医師ブログ

2024.03.13更新

今回、久しぶりに雑誌からの取材をお受けしました。


今回は週刊大衆さんから、「花粉症を市販薬で治すには?」というお題目の中で、内服、点鼻薬、そして漢方薬を使う際のコツや注意点についてお話してきました。

 

そして先日、記事が掲載された雑誌を双葉社さんより当院にお届け頂きました。

待合室において、皆さんにお読みいただこうかなと思ったのですが・・・

週刊大衆

うーん・・・

週刊大衆


というわけで、とりあえず記事の部分だけは、こちらにお載せ致すことに致しました・・・(拡大してどうぞ)

週刊大衆
(他の記事も気になる方は、書店へGO!)

 


さて、今回はおとなのワクチンシリーズ第2弾、帯状疱疹ワクチンについてです。

帯状疱疹ワクチン、最近よくテレビCMなどでも見かけることがあるかと思います。

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そもそも帯状疱疹ってどんな病気なのでしょうか?

 

帯状疱疹は、その名の通り、「体に帯状に水ぶくれが出る病気」です。


この病気は、ご多分に漏れず、ウイルスによって起こります。
その名も「水痘・帯状疱疹ウイルス」といいます。

皆さんお気づきの通り、「帯状疱疹ウイルス」だけじゃないんですね。

その前に書いてある「水痘」とは、いわゆる「水ぼうそう」のことです。

 

「水痘・帯状疱疹ウイルス」は、初めてかかる「水ぼうそう」として発症します。


このウイルスは感染力が非常に強く感染者のまわりから空気中をただよい、他の人に感染することができます(これを「空気感染」とよび、この形の感染を起こすものは非常に感染力が高いです。空気感染を起こすのは、ほかには「麻しん」「結核」などがあげられます)。

そのため「水ぼうそう」は通常、子供の集まる幼稚園や小学校で流行することが多く、「子供に多い感染症」とされています。

ただ通常は症状は軽いことが多く、通常はまずかゆみの伴う発疹から始まり、これと同時に熱が出て、数日後には発疹が周囲が赤い水ぶくれとなり、最終的にかさぶたとなって治ります


ちなみに、子供の水ぼうそうを減らすために、2014年から1~2歳の子に水痘ワクチンが定期接種化され、その後から子供の水ぼうそうの患者数は激減しています。

水痘患者数

国立感染症研究所HPより

 

一方、このワクチンを受けてない世代の感染者の割合が相対的に上がっています。

もし、「水ぼうそう」を子供のうちにかからなかった上に、ワクチンも接種していない「抗体未保有」の状態のまま大人になった後に、初めてこのウイルスに感染してしまうと、肺炎をきたしたり、皮膚もただれたりしてしまうなど、子供よりもずっと重くなってしまいやすくなるといわれています。

加えて、妊婦さんにこれが起こってしまうと、流産や、先天性水痘症候群という先天性障害、それに妊婦さん自体も重症水痘肺炎になりやすくなるなどのリスクが出てきます。


自身にワクチン接種歴がなく、水ぼうそうにもなったことのない方は、検査で確認することなく「水痘ワクチン」を接種することが可能ですので、気づいたら早めに接種していただくことをお勧めします!

 


さて話を戻します。


先ほど「水痘・帯状疱疹ウイルス」に初めてかかった場合は、「水ぼうそう」になるといいました。

一般的に「水ぼうそう」は、体の免疫がウイルスを抑え込み、自然と治ります。

 

しかし、残念ながら、体はウイルスを完全に除去することができません。

免疫による攻撃を受けたウイルスは、体の中の「知覚神経節(神経節とは神経細胞が集まってこぶ状になっているところ)」という部分に逃げ込みます。

 

そしてそこで体の免疫力に抑え込まれ、長い眠りにつくのです・・・

 

さて、ウイルスを持った子供は大人になり、年齢を重ねていきます。

そして年を取ってくると、徐々にウイルスを抑え込んでいた免疫が弱まってきます。


すると長い間抑え込まれて眠っていたウイルスが、徐々に目を覚まして、活動を始めていきます。


この時、ウイルスは「初めて感染した」時と違い、眠っていた時にいた「知覚神経節」から、知覚神経に沿って進んでいきます。

この時、ウイルスは知覚神経を傷つけながら進んでいくため、それによってとても強い痛みをきたしてしまいます。

そしてそのウイルスが皮膚に顔を出すと、神経の通り道に沿った皮膚に水ぶくれをきたしてしまうのです。

 

そして、この病気の非常にやっかいなところが、後遺症の存在です。


一番頻度が多くて、やっかいな後遺症が「帯状疱疹後神経痛」です。

 

帯状疱疹は神経を傷つけ、神経に炎症を引き起こします。

炎症をおこした神経は、その傷がずっと残ってしまうことがあります。

すると水ぶくれがなおっても、神経が傷ついたことによって、その神経からは常に痛みを感じるようになってしまいます。

 


神経そのものが傷ついた痛みですので「刺すような」「電気がびりっと走るような」「焼けるような」とても不快な痛みとして出ます。

また、軽く触れただけでもびりっと痛くなる「アロディニア」という症状を引き起こすことがあり、こうなってしまうと体が冷えたり、服に触れただけでも痛みが出たり、まともに体も洗えなくなったりと、日常生活に多大なる影響を与えてしまいます。


また一度傷ついた神経はなかなか治りません。

3か月程度は続いてしまうことが多く、状況がよくないと数年以上かけてもよくならないという状態に陥ることも稀ではありません。

その治療も特効薬はなく、なかなか難しいのが実情です。


そのほかにも、帯状疱疹が頭部で発症した場合は、顔面神経麻痺や耳鳴り、めまい、難聴を生じる「ラムゼイ・ハント症候群」や、ウイルスによる角膜、結膜、ぶどう膜炎によって視力低下、失明を生じるなどの重大な後遺症を引き起こすこともあるのです。

 

ほんと、とても厄介な病気、それが「帯状疱疹」なのです。

 

なので、この病気には本当に極力かからないほうがいいわけです。


そのために、できる対策はないものでしょうか?

 

そうです、そこで「ワクチン」なのです!

 

「水痘・帯状疱疹ウイルス」に対するワクチンを接種すれば、免疫力のてこ入れによってこのウイルスの目覚めを大幅に抑制することができるのです。

先ほど挙げた「水痘ウイルス」も、帯状疱疹の発症予防に役立ちます。

このワクチンは、ウイルスを弱めて作ったワクチンで、「生ワクチン」というカテゴリーのワクチンです。

このワクチンによる帯状疱疹の発症予防効果は約50%帯状疱疹後神経痛の予防効果は約65%といわれています。

 

一方、この「水痘・帯状疱疹ウイルス」表面のタンパク質を攻撃するようにデザインされた不活化ワクチン「シングリックス」が、2020年に発売されました。

「シングリックス」は、今までの生ワクチンに比べて段違いの効果を示します。

 

現時点のデータでは、このワクチンを接種することで、接種後10年間での帯状疱疹の発症予防効果が約90%に達し、帯状疱疹後神経痛の予防効果に至っては、85~ほぼ100%と、とんでもなく高い効果を示しています。

 

帯状疱疹の発症、帯状疱疹後神経痛は、50歳を過ぎると発症するリスクが飛躍的に上がることがわかっており、80歳までに日本人の3人に1人がかかるといわれています。


そのため、50歳以上のすべての方に、ワクチン接種がおすすめされています。

 

「シングリックス」2か月以上あけて2回接種することになっています(水痘ワクチンは1回接種です)。


「シングリックス」確かに費用は少しお高めです(当院では1回税込22,000円×2回となります)が、基本的に効果は一生もので、一回接種したらそれでおしまいですので、そう考えると将来の健康に対するそんなに高くない投資なんじゃないかなと思います。

 

 

先ほどもお話ししたように、帯状疱疹は全くまれな病気ではなく、みんなが等しくなる可能性のある病気です。

そしてたぶん、発症しちゃったら、「あの時打ってよけばよかったな」と思うワクチンです。

そうなる前に、50歳以上の方は、ぜひ一度、帯状疱疹ワクチンについて接種を考えてみてください!

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2024.03.03更新

当院では診療と平行し、さまざまなワクチン接種を行っております。

インフルエンザ、コロナのワクチンを除けば、ワクチンといえば子供が受けるものというイメージをお持ちの方も多いようですが、いわゆる「おとなのワクチン」も少なからず存在します。
以前「肺炎球菌ワクチン」についてはブログでご紹介しました(2020.6.7 高齢者で気を付けたい、肺炎について(肺炎球菌ワクチン解説編)が、その他にも皆様に知っておいてほしいワクチンがいくつかあります。
今後それらのワクチンを少しずつご紹介する記事もアップしてみようと思います。

ということで、早速今回は、おとなのワクチンシリーズ1発目です。

今回は「子宮頸がんワクチン」をご紹介してみましょう。

ワクチンって感染症を予防するものですよね?
でも「がん」のワクチンって何ぞや!?
と思われる方も多いかと思います。

そう、「子宮頸がんワクチン」も、実際はウイルスに対してのワクチンなのです。

どういうことでしょうか?

子宮頸がんの原因って、実は「ヒトパピローマウイルス」というウイルスなのです。

「ヒトパピローマウイルス」は、性交渉によって感染します。
このウイルスは、何も特別なウイルスではなく、感染すること自体は珍しくありません。
感染しても大体は自然に排出されてしまうのですが、排出されずに感染が長期に続いてしまったときに、子宮頸がんを引き起こしてしまうことがあるのです。

その発症年齢は早くて20~30代で、40代にピークを迎えます。

子宮頸がん罹患者数

厚生労働省リーフレットより

現在日本では年間10000人が発症し、年間約2900人(つまり1日約8人)の方が亡くなっていると言われています。

下の絵にあるように、決してまれな病気じゃない、ということです

子宮頸がん罹患者数

厚生労働省リーフレットより

また、20~30代で発症すると、結婚・出産時期と被っていまいます。
この病気は、かかってしまうとその治療により妊娠、出産が難しくなる可能性があるという問題を抱えています。
他にもこの時期は仕事や学業、育児など、ライフプランにも大きな影響を与えてしまうやっかいな病気なのです。

これを予防するために、「ヒトパピローマウイルス」に感染することを抑えるのが、「子宮頸がんワクチン」という訳になります。

 

皆様もマスコミの報道などでご存知だったかとは思いますが、このワクチンには、多様な副作用で接種の推奨が控えられたという歴史があります。
子宮頸がんワクチンを接種後、接種部位以外にも広がる全身の痛みや、手足の動かしにくさ、勝手に体の一部が動いてしまう不随意運動が起きることが報告されました。
これらの因果関係が否定できなかったことから、2013年6月にワクチン接種の推奨が控えられました。
しかしその後の調査で、接種していない方にも同様の症状をきたす方がいることがわかり、その数に明らかな違いは証明されませんでしたFukushima W et al. J Epidemiol. 2022; 32: 34-43
それをふまえて、接種した方、しなかった方約7万人の、各症状での頻度の比較をしたところ、そこにワクチン接種との明らかな関係は統計学的に認められないとの結果がでましたSuzuki S et al. Papillomavirus Res. 2018; 5: 96-103
その結果、国は2021年11月にワクチン接種の推奨差し控えを終了しました。

このワクチンは本来小6~高1の(つまりその年度に12~16歳になる)女の子が対象になるのですが、さっきお話しした接種推奨の差し控えにより、2013年~2021年にこれらの年齢に達した女性は、接種推奨のエアポケットに落ちてしまい、接種の機会を逸してしまいました。

そのためその接種機会を取り戻すため、現在1997年4月2日~2007年4月1日生まれ(つまり今年の4月1日に17歳~26歳)の方に対して、改めて接種の機会を提供することになりました。

これを「キャッチアップ接種」といいます(大事なことで、あとでまた出てきますので、よーく覚えておいてください!)。

それでは、次はそのワクチンについて具体的にご紹介します。

「ヒトパピローマウイルス」は多くの型があるのですが、子宮頸がんを引き起こしやすい「ハイリスク型」のウイルスは「16型」「18型」で、子宮頸がんの原因の60~70%を占めると言われています。

子宮頸がんワクチンは、これらに対する効果を含んでいないといけません。

まずその2つの型をターゲットとした(つまり2価ワクチンである)「サーバリックス」、それにもう2種類の型を加えた(つまり4価ワクチンである)「ガーダシル」というワクチンが存在していました(「ガーダシル」に加えられたもう2種類は、尖圭コンジローマという病気の元になる型で、これの発症も抑えることができます)。

その後、4価の「ガーダシル」から、更に子宮頸がんを起こしうる5種類の型への効果を加えた(つまり9価ワクチンである)「シルガード9」が2021年に日本で発売開始されました。

子宮頸がんワクチンの種類

子宮頸がんの発症予防効果は「サーバリックス」「ガーダシル」が60~70%、「シルガード9」90%以上となっており、安全性にも特に大きな差はみられません。
2023年3月までは、公費で受けられるのは「サーバリックス」「ガーダシル」だけでしたが、2023年4月からは「シルガード9」も公費で受けられるようになりました。

価格面での差もなくなったわけですので、公費で受けるなら、現時点でのおすすめは「シルガード9」と言って差し支えないと思います。

とはいっても、過去に「サーバリックス」「ガーダシル」を接種した方も、子宮頸がんの発症を予防するには十分効果がでますので、あまり考えすぎることもないと思います。


また子宮頸がんワクチンは後でお話するように2~3回受けますが、1回目に「サーバリックス」「ガーダシル」を受けた場合でも、2回目以降に「シルガード9」に変更することが認められています(そのように打った場合の有効性のデータは少ないのですが)。
2回目以降に種類の変更を希望される場合は、私たち医師にご相談ください。

次は接種の仕方、接種スケジュールです。

子宮頸がんワクチンは3種類とも「筋肉注射」で行います(コロナワクチンと一緒ですね)。

「サーバリックス」3回の接種で、1回目を打った後、1か月、6か月で2,3回目を接種します。

サーバリックス

「ガーダシル」3回の接種で、1回目を打った後、2か月、6か月で2,3回目を接種します。

ガーダシル

「シルガード9」は年齢により分かれます。
1回目接種の時に15歳以上の方は3回の接種で、1回目を打った後、2か月、6か月で2,3回目を接種します(「ガーダシル」と一緒です)。

シルガード
1回目接種の時に14歳以下の方は2回接種となり、1回減らすことができます。1回目を打った後、6か月で2回目です。

シルガード

これらのスケジュールでどうしても打てないときにも対処方法がありますので、困ったときは医師にご相談ください。


そしてここからが一番大事なことです。

国による「キャッチアップ接種」が、今年の9月で受付を終了します!
正確には2025年3月で公費における接種が終了しますが、上でお話した通り、すべて打ち切るには通常6か月かかります。

ですので9月までに1回目を打っておかないと、最後の接種が3月に間に合わなくなってしまうのです。

思ったほど時間はありません。
特に今年の4月1日に17~26歳となる女性の方は、できれば早めに接種を開始してください!



さて、3月に入りましたが、相変わらず当院には非常に多くの方にご来院頂いております。

正直、現在はかかりつけの方を診るので精いっぱいの状態が続いており、新患の方の枠を再診の方に振り分けて何とか対応している状態です。
当院おかかり希望の方には、大変ご迷惑をお掛けしております。

以前からお伝えしている通り、4月からは呼吸器診療枠を大幅に拡大し、パワーアップすることになっています。

今回その陣容の詳細が決まりましたので、少しご紹介させて頂きます。

今回、新たに当院で呼吸器診療に当たる医師は4名となります!(現在水曜を担当している平田医師は3月いっぱいとなりました)

まずは、福田勉医師です。
福田医師は現在茅ヶ崎市立病院の内科診療部長、および呼吸器内科部長を務めている医師です。

咳や息苦しさなどの呼吸器症状に40年以上にわたり立ち向むかった、長年の経験に裏打ちされた質の高い診療を提供していただきます。

福田医師火曜午後、土曜の診察を担当致します。

次にご紹介するのは、藤本紗代医師です。
藤本医師は大学病院、総合病院で呼吸器専門医として活躍されています。
また、呼吸器内科医として在宅の場でも医療を提供されており、患者さんと非常に近い距離で接しておられる医師です。
非常に話しやすい雰囲気で、女性ならではの視点できめ細かい医療を提供していだだきます。

藤本医師月曜午前、火曜午前を担当いたします。

またその他にも2名の医師が横浜市立大学から派遣されます。
こちらの医師につきましてはまた後ほどご紹介させて頂くこととしましょう。

金曜午後の飯沼医師による循環器専門外来は4月以降も変更なく行います。
また加藤医師の診療は金曜午前となります(土曜日は福田医師の診察に変更となりますのでご注意ください)。

この陣容で、4月以降は新患の方、再診の方ともに予約が今までよりもずいぶんとお取り頂きやすくなるかと思います。

加藤医院、茅ヶ崎内科と呼吸のクリニックの歴史の中でも大転換点となるような診療体制強化となります。
是非新生茅ヶ崎内科と呼吸のクリニックをよろしくお願いします!

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

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