医師ブログ

2021.09.07更新

首都圏は一旦コロナのピークを越えつつあるようです。

ここ茅ヶ崎でもやや落ち着いてきたのか、当院でもPCRが陽性になる方が減ってきている印象です。
もちろん全体でみると検査数が少ない(=発熱でも受診する患者が少ないor受診できない)事情もあるかもしれませんが、8月中旬の当院でも繰り広げられた「PCR出せば陽性」という壮絶な状況でなくなったところを見ると、やはり実際に落ち着いてきているというのが私の肌感覚です。

とはいえ、まだ一昔前の患者数とはけた違いの患者数ですし、まだまだ先は長そうです。

コロナのワクチンも茅ケ崎市からの通達では10月までにほぼすべての希望者にワクチンが行きわたるとのことで、9月をもって個別医療機関へのワクチン配送を終了するとの通達がありました。
しかし、当院で先週60人分の予約枠を開放したところ、5分かからず埋まってしまい・・・実際は接種したくても枠を待っている方が非常に多いのが実情です。
集団接種の枠もなかなか取れず、当院で打ちたいとおっしゃる患者さんも多く、正直もっとうちにワクチンを打たせてくれよ!というのが本音です。
ですが、一零細医療機関にはいかんともしようがありません。
市の言う通りなら10月には集団接種も予約が取りやすくなることと思います。ぜひ焦らず行動をしていただきたいと思います。

そうこうしているうちに、来月ごろからはインフルエンザワクチンの接種が始まります。
昨年はワクチンの接種希望者が非常に多く、10月はややパニックになったにも関わらず、結局インフルエンザは全く流行せずに終わったのはご存じのとおりです。

それでは今年のインフルエンザワクチンはどうしようか、迷っておられる方も多いと思います。

インフルエンザワクチン、やっぱり今年も打つべきなのでしょうか?

まず昨年の状況から振り返ってみます。
昨年は1月にコロナが出現、その後4月までには世界中に広がっていき、世界中でロックダウンなどが行われました。
その結果でしょうか、通常3~5月から流行が始まり、6月にピークを迎える南半球のインフルエンザは、まったくと言っていいほど流行しませんでした。

そしてその後日本を含む北半球も全く流行しなかったのはご存じのとおりです。

もちろんコロナによるソーシャルディスタンスマスクや手洗いの徹底という要素や、国際的な人の移動の減少という要素は大きかったと推測されています(ウイルス干渉説もあるようですが、昨年のコロナの患者数は、例年のインフルエンザの患者数と比べてけた違いに少ないため、あったとしてもあまり大きなファクターではなかったかもしれないと私は考えています)。

そして今年ですが、やはり南半球ではインフルエンザは流行していないようです(オーストラリアやニュージーランドでは今でも大都市でロックダウンが行われているようです)。
そしてわが国でも緊急事態宣言で相変わらず人との接触機会が減っている状態です。

この状態を考えると、やはり今年もインフルエンザは流行しないのでは、そんな風に考えることは自然なことだと思います。

ただ本当にそうなるのか、それはまだ誰にもわかりません。

今年の6~7月、突如子供たちの間でRSウイルスが大流行をきたしました。
当院にも子供たちからうつってしまい、発熱したり咳が止まらなくなったお母さんお父さんが非常に多く来院されました。
本来RSウイルスは9月ごろに流行を起こすウイルスです。
ところが今年は例年よりも2か月も早く流行し、その規模は例年以上でした。

その原因としては、RSに罹ったことのない子が今年は多かった可能性が指摘されています。本来RSウイルスは2歳までにほぼ全員が感染するといわれていますが、昨年は感染対策をした結果、RSウイルスにかからなかった子が多くいて、その子たちが初感染を起こしたためではないかともいわれています。
つまり集団免疫が弱かったことが示唆されています。

ただ、ウイルスの挙動は、必ずしもすべてが簡潔に説明できるとは限りません。


このRSウイルスの流行も、ピークを迎えてから約1か月でほぼ完全に収束してしまいました。
減り始めたのは7月中旬からであり、夏休みはまだ始まっておらず、極端な人流の変化もなかったはずです。
外的要因だけでは説明できないように思えます。

ひるがえってインフルエンザですが、こちらも毎年1月下旬ごろをピークに減少していきます。
今までは気候の影響と言われて我々もそれを信じていましたが、よく考えてみると2月はまだまだ寒さ、乾燥のピークです。
なのに2月下旬には急激な減少傾向になっている年が多いのです。
しかも気温だけの要素なら北国のほうが大流行するはずですが、実際は全国でそれほど差はありません。
気候だけでも説明できないように思います。

と考えると、ウイルスの流行のメカニズムって、やはりそう単純なものではないもののようです。
確かに感染対策や人の移動に影響をされることは確かですが、集団が持つ抵抗力や、もしかしたらウイルスそのものの特性も関与しているのかもしれません(今回のコロナ第5波の急激な減少にしたって、人流や感染対策は8月になり急に大きく変化をしたわけでもないですよね。やはり別のファクターを考える余地はあります・・・)。

ウイルスの挙動は、まだまだ分からないことが数多くあります。

 

そして昨年インフルエンザが流行しなかったことが懸念点に挙げられる考え方もあります。
昨年はほぼすべての方がインフルエンザに罹患していません。
実はその前のシーズン(2年前)も流行は小さいものでした。
そのため2年間にわたって感染によって免疫をつけるという機会は奪われていました。これはインフルエンザが流行する世の中になってからは初めてのことです。

集団免疫という点では不利になる可能性は否定できません。

つまり、今年のインフルエンザに関しては、流行しない可能性も低くはないとは思いますが、流行する可能性もないわけではないのです。

昨年が大丈夫だったからといって、今年は流行しないとの決め打ちはやはり危険であるように思います。

そして社会的には、まだまだ発熱をすることに非常に気を使わなければならない状況は続くと思われます。
もしインフルエンザが流行してしまったときに、それをもらってしまうと大変面倒です。
もちろん発熱患者診療を受け入れる医療機関は頑張るでしょうし、当院でも今まで通りできる限り受け入れます。
でも数少ない発熱診療医療機関に非常に多くの方が押し寄せると、さすがにパンクしてしまうでしょう。再度の医療崩壊の悪夢もよぎります・・・

そのような状況を考えると、ワクチンを打つことでそのリスクを減らせるチャンスがあるのであれば、是非インフルエンザワクチンは打っておいていただきたいと考えています。
コロナワクチンほどではないにせよ、インフルエンザワクチンも一定の発症、重症予防効果はしっかりと示されています。
重篤な副反応も非常にまれであることは、皆さんが実感されていると思います。

そしてそれがたとえ空振りになったとしても、春まで皆さんが無事なら良いわけです。

ぜひ、今年も皆さんにはインフルエンザワクチンを接種していただき、そのワクチン接種が本当に空振りに終わってしまうことを、切に願っています!

投稿者: 加藤医院 院長 浅井偉信