査陽性者を(つまり感染しているけど無症状だった人は除外されています)、ワクチン接種パターン別に分けて、ワクチンの効果を計算したデータです。

ここでは日本で接種されているファイザー、モデルナワクチンでのデータを取り上げます(アストラゼネカワクチンのデータもありましたが、ここでは割愛します)。

「症状をきたす感染を阻止する」という側面から見ると、接種後20-24週(5-6カ月)後、デルタ株に対しては50%程度予防するものの、オミクロン株の場合は10%程度しか予防していませんでした。
ただ3回目のブースター接種を行うと、デルタ株は90%オミクロン株は70%の予防効果まで回復します。その後10週経過すると、デルタ株は90%の予防効果を維持する一方、オミクロン株に対する予防効果は50%程度となるとのことでした。

ブースター接種後のオミクロン、デルタ感染予防効果

SARS-CoV-2 variants of concern and variants under investigation in England Technical briefing: Update on hospitalisation and vaccine effectiveness for Omicron VOC-21NOV-01 (B.1.1.529) 31 December2021より改変

「症状をきたす感染を阻止する」という側面で見ると、やはり今までよりはワクチンの効果が低下傾向にあることは否めません(とはいえど、今までの効果が出来すぎていただけで、まだ接種の意味がないとまでは到底言えないだけの効果はあると思います)。

一方、「入院を阻止する効果」(つまり重症化予防効果に近い指標)を見ると少し変わります。

オミクロン株の入院予防効果に対しては、デルタ株よりは数字は劇的ではないものの、1回の接種でも35%の予防効果(ただし95%信頼区間が0.30~1.42と1.00をまたいでおり「有意差がある」=「効果がある」とは言い切れない)、2回目接種後6カ月までは67%(こちらは有意差あり)、6カ月以上たつと51%(こちらも有意差あり)の予防効果が見られました。
そして3回目接種2週間後ではその入院予防効果は68%(有意差あり)まで回復し、重症化の予防効果はある程度しっかりはありそうなデータでした。

 ワクチン接種後のオミクロン入院予防効果

SARS-CoV-2 variants of concern and variants under investigation in England Technical briefing: Update on hospitalisation and vaccine effectiveness for Omicron VOC-21NOV-01 (B.1.1.529) 31 December 2021より改変

ただ、ここでまだ足りないデータもあります。

まずは「ワクチン接種により周囲へのオミクロン株感染を予防できるようになるか」ということです。
今まではみんながワクチンを接種することによって、集団免疫が成り立つことが分かっていました。今までの感染者数の減っていた日本がその状態でしたが、オミクロン株でもこれが成り立つかがわかりません。
また「症候性感染の予防効果」「重症化阻止効果」がどれくらい長期に続くのかどうか、という事がまだよくわかっていません。すると今後4回目、5回目と、何度も接種する必要が出るのか、頻繁に接種を繰り返した場合にトラブルは出ないのか、そこは問題にはなり得ます(3回目までは安全性に大きな変化は出ていないデータが出ています)。

これに加えて、オミクロン株の重症度の低下、だるさや発熱などのワクチンの副反応重症な副反応は前にも書いたようにやはり非常に稀です。これまで当院で3000回もの接種を行なった経験からも、その印象は変わりません)を考えると、特に若い人では今までよりワクチン接種の意義は見えづらくなっているかもしれません。

ただ、おそらくオミクロン株は一度流行すると、他国のようにあっという間に今までにない増え方をすることが予想されます。

データからは、その勢いをある程度は削げる、そして入院予防効果により少しでもコロナ診療を担う病院の負担を和らげること(これは巡り巡って全ての医療負担を軽減することにつながります)は出来ると言っていいと思います。

そのような意味では、やはり今回のブースター接種は意義があると思います。

人によってワクチンのメリットとデメリットのバランスは様々ですし、万人がワクチンを打つべきとまでは思いません。
しかし上記を考えると、リスクの高い方高齢者、基礎疾患を持っている方)接種できる方はやはりしっかりとブースター接種をしていただく事が、自分と社会を守っていただけることにつながるのではと思います。

というわけで最後に、現時点でのオミクロン株に対する私の考えをまとめてみます。

ちなみに私は政治評論家でも経済学者でもなく、どのような政策を打つべきかということを言及する知識も持ち合わせていないので、政策、経済対策については触れません(そのことに関するご意見はご遠慮ください)。

ただ、客観的にデータから状況を眺めると、オミクロン株を「風邪」と同じものとして何も対処せずにノーガードで臨むには、まだまだ不確定要素が多すぎるような気はしています。

ですので、今はまだ屋内や人混みでのマスク、手洗い、三密回避などの正しい基本的感染対策を取りながら、ワクチンを打てる方はブースターワクチンをしっかりと接種するなど、打てる手を打って備えたほうが賢明かなと思います。

もう少し色々と分かり、「やっぱりオミクロンは風邪と同等に扱っていい!」と自信を持って言える日が、1日でも早く来てほしい、心からそのように願っております。

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2021.12.30更新

2021年もひとまず診療が終わりました。今年もご愛顧いただきありがとうございました。

にしても、ホンっトに目まぐるしい1年でした・・・

まずはそんな当院の2021年を少し振り返ってみます。


今年は冬のコロナ第3波対応から始まり、当院にご来院になる患者さんが急増しました。

時を同じくしてコロナワクチン接種の準備が始まり、春から高齢者や医療従事者、そして夏場からの一般への方々への接種を続けて参りました。

そして夏には第5波を迎え、当院でもコロナ陽性患者さんだけでなく、コロナ感染に伴う肺炎や呼吸不全、そしてコロナの後遺症に悩む患者さんを数多く診療しました。

このような経験は今までの私の呼吸器科医としての人生で、経験がありませんでした。

やはり「コロナはただの風邪ではない」ということを、まざまざと見せつけられました。

秋ごろにはコロナ感染者数も落ち着いてきましたが、1か月遅れの高齢者検診が始まり、併せてインフルエンザワクチンの接種も始まったため、更に混雑に拍車がかかり、結局2021年は前年の1.3倍以上の患者さんにご来院頂くこととなりました(ワクチンのみの方を除いたデータですので、実際のご来院患者さんはさらに多かったと思われます)。

職員の増員やシステムの改善などで精一杯対処し、データ上は昨年よりもお待ち時間を短縮することができています。しかしそれでもやはり急激な変化には対応しきれなかった面もあり、皆様には混雑でご迷惑をお掛けしたかと思います。

そこで来年は、更なる抜本的な改善策を打ち出し、よりよい院内環境の構築を目指すことと致しました。

まずはこの冬から、業務改善を専門に行うスタッフを職員として招き入れました。
今までになかった視点からもフローを見つめ直し、より皆さんにフレンドリーな環境を作っていきます。

また先日、更に発熱、感染症外来での感染リスクを低減するため、発熱、感染症外来の診察室に陰圧パーテーションを導入しました。
来月には発熱、感染症外来の待合エリアにも追加導入する予定です。

そして来年には院内の大改装を予定しております。
詳細はまだ決まっていませんが、動線を改善するため、今回はかなり大規模な改装となる予定です。
もしかしたら少し長めの休診期間を頂くかもしれません。
詳しいことが決まりましたらまたHPなどでお知らせいたします!

もう一つ、来春からWeb問診を導入することにしました。
今までは当院にご来院頂いてから手書きで記入していただいた問診が、あらかじめご来院前にゆっくりと、そしてより詳しく記載していただけるようになります。
これによりお待ち時間が少しでも減らせ、またより正確な診断につながる診療となることを目指しています。

新たに医師を増員する計画もあり、こちらも詳細が決まり次第お伝えいたします。
他にもまだ明かせませんが、大きなことをいくつか考えています。
(なお前回記載した「院外呼び出しシステム」に関しては、ご利用希望の方が非常に少なかったため、今回は導入を見送ることとしました)

直近では、3回目のコロナワクチンの接種が始まります。
当院では2月から接種を開始する予定で、年明けにワクチン入荷量が決まり次第、まずは医療従事者と高齢者の方のご予約を開始いたします。

予約方法については予約開始時に当ホームページ、及びLINE公式アカウントで告知いたします。

なお今回は接種を迅速に進めるため、ファイザーだけでなくモデルナのワクチンも使用する可能性があります。

国は2回目までのワクチンと異なるワクチンを使用した交差接種の許可を出しています。

オミクロン株についても、少ないながらも少しずつ情報が集まってきました。

現時点での情報は近々ブログにでも書いてみようかと思いますが、やはり現時点ではブースター接種の意義はありそうです。
なるべく一人でも多くの接種希望の方に、一日でも早く接種頂けるように致しますので、ご理解の程宜しくお願い致します。

というわけで、来年は今までよりも患者さんに心地よく来院、通院して頂ける環境が整う、加藤医院進化の年となる予定です。

また2022年も何卒よろしくお願い致します。

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2021.12.09更新

ああ、いそがしい・・・

世界はオミクロン株で大騒ぎですが、わが国では今のところ蔓延にはいたっておらず、新型コロナの患者さんもしばらく当院にはお見えになっておりません(オミクロン株についてはまだわからないことが多く、私も現時点ではほとんど情報を持ち合わせておりません。情報が増えてきたら、もしニーズがあればまたブログ内でまとめてみようかなと思います、余力があれば・・・)。

しかし、昨年の冬に比べて、発熱、風邪症状をきたして来院される方は、明らかに多くなっている印象です。
当院では発熱患者さん用の待合を4席準備しておりますが、ここ最近混雑時には満席となってしまうことも珍しくありません。

新型コロナ、インフルエンザの検査をしても陽性の方は今のところほとんど出てはいませんが、発熱の方が増えているということは、やはり何かしらの病原体(おそらくその多くはウイルスです)感染が広まりつつあるのでしょう。

日本の方々は他国よりも、現在でもより徹底した感染対策を行ってはいるとは思いますが、やはり昨年の今頃よりは社会に多少の余裕を感じます。
その他にもいろんな環境が昨年と異なり、今年の状況になっているのかもしれません。
病原体は、常に世の中に潜んでおり、そしていつでも拡がる可能性を秘めています。

そして、インフルエンザワクチンの接種も佳境を迎えています。
12月に入りワクチンの入荷が見られるようになり、だんだんとニーズにお応えできるようになりました。

ただワクチンの在庫も少なくなってきており、接種できる期間も残り少なくなっています。希望される方はワクチンの残っている今、早めの接種をお願い致します。

で、そのインフルエンザ、今後はどうなるのでしょうか。

以前のブログでインフルエンザの流行の可能性について書いてみました。

そこから時間が経過した今の状況を眺めてみましょう(図はWHOのページからです)

まずは国内。

日本インフル
ご覧のようにインフルエンザ、国内では全く流行っておりません。

通常この時期はインフルエンザの患者さんがちらほらと見つかる時期ですが、国内からの報告でも直近1週間(11月22日~28日)の、定点からの国内患者数報告は46人、神奈川は2人です(定点とは、全国から人口比率に応じて無作為に選ばれた医療機関で、茅ヶ崎には11医療機関があるそうです。それでも全くいないわけではないんですね)。

ところが海外に目を転じてみると、昨年とは様相が異なるようです。

まずはアメリカ
アメリカインフル

1年前のこの時期と比較し、明らかにインフルエンザの患者数の動きが異なります。
例年よりはまだ少なめのようですが、昨年よりは明らかに増加しているようです。
アメリカで検出されているインフルエンザの大部分がA型(H3N2)だそうですhttps://www.cdc.gov/flu/weekly/

つづいてヨーロッパ。

フランスインフル
ロシアインフル

フランスやロシアでも、昨年とは違う動きが見えており、インフルエンザの患者数の増加傾向が見られます。


他にもクロアチアやインドでは、秋ごろに季節外れのインフルエンザ流行が見られ、特にクロアチアではコロナ前の例年を超える流行だったそうです。

 

またアジアでは中国の増加傾向がみえるようです(こちらはB型ですね)

中国インフル

こちらはコロナが流行っていないためにわが国よりは感染対策も厳密ではないことが影響しているかもしれません。

またこちらはネット記事からですが、ブラジルのリオデジャネイロでは現在、夏に差し掛かる時期にもかかわらず、急激なA型インフルエンザの流行が起こっているようです。

《リオ市》インフルエンザの患者急増=夏前なのにH3N2型へ2万1千人感染

もちろん今の日本と同様、全く流行が見られない地域も多くあります。
しかしコロナ前の状態とまでは言えないものの、昨年と比べるとインフルエンザの流行の兆しがみられる地域は確実に増えているようです。

またこれらのうち、中国を除く各国では今でもコロナの流行が収まっていません。

つまり、コロナとインフルの同時流行、ツインデミックは起こり得ると考えなければいけないかもしれません。

加えてブラジル、クロアチア、インドの例に代表されるように、必ずしも決まった時期にインフルエンザが流行るとも言い切れません(実際2009年の新型インフルエンザ騒ぎの時は、夏から流行が始まり、秋にピークを迎えています)。

ウイルスの動きは以前もお話しした通りわかっていないこともまだまだたくさんあります。

ましてや昨年からウイルスの秩序が変わってしまっています。
「いつもがこうだからこうなるはず」「去年がこうだったからこうなるはず」が、必ず通用するとは限らないのです。

そこでインフルエンザワクチンの効果を考えてみます。

複数の臨床試験データをまとめた報告では、成人でのインフルエンザワクチンの効果は、発病を69%低下させるとされています。Lancet Infect Dis. 2012 Jan;12(1):36-44
ファイザー、モデルナの新型コロナワクチンの、発病を95%抑える効果には及びませんが、それでもその有効性は十分客観的データに裏付けられています。

またこちらはアメリカのデータにはなりますが、人口の最大67%がワクチンを打つと、インフルエンザの社会的流行を抑えられるという試算が出ていますJ Res Health Sci. 2018 Fall; 18(4): e00427.
当然、家族内や学校内、会社内など、小さい単位での流行阻止にも大きく役立つわけです。

インフルエンザワクチンは大きな副反応の頻度も経験上少なく、個人的にも社会的にも、やはり接種するメリットは、そのリスクを大きく上回ると思います。
ワクチンを打てる機会が終わるまでに一人でも多くの方に接種をしていただき、少しでも皆さんが安心材料を増やしてこの冬を乗り越えて頂ければと思います。

なおインフルエンザの状況に関しては、大きな変化があればまたこちらでご紹介しようと思っています、余力があれば・・・

 

最後にお知らせです。

現在の院内の混雑を少しでも改善するために、今週末から呼び出しシステムの試験導入を開始します。
受付でお渡しする専用端末をお持ちいただければ、受付後に院外に出て頂いても順番が近づいたらお呼び出しすることが可能となります。
まだ試験導入の段階であり、運用も試験的なものとなりますが、ご希望の方は受付にてお申し頂ければと思います(可能でしたら今後の運用の参考にさせて頂きますので、アンケートにご協力頂けるとありがたいです!)。

その他にも混雑緩和、待合室の環境改善、予約状況の改善などの対策を現在全力で行っております。

ここ最近の混雑で患者様には多々ご迷惑をお掛けしておりますが、今しばらくお時間を頂ければと思います。

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

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