本日6月1日をもって、私浅井偉信が正式に加藤浩平先生より医療法人社団 加藤医院を継承いたしました。
今後も引き続き茅ヶ崎の、そして湘南地域の内科、呼吸器、アレルギー専門医として、今まで以上にお越しいただく患者さん一人一人のために頑張って参りたいと思います。
引き続き加藤医院をご愛顧賜ります様、宜しくお願い致します。
とはいっても特に本日から診療体制が変わることはございません。いつもの加藤医院です。いつも通り気兼ねなくご来院いただければ幸いです。
というわけでブログも通常運転です。
前回は高齢者に気を付けるべき、「肺炎」について、なぜかかりやすくなるかというお話をしました。今回はその対策についてです。
前回もお話ししたように、高齢者の肺炎では誤嚥性肺炎が多くを占めます。
1.誤嚥の予防
ですのでまずは誤嚥をしないことです。誤嚥は体力が落ち、筋力が落ちると起きやすくなります。
バランスのいい食事(特に高齢者では他の病気による問題がなければ、筋力維持のため、肉や魚を含めた「たんぱく質」をしっかり取ることが重要になります)、適度な運動(特に下半身強化)が重要です。
2.嚥下機能の確認
あとは嚥下機能が落ちているかどうかを確かめることが大切です。よく食事中にむせていると誤嚥の可能性が高いと言われます。
確かにその通りなのですが、むせとは、間違って気管に入った異物を外に出す、正常な人間の反射です。
体の機能が落ちると、この反射も弱くなることがあります。するとむせてはないのに誤嚥してしまうことがあるのです。
食事が遅くしばしば食べきれない、食事中に声がよく枯れるという点も見逃さないようにすることが重要です。
嚥下機能を自宅で簡単にチェックする方法として、30秒間に何回つばが飲み込めるかというテストがあります。これが30秒間に2回以下だと嚥下機能が落ちている可能性があるとされています。
落ちているようであれば一度耳鼻科でファイバー検査などの詳しい検査をしてもらったほうがいいでしょう。
3.食事形態の工夫
嚥下機能が落ちている場合は食事形態の工夫が必要となります。これは嚥下機能のレベルによって適する形態もさまざまなので、状態に応じた形態を選ぶ必要があります。
気を付けて頂きたいのが、食べにくいと言ってもご飯を汁物に混ぜて食べたり、水分で口の中のものを押し込んでしまったりすることはできるだけ避けてほしいということです(食べにくいためにこれをして誤嚥されてしまうケースを多く見てきました)。
水分は飲み込むことが難しい形態で、しばしば気管に入りやすいです(若い人でも飲み物でむせること、ありますよね)。
あと固さが均一でないものは飲み込みが難しいと言われています。ですのでおかゆのように均一の固さにすることが正解です(雑炊はご飯が固く、液体部分と固さが不均一なので誤嚥するリスクが高まります)。
その他、口の中で固さを均一にしやすくするには、焼き魚より煮魚、生野菜サラダより温野菜、せんべいよりぬれおかきがベターでしょう。
4.禁煙
その他の対策もお話ししましょう。何度かお話ししているように、タバコは気管支や肺の機能を弱めます。COPDになると肺炎の発症、悪化リスクは跳ね上がるので、禁煙は絶対必要です。そしてCOPDは診断されていない方が非常に多い病気です。しっかりと医師に診断してもらって、適切に治療を行いましょう。
5.基礎疾患の治療をしっかり続ける
またかくれ脳梗塞は誤嚥の大きな原因になります。これを予防するには血管を守ることです。高血圧や糖尿病、高コレステロール血症(そして喫煙)は動脈硬化の大きなリスク因子です。しっかりと医師の指示通りに治療を続けることが大事です。
6.感染予防の順守
風邪をひくと、それに続いて肺炎を引き起こすことが少なくありません。
風邪とはすなわちウイルス性の気道感染です。ということは、予防策はコロナと一緒です。
手洗いと周囲の人のマスク、十分な休息による体力維持です。
最後に、肺炎のリスクを確実に減らす方法として、肺炎球菌ワクチンの接種があります。これに関してはまた次回詳しくお話ししましょう。