医師ブログ

2022.10.06更新

当院の院内改装も、ようやくゴールに近づきつつあります。


9月24日まで行った第2期工事では、診察室とは廊下を挟んで反対側のエリアを中心に行いました。

まずは検査室

検査室
いままで散り散りになっていた検査機器をほぼ一か所に集めて、より動線が分かりやすくなりました。

 


また、心電図検査に関しては、新たに専用の心電図室を設け、患者様が気軽に上着などを脱げる環境を作りました。

心電図室

 


こちらは内視鏡室ですが、広さはやや狭くなったものの、より効率的に配置換えを行い、この部屋で超音波検査も行えるようにしました。

内視鏡室

 


廊下ですが、内視鏡室からスペースを多少もらい、待合席を数席増設し、なるべく一人でも多くの方がお座りになってお待ちいただけるようにしました。

廊下

 

 

そしてこちらが発熱・感染症外来待合室になります。

発熱外来

トイレを移動させ、患者さんがお待ちいただくスペースをさらに大きく確保しました。

1期工事終了後より、より余裕をもってお待ちいただけるスペースを作りました。

 

3期以降では主に収納などの新設を行うので、動線としてはこれでほぼ完成です。

 

またソフト面でも、電話自動応答システムを導入しました。
今まで応対業務で職員がなかなかお電話に出られず、皆様にはご迷惑をお掛けしておりましたが、電話自動応答システムの導入で、皆様によりスムーズにご案内できるようにします(併せて受付業務の迅速化も目指しています)。

 

まだまだ慣れないことも多い新体制ですが、少しでも皆様が受診しやすいクリニックになれるように、引き続き頑張っていきます!

 

さて、当院のインフルエンザワクチン接種は10月11日より開始することとなりました。
今年は現時点では比較的ワクチン入荷に余裕があるため、当院おかかりつけの方は予約なしで受診時に接種いただける見込みです。

ワクチンのみご希望の方は後日改めてワクチン接種専用予約枠を作成いたしますので、今しばらくお待ちください。

 

 

で、本題。


今年のインフルエンザはどうなるのでしょうか・・・


正直、一昨年、昨年とほとんど流行することなく終わっており、昨年ブログでも「念のため流行には注意しましょう」と呼び掛けていた私にとっては、やや気まずいのも事実です(とは言っても、呼びかけたこと自体は間違っていないのですが。何事も悪い方に備えるのは鉄則ですので)。


毎年「流行る流行るサギ」みたいになってしまうのは正直いやなのですが、それでもやはり今年は警戒しておいたほうがいいのかもと、私は思っています。


一般的にインフルエンザの流行状況は、南半球で先取りすると言われています。
まずここ数年の日本。ご存知の通り、ここ2年は全くと言っていいほど患者がいませんでした。

日本 インフル


一方、南半球のオーストラリアの状況ですが、オーストラリアも2020年、2021年とほとんどインフルエンザの患者は出ませんでしたが、2022年に入り4月下旬からインフルエンザの患者数が増加し、コロナパンデミック前の2015~2019年よりもむしろ多い患者数となっています。

オーストラリア インフル
またブラジル2022年初旬に大流行を起こし、多くの死者を出しました(こちらは季節外れの夏~秋に流行した、やや珍しいパターンでした)。アルゼンチンも同様です。

ブラジル インフル

アルゼンチン インフル
そしてアメリカですが、こちらも北半球にもかかわらず、2022年の夏にかけて、インフルエンザの患者が出ています。これは他の北半球のいくつかの国にも見られた現象です。

アメリカ インフル
他の国も見てみたのですが(皆さんも下のリンクから見てみてください)、実は2020年のパンデミック発生以降、インフルエンザ患者が発生していない国はむしろ非常に珍しいのです(日本、韓国、香港などアジアがほとんどです)
WHO Influenza virus detection charts(世界各国のインフルエンザ発生者数)


ここら辺を考えてみると、日本にいると実感がないのですが、やはりインフルエンザウイルスは残念ながら未だ健在なのです。
そして、他国の様子を見ると、例年と違う時期に流行が発生する可能性が否定できないのです。

一方、今年も例年ほどは流行しないかもしれない要素もあります。

パンデミックからインフルエンザ患者をほとんど出していない東アジアの国々は、わが国を含め、欧米や他の地域の国と比べ、未だに厳しめの感染対策を行っている国々です(それが正しいかどうかはここでは置いておきます)。

新型コロナはインフルエンザよりはるかに広がりやすい疾患です。
今の日本のような感染対策だと、感染力の強い新型コロナには無力化もしれませんが、インフルエンザにはまだ効くかもしれません。

たださすがに日本でも以前ほど対策は厳格ではなくなっており、この状況を縫ってインフルエンザが広がっていく可能性もあり得ます。

また新型コロナも当然のことながら他国でもまだまだ感染者は出ており、実際にコロナ・インフルの同時流行は当たり前に起きているのが世界の現状です。


と考えると、やはり今年こそは流行する可能性はあると考えなければなりません(「こいつまた言ってんな」と言われてしまいそうなのがツラいとこなのですが・・・)


という訳で、今年もインフルエンザワクチンを打った方がいい理由は以下の通りです。

まずはいつもの年と同様、高齢者ではインフルエンザの予防接種は重症化を予防することができます。

65歳以上の方に対しては発病予防効果34-55%死亡予防効果82%と報告されていますPrevention and Control of Influenza. Recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices, 2008. MMWR 2008:57(RR07):1-60
また若い方に対しても、アメリカの軍隊内の若い兵士を対象とした報告で70~90%の発症予防効果があるとされていますDavenport F : Control of influenza, symposium on influenza. Med J Aust Spec Suppl 1973 ;1 : 33-38


加えて、やはりコロナ患者さんの増加と重なったときの、受診のしづらさは確実に起きるだろうということです。

私も9月にコロナに罹りましたが、正直インフルエンザの症状とよく似ており、検査をしないと見極めはおそらく不可能です。

そしてパンデミックの前のような、通常外来に多くの発熱患者さんがいるという世界線はおそらくしばらくは目にすることはないでしょう(私は、やはりインフルエンザはまだコロナとは同列には語れないと思っています。ここ最近多く目にするコロナの後遺症の多さはやはり脅威で、これは(少なくとも従来の)インフルエンザにない特徴です)。

発熱した場合、症状がつらい場合、そんな時にやはり不安の中で過ごすことになるのは精神的にも応えます。

もちろん我々医療機関も正直第7波の状況の再来はできれば避けたいのが本音です(もちろんそのような状況になればやるしかないのですが・・・)

個人の視点からも、社会の視点からも、そのリスクはなるべく下げておくべきだと思います。
幸い今年はインフルエンザワクチンの供給不足の情報は流れておりません。一昨年、昨年よりは接種しやすい状況かと思います。

他国のようなイレギュラーな時期の流行があるかもしれないという現状では、今年は少し早めの接種も考えておいてもいいかもしれませんね。

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2022.08.23更新

もう一回改装工事の様子を公開すると言っていたのに、もう工事がほとんど終わりになってしまいました・・・

休み中に、この時期にしかできない仕事をすすめておけばよかったのですが、「まだ大丈夫、まだ大丈夫」と思っているうちに瞬く間に日が過ぎ、お尻に火がついているこの頃です。

結局ブログを書くのが後回し・・・

 

あぁ、オレ小学生のころから変わってねーな・・・

 

という訳で、かなり完成に近い状態となってしまっていますが、診療再開を前に今の状態を少し公開したいと思います。

 

 

まずは受付。

改装工事

このように、とうとう新しいカウンターが入りました!

今までより大幅に広くなり、同時に4人の方の受付、会計が行えるようになり、スムーズに受付を通過できるようになると思います。

そして、

改装工事

こちらは自動釣銭機。

 

コンビニでよく見るアレと同機種です。

今回はこの自動釣銭機を思い切って2台導入し、少しでも受付のスピードアップを図ります。

今のところ1台は患者さん自らが操作する端末、もう1台が職員が操作する端末として運用していこうと考えています(うまくいかないようであれば変えちゃいます)。

 

ちなみにジムチョー室も新設(今まで血圧計を置いていたところがすこし削られます)。

改装工事

ここにジムチョーを押し込みます(*^-^*)

 

受付も今まで乱雑に見える当院でしたが

改装前

ずいぶんスッキリした受付の姿に変わりそうです。

 

次に診察室。

こちらは第1診察室です。

改装工事

第2診察室との仕切りは木目調のデザインにし、だいぶ印象が変わりました。

 

こちらは第2診察室。

改装工事

デザイン、広さともに第1診察室とほぼ同様となりました。

そして壁紙、床、照明ともにすべて入れ替え、かなり明るい印象になっています。

今まで院長の診療は第2診察室で行っていましたが、今後は第1診察室に移る予定です(加藤先生、髙倉先生などの診察が第2に移ります)。

待合から私の診察室が少しだけ近くなる見込みです。

 

次に廊下、中待合から発熱・感染症外来に至る通路(真ん中)と、レントゲン室(右入口)です。

改装工事

廊下と中待合の間にも扉が設置され、完全な隔離が可能となりました。

レントゲン室へのアクセスも良くなります。

 

最後に発熱・感染症外来待合(手前のぐっちゃぐちゃな所)と、その奥の発熱・感染症外来専用診察室です。

改装工事

こちらは今までより外気を取り込みやすい位置となっており、またクリーンパーティションも増設する予定ですので、今までより安心感が増すかなと思います。

椅子とかが並べば、また雰囲気がわかるかと思いますので、完成したらまたきっと掲載します。。。

 

という訳で、明日からいよいよ荷物の搬入、復元です。

果たして2日でできるのか!?

オレ、家に帰れるのか!?

 

楽しみながらみんなで作業をして、26日に笑顔で皆様をお迎えしたいと思います!!

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2022.08.16更新

当院は現在改装工事にてお休みをいただいております。

世の中はまだまだコロナ感染者数が落ち着いている状況とは程遠く、この期間にお力になれないのは申し訳ない限りですが、再オープン後は今まで通り、少しでも社会のお役に立てるクリニックでいられるよう、職員一同精いっぱい診療に取り組みます!

 

ということで、今回は今の工事の進捗状況を簡単にお写真で紹介してみます。

まずは受付から。

(前回のブログでも掲載しましたが)30年以上頑張った大理石のカウンターでしたが

改装

このように撤去され

改装

新しいカウンターを受け入れる準備を整えています。

 

次に廊下です。

こちらは中待合から裏入口(現在の発熱・感染症外来入口)を望む方向の写真ですが、

改装

途中にある壁が壊され、向こう側の裏入口とまっすぐの動線となりました(今後この間に扉ができ、通常診察室と発熱・感染症外来待合室が区切られます)。

改装

 

 

次に第2診察室(今までの院長診察室)です。

改装

このように診察室の後ろに壁ができました。

改装
それはなぜかと言うと・・・

 

こちらは中待合の受付から遠い側(身長体重計と視力・呼吸機能検査エリア)になりますが

改装

このように

改装

2つの入り口が新設されました。

手前側は

改装

このように第二診察室に通じる新しい通路です(この写真の右側の壁の裏が、先ほどお出しした第2診察室後ろに新設された壁になります)。

患者さんと職員の動線の重なりを極力減らす構造としています。

 

そしてもう一つの入り口は

改装

こちら、新しいレントゲン室の入り口となります。今までよりもレントゲン室へのアクセスが良くなります。

 

最後にこちらは元発熱・感染症外来待合エリアでしたが、

改装

間に壁が出来ました。

改装

向こう側の空間が今回新設した、常設の発熱・感染症外来診察室となり、手前側がその待合エリアとなる空間です。

こちらはその診察室を中から見た光景です。

改装

改装

 

 

工期はもう半分です。この後、また劇的に変化します。またお知らせしますのでお楽しみに!!

 

またこのホームページも(予定よりかなり遅くなってしまいましたが)改装とほぼ同時のタイミングでようやく全面改装をすることとなりました。

こちらも近日中に公開いたしますので今しばらくお待ちください!

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2022.08.10更新

怒涛の1週間が終わりました。


改装前の、過去に例を見ない長い休診期間を前に、先週は非常に多くの患者様にご来院頂きました。
加えて発熱外来、ワクチン接種の方々にご来院頂いたことで、当院はもうそれは目の回るような忙しさでした。

先週は実に平均1日200人ほどの患者様にご来院頂き、皆様には大変な混雑でご不便をお掛け致しました。


ただ幸いなことに、私たちの肌感覚では、第7波はピークを過ぎつつあるように感じます。

7月中旬~下旬は、朝の受付開始からおよそ数十分で発熱・感染症外来の枠が埋まり、かつ抗原検査の実に8~9割が陽性となってしまう惨状でしたが、最後の1週間は午前の終わりや日によっては午後まで発熱・感染症外来のお受け入れを行うことができ、抗原検査の陽性率も半分を割るくらいまで落ちてきていました。

もちろんまだまだ波は続いてはいるのですが、ピーク時に当院が休診期間に入らずに発熱・感染症外来が全うできたようなのは本当に良かったなと思います。

結局第7波に入って以降、当院ではこの約1か月の間に350人ほどの発熱・感染症外来のお受け入れを行い、約200名の新型コロナ陽性患者さんの診断を致しました。


その中でこのコロナ禍、そして第7波で感じた雑感を今日はここに残してみたいと思います。

今回の第7波では、症状はいわゆる発熱、だるさ、喉の痛みといった「普通の風邪」の症状で済む人が数多かったのは確かですが、中には肺炎にまで進行していた方や、酸素飽和度が低下して、酸素の体への取り込みが悪化してしまった方、そして数日間食事がとれず脱水気味になってしまった方も確かにいらっしゃいました。
若い方でもそのようになってしまった方がいらっしゃいましたし、またこの波では「後遺症」や「症状の長引き」としてのだるさ、頭痛、呼吸器症状などの多彩な症状が良くならないと訴えられる方も非常に多かったです。

やはりオミクロン株とはいえ、まだまだ「普通の風邪」では済まない人は一定数でてしまうんだなという印象でした。


一方そして、ワクチンの効果も実感した第7波でした。

確かに3回ワクチンを接種して感染した方は少なくなかったのですが、そのうちのほとんどの方が非常に軽い症状で済んでいました。
一方、率直な肌感覚では、若い方を中心にワクチン未接種の方や、2回目接種から時間が空いてしまった方に比較的症状が重い方が多かった印象です。

とはいっても、2年前、1年前に比べれば、我々もワクチンや治療薬といった新たな武器を手にし、一方当初よりも確実に弱毒化が進んだことも事実です。

前回のブログでも述べたように、それぞれ個々のリスクに応じて、その人にあった感染対策を取ったうえで適度にコロナを受け入れざるを得ないんだろうなとも思った第7波でした。
普通の風邪の症状で済んでしまった多くの方にとっては、発症から10日間の自宅隔離はいささか長すぎるのではと、かわいそうにも思いますし、いざ自分に置き換えて考えても10日間家に隔離されるのはそれ自体が恐怖です。
確かに10日以内の解除だと他者への感染リスクは0にはならないかもしれませんが、今年7月に発表された報告では(サンプル数が小さいものの)オミクロン株の場合、PCR陽性からウイルスが検出されなくなるまでの期間は5日程度とされておりN Engl J Med 2022; 387:275-277隔離解除後も数日は十分な感染対策を取ることを条件に、もう少し短くなってもいいんじゃないかなと思うのが正直なところです(もちろん症状が長引いたり、重くなったりした場合は話は別です)。


そして、もうしばらくは「インフルエンザと同じ5類感染症運用」は難しいとも思います。

やはりオミクロン株とはいえ、今はまだ「普通の風邪」で済まない人もいらっしゃるのは事実です。
またこの時期にこんなに流行る風邪を今まで我々はそう経験したことはありません。

やはり今でも新型コロナはインパクトのある感染症です。


そうした中、コロナを5類感染症にしたところで、コロナ禍以前みたく通常の待合室に発熱患者さんがお待ちいただく構図が社会的に許されるようになるわけではないのではないでしょうか。
単純に5類にしたらどの医療機関でも簡単に診れるようになるというのは現場を知らない人の幻想でしょう。
5類の目的がここにあったら絶対に社会や医療現場は混乱します。

2類に残すにせよ5類に移行するにせよ、行政と医療機関の連携を切らないようにしたり、負担をおそれて受診しないことで病状悪化のリスクを上げることがないよう、公費治療の枠組みは残したりと、弾力的に考えて頂かないとうまく回らない気がします。





という訳で、当院も一度ここで一時的に最前線から離れることになりました(もちろん再開後はいままで通り全開で頑張ります!)。ここからは改装に関して、すこし情報を。

今回の改装は、現在3期~4期にわけて工事を行う予定で、今回の1期工事が最大となります。
今回は受付エリアから診察室にかけての改装レントゲン室の移設発熱・感染症外来診察室の恒久設置化を中心に行います(受付エリアは窓口を最大4つに拡大し、併せて自動釣銭機を導入することで、少しでも受付でのお待ち時間を減らせるようにする予定です。)

早速月曜から工事が開始となり、30年以上頑張ってくれた受付カウンターも、すでに旅立ってしまいました・・・

受付工事

そして2期工事は9月のシルバーウィークを利用し検査室エリアの拡張廊下の拡張発熱・感染症外来待合エリアの拡張を予定しております(1期工事と2期工事の間はほんの少しですが、待合エリアが小さくなってしまう可能性があります。ゴメンなさい・・・)。

3期工事以降は未定ですが、いろんなところの見た目が変わることを考えています。


という訳で、皆様にはご迷惑をお掛け致しますが、当院の機能をさらに向上させる改装工事となります。
当院の診察再開まで、今しばらくお待ち頂ければと存じます。

なお、当院が休診の間は、その分発熱患者さんを受け入れられる医療機関が少なくなってしまっています。
ましてやこれからお盆の時期で、開いている医療機関もさらに少なくなってしまうことが予想されます。

現在発熱して、医療機関にどうしても受診できない場合は、行政から配布されている抗原キットを利用し、陽性であれば、重症化リスクがなければ自主療養を届け出していただくことが可能です。

解熱薬に関してはアセトアミノフェン(商品名:カロナールなど)が推奨されておりますが、今は大変な品薄になっています。
ロキソプロフェン(商品名:ロキソニンなど)やイブプロフェン(商品名:イブなど)など、当初コロナの重症化が危惧された解熱鎮痛薬についても、コロナに関してはあまり悪さをしないというデータも多く出てきておりLancet Rheumatol. 2021 Jul;3(7):e498-e506. Drug Saf. 2021 Sep;44(9):929-938.とりあえず手に入る解熱鎮痛薬で急場をしのいでいただければよいかと思います(ロキソニン、イブプロフェンは多く使うと胃が荒れるので、使い過ぎに気を付けてください。また小児の方はロキソニンはダメですので注意してください)。

皆様がこの第7波を切り抜けて頂き、楽しい夏をお過ごしいただけることを切に願っております。

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2022.04.04更新

みなさんこんにちは!「医療法人社団加藤医院 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック」院長、浅井偉信です。


今までお伝えしたとおり、当院は2022年4月1日に上記名称に改称させていただきました。

今回の名称変更にともなう診療体制の大きな変更はなく、当院は今まで通りに診療を継続しています。

それでも名称、ロゴの変更とその準備はいろいろと大変でした。

この名称は、私が当院に来る前からいろいろと考えていた選択肢の一つでした。

他にも自分の名前を入れたり、今風のユニークなクリニック名にしたりすることも考えましたが、やはり当院は、呼吸器診療ならだれにも負けないという自信を持ちつつも、かつ敷居の低いクリニックでありたいという私の願いから、わかりやすさと親しみやすさを込めたこの名前を選ぶこととしました。

またロゴは、Web上のクラウドソーシングサイトからご応募いただいた20名以上の候補者の中から契約させていただいたデザイナーの方とともに、数カ月かけてデザインを練り上げました。
茅ヶ崎のCの形をモチーフとして、多種多様なカラダのお悩みを気軽に当院に相談できる雰囲気を多色のパステルカラーで表現しつつ、Cの中で舞う青いイメージでさわやかな空気感を表現し、当院にお越しいただいた方に気持ちよく呼吸していただきたいと言う願いを込めました。

茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック ロゴ


これらが決まり、行政機関への届出を数ヶ月前から進めました。それに周辺の方々(患者さん、各医療施設の方々、出入りされる業者さんなど)への周知を、これも時間をかけて行いました。

そしていよいよ変更日が近づき、表の看板、建物入口、医院入口の看板に加え(表の一番大きい柱の看板は老朽化で新調中です)、

看板入口表記

処方箋や紹介状の名前の変更、

紹介状

院内各所の掲示物のロゴや名称の変更、

サイネージ

封筒や診察券などの一新などなど、

診察券

普段の診察に加えて行う作業がここしばらくはチリツモでした・・・


それと、4月からは当院の電話応対も変わりました。

何せ60年以上も「加藤医院」として運営されていたクリニックですので、そう簡単には慣れません。
「加藤いい・・・あっ、茅ヶ崎内科と呼吸のクリニックです」「茅ヶ崎呼吸と内科のクリニックです」「茅ヶ崎呼吸のクリニックです」などなど、しばらくは色んなバージョンの電話応対がお聴きいただけると思います・・・


当院スタッフもこのようにして、

カンペ

なるべく間違わないように気をつけておりますので、しばらくは温かい目で見守って頂ければと思います。

また「加藤医院」の名称も残っていますので、今まで「加藤医院」で馴染んでいらっしゃった方は、どうぞそのままお使いください。

それと来週11日から、当院に新しい仲間が加わります。

循環器内科専門医の髙倉美登里先生をお迎えして、循環器専門診療を開始します。

髙倉先生は3月まで茅ヶ崎市立病院循環器内科で若手エースとしてお仕事をされていた、非常に臨床能力の高い先生です(私も勤務医時代はいろいろと助けてもらいました。そのうち、病院の勤務医がどのような仕事をしているのか、我々開業医とはどのように違うのか、そんなこともブログに書いて見ようかなと思います)。
当院診察室にも循環器内科専門グッズがお目見えし、また新しい雰囲気になりつつあります。
循環器内科ツール
当初は月曜午前、水曜午後の診療から開始しますが、来院いただく患者さんが増えたら徐々に診療日を増やす予定です。
まだまだ加藤先生も元気に金曜、土曜の午前に消化器専門診療を行っており、引き続き土曜日には横浜市立大学病院から2名の消化器内科の先生をお迎えして胃カメラ検査を行なっております。

という訳で当院には3科の専門医が揃い、様々なお悩みに高いレベルでお応えできる体制が整いました。
それぞれの専門医が最新の知識に基づいて、今の時代に沿った正確な医療を行うクリニックでありたいと思います。

そしてその診察の結果、専門的検査や治療が必要であれば、速やかに茅ヶ崎市立病院湘南藤沢徳洲会病院をはじめ、総合病院に紹介することができます(我々ももちろんその検査、治療については精通していますので、その治療の経過に合わせていろいろなこと聞いていただける、気軽な相談相手になることもできます)。
もちろん専門的な検査や医療が終わったら、また当院に戻ってくることも可能ですし、総合病院を離れるからといって診療の質が落ちることもありません。

また実はこの茅ヶ崎の中にも、隠れた名医が数多くいらっしゃいます。

その先生方もかつては総合病院の専門外来で、それぞれの領域で辣腕を奮っておられた先生方です(我々医師が、医師免許を取った後にどのようにキャリアを磨いているのかということも、ネタが尽きてきたらブログに書いてみようかなと思っています)。
そのような先生方と連携を取り、「いいとこどり」をすることで、より質の高い医療を受けて頂くことも可能です。


総合病院でないと専門的な医療は受けられないと思っている方もおられるかもしれませんが、私たちはそのような考えを覆していけるように研鑽しています。

それぞれの科の専門医として、専門医であることの責任を持ってベストの選択を患者さんに提供したいと思っております。

 

末永く、「茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック」を、よろしくお願い致します!

集合写真

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2022.03.05更新

いつもはやや落ち着きのある2月ですが、当院は過去に例のないくらい多忙を極めました(ブログ更新できなくでスミマセン・・・)。

通常外来に加え花粉シーズンで増えた咳の患者さん、2月から始まったブースター接種を受けに来られる患者さん、それにピーク時は連日20人以上お越しいただいた発熱・感染症外来の患者さん・・・

連日外まで行列を作ってしまい、大変ご不便をおかけしてしまいました。

それでも当院の至らなさを温かく受け入れてくださり、スタッフに優しいねぎらいの言葉をかけて頂いた多くの患者さんのおかげで、当院スタッフは何とか一人も倒れずに頑張ることができ、いよいよ年度末を迎えることができました。(当院のスタッフにも本当に感謝、感謝です・・・)


私が当院の院長に就任して3年、すっかり当院は呼吸器、アレルギー専門診療を提供するクリニックとして皆さんに受け入れて頂くことができました。多くの患者さんにご来院頂けたこと、心より感謝いたします。

そして、当院は4月からバージョンアップを図ることになりました。


まず一番のバージョンアップポイント、それは・・・

医院名の変更です!

当院は4月1日から以下の名称に変更させていただきます(エイプリルフールじゃないよ)

” 医療法人社団加藤医院 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック ”
茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック

 

 

当院は開院以来約70年にわたり、「加藤医院」としてここ茅ヶ崎・雄三通りで診療を続けて参りました。
今回、医療法人社団加藤医院の名はそのままに、一般的な身体のお悩みに加え、咳や息苦しさなどの呼吸器症状、それに様々なアレルギー症状にお困りの方の気軽な相談相手として、そして皆さんがこのような症状で困ったときの最後の砦として、今まで以上に皆さんに親しんでいただきたいとの思いを込めました。

そして、「加藤医院」の名前も残ります。今までの歴史は大切に、ここ茅ヶ崎の雄三通りに根付いた地域密着の医療機関として、今までと同様にご愛顧いただきたいと思います。

4月にはスタッフのユニフォーム、当院の看板、そしてこのホームページもリニューアル予定です。
バージョンアップした「医療法人社団加藤医院 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック」にご期待ください!

 

次はバージョンアップポイント2、Web問診の開始です。

こちらは3月よりすでに開始しております。
今まで来院してからお書き頂いていた紙の問診表に加え、ご来院前、受診前にWeb上で問診表をお書き頂くことができます。
Web問診では細かい内容までお聞きすることができるので、今まで以上に詳しい診療を行うことができるようになります。
併せて事前にゆっくり答えて頂けるので、時間がなくて焦るということもなくなり、患者の皆さんが伝えたい内容を確実に私たちに伝えることができるようになります。
もちろん来院時には問診表の記載が終わっているので、診察までのお待ち時間もその分短縮できます。
Web問診
最初は慣れない方もいらっしゃるとは思いますが、是非ご活用いただければ幸いです。

そしてバージョンアップポイント3、新しい専門診療を開始します。

現在当院では、常時行っている一般内科診療に加え、院長による呼吸器・アレルギー専門診療加藤医師による消化器専門診療を行っておりますが、ここに新たに循環器専門医をお迎えして、循環器専門診療を開始致します。
3月まで総合病院でバリバリ活躍されている、優しい女医さんが、心臓、血管の症状、病気を担当いたします。
動悸、むくみ、息苦しさや胸の痛みなどの症状を専門的な視点から診療いたします。
心臓のエコー検査もすぐできちゃいます。

またもちろん高血圧をはじめとした生活習慣病管理もお手のものです。

当院の診療の幅が今まで以上に広がります。是非こちらもご期待ください!


またこちらのバージョンアップもう少し後になりますが、今夏をめどに今まで以上の大改装を計画しています。
ご来院頂く患者さんの増加により手狭になっている待合エリアの拡大や、今まで以上にしっかりと分離をした発熱・感染症外来エリアの設置など、今までの改装とはレベルの違う改装工事となる予定です(そのため今夏は通常よりも長いお休みを頂く可能性があります。また詳しいことが決まりましたら発信いたします)。


コロナは一時のピークを過ぎたようですが、まだまだ少なくない方が当院にご相談にいらっしゃいます。
コロナだけではない世界のゴタゴタもあり、なかなか落ち着きを見せない世の中ですが、そのような中でも、まずは体の心配をせず健康で過ごせることは大事なことです。

当院が今まで以上にそのお手伝いをできるよう、今後も職員一同、全力でがんばって参ります!

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2021.12.30更新

2021年もひとまず診療が終わりました。今年もご愛顧いただきありがとうございました。

にしても、ホンっトに目まぐるしい1年でした・・・

まずはそんな当院の2021年を少し振り返ってみます。


今年は冬のコロナ第3波対応から始まり、当院にご来院になる患者さんが急増しました。

時を同じくしてコロナワクチン接種の準備が始まり、春から高齢者や医療従事者、そして夏場からの一般への方々への接種を続けて参りました。

そして夏には第5波を迎え、当院でもコロナ陽性患者さんだけでなく、コロナ感染に伴う肺炎や呼吸不全、そしてコロナの後遺症に悩む患者さんを数多く診療しました。

このような経験は今までの私の呼吸器科医としての人生で、経験がありませんでした。

やはり「コロナはただの風邪ではない」ということを、まざまざと見せつけられました。

秋ごろにはコロナ感染者数も落ち着いてきましたが、1か月遅れの高齢者検診が始まり、併せてインフルエンザワクチンの接種も始まったため、更に混雑に拍車がかかり、結局2021年は前年の1.3倍以上の患者さんにご来院頂くこととなりました(ワクチンのみの方を除いたデータですので、実際のご来院患者さんはさらに多かったと思われます)。

職員の増員やシステムの改善などで精一杯対処し、データ上は昨年よりもお待ち時間を短縮することができています。しかしそれでもやはり急激な変化には対応しきれなかった面もあり、皆様には混雑でご迷惑をお掛けしたかと思います。

そこで来年は、更なる抜本的な改善策を打ち出し、よりよい院内環境の構築を目指すことと致しました。

まずはこの冬から、業務改善を専門に行うスタッフを職員として招き入れました。
今までになかった視点からもフローを見つめ直し、より皆さんにフレンドリーな環境を作っていきます。

また先日、更に発熱、感染症外来での感染リスクを低減するため、発熱、感染症外来の診察室に陰圧パーテーションを導入しました。
来月には発熱、感染症外来の待合エリアにも追加導入する予定です。

そして来年には院内の大改装を予定しております。
詳細はまだ決まっていませんが、動線を改善するため、今回はかなり大規模な改装となる予定です。
もしかしたら少し長めの休診期間を頂くかもしれません。
詳しいことが決まりましたらまたHPなどでお知らせいたします!

もう一つ、来春からWeb問診を導入することにしました。
今までは当院にご来院頂いてから手書きで記入していただいた問診が、あらかじめご来院前にゆっくりと、そしてより詳しく記載していただけるようになります。
これによりお待ち時間が少しでも減らせ、またより正確な診断につながる診療となることを目指しています。

新たに医師を増員する計画もあり、こちらも詳細が決まり次第お伝えいたします。
他にもまだ明かせませんが、大きなことをいくつか考えています。
(なお前回記載した「院外呼び出しシステム」に関しては、ご利用希望の方が非常に少なかったため、今回は導入を見送ることとしました)

直近では、3回目のコロナワクチンの接種が始まります。
当院では2月から接種を開始する予定で、年明けにワクチン入荷量が決まり次第、まずは医療従事者と高齢者の方のご予約を開始いたします。

予約方法については予約開始時に当ホームページ、及びLINE公式アカウントで告知いたします。

なお今回は接種を迅速に進めるため、ファイザーだけでなくモデルナのワクチンも使用する可能性があります。

国は2回目までのワクチンと異なるワクチンを使用した交差接種の許可を出しています。

オミクロン株についても、少ないながらも少しずつ情報が集まってきました。

現時点での情報は近々ブログにでも書いてみようかと思いますが、やはり現時点ではブースター接種の意義はありそうです。
なるべく一人でも多くの接種希望の方に、一日でも早く接種頂けるように致しますので、ご理解の程宜しくお願い致します。

というわけで、来年は今までよりも患者さんに心地よく来院、通院して頂ける環境が整う、加藤医院進化の年となる予定です。

また2022年も何卒よろしくお願い致します。

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2021.09.26更新

9月末になり一旦コロナの感染者数は落ち着いてきたようですが、まだまだ世間への影響は大きく、残念ながら日常の話題の中心です。

いいのか悪いのかわかりませんが、当院のブログも私の想定以上の方に読んでいただいているようです。
先日、ある患者さんに教えていただいたのですが、Similarwebという、全世界のサイトの閲覧数を順位付けしてくれる集計サイトがあり、そこには・・・

1位:EPARKさん、2位:日本医師会さん、3位:エムスリーさん、4位:MSDマニュアルさん。
そして・・・

similarweb

いやいや、明らかに場違いでしょ、katoiin.info(笑)

まあこの夏はコロナ第5波で皆さん心配になり、当ブログに行きつかれた方が一時的にでも大きく増えたのが原因というわけですが、こんなにも多くの方にご覧頂いていたとは知らずにのほほんと情報発信をしていたこのブログ、さすがにちょっとビビりましたので、ほとぼりが冷めるまでは(?)しばらく気を引き締めて書いていこうと思います。

 

さて、コロナワクチン接種もそろそろ佳境に入り、若年者の接種もだいぶ進んできました。
茅ヶ崎市も10月にはほぼ接種が行き渡るとみているようで、第6波の山が小さくなることが期待されます。

しかし、ここ最近はブレイクスルー感染(ワクチン接種後にもかかわらず感染してしまうこと)の事例も報告されはじめ、外来でも3回目の接種:ブースター接種についてお問い合わせを頂く機会が増えています。
そろそろブースター接種について調べてみなきゃなと思っていたところ、ちょうど9月15日に2つの新しいデータが発表されました。

今回はブースター接種について、今わかっていることをお伝えしてみたいと思います。

今回のデータはいずれも、世界で一番早くファイザー社製のワクチン接種を行ったイスラエルからのデータです。
一つはまだ査読をされていないものですが、時間経過によるワクチンの効果の推移を示すデータ、もう一つがかのThe New England Journal of Medicineからの、3回目のブースター接種の効果をみたデータです。


まずは一つ目から。Waning immunity of the BNT162b2 vaccine: A nationwide study from Israel. medRxiv. 2021
イスラエルで2021年3月にワクチンを2回打ち終えた人と、その2カ月前の1月に2回打ち終えた人が、7月11日~31日までにどれくらい感染、重症化したかのデータです(この時期のイスラエルはほぼ全てデルタ株だったようです)。

この期間、60歳以上の高齢者では、3月に打った人、つまり接種後4カ月経過した人は1000人当たり1.6人感染したのに対し、1月に打った人、つまり接種後6カ月経過した人は1000人当たり3.2人と、約2倍に増えていたようです。
また重症化率も同じく約2倍の差があったようです(ちなみに重症者に占める未接種者の割合は、2回以上接種した人に比べ10倍以上もいるため、2回(接種済み)vs0回(未接種)の違いは3回vs2回の違いに比べてずっと大きいです)。

これに伴い、ワクチンを打たない時と比べた、打った時の重症化予防効果も、接種後4カ月の91%に対し、接種後6カ月は86%に、わずかですが低下したようです。(若い人のデータに関しては、日本同様イスラエルも高齢者から接種が始まり、若い人は接種が遅れたため、まだ十分なデータとは判断できないため、ここでは割愛します)


ここでいったん補足。
8月に藤田医科大学がファイザー社のコロナワクチンで接種3か月後に抗体が1/4まで低下すると報告をしました。https://www.fujita-hu.ac.jp/news/j93sdv000000b3zd.html

ただこれを効果が1/4になってしまっていると勘違いされる方が多いようです。
抗体の量と予防効果は必ずしも比例関係にはなりません(1/4の抗体量でも、十分予防には足りる量である場合もあるわけです)。
また抗体だけが仕事をするわけなく、T細胞の働きなども予防には重要な効果を示します(T細胞がどのように効果を示しているかはこちらから)。

あえてミスリードを狙ったようなデマっぽい情報もあったようなので、一度確認していただきたいと思い補足しました。

 

そして二つ目です。Protection of BNT162b2 Vaccine Booster against Covid-19 in Israel;N Engl J Med. 2021 Sep 15. doi: 10.1056/NEJMoa2114255.
2回接種を終えた60歳以上の1,137,804人が、2回目から5か月以上空けてブースター接種を行った際に、ブースター接種を行っていない人とどれくらいの差が出たかというデータが示されました。

まずブースター接種12日後以降のデータを見ると、感染率はブースター接種で91.2%、重症化率は94.9%減らすことができたとのことです。
またファイザー社からの報告を見る限り、3回目の接種での副反応は、高齢者、若者いずれも2回目と比べそこまで大きな差はないようです。VACCINES AND RELATED BIOLOGICAL PRODUCTS ADVISORY COMMITTEE BRIEFING DOCUMENT MEETING DATE: 17 September 2021

ブースター接種副反応

 

ブースター接種副反応

 

これらの報告から言えることとしては、やはり多少ではありますが、時間の経過とともに徐々にワクチンの効果は落ちていくだろうということ、それと少なくとも高齢者にはやはりブースター接種は効果がありそうだということです。

ただ今回の報告の問題点としては、まずは観察期間が非常に短いことです(2つ目の報告はブースター接種後最大1か月程度しか追っていません)。
そのためブースター接種の効果がどれくらい続くのかはわかっていません。
またブースター接種を行うことによる長期的な安全性もまだわからないと言わざるを得ません。

加えて接種が遅れた若者のデータはまだ少なく、ブースター接種の有効性もまだはっきりとしていないこと、そもそも若者ではもともと重症化率は低いので、ブースター接種のコスト(お金だけではなく、安全性などのリスクも含めてです)に見合う利益が得られるかどうかがわからないという点もあります(若者に関しては、周りへの感染の頻度を減らすことができるか、それとコロナの後遺症であるLong COVIDを減らすことができるかどうかということが、ブースター接種の必要性を決めるのには大事になるんじゃないかなと思いますが、これらの点は調べた限り、まだ結論が出ていません)。



国からは、今年の年末から3回目のワクチンブースター接種開始のお達しが出ているようですが、高齢者だけを対象とするのか、基礎疾患を持つ人を含めるのか、それとも若者を含めた全員に行うのか、これらをよーく考える必要がありそうですし、またもう少し時間が経ってからわかってくることも見てみる必要がありそうです。今後まだまだいろんな検討が必要そうです。

また新しい情報が出てきたら、(日常業務の支障のない範囲で・・・)書いてみようと思います。

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2021.04.01更新

今日から4月、新しい年度の始まりです。

私も本日で加藤医院に赴任し、丸2年が経ちました。
下の図はこの2年間での、1日に当院にご来院頂いた患者さんの数ですが、おかげさまでこの2年間で多くの方々に新しい加藤医院を知っていただき、呼吸器、アレルギー症状にお困りの方をはじめとした多くの患者さんにご来院いただきました。

患者数


と同時に、ご来院いただく方の増加に伴い、混雑でご迷惑をお掛けしております。
昨年12月から新予約システムが始まり、徐々に混雑状況は改善していますがまだまだ改善の余地があります。
いろいろとデータも集まり傾向も見えてきましたので、このデータを活かし更なるサービスの改善に努め、一人でも多くの患者さんにご満足いただけるよう、3年目も職員一同精進したいと思います。
2021年度の加藤医院も引き続きよろしくお願い致します。

さて、前回は花粉症の市販薬についてお話ししてみました。
鼻水、鼻づまり、咳などの症状が出た場合、ご本人が花粉症と認識している場合は、前回の花粉症薬を使われるケースが多いですが、本来これらの症状は風邪と見極めることが簡単ではありません。
患者さんとお話しをしていると、かなりの割合で風邪薬を多用されている患者さんもいらっしゃることが分かりました。

そこで今回は、風邪薬、その中でもよく利用される総合感冒薬について、その特徴、注意点についてまとめてみようと思います。

風邪には実に様々な症状が現れますが、総合感冒薬は、その中でも頻度の高い症状に対し、だいたい対応できるようにしたものです。
そこで今回はその総合感冒薬を考えるにあたり、Google検索で「風邪薬」と検索し、1番目にヒットした第一三共ヘルスケア社の「新ルルAゴールドDX」を例にしてみましょう。
この薬剤は解熱鎮痛薬としてのアセトアミノフェン去痰薬としてブロムヘキシンアレルギー性鼻炎症状を抑える抗ヒスタミン薬抗コリン薬、抗ヒスタミン薬の副作用による眠気を抑えたり疲労感を回復させるための無水カフェイン咳を抑えるための中枢性鎮咳薬気管支拡張薬喉の腫れを抑えるためのトラネキサム酸など、実に多くの薬剤が配合されています。

これらは、正しい使い方をしていれば、典型的な風邪症状に対して効果を期待できます

ただ、やはり注意しなければならない点もあるのです。

まずは含まれる薬剤が多いことのデメリットです。
上に書いた薬剤は、あくまで症状を和らげるための「対症療法」薬です。一つ目はつまり、その症状がなければ、その薬剤は「ムダ」ということになってしまいます。
また似たような症状でもこれらの薬を使わない方がいい場合もあります。
例えば咳に対して中枢性鎮咳薬が含まれていますが、これはどんな原因の咳も、脳の咳中枢に働きかけて止めてしまう効果があります。
咳には痰の少ない乾いた咳と痰の多い湿った咳がありますが、痰の多い湿った咳は、その痰を出すために咳反射が起きています。
この咳を無理やり止めてしまうと、出すべき痰が出なくなり、かえって苦しくなってしまうことも起き得たりするのです。

二つ目はこれらの薬に含まれている薬剤の量です。
「新ルルAゴールドDX」で見てみると、抗ヒスタミン薬は通常処方で出される量の半分トラネキサム酸は20~60%程度のようで、やや抑えめに入っていることがあります(とは言っても「新ルルAゴールドDX」は比較的それぞれの薬剤がしっかり配合されている印象を受けました)。
もちろん各社しっかり計算したうえで配合していると思いますが、やはり診察なしで買えることもあり、安全域を広めにとっているのではと思います。

三つめは、これらの薬剤にやや古いタイプの薬剤が配合されていることがあることです。
例えばアレルギー性症状を抑える、ここに入っている抗ヒスタミン薬であるクレマスチンという薬剤は、「第1世代抗ヒスタミン薬」というカテゴリーに入り、眠気が強く出やすいといわれています。
そのためにわざわざ眠気を抑える「カフェイン」が入っている訳です。
一方処方薬では、そもそも眠気の少ない「第2世代抗ヒスタミン薬」が主流となっています(アレルギーに特化したOTC薬にも第2世代の薬剤はあります)。
第1世代はキレの良さがあるため、あえて選ばれているのかもしれませんが、長く使うにはやはり適していませんし、運転をする方にも使用できません。

最後に、これだけ多くの薬剤を含んでいることは、使ってはいけない人がそれだけ増えることも意味します。
例えばアレルギー症状を抑えるために配合されている抗コリン薬の影響で、前立腺肥大症や高齢の方に尿が出せなくなる症状(尿閉)や、自覚のない緑内障をお持ちの方に急性発作を起こすリスクはあります(眼科医にしっかり診断、治療されていれば大丈夫です)。
また「ルル」ではないのですが、解熱鎮痛薬として「イブプロフェン」を含んでいる薬剤は、一部の喘息の方(アスピリン喘息)では、大きな発作を起こす可能性があるので注意が必要です。

 

これらのように、総合感冒薬は、それなりに押さえておかないといけないことも多い薬剤です。
ただ通常短期間で使用するのであれば大きな問題にならないことも多いと思います。なにより医療機関を受診することなく、薬局ですぐに手に入るのは大きなメリットです。
(漢方は別として)風邪を治すことは医師でもできません。あくまで症状を和らげることです。そのような意味では総合感冒薬は十分その代替になります。

ただ、風邪として非典型的である場合(咳がやたらと強い、頭痛が激しい、症状の経過が1週間以上などと長いなど)の場合は、もちろん原因検索のため、そしてその症状によりピンポイントで対応できる処方薬を服用するために、医療機関の受診を検討していただきたいこともあります。
そのためには、気軽に受診できる、かかりつけ医にすぐ相談できることが、症状の重症化を防ぐ大事な対策になるのです。


ましてやこのコロナ禍、いろいろと体のことで不安になることも多いものです。
今こそ、ささいなことでも気軽に相談できる、信頼できるかかりつけ医を是非持っておいてください。

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2020.12.31更新

今年も1年間加藤医院をご愛顧いただき、誠にありがとうございました。
さて、今回は激動の2020年の加藤医院を、この場で少し振り返りたいと思います。


2020年は1月の診察室の模様替えから始まりました。これに伴い私と加藤医師の診察室が入れ替わりました。またX線透視装置を撤去し、内視鏡室を移動しました。

そして春に数名の新しい事務スタッフを迎えたところでコロナの流行が始まりました・・・

当然この時期はまだまだ風邪が流行る時期でもあり、多くの発熱した患者さん、咳や痰の止まらない患者さんがいらっしゃいました。
我々もコロナのことがまだよくわからない時期であったため、かかりつけの患者さんやスタッフのことを考えた時に、発熱患者さんを受け入れるかどうかの決断を迫られました。
しかし、このころにはかかりつけの方にとどまらず、周りから医療機関を受診できなくなった発熱患者さんの相談を多く受けるようになっていました。この頃は総合病院の発熱外来くらいしか受け皿がない状態でした。
一方、私自身がつい1年前まで市立病院での感染対策チームで活動していたその経験から、いわゆる飛沫、接触感染であるコロナは、しっかりした対策を取れれば患者さん、スタッフへのリスクをある程度しっかり抑えることはできるだろうという見込みを持っていました

最終的には、自分たちがしっかりと発熱患者さんに対応することで、当院が発熱して困っている方の受け皿になり、さらにそれによって総合病院の負担を少しでも減らせればとの結論に至り、発熱患者さんの受け入れの継続、院内の大改造へと舵を切ることとしました。



まずは受付のパーティションを設置し、待合の椅子をすべて交換し、個別の椅子にした上ですべての椅子の間にアクリルパーティションを自作しました。
待合椅子パーテーション

 

そして、移動した内視鏡室を、検査のない日は発熱診察室としても使えるようにし、いままで点滴室として使用していたエリアを発熱外来専用待合室に改造しました。

第3診察室

発熱待合室

 

幸い昨年1年間、当院では院内感染、クラスターの発生はなく、私を含めスタッフへの感染も生じておりません。

6月には加藤医院が加藤浩平先生から正式に私浅井偉信が加藤医院を継承し、新体制での船出となりましたが、加藤医師の診察は週2回継続しており、特に患者さんの当院の使い勝手にはお変わりはないものと思います。


7月からは1か月遅れで特定健診、9月からは予定通り高齢者検診が始まり、お受けいただいた患者さんからは幸い病気の早期発見につながった方が何名もいらっしゃいました。

9月には新しい体制のもと、念願であったトイレの改装をはじめ、

トイレ

 

診察室のドア変更などの工事を施行、

診察室

 

続いて11月には受付、待合エリアの壁や床の張替え、荷物置き台の設置などを実施し、より過ごしていただきやすいクリニックを目指し歩を進めています。
受付

 

また新しい看護師が新たに仲間に入り、より充実した診療体制になりました。

10月からはインフルエンザの予防接種が開始し、コロナ禍の中少しでも密を回避しながら一人でも多くの方に接種いただけるように致しましたが、それでもご希望にお応えすることができないケースもありました。この場を通じてお詫び申し上げます。
12月には新たにネット、電話、窓口で受付可能な即時予約システムが稼働し、我々もまだ手探りな状態でありつつも徐々に慣れつつあるところで2020年を終えました。

というわけで、この一年間は世の中がコロナ禍で激変する中、当院は加えて院長交代、呼吸器アレルギー専門診療2年目、ハード、ソフトの変更、スタッフの入れ替わりなどで、加藤医院史上かつてないほどの変化があった1年だったように思います。
度重なる変更で患者さんにも少なからずご負担、ご迷惑をお掛けしている面があろうかとは存じますが、今後も安心して快適にご受診いただけるクリニックを目指す過渡期とご理解いただけると幸いです。
どうぞ皆様2021年も加藤医院をよろしくお願い致します。


なお新年は5日より診療を開始します(県の要請により29日、30日と発熱患者さんの対応をさせていただいた影響で、1日開始を遅らせていただきました)。
報道の通り、茅ヶ崎も例外ではなくコロナ陽性例は大幅に増えており、当院でも複数の陽性例が出ています。
しかし私の印象では、少なくとも当院で確認した陽性者の多くはやはり接触者で、自身の不注意ではなく、避けられないシチュエーションだった方がほとんどな印象です。

報道では人々のモラルの低下を嘆く声も多いですし、あたかもモラルが低いから感染すると言った論調も聞こえてきますが、私がここ茅ヶ崎で見た限り、ここではそのような方は少なくとも多数派ではなく、大多数の方はしっかりと感染対策を理解し、対応をされているように思います。

そもそも冬は風邪(=ウイルス性急性上気道炎)が流行りやすい季節なのです。
24時間365日引きこもっていない限り、誰だっていつ感染するかわかりません。


どうか感染した方を責めることなく、周りや社会で温かくサポートしてほしいと思います。

そして感染を隠す空気を決して作ることなく、皆さんが体調のトラブルについて気軽に相談できる世の中の雰囲気であり続けることを切に願っています。

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

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