なんか今年は、花粉症が始まるのが早いみたいです・・・
当院にお越しの方でも、今週から「なんだか目がかゆい・・・」「鼻がムズムズする・・・」「くしゃみが・・・」という人が増えてきているようです。
神奈川県の観測によると、今年は昨年の猛暑の影響でスギの木の花の数(着花点数と言います)が、平均67.3点で、昨年の46.1点、平年の46.6点を大幅に上回っているとのことです。
神奈川県HPより
これは、今年の花粉飛散量が多くなるという予想の強い根拠となります・・・
実際、すでに花粉は観測され始めていて、データ上も1月上旬にしては花粉の飛散が多くなっているようです。
以前こちらのブログ(2023.1.21 2023年春、スギ花粉 大飛散だってよ・・・ 治療はいつ開始したらいい?)でもお話しした通り、花粉症の治療は「初期療法」といって、症状が本格的に始まる「少し前」から始めたほうが有効なことが多いです。
すでに花粉が飛び始めている今年は、もうそろそろ対策をした方がいい時期になっています。
とはいえど、まだまだ感染症など、医療機関の受診を希望される方も多く、簡単に病院にかかれない昨今です・・・
2年前もそんな私たちのせめてもの罪滅ぼしに、このような記事を書いています。
2021.3.21 市販薬で花粉症を治すときに、知っておきたいこと
薬局で買える、花粉症などアレルギー症状に対する薬の選ぶコツや注意点を、内服薬、点鼻薬にわけて記載しています。
2023.2.10 薬だけじゃない!自分でできる、シーズン中に実践したい花粉症対策
薬以外の花粉症対策、マスクやメガネ・サングラスの活用、花粉のつきにくい服装、空気清浄機や顔の周りに塗るワセリンなどについてお話ししています。
まずはこちらの記事を参考にしていただきたいのですが、今回は、この情報をさらに補完する、自力でもできる、より踏み込んだ対策として、2年ぶりの続編!を書いてみようかと思います。
まずは空気をきれいにしよう
アレルギー症状を起こすのは花粉だけではありません。
家の中にあるほこりなどのハウスダストも症状の原因になります。
そのため換気は必要ですが、窓を開けると室内に花粉が入り込みやすくなります。
換気をしたいときは、花粉の飛散量の少ない早朝や夜にしておきましょう。
HEPAフィルターのついている空気清浄機を使用すれば、花粉をある程度除去することができるので、部屋の中の空気の流れの良いところに空気清浄機を置きましょう。
また家の中で一番花粉にさらされやすいのが玄関です。
玄関にも空気清浄機を置ければより万全です!
空気清浄機やエアコンのフィルターをこまめに掃除・交換しておかないと、せっかくひっかけた花粉がまた部屋の中にまき散らされてしまいます。
忘れずに掃除しておきましょう。
掃除機のかけ方も大事
花粉がついたホコリが床に落ちていると、舞い上がって症状の原因となってしまいます。
時々掃除機をかけるようにしましょう。
掃除機をかける際は、ホコリを舞い上げないように、低速モードやゆっくり動かすことを意識して、必要以上にほこりが舞い上がらないようにしましょう。
また掃除は決して楽な仕事ではありませんが、毎日でなくとも、週に2~3回程度こまめに掃除するだけでも効果的です。
掃除の順番を意識してみる
掃除の順番も、余計なアレルゲンを吸わないためには案外大事な点です。
まずは高い位置(棚の上など)からほこりをはたき落とし、その後床の掃除機がけをするなど、“上→下”の順で掃除すると花粉・ほこりの再浮遊を減らせます。
加湿も大事、でもしすぎは注意
粘膜は乾燥すると、その機能を落としてしまいます。
花粉シーズンは空気が乾燥しやすいこともあり、鼻や喉の粘膜が敏感になりがちです。
適度に加湿すると粘膜の乾燥を防ぎ、花粉による刺激をやわらげることができます。
ただあまり湿度が高くなるとカビや雑菌が生えてしまいます。
下手するとこれらによって余計ひどいアレルギー症状や咳の症状が出てしまうことにもなりかねません。
湿度が高くなりすぎないよう、50~60%程度までで管理しましょう。
また定期的な水の交換や機械の洗浄も、余計なカビや雑菌を空気中にまき散らさないために大事なポイントです。
鼻うがいにもトライしてみよう!
薬を使った治療の他にも、鼻うがいなどを行うことで症状が改善できるケースも少なくありません。
鼻うがいは、鼻から人間の体液と同じ食塩濃度(生理食塩水といいます)の食塩水を流し込み、鼻の奥やのどの奥を洗い流す方法です。
鼻の粘膜に付着したアレルゲンを洗い流すことができるのと同時に、鼻をかんでも出てきづらい、粘っこい鼻水も洗い流すことができます。
またこの粘っこい鼻水は細菌繁殖の素地になりやすいので、これを洗い流すことで、副鼻腔炎などの感染症に進展することを予防できるというメリットもあります。
鼻うがいをするときは、できれば200ml以上の、比較的大量の水で洗い流すタイプの商品を選んだ方がいいでしょう。
また体温と同じ37℃の生理食塩水にしておくと、刺激もほとんどありません(子どもでも簡単に続けられちゃいます)
塩分濃度が合わなかったり、冷たすぎたりすると鼻の奥がツーンとしてしまいますので注意。
当院でもニールメッド社さんの「サイナスリンス」を受付で販売しています。
付属のボトルの線まで水をいれて、個包装になっている塩を溶かすと簡単に生理食塩水が作れる優れモノです。
花粉が付いちゃったときは・・・
それでも外出していると、花粉を完全に避けることは難しいです。
もしも花粉を浴びてしまったなと感じた場合、コンビニや近くのトイレで顔を洗ったり、濡れティッシュで目の周りや鼻周辺をやさしく拭いてあげるだけでも症状が軽くなることがあります。
乾いたティッシュで擦るより、濡れたものでやさしく拭くほうが粘膜の刺激が少なく済みます。
睡眠も大事です
睡眠不足は免疫バランスを崩し、花粉症の症状を悪化させる原因のひとつと考えられています。
特に忙しくて病院に行けないような方は、まずは睡眠時間の確保から意識しましょう(と書いている今の時間が午前3時なのですが・・・)。
過度なストレスには注意
ストレスも免疫機能に影響を与え、花粉症が悪化する要因になることがあります。
(なかなか難しい話ではありますが)ストレスをためすぎずに、定期的に心身をリフレッシュさせる時間を設けましょう。
鼻づまりや目のかゆみに効くツボ
迎香(げいこう)という、小鼻の両脇(ほうれい線のあたり)にあるツボを押すと、鼻周りの血流が改善し、鼻づまりがやわらぐといわれています。
指の腹でやさしく押し、5~10秒キープして離すと、血行がよくなり、呼吸がしやすくなる場合があります。
また、目の症状に関しては、目頭付近にある清明(せいめい)というツボは、目の疲れやかゆみに効果的とされます。
指の腹でゆっくりと刺激することで、目の周りがすっきりする場合があります。
食事でもできる花粉症対策
最後に食事、栄養面にも触れておきましょう。
ヨーグルト、チーズなどに含まれる乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌は、腸内環境を整える効果が期待できるかもしれません。
また野菜や海藻、きのこ類などに含まれる食物繊維も、腸内環境の改善に役立ちます。
腸内環境が整うことで、免疫機能のバランスもとりやすくなると考えられています。
ただし、すぐに効果が出るわけではないので、毎日少しずつ継続して摂ることがポイントです。
ポリフェノールの一種であるケルセチンは抗酸化作用をもち、アレルギー反応を抑える可能性が指摘されています。
玉ねぎやリンゴを日常的に食べることで、少しずつ摂取できます。
また、お茶にもポリフェノールが含まれるので、水分を取る際にお茶を中心にするといいかもしれません。
粘膜を健康に保つビタミンA(にんじん、かぼちゃ、ほうれん草)、抗酸化作用や免疫機能の維持に役立つビタミンC(柑橘類、イチゴ、ブロッコリー)やビタミンE(ナッツ類、アボカド、ウナギ)などもアレルギー症状を抑えてくれるといわれています。
バランスのいい食事で、日ごろからいろいろな栄養素を取るようにしましょう。
もちろん当院は治療をがんばります!
今年もいよいよ迫ってきた、本格的な花粉症の季節。
花粉症の方はうんざりする数カ月ですが、対処方法を知っているだけでも、幾分かは心強く思えるかと思います。
そして、気温は今後底を打って、寒さも徐々に緩んでくる、ある意味過ごしやすい時期になるともいえます。
ここでお話ししたことのいくつかでも取り入れてもらって、是非これからの季節、快適でハッピーな春にしていただきたいと思います。
そしてもちろん、花粉症の治療のメインはやはり適切な治療薬です。
当院でもできるだけ枠をご用意して皆様をお迎えして、アレルギー専門医としてガチンコで治療に取り組んでいます。
症状に困っている方、今後症状が出そうで不安になられている方は、お気軽にご相談下さい!