医師ブログ

2026.01.18更新

まだまだ寒い日が続き、まだまだインフルエンザもコロナもいっぱいです。

最近は特にインフルエンザBが急に増えてきています。
インフルエンザBは、12月まで流行していたAと症状に大差はないのですが、特に若い方で多少胃腸症状の頻度が増えるともいわれています。

またインフルエンザAにかかった方でもBにかかることはあるので、まだまだ注意が必要です。
皆さん、まだまだ基本的な感染対策をお願いしますね。


でも少しずつ、季節は確実に進んでいます。

ここ最近になって、徐々に鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどのいわゆる「アレルギー性鼻炎」「アレルギー性結膜炎」などの症状を訴える方が増えてきました。


そう、今年も、「いよいよ来ます、あの、花粉症の季節が」・・・

目のかゆみや鼻水と格闘する日常、朝起きても頭がぼんやりして、仕事の集中力が続かない日々、そして鼻が詰まって眠れない夜・・・

日常の土台をぐらつかせるにっくき花粉との闘いが、間もなく始まろうとしています。


しかし、花粉症は知識と準備で、その年の大きく運命を変えることができます。

今回は、そんな「今年の花粉症」について、知識の整理と今年の特徴、それに今からできる対策について、お話をしてみようと思います。


花粉症の症状は、鼻と目だけでは終わらない

花粉症と聞くと、多くの方はまず「くしゃみ」「鼻水」「目のかゆみ」を思い浮かべます。
もちろんそれは花粉症の中心ですし、いちばんわかりやすい症状でもあります。

ただ、花粉症のやっかいなところは、症状が「鼻と目に限定されない」ことです。


「だるい」「頭が重い」「眠い」

鼻が詰まって呼吸が浅くなると、睡眠の質が落ちます。
また鼻水がのどに落ちることで咳が続き、眠りを妨げることもあります。

眠れていないと、日中もだるくなったり、眠くなったりで集中力もが低下し、仕事面、生活面に大きな影響を与えてしまいます。

けれど、この症状が花粉症によるものだと気づかない方も少なくありません。


咳が花粉症と関係することも

さらに見落とされがちなのが、のどや咳の症状です。

花粉の季節になると「咳だけが続く」という方もいます。
鼻水がのどの奥へ落ちていく「後鼻漏」があると、のどが刺激されて咳が出やすくなります。

これが続くと、周りからは風邪のようにも見えて、本人も「いつ治るんだろう」と不安になります。


皮膚のお悩みも花粉症かも

また、皮膚が荒れる方もいます。

目の周りが赤くなる、頬がかゆい、肌がピリピリするといった、こうした“花粉皮膚炎”は、特に乾燥しやすい方や敏感肌の方に起こりやすい印象です。

「春の肌荒れ」だと思っていたけれど、実は花粉の影響だった・・・ということが少なくありません。


耳の症状が起きることも

そして意外と知られていないのが、「耳のかゆみ」や「耳が詰まった感じ」です。

鼻とのどと耳はつながっています。
鼻の炎症が強いと、その影響が耳に出てくることもあるのです。


花粉症の症状の出方は人によりさまざま

このように花粉症は、静かに、しかし確実に、体のあちこちに影響を広げます。
そして、一口に花粉症といっても、その症状の出方は人それぞれです。

その方特有の症状の特徴によって、治療の考え方、組み立て方は大きく変わってくるのです。

 


では、今年の花粉はどうなのでしょうか。


今年は飛散量が多い (´;ω;`)

2026年春の花粉飛散については、日本気象協会の予測「西日本では例年並み、東日本と北日本では例年より多い見込みとされています。
また、飛散開始は例年並みで、関東の飛散は2月上旬から始まり、ピークが2月下旬頃という見通しも示されています。

ウェザーニュースの予想でも、東日本では前年より増え、平年よりも多い水準になるとされ、2026年春は「前年の123%、平年の120%」というデータが提示されています。

残念ながら「今年は多め」という予想が揃っているようです・・・


今年の花粉飛散量が増えてしまう理由

では、なぜ今年は花粉の量が多くなってしまうのでしょうか?

花粉は、春になって急にできるわけではなく、「前年の夏」から準備が始まっています。

前年の夏に気温が高く、日照が多いと、スギの雄花が育ちやすくなります。
つまり「去年の夏が暑かった」という出来事が、春になって花粉として返ってくるわけです。

一方、花粉の飛散量には、年ごとにゆらぎがあり、いわゆる「表年」「裏年」があるという説もあります。
ただし、この波は必ずしも単純に交互に増減するわけではないようであり、やはり大きく影響するのは、前年夏の気温や日差しです。

昨年多かったので今年は落ち着くとは限らず、今年の花粉も覚悟してしっかりと備える必要があるのです。


花粉症対策は、「気合い」ではない

花粉症のつらさは、「がまん」や「根性」で乗り切るものではありません。

「毎年耐えてるんです」とおっしゃっている方もいらっしゃるのですが、症状を我慢することで体が強くなるということは、残念ながらありません。

それどころか、花粉症なのに薬を使わずに症状を我慢し続けると、鼻粘膜の炎症がどんどん悪化、持続し、少量の花粉でも強い症状が誘発される「プライミング現象」が起きてしまうことが研究で示されています。

また継続的に体内でアレルギーを引き起こす物質(ヒスタミンやロイコトリエン)が分泌され続けると、粘膜が敏感になってしまい、わずかな花粉量でも症状が強く出る状態となってしまうのです。

花粉症を「我慢」と「気合い」で乗り切ることは、「百害あって一利なし」なのです。


まずは花粉を避ける基本的対策を

ではその対策に移りましょう。
まず基本の対策はとてもシンプルです。

花粉を「吸い込まない」「肌につけない」「家に持ち込まない」ことです。

この3つを丁寧に積み重ねることが、春の快適さを左右します。

花粉の季節は、マスクが“防具”になります。鼻や口から花粉を入れないようにしましょう。
目がかゆい方は、メガネやゴーグルで対処するのも有効です。
帽子や、花粉の付きづらい素材の服を選ぶことも効果的です。


帰宅したら、玄関先で服の花粉を除去します。
はたくと吸ってしまうため、コロコロなどを使うと効果的です。花粉の付いた服は生活スペースに持ち込まないようにしましょう。
玄関に空気清浄機を置くのも効果的です。

また花粉が多い日に外干しをすると、洗濯物が“花粉の運び屋”になってしまうことがあります。
部屋干しや乾燥機の活用を考えましょう。


こちらでもっと詳しくお話しているので、ぜひご参照ください。

2023.2.10 薬だけじゃない!自分でできる、シーズン中に実践したい花粉症対策
2025.1.25 2年ぶりの続編!自分でできる、シーズン中に実践したい花粉症対策 ver.2


花粉症の基本的治療は「とにかく早めに」

花粉症治療で大切なのは、「症状がピークになってから慌てる」よりも、「その前にあらかじめ対処する」という考え方です。

症状が軽いうちは、「薬はまだいいかな」と思いがちです。
けれど、花粉症は炎症の火が小さいうちに抑えておく方が、結果的に少ない薬で済むことが多いです。

逆に、ピークで炎症が強くなってから治療を始めると、落ち着くまでに時間がかかり、生活のつらさも長引きがちになってしまいます

「症状が出てすぐ」では間に合わないことも

治療を始める時期について、最近では「症状が出てからでも遅くない」という論調も少なくありません(最近のyahooの記事でも、こんな題名でトップに記事が載っていました)。

ただ、症状が強く出る方(つまり「病院に来ようかな」と思うような方)では、症状が急にひどくなることも少なくありません。

必ずしも徐々に症状が強くなっていくとは限らないのです。

また、「症状が出てからでもいいや」と思っていると、結局症状が出たときにすぐに薬が手に入らなかったり、受診しようにもスケジュールの都合がつかなかったり予約が取れなかったりすることもあり、ギリギリを考えていると結局遅れてしまい、その年に苦しい思いをする方を私たちは多く見ています。

やはり、私たちは今まで通り、余裕をもって「シーズンの2週間前から対処してほしい」というメッセージを続けて発信していきたいと考えます。

 

→こちらもご参照ください。

2023.01.21 2023年春、スギ花粉 大飛散だってよ・・・ 治療はいつ開始したらいい?




花粉症の「治療の基本」

花粉症治療の軸になるのは、「抗ヒスタミン薬」という飲み薬になります。
また症状によっては点鼻薬や点眼薬の出番もあります。

これらはドラッグストアなどでも売られていますので、自らで対処するなら早めに用意しておきたいところです。


→こちらもご参照ください。
2021.3.21 市販薬で花粉症を治すときに、知っておきたいこと


ただ、市販で手に入る薬だけでは、つらい症状に十分な対応できないことも少なくはありません。
抗ヒスタミン薬にも種類があり、症状によっては市販薬程度では症状をコントロールできず、医療機関から処方される薬ではじめて落ち着くこともあります。

そのような時は、まずお近くの内科、耳鼻科で治療薬をもらってしまった方が早いです。
かかりつけの先生に相談するのも一手ですね。


治療しても症状が残るときに考えたいこと

ただ、毎年花粉症の方を診察していると、そのように医療機関にかかったにも関わらず、時期によっては症状が残ってしまっているとおっしゃる方が少なくありません。

「鼻水は止まったけれど鼻づまりが残る」
「目は楽になったけれど咳が止まらない」
「薬は効くけれど眠気がつらい」

こういうとき、治療の方向性は正しいのに、「うまく噛み合っていない」状態になってしまっていることがあるのです。

そのような場合には、私たちのような「アレルギー専門医」に頼っていただきたいと考えています。


「アレルギー専門」医療機関のメリット

アレルギーの治療に慣れている専門施設では、薬だけでなくその方の生活まで深く踏み込んで治療を考えます。

「接客業なので、話すと咳がでる症状にとても困っている・・・」
「運転を必要とする環境なので、薬で眠気が出ることは避けたい・・・」
「目がかゆいが、目薬を頻繁に使うとなるとメイクが崩れて困る・・・」

と、その方の背景によって、治療の濃淡をつけたり、その方の要望にあった薬の選択、使い方を提案したりすることは、やはりアレルギーの治療、薬に詳しいアレルギー専門医が得意とするところです。


花粉症との「診断の決め打ち」に潜むリスク

そして、もうひとつ重要なのが、その症状が「花粉症だけではない可能性」をきちんと確認することです。

花粉の時期に咳が続く場合、単なるのどの刺激だけではなく、喘息や鼻副鼻腔炎などの慢性的な状態が関係していることがあります。

そこをしっかりと切り分けていかないと、残念ながら症状が残ってしまったり、薬が効かなかったりという状態となってしまいます。
その中には治療をあきらめてしまい、何年も不自由な中での生活を強いられてしまうケースも少なくないのです。

そんな時は、ぜひ臆せずに、私たちを頼ってほしいと思います。


今年の春を、少しでも軽やかに過ごすために

花粉症は、多くの人が経験する病気です。
だからこそ、つらさが軽く扱われてしまうことがあります。
「みんな同じだから仕方ないよね」と言われて、我慢してしまうこともあります。

でも本当は、我慢し続ける必要はありません。
花粉の情報を知って、少し工夫をして、必要な治療を早めに整える。
それだけで春の過ごし方は変わります。

つらくなってからではなく、つらくなる前に。

「今年はまだ大丈夫」と思っている今こそ、いちばん良いタイミングかもしれません。


皆さんの今年の春が、少しでも軽く、少しでも穏やかになりますように。

投稿者: 茅ヶ崎・平塚 内科と呼吸のクリニック 理事長 浅井偉信

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