いよいよ花粉症の方にはツラ~いシーズンが始まります・・・
前回のブログでもお伝えした通り、ここ茅ヶ崎を含めた関東地方では、今年は過去数年で最も多い飛散量となってしまいそうです。
そして、当院でも今年は1月から目の症状、鼻水やくしゃみなどの鼻の症状、そして咳や痰などの呼吸器症状をきたす方が、例年より明らかに多くいらっしゃいます。
公式の発表ではまだ飛散開始にはなってはいませんが、おそらく場所や樹木によってはすでに飛び始めてしまった箇所もでているのではと考えられます。
こちらも前回のブログで書いた通り、花粉症には「初期治療」といって、症状が出る1~2週間前から治療を始めることが非常に有効です。
ここ関東地方において、おそらくそれは今だと思われます。
早期治療は飲み薬だけでなく、点鼻薬、点眼薬の使用も効果的であることがわかっています。
普段つらい思いをしている皆様、是非今日からお薬を始めましょう!
花粉症の薬物治療についてはこちらでお書きしているので、是非お読みください。
そこで今回はやや趣向を変えまして、お薬を使わない花粉症対策について書いてみたいと思います。
花粉症対策で一番大事なこと、それは花粉から離れることにつきます!
まずは外出した時の注意点です。
マスクはやはり有用です。
ある報告では、花粉を舞わせた空間に1分間いたときに、鼻腔内に付着した花粉を計測すると(なんという恐ろしい実験・・・)マスクのないときに比べ、マスクを着けると鼻腔に付着する花粉量が1/3-1/6になりました。
また眼鏡はすることはどうでしょう?
同じ実験で結膜内に付着した花粉を計測すると、眼鏡なしの場合に比べ、やはり通常の眼鏡を着けると2/3に、花粉症用の眼鏡を着けると1/3になったというデータがあります。医薬ジャーナル 37:117–121,2001
ただ通常の眼鏡の場合、風の強い日は隙間から花粉が入ってしまって効果が落ちるとも言われており、やはりこの場合は花粉症用メガネが有効性が高いと言えそうです。
次に帰宅した時です。
やはり花粉を家に入れないことは非常に重要となります。
花粉は温度が上がってくると飛散量が多くなります。ただ日によって寒い日もあるため、ウールなどの起毛素材をついつい長く着てしまうこともあります(私は超がつくものぐさなので、冬シーズンの間、コートはほぼ1~2着で着まわしてます・・・)
ただ花粉の多い日にウール系など起毛素材の服を着ると、花粉をいっぱい捉えてしまいます。
温かくなり、花粉が多く飛びそうな日は、あまり花粉の付きづらいナイロン、ポリエステル、革などの素材の服を着るのがお勧めです(おいっ、聞いてるか?俺!)
また静電気は花粉を引き寄せてしまいます。
着合わせによっては静電気を発生させやすくなることがあります。
「ナイロン・ウール」vs「アクリル・ポリエステル」の組み合わせは、静電気を発生させやすくなるのでお気を付けください。
服を洗うときに柔軟剤を使うこともおすすめです。
柔軟剤は、その中に含まれている界面活性剤によって、服の中に発生する静電気を防止することができます。
静電気防止スプレーもありますので、活用できる人は考えてみても良いかもしれません。
意外に無防備になるのが頭です。
頭には毛があり、花粉が多く入り込みやすくなっています。
帽子をかぶることは結構効果が高いと言われています。
外から帰って来たら、アウターについた花粉は玄関や外で落としておきます。
ただこの時、はたくと花粉が舞ってしまうので、コロコロやハンディクリーナーを使って取った方が安全です。
洗える素材なら、なるべく毎回洗った方がいいでしょう。
洗わないアウターは出来れば玄関近くで保管し、リビングには入れないようにしたいです。
洗った服を昼間に外干ししてしまってはどれだけ対策しても意味がありません。
出来るだけ中干しがいいのですが、どうしても外に干さなければならない場合は、せめて夜から朝の花粉が飛散しない時間に干した方がいいでしょう。
空気清浄機に関しては、空気中を飛散する花粉をとらえるのには有効です。
ただ室内には風がなく、実は花粉は室内に入ると比較的速やかに床に落ちてしまうと言われています。
玄関は花粉にとっての入り口となるので、空気清浄機は玄関で使用すると効果的であるという報告もあります。
また目の周りや鼻の周りにワセリンを塗ると、それぞれの粘膜に花粉が入りづらくなることが知られています。
鼻へは、鼻腔の内側のキワの部分に綿棒で転がすようにワセリンを塗りこむといいです。
ある論文では、ワセリンを鼻の内側に塗ると、ワセリンでない塗布物を塗った場合と比べ、症状が優位に改善したことが報告されていますAm J Rhinol Allergy. 2013 Jul-Aug;27(4):299-303.
花粉症に良い食べ物という話題はいつも注目されます。
よくヨーグルトや乳製品など、発酵食品、それに食物繊維、ビタミンDやEなどは花粉症に効果的と言われています。
ただ明らかなエビデンスがあるわけではありません(なかなかエビデンスを出すのが難しい分野でもありますが)。
健康には良い食材でもあるので積極的に摂っていただいてもちろん構いませんが、過信はしない方がいいかもしれません(いろんな宣伝が世の中には溢れていますが、是非冷静な目で、自分にとって必要なものを見極めましょう)。
ただ人によっては特定の食材は要注意です。
トマトはスギ花粉の抗原と構造が似ており、スギ花粉症の方の一部にトマトで口がかゆくなってしまう方がいらっしゃり、これを口腔アレルギー症候群(OAS)といいます。
これについては過去にここでブログを書いてますので、ご興味のある方はどうぞ。
これは花粉症の時期に特に症状が出やすいと言われていますので、心当たりのある方はお気を付けください。
ただ、もちろんこれだけやっても花粉症の症状を完全に防ぐことは難しいでしょう。
やはり必要な時にはしっかりと薬による治療をしてもらいたいと思います。
お困りの方は、お早めにアレルギーに詳しい医師にご相談ください!