医師ブログ

2021.03.21更新

ようやく本日で緊急事態宣言が終了します。
しかしここ茅ヶ崎でも、まだ散発的にコロナ陽性患者さんは出ております。
やはり毎日診察していて感じるのが、他人と接触しやすい環境にいる方が陽性になるケースが多いということです。
当院では接触歴が思い当たらない方はほぼ陰性になっています。
やはり距離をとる、長時間の密室空間を避けるなどの基本的な対策が有効であると思いますし、それさえできていれば過剰な心配をする状況でもないと思います。
茅ヶ崎の高齢者ワクチンの開始は5月になりそうですが、徐々に出口もぼんやりながら見えてきていると思っています。

一方やはり事前の予想通り、花粉のほうはデータを見てみても昨年よりは飛散量が多いようで、昨年よりも症状が強くなってしまった方が多いようです。
今年は当院にも例年より多くの方がアレルギー症状でいらっしゃっています。


花粉飛散量

環境省HP「神奈川県環境科学センター(平塚市)の花粉飛散量」より

 

ただ昨今、ドラッグストアなどに出ている花粉症の薬剤もだいぶ種類が増えてきました。「スイッチOTC医薬品」と呼ばれる、処方箋で出していた薬と同成分の薬剤も店頭に並ぶケースが増えてきています。

そこで今回は花粉症に対し使用するお薬について、市販薬と処方薬の違い、市販薬を使用する際の注意点をお話ししようと思います。

 

まずは内服薬です。
アレルギーの薬として、基本薬となるのが「抗ヒスタミン薬」です。
これは、アレルギーの症状のもとになる「ヒスタミン」がくっつく細胞のヒスタミン受容体をブロックする薬剤です。

ただこの「ヒスタミン受容体」は脳にもあり、脳の覚醒や判断力、集中力にかかわってもいます。
このヒスタミン受容体が脳に作用してしまうと、脳の覚醒、判断力、集中力が妨げられてしまい、「眠気」の副作用として出現することとなってしまいます。「第1世代」の抗ヒスタミン薬はここが問題でした。

そこで、これらの副作用を改善させるべく、脳になるべく届かないようにした「第2世代」の抗ヒスタミン薬が開発され、現在ではこちらが主流となっています。

OTC医薬品でも、抗アレルギー薬として販売されている薬剤は「第2世代」が中心となっています。
現在は「アレグラ」「アレジオン」「エバステル」「クラリチン」「タリオン」「ジルテック」に相当するOTC医薬品が出ています。

この第2世代の中でも眠気が非常に出にくい薬剤と、やや出やすい薬剤がありますが、OTC医薬品では比較的眠気が出にくい薬剤が多いです(OTCの中では「ジルテック」のみが運転禁止「アレジオン」「エバステル」「タリオン」運転注意で、「アレグラ」「クラリチン」運転に支障がありません)。
なお総合感冒薬は別です!これはまた次回お話しします。

一方、やはりその分、やや効きがややマイルドな薬剤がOTCには選ばれているように思います(これは私の主観も伴いますが)。
対して処方薬は眠気や内服方法など、多少の注意点がある一方、効果がより期待できる薬もあります(なお抗ヒスタミン薬の効果の強さは一律で語れるものではなく、強いと言われるものよりマイルドと言われるものの方が効くこともあります。抗ヒスタミン薬にも系統がいくつかあり、その系統の合う合わないが人によって変わる面があるからです)

またこれらの一般的な抗ヒスタミン薬は「サラサラした鼻水」に効果を示しやすいですが、「鼻づまり」には別の対処が必要になります。
鼻粘膜の血管を収縮させて浮腫をとる成分を配合した「ディレグラ」や、抗ヒスタミン作用とはまた別の作用をもたせた「ルパフィン」が有効ですし、喘息にも使用される「オノン」「キプレス、シングレア」などの「ロイコトリエン受容体拮抗薬」は、鼻づまりに対して効果が高いことが示されており、これらの薬剤にはOTCはありません。

 

次に点鼻薬についてです。
点鼻薬は大きく分けて「血管収縮薬」「ステロイド」「抗ヒスタミン」「ケミカルメディエータ抑制薬の4種類があります。
この中で現在の主力は「血管収縮薬」「ステロイド」ですので、今回はこの2つに対して述べてみます。

「血管収縮薬」は、鼻の粘膜の中に流れる血管を収縮させることで、粘膜のむくみをとる薬です。鼻づまりに即効性がある薬剤で、つらいときには重宝されます。

ただこの薬剤の問題点は2点あります。

一つ目は、徐々に効きにくくなってしまう問題です。
どうもこの薬は、使用を続けているとこの薬剤が作用する受容体が減ってしまうこと(ダウンレギュレーション)があるのではとされています。
そのため、継続して使用していると徐々に薬剤が作用できる受容体がなくなり、効果が落ちてしまうのです。

もう一つが、この薬の連用による「薬剤性鼻炎」です。
長い間この薬剤を使うと、むしろ粘膜の組織が増殖してしまい、むしろ鼻づまりが悪化するケースがあるのです。
この薬は当初は「キレ」がいいものなので、ついつい反復して使用してしまうケースが多く、その結果より治りづらい鼻炎となって来院されるケースがあるのです。

そしてこのような諸刃の剣である血管収縮薬の点鼻ですが、実は結構気軽に店頭で手に入ってしまいます。
ですのでこのタイプの点鼻薬を使用する際は、しっかりと注意事項を守って使う必要があります。

次に「ステロイド」の点鼻についてです。
こちらは血管収縮薬の点鼻よりはずっと安全に使えますが、即効性がありません(吸入薬と同じですね)。
この薬剤は血管収縮薬とは違い、症状があるときに使用するという使い方ではなく、むしろ症状を出させないように比較的続けて使う必要のある薬剤になります(これも吸入薬と一緒ですね)。
局所治療薬ですので、全身性の副作用を心配する必要もあまりありません(またまた吸入薬と同じですね)。

診察していると、市販の点鼻を使用している方で、自分がどのタイプを使用しているかを把握している方は少ない印象です。

この点、処方の場合なら薬剤の特徴や使用方法を直接お伝えすることができますし、点鼻ステロイド薬にしても薬の成分や噴霧様式など、市販薬よりも工夫が凝らされ効果を高められる点鼻薬もあり、選択肢も広がります。
この点でも医療機関にかかり、処方薬を使用できることのメリットはありそうです。

 

以上、花粉症などのアレルギー性疾患に対するOTC医薬品使用のポイントをお話ししてみました。

市販薬は気軽に治療を開始できるという面で非常に有用性はあると思います。

ですがやはり症状がコントロールできなかったり、より効果の高い治療を行いたい場合内科や耳鼻科のアレルギー専門医にお尋ねになることも検討してみるといいかもしれません。
また今は重症花粉症に対する注射治療(ゾレア)、アレルギー反応を根本から弱める舌下免疫療法もありますので、花粉症などのアレルギー症状で困った場合は当院にも是非お気軽にご相談ください。

投稿者: 加藤医院 院長 浅井偉信