医師ブログ

2020.06.22更新

世間はだいぶコロナの雰囲気から遠ざかっているようで、この週末も街や観光地はにぎわったそうです。茅ヶ崎駅から当院の面する雄三通りにかけても、ずいぶん行き交う方が増えた印象で、どこか私もホッとした気分になります
しかし東京も神奈川もまだまだコロナの陽性患者は継続的に出ており、まだまだ収束とまでは呼べないのが実情です。

先日週刊誌に掲載させていただきましたが、今回は糖尿病の方向けの情報誌に1ページ頂いて寄稿させていただきました。

糖尿病情報誌

詳しくはこちらをクリック!


内容は2月に当ブログに掲載した内容に若干手を加えたものです。
当時はこれからヤマが来るという時期であり、皆さん興味を持って読んでいただいたブログでしたが、やや気が緩みやすくなっている今、改めて皆さんにお読みいただきたい内容です。今一度、振り返ってご確認いただければ幸いです。

今回私にとってはやや畑違いの糖尿病の情報誌というメディアへの掲載となりましたが、これは言わずもがな、糖尿病の方には新型コロナの重症化リスクが高いとのことで、糖尿病患者の方に知っていただくべく出版社からご依頼を頂いたものでした。

やはりこの時期においても、特に糖尿病、高血圧、COPDなど、基礎疾患をお持ちの方は気を付ける必要があります。
そして何より一番怖いのはこれらの病気があるにもかかわらず治療していない(もしくは不十分な)方、これらの病気の傾向があるにも関わらず未治療の方、そして何よりこれらの病気の傾向がありながらも気づいていない方です。

やはりどんな元気な方でも1年に1回は健診を受けたほうがいいのです。
職場などで健診を受けているならいいのですが、そのような機会がない方は特定健診を活用してください。

健診を受けていただくことで自分の今の状態を知っておくことができ、早期に対策を打つことができればこれがコロナ第2波以降の非常に有効な対策となります。

茅ヶ崎市、寒川町では本来毎年6月~8月に行われていますが、今年はコロナ禍の影響で6月が実施されず、7月、8月と2ヶ月に短縮して行われることになっています。

 

当院では待合の座席はお互い距離を取れるように設定し、感染症が少しでも疑われる方との動線も分離しております。
先ほど挙げた寄稿のように、大事なのは飛沫を浴びないこと、手のひらを守り、顔面からウイルスが侵入してこないようにすることです。
基本的対策がなされていれば、飛沫感染、接触感染は必要以上に恐れる必要はありません。例年通り是非安心して健診を受診していただければと思います。

昨今コロナを必要以上に恐れ、慢性疾患の治療を中断する(幸い当院の患者さんはほとんど全ての方がしっかり治療を継続していただいておりますが)、健診を受けない、予防接種を受けないなど、必要な受診までもしなくなってしまっている例が多く報道されています。
自分のため、周りの方のため、コロナは正しく恐れ、是非必要な行動はしていきましょう!

投稿者: 加藤医院 院長 浅井偉信

2020.06.07更新

緊急事態宣言が解除され、茅ヶ崎市内も人通りが戻ってきているようです。
加藤医院のある茅ヶ崎駅周囲もお店が開き始めて活気が戻ってきていますが、3密っぽい環境もちらほら見かけるようです。
引き続き感染予防を続けていただくことが大事です。少しずつ日常を楽しみながらも、依然油断しないように過ごしていきましょう。

前回は高齢者の肺炎の原因、対策までお書きしました。
今回は肺炎の対策で、大きな役割を占める「予防接種」についてお話しします。どうしても長くなってしまうので、途中難しかったらそこは飛ばしてお読みください。

肺炎はその20-30%が肺炎球菌という菌が原因となることが分かっています。

肺炎球菌は、莢膜という厚い膜に覆われている菌で、攻撃性の強い菌と言われています。
この菌はその名の通り、肺炎を引き起こすことが多い菌で、特に小さな子供と高齢者にとって重症肺炎をおこるリスクが高い菌です。
また喘息、COPD、糖尿病、慢性的な心臓、腎臓、肝臓の病気を持っている方など、抵抗力の弱い方はより重症化しやすいとのデータも出ています。Shea, K. M. et al.:Open Forum Infect Dis 1(1)
加えて、肺炎球菌という名前にも関わらず、この菌は脳炎や髄膜炎、中耳炎なども引き起こすことがあり、命にかかわることも少なくありません。

これらに対し、肺炎球菌ワクチンというワクチンが存在し、上記のような方には接種をしたほうがいいと言われています。

成人の方が接種できる肺炎球菌ワクチンには、23価肺炎球菌ワクチン(ニューモバックスNP)と、13価肺炎球菌結合型ワクチン(プレベナー13)という2種類があります。(ちなみにプレベナー13は以前加山雄三がCMキャラクターを演じていました。雄三通りにある当院との相性はバッチシです(笑))

これらのワクチンは高齢者の重症肺炎球菌性感染症の発症率を減らすという報告がされています。
ここからはワクチンと免疫のちょっと難しい話をするので、説明不要な方は読み流してください。

 

「23価」肺炎球菌ワクチン「13価」肺炎球菌結合型ワクチンの「価」とは、肺炎球菌の莢膜がもっている型のことです。この型が違うと、毒性や感染性などの性質が少しずつ変わるとされており、この型は現在90種類以上あると言われています。ただこの中で我々人間に対し強い影響を示す型はいくつかに限られています。
で、23価のワクチンというのは23種類の型を、13価のワクチンというのは13種類の型をカバーするというわけです。13価ワクチンでカバーする型は、ほぼ23価ワクチンでカバーできています。

そしたら、「23価だけでいいじゃん」ということになるわけですが、ここで13価「結合型」ワクチンという「結合型」という言葉の出番です。

体の中には「B細胞」という、リンパ球の一種があり、このB細胞は外からの刺激を受けると、敵を排除するための「抗体」を作れるようになります。一つのB細胞は1種類の抗体しか作れません。
23価ワクチンは、このB細胞を直接刺激して、23種類の肺炎球菌の型の抗体を作ることを促すワクチンです。

一方、体の中にはもう一つ、「T細胞」といわれるリンパ球もあります。

T細胞にもいろいろありますが、この中のヘルパーT細胞はいわゆる「免疫の司令官」と言われており、T細胞が敵の情報を受けると、B細胞にその敵の性質、弱点などの情報を詳しく提示することができます。
するとB細胞はより的確に敵を排除するための抗体を作れるようになります。
また一度情報を教えてもらったB細胞のうちの一部は、その情報を一生記憶して体内に残り続けます(これをメモリーB細胞といいます)。これがあると次に肺炎球菌が侵入してきたときに、より早く、より多く必要なB細胞を作ることができ、すぐに抗体を大量に作ることができるようになります(これを「免疫応答」といいます)。

13価結合型ワクチンは、この「T細胞」が認識できる成分が「結合」されており、これにより「免疫応答」を導くことが出来るワクチンです(一方23価ワクチンには残念ながらこの「免疫応答」を導くことができず、時間が経つと効果がなくなってしまいます)。

肺炎球菌ワクチンの機序


簡単にまとめると、23価肺炎球菌ワクチンであるニューモバックスNPは、肺炎球菌を広くカバーできるものの効果が長続きしない特性があり、13価肺炎球菌結合型ワクチンであるプレベナー13は、カバーはそこまで広くない(それでも主要なものは大体カバーできています)ものの、その戦い方を覚えこませることで、一生効果を持続させることができるという特性があると言っていいでしょう。

で、これらはどちらかを選びましょうというわけではありません。どちらも接種したほうがいいとされています。それぞれ働きが違うので、両方を接種することで肺炎球菌に対する対策を万全にすることができます。

ただしこれらのワクチンは同時に接種することができず、一定期間開ける必要があります。
またニューモバックスNPは上記のように効果が長続きしないため、1回目接種後5年経過したら再接種することが推奨されています。
そして現在各自治体では肺炎球菌ワクチンに対する助成があり、茅ヶ崎市ではその年に満65,70,75,80,85,90,95歳、そして100歳以上になる方に対し、生涯1回目のニューモバックスNP接種時のみ助成が出て、4000円で接種可能です。
一方プレベナー13この5月に接種できる対象が広がり、対象となる方がニューモバックスNPと多少の違いがあります。

このように状況は人それぞれですので、どちらから接種したほうがいいのか、どのようなスケジュールで行ったほうがいいかは、当院など、肺炎球菌ワクチンに詳しい医師にご相談ください。

肺炎球菌ワクチン

またもう一つ、インフルエンザワクチンは肺炎球菌ワクチンと併用することで、肺炎全体の発症、肺炎球菌性肺炎の発症、侵襲性肺炎球菌感染症による入院、死亡を減らす効果が認められており、必ず毎年接種していただきたいワクチンです。
これはインフルエンザに罹患することで気管支がダメージを受けると肺炎球菌がその後から付きやすくなることで、重複感染しやすくなるためと考えられているからです。

新型コロナもおそらく同様であろうと私は思っています。新型コロナも気管支粘膜に対して作用を示しやすいウイルスです。まだ併用効果を示すデータはありませんが、接種することで新型コロナの肺炎重症化を防止できる可能性は十分にあると考えています。

 

2種類の肺炎球菌ワクチン接種を完了させるには時間が必要です。新型コロナの第2波が訪れる前に、早めに肺炎球菌ワクチンについての行動を取っていただくことを強くお勧めします!

投稿者: 加藤医院 院長 浅井偉信

2020.06.01更新

本日6月1日をもって、私浅井偉信が正式に加藤浩平先生より医療法人社団 加藤医院を継承いたしました。
今後も引き続き茅ヶ崎の、そして湘南地域の内科、呼吸器、アレルギー専門医として、今まで以上にお越しいただく患者さん一人一人のために頑張って参りたいと思います。
引き続き加藤医院をご愛顧賜ります様、宜しくお願い致します。

とはいっても特に本日から診療体制が変わることはございません。いつもの加藤医院です。いつも通り気兼ねなくご来院いただければ幸いです。

というわけでブログも通常運転です。
前回は高齢者に気を付けるべき、「肺炎」について、なぜかかりやすくなるかというお話をしました。今回はその対策についてです。

前回もお話ししたように、高齢者の肺炎では誤嚥性肺炎が多くを占めます。

1.誤嚥の予防

ですのでまずは誤嚥をしないことです。誤嚥は体力が落ち、筋力が落ちると起きやすくなります。
バランスのいい食事(特に高齢者では他の病気による問題がなければ、筋力維持のため、肉や魚を含めた「たんぱく質」をしっかり取ることが重要になります)、適度な運動(特に下半身強化)が重要です。

2.嚥下機能の確認

あとは嚥下機能が落ちているかどうかを確かめることが大切です。
よく食事中にむせていると誤嚥の可能性が高いと言われます。
確かにその通りなのですが、むせとは、間違って気管に入った異物を外に出す、正常な人間の反射です。
体の機能が落ちると、この反射も弱くなることがあります。するとむせてはないのに誤嚥してしまうことがあるのです。
食事が遅くしばしば食べきれない食事中に声がよく枯れるという点も見逃さないようにすることが重要です。

嚥下機能を自宅で簡単にチェックする方法として、30秒間に何回つばが飲み込めるかというテストがあります。これが30秒間に2回以下だと嚥下機能が落ちている可能性があるとされています。
落ちているようであれば一度耳鼻科でファイバー検査などの詳しい検査をしてもらったほうがいいでしょう。

3.食事形態の工夫

嚥下機能が落ちている場合は食事形態の工夫が必要となります。これは嚥下機能のレベルによって適する形態もさまざまなので、状態に応じた形態を選ぶ必要があります。
気を付けて頂きたいのが、食べにくいと言ってもご飯を汁物に混ぜて食べたり、水分で口の中のものを押し込んでしまったりすることはできるだけ避けてほしいということです(食べにくいためにこれをして誤嚥されてしまうケースを多く見てきました)。
水分は飲み込むことが難しい形態で、しばしば気管に入りやすいです(若い人でも飲み物でむせること、ありますよね)。
あと固さが均一でないものは飲み込みが難しいと言われています。ですのでおかゆのように均一の固さにすることが正解です雑炊はご飯が固く、液体部分と固さが不均一なので誤嚥するリスクが高まります)。
その他、口の中で固さを均一にしやすくするには、焼き魚より煮魚、生野菜サラダより温野菜、せんべいよりぬれおかきがベターでしょう。

4.禁煙

その他の対策もお話ししましょう。何度かお話ししているように、タバコは気管支や肺の機能を弱めますCOPDになると肺炎の発症、悪化リスクは跳ね上がるので、禁煙は絶対必要です。そしてCOPDは診断されていない方が非常に多い病気ですしっかりと医師に診断してもらって、適切に治療を行いましょう。

5.基礎疾患の治療をしっかり続ける

またかくれ脳梗塞は誤嚥の大きな原因になります。これを予防するには血管を守ることです。高血圧や糖尿病、高コレステロール血症(そして喫煙)は動脈硬化の大きなリスク因子です。しっかりと医師の指示通りに治療を続けることが大事です。

6.感染予防の順守

風邪をひくと、それに続いて肺炎を引き起こすことが少なくありません。
風邪とはすなわちウイルス性の気道感染です。ということは、予防策はコロナと一緒です。
手洗いと周囲の人のマスク、十分な休息による体力維持です。

最後に、肺炎のリスクを確実に減らす方法として、肺炎球菌ワクチンの接種があります。これに関してはまた次回詳しくお話ししましょう。

投稿者: 加藤医院 院長 浅井偉信

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