医師ブログ

2022.10.06更新

当院の院内改装も、ようやくゴールに近づきつつあります。


9月24日まで行った第2期工事では、診察室とは廊下を挟んで反対側のエリアを中心に行いました。

まずは検査室

検査室
いままで散り散りになっていた検査機器をほぼ一か所に集めて、より動線が分かりやすくなりました。

 


また、心電図検査に関しては、新たに専用の心電図室を設け、患者様が気軽に上着などを脱げる環境を作りました。

心電図室

 


こちらは内視鏡室ですが、広さはやや狭くなったものの、より効率的に配置換えを行い、この部屋で超音波検査も行えるようにしました。

内視鏡室

 


廊下ですが、内視鏡室からスペースを多少もらい、待合席を数席増設し、なるべく一人でも多くの方がお座りになってお待ちいただけるようにしました。

廊下

 

 

そしてこちらが発熱・感染症外来待合室になります。

発熱外来

トイレを移動させ、患者さんがお待ちいただくスペースをさらに大きく確保しました。

1期工事終了後より、より余裕をもってお待ちいただけるスペースを作りました。

 

3期以降では主に収納などの新設を行うので、動線としてはこれでほぼ完成です。

 

またソフト面でも、電話自動応答システムを導入しました。
今まで応対業務で職員がなかなかお電話に出られず、皆様にはご迷惑をお掛けしておりましたが、電話自動応答システムの導入で、皆様によりスムーズにご案内できるようにします(併せて受付業務の迅速化も目指しています)。

 

まだまだ慣れないことも多い新体制ですが、少しでも皆様が受診しやすいクリニックになれるように、引き続き頑張っていきます!

 

さて、当院のインフルエンザワクチン接種は10月11日より開始することとなりました。
今年は現時点では比較的ワクチン入荷に余裕があるため、当院おかかりつけの方は予約なしで受診時に接種いただける見込みです。

ワクチンのみご希望の方は後日改めてワクチン接種専用予約枠を作成いたしますので、今しばらくお待ちください。

 

 

で、本題。


今年のインフルエンザはどうなるのでしょうか・・・


正直、一昨年、昨年とほとんど流行することなく終わっており、昨年ブログでも「念のため流行には注意しましょう」と呼び掛けていた私にとっては、やや気まずいのも事実です(とは言っても、呼びかけたこと自体は間違っていないのですが。何事も悪い方に備えるのは鉄則ですので)。


毎年「流行る流行るサギ」みたいになってしまうのは正直いやなのですが、それでもやはり今年は警戒しておいたほうがいいのかもと、私は思っています。


一般的にインフルエンザの流行状況は、南半球で先取りすると言われています。
まずここ数年の日本。ご存知の通り、ここ2年は全くと言っていいほど患者がいませんでした。

日本 インフル


一方、南半球のオーストラリアの状況ですが、オーストラリアも2020年、2021年とほとんどインフルエンザの患者は出ませんでしたが、2022年に入り4月下旬からインフルエンザの患者数が増加し、コロナパンデミック前の2015~2019年よりもむしろ多い患者数となっています。

オーストラリア インフル
またブラジル2022年初旬に大流行を起こし、多くの死者を出しました(こちらは季節外れの夏~秋に流行した、やや珍しいパターンでした)。アルゼンチンも同様です。

ブラジル インフル

アルゼンチン インフル
そしてアメリカですが、こちらも北半球にもかかわらず、2022年の夏にかけて、インフルエンザの患者が出ています。これは他の北半球のいくつかの国にも見られた現象です。

アメリカ インフル
他の国も見てみたのですが(皆さんも下のリンクから見てみてください)、実は2020年のパンデミック発生以降、インフルエンザ患者が発生していない国はむしろ非常に珍しいのです(日本、韓国、香港などアジアがほとんどです)
WHO Influenza virus detection charts(世界各国のインフルエンザ発生者数)


ここら辺を考えてみると、日本にいると実感がないのですが、やはりインフルエンザウイルスは残念ながら未だ健在なのです。
そして、他国の様子を見ると、例年と違う時期に流行が発生する可能性が否定できないのです。

一方、今年も例年ほどは流行しないかもしれない要素もあります。

パンデミックからインフルエンザ患者をほとんど出していない東アジアの国々は、わが国を含め、欧米や他の地域の国と比べ、未だに厳しめの感染対策を行っている国々です(それが正しいかどうかはここでは置いておきます)。

新型コロナはインフルエンザよりはるかに広がりやすい疾患です。
今の日本のような感染対策だと、感染力の強い新型コロナには無力化もしれませんが、インフルエンザにはまだ効くかもしれません。

たださすがに日本でも以前ほど対策は厳格ではなくなっており、この状況を縫ってインフルエンザが広がっていく可能性もあり得ます。

また新型コロナも当然のことながら他国でもまだまだ感染者は出ており、実際にコロナ・インフルの同時流行は当たり前に起きているのが世界の現状です。


と考えると、やはり今年こそは流行する可能性はあると考えなければなりません(「こいつまた言ってんな」と言われてしまいそうなのがツラいとこなのですが・・・)


という訳で、今年もインフルエンザワクチンを打った方がいい理由は以下の通りです。

まずはいつもの年と同様、高齢者ではインフルエンザの予防接種は重症化を予防することができます。

65歳以上の方に対しては発病予防効果34-55%死亡予防効果82%と報告されていますPrevention and Control of Influenza. Recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices, 2008. MMWR 2008:57(RR07):1-60
また若い方に対しても、アメリカの軍隊内の若い兵士を対象とした報告で70~90%の発症予防効果があるとされていますDavenport F : Control of influenza, symposium on influenza. Med J Aust Spec Suppl 1973 ;1 : 33-38


加えて、やはりコロナ患者さんの増加と重なったときの、受診のしづらさは確実に起きるだろうということです。

私も9月にコロナに罹りましたが、正直インフルエンザの症状とよく似ており、検査をしないと見極めはおそらく不可能です。

そしてパンデミックの前のような、通常外来に多くの発熱患者さんがいるという世界線はおそらくしばらくは目にすることはないでしょう(私は、やはりインフルエンザはまだコロナとは同列には語れないと思っています。ここ最近多く目にするコロナの後遺症の多さはやはり脅威で、これは(少なくとも従来の)インフルエンザにない特徴です)。

発熱した場合、症状がつらい場合、そんな時にやはり不安の中で過ごすことになるのは精神的にも応えます。

もちろん我々医療機関も正直第7波の状況の再来はできれば避けたいのが本音です(もちろんそのような状況になればやるしかないのですが・・・)

個人の視点からも、社会の視点からも、そのリスクはなるべく下げておくべきだと思います。
幸い今年はインフルエンザワクチンの供給不足の情報は流れておりません。一昨年、昨年よりは接種しやすい状況かと思います。

他国のようなイレギュラーな時期の流行があるかもしれないという現状では、今年は少し早めの接種も考えておいてもいいかもしれませんね。

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2022.09.11更新

私、院長は9月1日にコロナ感染が判明し、院長外来はこの10日間、休診期間を頂きました。
この間は加藤医師の診療で対応させていただきました。


この間に受診予定だった方には受診日時の変更や、担当医師の変更など、多大なるご協力を頂きました。
ご協力いただいた方々にはこの場を借りて深くお詫びを申し上げるとともに厚く御礼申し上げます。


なお、9月12日からは通常の診療体制となりますが、16日、17日の院長診療に変更がありますので、詳しくはHPの最新情報をご確認ください。

 

そこで今回は自らがコロナ感染をしたその記録、そしてその立場から考えた雑感を書いてみようかと思います。


私は9月1日に抗原検査で感染が判明したわけですが、発症は前日の就寝中でした。
改装による19日間の休診を経て8月26日から診療が再開し、来院いただく患者さんが非常に多い状態で多忙を極めており、私自身は診察に集中していたこともあって、まったくと言っていいほど体調の変化は感じていませんでした。

特に31日は忙しく、家に帰ってきた時には0時を回っていました。

帰ってきて風呂に入った後に布団に入りましたが、首と腰が張る感じがあったもののいつものことと思い就寝しました。
ところが2時間ほどたち、その首、腰の張りがいつもよりもかなり強い感じを自覚しました。


「相当疲れてるな」と思いながらも、「万が一そうだったら」と思い、寝室から出て自主的に隔離を始めました。


翌日朝にはその張りはさらに強くなり、いよいよこれは通常とは違うなと感じる程度となりました。
この時点で抗原検査を行ったところ陽性の反応が出ました。


まずこの首、腰の張りは陽性後3日目がピークでした。
ピークのころは横になってなるのもしんどいくらいの首、腰の痛みを自覚し、一時は頭痛にもなりましたが、カロナールやロキソニンを内服するとその痛みは半分程度に紛れる感じでした。

発熱は2日目の夜のみ37.6℃を記録しましたが、その後はずっと平熱で推移しました。
食欲などはほぼ落ちることはありませんでした。

2日目ごろからは喉の痛みが出現、その翌日には多少の空咳がでてきました。
のどの痛みは3-4日目がピークでしたが、食事をとるのに支障があるほどではありませんでした。
空咳もこのころがやはりピークで、徐々にのどの後ろに流れ落ちる鼻汁(後鼻漏といいます)が痰となる咳に変化しつつ咳は減少、現在は0ではないものの1日2-3回程度まで減少しています(これは一般的に「風邪」の典型的な経過となります)。

幸い味覚障害や倦怠感などの、いわゆる「後遺症」と呼ばれるような症状は今のところ残っていません。
これは本当に人によりけりなのでしょう。


この自らの療養期間の最中に、療養期間の変更というニュースが飛び込んできました。
(発症日を0日目として)有症状者は10日→7日、無症状者は7日→5日というものです。

私の療養7日目にこの方針が実施されると発表されたこと、その規定で解除となる9月9日にはほぼ症状が残っていなかったことから、この日から診療を再開することは不可能ではなかったのですが、立場上皆様に少しでも感染リスクが否定できない状態での診療再開は好ましくないとの判断で、かつての規定通りの10日間の療養とさせていただくこととしました。


そこで、この7日間への療養期間短縮が妥当だったのか、今一度考えてみます。

以前のブログにも書いたように、オミクロン株の場合、PCR陽性からウイルスが検出されなくなるまでの期間は平均5日程度とされています。N Engl J Med 2022; 387:275-277
ただそれにもばらつきがあり、軽症患者であっても約25%の人が発症後8日を経過後にウイルスのRNAが他者に感染できるレベルの量で検出できる状態であったとの研究もあり、これはオミクロン株とデルタ株で、そしてワクチン接種と未接種でその割合に差はなかったとまとめられていますTownsley, H.et al.Preprint at medRxivhttps://doi.org/10.1101/2022.07.07.22277367
そして、様々な今までの研究から、感染性が10日以上継続することは非常に珍しいことがわかっていますhttps://www.nature.com/articles/d41586-022-02026-x


では、現時点での隔離期間はどれくらいが適切なのでしょうか。

結論から話すと、絶対的な正答はありません。

しかし今回の経験を経て、私の私見では7日間の隔離は妥当ではないかと考えています。


確かに8~10日目は約1/4の人に感染の可能性が残るのは事実です。
しかし10日間という期間は、社会的には非常に負担に感じる期間でもあります。
私は10日間を守りましたが、10日間何も行動ができないというプレッシャーによって、検査や診察に行かなかったり、自主検査で陽性が出てもそれを報告しない人が出てくる可能性は十分ありえますし、そうしたくなる人の気持ちも手に取るようにわかりました。


この期間が長くなればなるほど、正しく診断されない人は増えるでしょうし(極端な話、隔離が1年だったら、検査を受ける人はほとんどいないでしょう)、短くなればなるほど、そのプレッシャーは軽くなります。


もちろん短くすればするほど、社会の中に感染性を有する人は増えます。
しかし長くしても(正直に申告する人が減るので)やはり社会の中に感染性を有する人が増えるというジレンマが生じます。


これは白黒で決められるものではなく、お互いの変数の掛け算で決まるものなのです。


その中でバランスが取れる期間を設定する必要があるのですが、私個人としては少なくても現時点では、7日間はそのバランスをとれた適切な期間設定ではないかと思います。

確かに8日目の時点で感染性のある人が25%は残りますが、その人たちも一般的には感染性のピークは過ぎているのは事実です。

それにより発生するリスクが。隔離期間を短くすることで得られるメリットを下回ればいい
わけです。

もちろんトータルでなるべくリスクの少ない状態を作り出すことが必要ですから、療養期間が明けて数日は、リスクの高い行動を控える、つまり室内や三密状態でのマスクを外す、会食や会合は避けるなどの、通常よりも徹底した感染予防が必要だと思います。


しかし、隔離期間の短縮は世界の趨勢です(アメリカやフランスは通常5日、韓国でも7日だそうです)。
どの国もそれぞれの方法でバランスを取り始めているわけです。

コロナは普通の風邪と一緒だというつもりもないですし(この時期にこれだけ流行って、様々な症状が残る風邪はいまだに見たことがありません)、一方ゼロコロナを目指すような政策もデメリットが大きすぎてすべきではないでしょう。

みんながうまくバランスを取りつつ、お互いの考え方も理解して、落ち着いて行動できる、「平和な」社会になってほしいと強く感じる次第です。


今回の経験を通じて、恥ずかしながら実際に感染をした場合の状況を実感できました。
皆様にご迷惑をおかけした分、今後の診療に少しでも活かしていきたいと思います。

明日からしっかり頑張ります!また皆様宜しくお願い致します!!

 

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2022.08.23更新

もう一回改装工事の様子を公開すると言っていたのに、もう工事がほとんど終わりになってしまいました・・・

休み中に、この時期にしかできない仕事をすすめておけばよかったのですが、「まだ大丈夫、まだ大丈夫」と思っているうちに瞬く間に日が過ぎ、お尻に火がついているこの頃です。

結局ブログを書くのが後回し・・・

 

あぁ、オレ小学生のころから変わってねーな・・・

 

という訳で、かなり完成に近い状態となってしまっていますが、診療再開を前に今の状態を少し公開したいと思います。

 

 

まずは受付。

改装工事

このように、とうとう新しいカウンターが入りました!

今までより大幅に広くなり、同時に4人の方の受付、会計が行えるようになり、スムーズに受付を通過できるようになると思います。

そして、

改装工事

こちらは自動釣銭機。

 

コンビニでよく見るアレと同機種です。

今回はこの自動釣銭機を思い切って2台導入し、少しでも受付のスピードアップを図ります。

今のところ1台は患者さん自らが操作する端末、もう1台が職員が操作する端末として運用していこうと考えています(うまくいかないようであれば変えちゃいます)。

 

ちなみにジムチョー室も新設(今まで血圧計を置いていたところがすこし削られます)。

改装工事

ここにジムチョーを押し込みます(*^-^*)

 

受付も今まで乱雑に見える当院でしたが

改装前

ずいぶんスッキリした受付の姿に変わりそうです。

 

次に診察室。

こちらは第1診察室です。

改装工事

第2診察室との仕切りは木目調のデザインにし、だいぶ印象が変わりました。

 

こちらは第2診察室。

改装工事

デザイン、広さともに第1診察室とほぼ同様となりました。

そして壁紙、床、照明ともにすべて入れ替え、かなり明るい印象になっています。

今まで院長の診療は第2診察室で行っていましたが、今後は第1診察室に移る予定です(加藤先生、髙倉先生などの診察が第2に移ります)。

待合から私の診察室が少しだけ近くなる見込みです。

 

次に廊下、中待合から発熱・感染症外来に至る通路(真ん中)と、レントゲン室(右入口)です。

改装工事

廊下と中待合の間にも扉が設置され、完全な隔離が可能となりました。

レントゲン室へのアクセスも良くなります。

 

最後に発熱・感染症外来待合(手前のぐっちゃぐちゃな所)と、その奥の発熱・感染症外来専用診察室です。

改装工事

こちらは今までより外気を取り込みやすい位置となっており、またクリーンパーティションも増設する予定ですので、今までより安心感が増すかなと思います。

椅子とかが並べば、また雰囲気がわかるかと思いますので、完成したらまたきっと掲載します。。。

 

という訳で、明日からいよいよ荷物の搬入、復元です。

果たして2日でできるのか!?

オレ、家に帰れるのか!?

 

楽しみながらみんなで作業をして、26日に笑顔で皆様をお迎えしたいと思います!!

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2022.08.16更新

当院は現在改装工事にてお休みをいただいております。

世の中はまだまだコロナ感染者数が落ち着いている状況とは程遠く、この期間にお力になれないのは申し訳ない限りですが、再オープン後は今まで通り、少しでも社会のお役に立てるクリニックでいられるよう、職員一同精いっぱい診療に取り組みます!

 

ということで、今回は今の工事の進捗状況を簡単にお写真で紹介してみます。

まずは受付から。

(前回のブログでも掲載しましたが)30年以上頑張った大理石のカウンターでしたが

改装

このように撤去され

改装

新しいカウンターを受け入れる準備を整えています。

 

次に廊下です。

こちらは中待合から裏入口(現在の発熱・感染症外来入口)を望む方向の写真ですが、

改装

途中にある壁が壊され、向こう側の裏入口とまっすぐの動線となりました(今後この間に扉ができ、通常診察室と発熱・感染症外来待合室が区切られます)。

改装

 

 

次に第2診察室(今までの院長診察室)です。

改装

このように診察室の後ろに壁ができました。

改装
それはなぜかと言うと・・・

 

こちらは中待合の受付から遠い側(身長体重計と視力・呼吸機能検査エリア)になりますが

改装

このように

改装

2つの入り口が新設されました。

手前側は

改装

このように第二診察室に通じる新しい通路です(この写真の右側の壁の裏が、先ほどお出しした第2診察室後ろに新設された壁になります)。

患者さんと職員の動線の重なりを極力減らす構造としています。

 

そしてもう一つの入り口は

改装

こちら、新しいレントゲン室の入り口となります。今までよりもレントゲン室へのアクセスが良くなります。

 

最後にこちらは元発熱・感染症外来待合エリアでしたが、

改装

間に壁が出来ました。

改装

向こう側の空間が今回新設した、常設の発熱・感染症外来診察室となり、手前側がその待合エリアとなる空間です。

こちらはその診察室を中から見た光景です。

改装

改装

 

 

工期はもう半分です。この後、また劇的に変化します。またお知らせしますのでお楽しみに!!

 

またこのホームページも(予定よりかなり遅くなってしまいましたが)改装とほぼ同時のタイミングでようやく全面改装をすることとなりました。

こちらも近日中に公開いたしますので今しばらくお待ちください!

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2022.08.10更新

怒涛の1週間が終わりました。


改装前の、過去に例を見ない長い休診期間を前に、先週は非常に多くの患者様にご来院頂きました。
加えて発熱外来、ワクチン接種の方々にご来院頂いたことで、当院はもうそれは目の回るような忙しさでした。

先週は実に平均1日200人ほどの患者様にご来院頂き、皆様には大変な混雑でご不便をお掛け致しました。


ただ幸いなことに、私たちの肌感覚では、第7波はピークを過ぎつつあるように感じます。

7月中旬~下旬は、朝の受付開始からおよそ数十分で発熱・感染症外来の枠が埋まり、かつ抗原検査の実に8~9割が陽性となってしまう惨状でしたが、最後の1週間は午前の終わりや日によっては午後まで発熱・感染症外来のお受け入れを行うことができ、抗原検査の陽性率も半分を割るくらいまで落ちてきていました。

もちろんまだまだ波は続いてはいるのですが、ピーク時に当院が休診期間に入らずに発熱・感染症外来が全うできたようなのは本当に良かったなと思います。

結局第7波に入って以降、当院ではこの約1か月の間に350人ほどの発熱・感染症外来のお受け入れを行い、約200名の新型コロナ陽性患者さんの診断を致しました。


その中でこのコロナ禍、そして第7波で感じた雑感を今日はここに残してみたいと思います。

今回の第7波では、症状はいわゆる発熱、だるさ、喉の痛みといった「普通の風邪」の症状で済む人が数多かったのは確かですが、中には肺炎にまで進行していた方や、酸素飽和度が低下して、酸素の体への取り込みが悪化してしまった方、そして数日間食事がとれず脱水気味になってしまった方も確かにいらっしゃいました。
若い方でもそのようになってしまった方がいらっしゃいましたし、またこの波では「後遺症」や「症状の長引き」としてのだるさ、頭痛、呼吸器症状などの多彩な症状が良くならないと訴えられる方も非常に多かったです。

やはりオミクロン株とはいえ、まだまだ「普通の風邪」では済まない人は一定数でてしまうんだなという印象でした。


一方そして、ワクチンの効果も実感した第7波でした。

確かに3回ワクチンを接種して感染した方は少なくなかったのですが、そのうちのほとんどの方が非常に軽い症状で済んでいました。
一方、率直な肌感覚では、若い方を中心にワクチン未接種の方や、2回目接種から時間が空いてしまった方に比較的症状が重い方が多かった印象です。

とはいっても、2年前、1年前に比べれば、我々もワクチンや治療薬といった新たな武器を手にし、一方当初よりも確実に弱毒化が進んだことも事実です。

前回のブログでも述べたように、それぞれ個々のリスクに応じて、その人にあった感染対策を取ったうえで適度にコロナを受け入れざるを得ないんだろうなとも思った第7波でした。
普通の風邪の症状で済んでしまった多くの方にとっては、発症から10日間の自宅隔離はいささか長すぎるのではと、かわいそうにも思いますし、いざ自分に置き換えて考えても10日間家に隔離されるのはそれ自体が恐怖です。
確かに10日以内の解除だと他者への感染リスクは0にはならないかもしれませんが、今年7月に発表された報告では(サンプル数が小さいものの)オミクロン株の場合、PCR陽性からウイルスが検出されなくなるまでの期間は5日程度とされておりN Engl J Med 2022; 387:275-277隔離解除後も数日は十分な感染対策を取ることを条件に、もう少し短くなってもいいんじゃないかなと思うのが正直なところです(もちろん症状が長引いたり、重くなったりした場合は話は別です)。


そして、もうしばらくは「インフルエンザと同じ5類感染症運用」は難しいとも思います。

やはりオミクロン株とはいえ、今はまだ「普通の風邪」で済まない人もいらっしゃるのは事実です。
またこの時期にこんなに流行る風邪を今まで我々はそう経験したことはありません。

やはり今でも新型コロナはインパクトのある感染症です。


そうした中、コロナを5類感染症にしたところで、コロナ禍以前みたく通常の待合室に発熱患者さんがお待ちいただく構図が社会的に許されるようになるわけではないのではないでしょうか。
単純に5類にしたらどの医療機関でも簡単に診れるようになるというのは現場を知らない人の幻想でしょう。
5類の目的がここにあったら絶対に社会や医療現場は混乱します。

2類に残すにせよ5類に移行するにせよ、行政と医療機関の連携を切らないようにしたり、負担をおそれて受診しないことで病状悪化のリスクを上げることがないよう、公費治療の枠組みは残したりと、弾力的に考えて頂かないとうまく回らない気がします。





という訳で、当院も一度ここで一時的に最前線から離れることになりました(もちろん再開後はいままで通り全開で頑張ります!)。ここからは改装に関して、すこし情報を。

今回の改装は、現在3期~4期にわけて工事を行う予定で、今回の1期工事が最大となります。
今回は受付エリアから診察室にかけての改装レントゲン室の移設発熱・感染症外来診察室の恒久設置化を中心に行います(受付エリアは窓口を最大4つに拡大し、併せて自動釣銭機を導入することで、少しでも受付でのお待ち時間を減らせるようにする予定です。)

早速月曜から工事が開始となり、30年以上頑張ってくれた受付カウンターも、すでに旅立ってしまいました・・・

受付工事

そして2期工事は9月のシルバーウィークを利用し検査室エリアの拡張廊下の拡張発熱・感染症外来待合エリアの拡張を予定しております(1期工事と2期工事の間はほんの少しですが、待合エリアが小さくなってしまう可能性があります。ゴメンなさい・・・)。

3期工事以降は未定ですが、いろんなところの見た目が変わることを考えています。


という訳で、皆様にはご迷惑をお掛け致しますが、当院の機能をさらに向上させる改装工事となります。
当院の診察再開まで、今しばらくお待ち頂ければと存じます。

なお、当院が休診の間は、その分発熱患者さんを受け入れられる医療機関が少なくなってしまっています。
ましてやこれからお盆の時期で、開いている医療機関もさらに少なくなってしまうことが予想されます。

現在発熱して、医療機関にどうしても受診できない場合は、行政から配布されている抗原キットを利用し、陽性であれば、重症化リスクがなければ自主療養を届け出していただくことが可能です。

解熱薬に関してはアセトアミノフェン(商品名:カロナールなど)が推奨されておりますが、今は大変な品薄になっています。
ロキソプロフェン(商品名:ロキソニンなど)やイブプロフェン(商品名:イブなど)など、当初コロナの重症化が危惧された解熱鎮痛薬についても、コロナに関してはあまり悪さをしないというデータも多く出てきておりLancet Rheumatol. 2021 Jul;3(7):e498-e506. Drug Saf. 2021 Sep;44(9):929-938.とりあえず手に入る解熱鎮痛薬で急場をしのいでいただければよいかと思います(ロキソニン、イブプロフェンは多く使うと胃が荒れるので、使い過ぎに気を付けてください。また小児の方はロキソニンはダメですので注意してください)。

皆様がこの第7波を切り抜けて頂き、楽しい夏をお過ごしいただけることを切に願っております。

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2022.07.18更新

いやあ、ヤバいっす・・・

2週間前から発熱・感染症外来の受診を希望される方が突然急増しました。

1月の時のデジャブを感じますが、今回はワクチン接種や特定検診の方もいらっしゃること、1か月後に控えた改装工事のための受診調整も重なっていることから、当院は第6波の頃よりもそのヤバさが際立っています。

間もなく改装工事が始まり、クリニックの中は待合スペースの拡張、受付エリアの拡張、発熱・感染症専用診察室の新設など、今よりも多くの患者さんに対応できるようになる予定ですが、それまではご不便をおかけするかもしれません。

できるだけ一人でも多くの、症状に困っていらっしゃる患者さんに対応したいとの思いで診察をつづけておりますので、ご理解、ご協力の程、よろしくお願い致します。

 


さて今回はそんなコロナのオミクロン株、今わかっていることと、これからやるべきことをまとめてみようと思います。

 

おそらく今回の第7波の中心となるのは、オミクロン株の中でもBA.4BA.5という変異型(その中でもBA.5が主役になるでしょう)になるだろうと言われています。
東京都のデータによると、このうちのBA.5は、感染力がBA.2(第7波の前の主流)の27%増しとされており、今まで以上に広がりやすい可能性が考えられています。

またこのBA.4、BA.5は、「感染阻止」の面では、既存のワクチンの効果が出にくいとも言われ、さらには第6波以前に感染した人も感染する可能性が十分にあることが示唆されています。
これは、以前ワクチンの仕組みでお話しした、ワクチンによって産生できる抗体(中和抗体と言います)が、ウイルスにくっつきにくくなるようなウイルス側の構造の変化がおきたため(つまりそれを引き起こす変異があるため)と考えられています。

今回のBA.4、BA.5に関するデータは、5月に流行した南アフリカから(査読前ですが)報告されています。https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2022.06.28.22276983v2.full.pdf

これによると、BA.4、BA.5が流行した期間に感染した人の割合は、1回が12.9%、2回が36.1%、3回以上が6.7%とされています。
さらには再感染と判断された人が19%にものぼります。
南アフリカのワクチン接種率は40%前後とのことであり、2回目接種の人の割合がこれだけ多いとなると、少なくとも2回接種程度ではワクチンの感染予防効果は多くなさそうと考えられます。

それではワクチンが全く意味がなくなったのかと言うと、そうではなさそうです。

重症化・死亡率は、2回ワクチンを打った人は全く打っていない人に比べて63%3回以上打った人は全く打っていない人に比べて83%も下がったともされており、(後遺症のリスクは別にすると)しっかりとワクチンを打っていれば従来の風邪にかなり近い存在になってきたとも言えるようになっているのかもしれません(逆から見るとワクチン未接種だと重症化・死亡リスクが約3~6倍に上がってしまうとも言い換えられます。動物実験ではこの変異株は従来のオミクロン株よりも肺で増殖しやすく重症化につながる可能性が指摘されており、ワクチンが全く未接種の人はまだまだ注意する必要がありそうです)。

ワクチンを接種してからの期間も、重症化率と関連があるデータが多く出ているので、2回目からの接種から時間の経っている方は3回目の接種を考えていただいたほうが良さそうです。
また高齢者の方や重症化リスクの高い方は以前のブログでお示しした通り4回目の接種を済ませておくメリットは大きいかと思います。

 


次は感染リスクをなるべく下げるために、私たちはどうしたらいいのか、このことについても色々と新しい知見が出てきています。

 

まず、コロナの感染は飛沫、エアロゾルを介して感染するのが主流であることがわかっておりClin Infect Dis. 2022 Mar 10;ciac202マスクを着用することで感染リスクが下げられることが分かっていますBMJ. 2021 Nov 17;375:e068302
そして、そのエアロゾルや飛沫が床やテーブルに落下するとウイルスは比較的短時間で死滅するため、環境から感染する確率は飛沫、エアロゾルからの感染の1万分の1以下でありEnviron Sci Technol Lett. 2021 Feb 9;8(2):168-175環境を消毒することによる感染予防効果は低いことがわかっています。Am J Infect Control. 2021 Jun;49(6):846-848. Nat Hum Behav. 2020 Dec;4(12):1303-1312.
手洗いの感染予防効果は50%程度BMJ. 2021 Nov 17;375:e068302ソーシャルディスタンスを取ることによる感染予防効果は25%程度とのことでした。BMJ. 2021 Nov 17;375:e068302
そして感染予防に効果的なのは換気であることが示されています。Clin Infect Dis. 2021 Oct 30;ciab933.J Hosp Infect. 2022 Jan;119:163-169.


という訳で、これを踏まえたうえで、今後のコロナに対する私たちのあり方について、僭越ながら私見を話してみたいと思います。

軽症の範疇でもコロナの場合、普通の風邪よりも症状が重い方もいらっしゃいます。
後遺症をきたす方もいらっしゃいます。

それでもワクチンをしっかり打っている人で肺炎や酸素化の悪化等、重症化した方を見る機会は非常に稀になりました。

そして今後今の状態が収まることはもう当分はないのかもしれません。
これがいわゆるウィズコロナ、アフターコロナの状態なのだと思います。

もちろんウィズコロナ、アフターコロナの世界では、常にコロナの感染と隣り合わせの状態になるので、なるべく感染しないような、そして一人でも重症化を少なくする対策は必要です。
リスクの高い場所でのマスクはまだ致し方ないと思います。

一方、屋外など、空気の流れている場所でのマスクの必要性は低いと言って差し支えないと思います。


費用対効果の高い対策(手洗いや換気、換気の悪い場所での適度な距離など)は行っていきつつ、費用対効果の低い対策(屋外や他者と十分な距離の取れる場所でのマスクや環境消毒、空間除菌など)はどんどん止めていくことが必要かもしれません。

これを行ったうえで、規定通りワクチンを打っている人は普通の生活を、ワクチンを打っていない人や重症化リスクの高い人はもう一歩踏み込んだ感染対策を行いながら生活をすることがニューノーマルとなるでしょう。
そして感染はだれにでも起きうることですし、上記の対策をした上で、感染リスクはある程度は受け入れていく必要があるのかもしれません(それはインフルエンザなど、他の感染症とも似た形と考えます)。

感染をした際の隔離期間や濃厚接触者の対処も、最新の知見をもとに柔軟に、より最適化された形に変えていくことが必要なのだと思います(それを迅速に決められる行政の力が試されます)。

 

秋にはオミクロン株に対応したワクチンができる見込みではあるようですが、その間にも新しい変異が生じて効果が下がってしまうことも十分に考えられます。
ですのでこの状態は当分は変わらないでしょうし、緩くても長い期間続けられる対策が、長い目で見たら一番有効なのかもしれません。

 

現場は非常にヤバいのですが、それでも私達医療者は精いっぱい、力の限り頑張ります。
是非政治、行政の方々、少しでも早く、みんなが少しでも過ごしやすい世の中にしていただけるように、今こそ知恵をいっぱい絞ってください!心から応援しています!

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2022.07.03更新

いやあ、暑いですね・・・


今年は梅雨があっという間に駆け抜けてしまい、6月らしからぬ猛暑にぐったりでした。


梅雨時に気を付けるべきアレルギーについて書こうと思っていたのに、どうもタイミングを逸してしまったか・・・と思ったら、またジメジメした天気が戻ってきそうな雰囲気もあり、このスキに前回の続きを書いてみようと思います!

 

さて前回は、「梅雨時に気を付けたいアレルギー」として、カビのことを書いてみました。今回はその他にもこの時期に気を付けるべきアレルギーとして、いろいろな草木を挙げてみたいと思います。


スギ、ヒノキの花粉が終わる時期に飛散が始まるのが、イネ科の花粉です。


イネ科というと、田んぼに生えそろっている稲をとうしても想像してしまいますが、実際に人々に影響を及ぼすのは、空き地や庭に生えている雑草であるイネ科の植物です(田んぼの稲はあまりアレルギー性は強くないと言われています)。

ですので稲作地域ではないここ茅ヶ崎でも、多くの方がイネ科の花粉に悩まされています。


カモガヤというイネ科の植物があります。これは空き地や河川敷などの荒れ地に多く繁殖する雑草です。
またイネ科にはオオアワガエリという雑草もあります(英語ではチモシーと呼ばれ、こっちの名前をご存知の方も多いかもしれません)。

これも空き地や河川敷、土手などの荒れ地に生えることが多い植物です。
いずれも繁殖力が強く、よく目にする植物です。


花粉は5月くらいから飛び始め、6月ごろが一番多く、7月ごろまで続くこともあります。
症状としては鼻や目の症状が主ですが、咳や喘息悪化の原因になることも少なくなく、もともと咳が出やすい方や喘息を持たれている方は特に注意が必要です。

スギやヒノキの花粉は山から数十kmの距離を飛散しますが
イネ科の花粉は数百ⅿ程度しか飛散しません。
ですので、この時期はなるべく草むらに近づかないこと、家の周りにそのような環境がある方は、外の花粉を家に入れないようにすることが重要です。

またこの花粉症を持っている方は、反応が強く起こることが少なくありません。
一般的に運動をすると、アレルギー反応が強くなることが少なくありません。
ですので、これらの植物が多く生えているところでランニングやサイクリングなどをするアスリートの方に、アナフィラキシーなどの強いアレルギー反応が起こることがあるので、該当する方はより一層注意が必要です。


次に挙げるのがキク科です。

代表的なのがブタクサです。
結構ブタクサアレルギーを自覚される方は多い印象で、統計学上もアレルギー性鼻炎の方の10~20%がブタクサに感作されていると言われています。

時期は8月から10月、夏からが本格的なシーズンになります。

またヨモギキク科の草で、こちらはややブタクサより早く、7月から飛散が開始します。
お餅に混ぜたり、おひたしにしたりとおいしいイメージのあるヨモギですが、こちらもアレルギー性鼻炎の方の15~25%が感作されているという、夏から秋の花粉症の重要な原因となってしまっています。

また時期はもう過ぎてしまっているようですが、カバノキ科の花粉もあまり知られていないものの、喘息の方には結構悪さをすることが知られています。

関東など温かい所ではハンノキオオバヤシャブシという木がそれにあたり、北海道や本州でも標高の高いところではシラカバもその仲間です。

時期はヒノキと被る4~5月ごろで、スギやヒノキがあまりない北海道では、花粉症の一番大きい原因となっています。

前にも書いた通り、カバノキ花粉症、イネ科花粉症では、果物や野菜の食物アレルギーを合併しやすいという側面も持っており、花粉症の時期に食物アレルギーの症状が出やすくなるということもあるので、そのことに気づけるかも重要になります(大人の食物アレルギーは残念ながらあまり広くは知られていないため、長年にわたりこのことに気づかれない方も少なからずいらっしゃるのが実情です)。


あとは花粉症の後にもしつこく残るアレルゲンとしてはダニやペット、それに昆虫が挙げられます。次回以降は、これについても触れてみたいと思います。

 

さて、当院では7月4日から新型コロナのワクチン接種を開始します。
回は4回目が主になっていますが、当院では1~3回目の方も受付いたします(4回目接種についての情報はコチラ)。

当院予約システム、および茅ヶ崎市ワクチン予約ページから、それぞれ枠をご用意しています。
居住地、当院での接種歴や受診歴は問いませんし(茅ヶ崎市外に在住の方は茅ヶ崎市の予約ページはご利用いただけませんので、当院予約システムからご予約下さい)、お手元に接種券が届いていない方も、予約日が接種可能な日時なら(4回目接種は3回目接種から5ヵ月経過後となっています)、接種当日に前回接種日が分かるものがあれば大丈夫です。

また以前からお伝えしているように、当院は8月7日(日)~8月25日(木)まで2週間半の間、改装工事のためにお休みを頂きます。
当院かかりつけの方は受診時にお薬がなくならないように適宜調整を致しますし、病態によってはこの時期に悪化を極力避けられるよう、治療内容の調整を行うこともございます。

ご不明な点、ご不安な点がございましたら、お気軽に外来受診時に私など医師にお申し付けください!

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2022.06.16更新

6月に入り、だいぶ発熱の方、風邪症状の方も減ってきたように思います。

当院でもコロナ陽性者は週に2〜3人出るかどうかというところまで減ってきており、いよいよアフターコロナが見えてきたのではないか、というように思えるような状況です。

 

一方、ここ最近は3〜4月ごろから咳が増えて止まらないという、風邪というには長すぎる咳の症状でお悩みの方が増えてきております。

いわゆる「花粉症」が終わった頃から咳が出るパターンの方が少なからずいらっしゃいます。

 

今年は当院も名称変更を行い、やはり例年より咳の患者さんが多いなあと感じていたそんな折、ケーブルテレビのJCOMさんから取材の依頼を頂きました。
内容は「梅雨時期に気をつけたいこと」というお題です。

 

クリニック勤務となってから、多くの取材を受けてきましたが、今回は初めての映像。

今までの幾多の経験上、セリフを覚えて話そうとすると100%噛むという揺るぎない自信があったため、あえてカメラには目をくれず、何も考えずに一発撮りで話してみることとしました。

 

JCOMさんはケーブルテレビですので、加入していない私はあいにく自分の醜態を直接目にすることはできなかったのですが、我が元祖ブロガー兼受付の深田さんがありがたくも動画を撮っていてくれていましたので、そのキャプチャーを晒してみたいと思います。

JCOMインタビュー

結構カメラ目線じゃん(笑)


と言うわけで、この取材でアレルギー専門医の私が話した、この時期、皆様に気をつけていただきたいことを、今回はもう少し深めて今回のブログネタにしようと思います。

 


スギやヒノキの花粉症の時期も終わり、一般的にはアレルギーの方はホッとする時期という印象を持たれる方が多いのですが、春から夏にかけてのこの時期は、実はさまざまなアレルギーの原因が出現する時期でもあります。

例えば、この時期一番思い浮かぶ厄介者としては、カビが挙げられると思います。

 

特に喘息を悪くさせやすいものとしては、アスペルギルスというカビが挙げられます。
これは温かく乾燥した場所に多く発生するカビで、ホコリの中や畳、寝具などに多く生えます。
空気中に飛散しやすく、このアレルギーがあるとかなり厄介な喘息になることが知られています。

 

一方クラドスポリウムというカビも厄介です。
これはいわゆる「黒カビ」で、温かくジメジメしたところに多く生えます(皆さんが一番想像するカビでしょうか)。
湿気が多い風呂場や水回りに多く生息し、このカビも大量の胞子を空気中にまき散らし、咳の悪化の原因になります。

 

またアルテルナリアというカビもいます。
これは「ススカビ」とも呼ばれ、やはり湿気の高いところを好み、浴室や水回り、押し入れの奥や台所や床下収納によく生えてきますが、胞子になると乾いたところにも出現し、空気中に舞ったり、畳や寝具からも検出されます。

 

それに面白い、といっては何なのですが、クラドスポリウムやアルテルナリアは大雨や雷雨が降ると、屋外に飛散している胞子が割れて細かく飛散し、より吸い込まれやすくなる現象がおき、これを吸い込むことによって喘息が悪化する「雷雨喘息」という病態もあります。
花粉も同じ条件で細かくなることも知られており、天気が良くなったタイミングで咳や喘息が悪化する方が増える方は実際多い傾向にあります。

 

そしてこれらのカビはプラスチックの表面にも住み着くことができます。そのため、エアコンの内部に繁殖しやすく、しばしばエアコンを使い始めるこの時期から大きな影響を引き起こします。

エアコンは吹き出し口、フィルターなどが目立つため、ここの掃除はされる方が多いのですが、我々素人が届かない内部にも当然カビは届いています。
そのため古いエアコンを使っていたり、長く内部クリーニングをされていなかったりした場合は、エアコン使用開始とともに空気中にカビの胞子が飛散し、咳が止まらなくなったり、喘息が悪化したりするケースが少なくありません。


エアコンを使用する前であるこの時期、しばらく内部クリーニングをされていなかった方は、是非業者さんにお願いしてクリーニングをしていただくといいかもしれません。

 

 

そのほかにもこの時期に原因になりやすいアレルゲンとしては、6月くらいから9月ごろにかけて増えるダニ(おもにその死骸やフン)、道端や空き地に多く生える雑草、家の内外で影響を及ぼし得る昆虫、それにペット(特にネコやイヌ)など、実にバラエティ豊かです

 

これらのアレルゲンに関しても、今後詳しくお話ししてみようと思いますが、なかなかボリュームがあって長くなりそうですので、また次回。

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2022.05.29更新

前回お伝えした入り口のプチ改装、GW明けより稼働しております。

おかげ様で新たに設置した待合席は、ちょっとした読書や作業などをしていただけるとご好評の声をいただいております。
まだまだ混雑でご迷惑をお掛けしておりますが、少しでも新しい席がお役に立てれば幸いです。


そしていよいよ、当院は今回、大改装を行うこととなりました!

今回は当院のレイアウトそのものが大きく変わります。

具体的には①受付エリアの刷新、②レントゲン室の移動・新設、③第2診察室の移動・新設、④検査室の拡充、⑤新たな発熱外来診察室の設置⑥発熱外来待合室の拡充、⑦内視鏡・エコー室の新設を行います。

これだけの内容を行いますので、今回は数回に分けて工事を行うことになりました。

まずは第1期工事をこの8月に行います。

今回の工事がメインで、①~③を行う予定です。
これらのレイアウト変更に伴い、お待ちいただけるエリアも今までより少し広くなる予定です。

という訳で、今回当院は夏季休暇を長めに頂きます。
8月7日(日)~25日(木)まで、19日間のお休みをいただきます。

これに伴い、今年の8月の特定検診の受け入れ枠が少なくなります。

茅ヶ崎市の特定検診は例年6~8月に行われておりますので、当院で検診をご希望の方は、できるだけ7月までにお早めにご予約、ご受診を頂けると大変助かります。

例年8月は駆け込み受診が多くなりますが、今年は十分なお受け入れができないと思いますので、是非ご協力頂ければと思います。


さて、ようやくコロナワクチンの3回目もピークを過ぎ、当院もひとまず6月4日で一度終了することにしておりますが、そうこうしているうちに4回目のワクチン接種開始の通達が出されました。

いったいいつまで続くのやら・・・と思いますが、4回目のワクチン接種について、今回もやはり客観的データでその妥当性を判断していこうと思います。

現時点で一番大きなデータは、ニューイングランドジャーナル・オブ・メディシン(医学界では一番信用度の高い雑誌です)に4月に発表された、イスラエルのデータ(N Engl J Med 2022; 386:1712-1720)だと思います。
まずはこのデータを見てみましょう。

このデータではイスラエルでオミクロン株が流行していた今年1月~3月に、4回目をファイザーのワクチンで接種した60歳以上の方、120万人を対象としています。

4回目のワクチンの効果

N Engl J Med 2022; 386:1712-1720より改変

まず感染予防効果ですが、3回目接種の方と比べ、4回目を接種した方は、接種後3~4週間で効果が最大になり、感染予防効果3回目接種の方と比べて約2.1倍(つまり53%リスクを減らす)となりました。しかし接種後8週が経過するとその効果は約1.1倍(つまり10%もリスクを減らせない)となり、2カ月で感染予防効果はほとんどなくなってしまいました。

一方重症化予防効果ですが、こちらは接種後徐々に効果が高まり、接種後6週間で4.3倍(つまり70~80%予防できる:3回目しか接種しない場合を100とすると、4回目を接種すると20~30くらいまで減らせる)ことがわかりました。

 

ただオミクロンはそもそもが重症化しにくいウイルスです。
割合が大きく減ったとしても、その実際の重症化を起こす人の数がもともと少なければ、重症化を予防できる実際の人数はたかがしれている、というのもあながち間違いの主張ではありません。

そして若い方については4回目接種についてのデータはほとんどありません。

またイギリスからの報告では、3回目接種についてのより長い期間の情報が出ており、18~64歳の方では、3回目の接種による効果接種後15週(約3か月半)を経過しても、入院リスクを67.4%、重症化リスクを75.9%減らせるデータが出ておりCOVID-19 vaccine surveillance report Week 16 UK Health Security Agency 2022/4/21、3回だけで十分との考え方もあろうかと思います。

一方、現時点では4回目の接種による副反応は3回目とそれほど大きな差はなく、一部で懸念されているADE:抗体依存性免疫増強(ワクチンの影響でかえって病気が重症化しやすくなる現象)も、現在のところは客観的データとしては認められません。

というわけで、わが国ではリスクの高い方のみ、すなわち

60歳以上の方
18~59歳の、基礎疾患を持っている方

を対象に、3回目接種後5カ月を経過したら接種ができるという運用をされることとなりました。

※基礎疾患とは以下の病態です(頻度の高いものを太字にしました)

1.慢性の呼吸器の病気(喘息、COPDを含む)
2.慢性の心臓病 (高血圧を含む)
3.慢性の腎臓病
4.慢性の肝臓病(肝硬変等)
5.インスリンや飲み薬で治療中の糖尿病、他の病気を併発している糖尿病
6.血液の病気(鉄欠乏性貧血を除く)
7.免疫の機能が低下する病気(治療中の悪性腫瘍を含む)
8.内服や注射のステロイドなど、免疫の機能を低下させる治療を受けている
9.免疫の異常に伴う神経疾患や神経筋疾患
10.神経疾患や神経筋疾患が原因で身体の機能が衰えた状態 (呼吸障害等)
11.染色体異常
12.重症心身障害(重度の肢体不自由と重度の知的障害とが重複した状態)
13.睡眠時無呼吸症候群
14.重い精神疾患

 

私は、まあ妥当かなと思っています。

 

正直このオミクロン株によるコロナをここ5カ月ほど診療していますが、ほとんどの方が普通の風邪症状です。

確かに肺炎の方もいらっしゃいました(それは普通の風邪にはまずない兆候でしょう。インフルエンザウイルスの肺炎も、出会うのはもっと稀です)。
そして後遺症として様々な症状をきたす方も少なからず当院にはいらっしゃっています(よく診察をしたら、実は後遺症ではなく喘息やアレルギーだったという例も少なくないのですが)。

ですので、まだまだ「普通の風邪」ではありません。

ただ、デルタのころと比べれば、確実にその性質は風邪に「近づいて」います。
そして、高齢者や基礎疾患をお持ちの方にとっては、まだ少し「普通の風邪」から距離があり、一方若い方にとっては、「普通の風邪」との距離が非常に短くなっている。そのように考えれば、よりリスクの高い方にしぼって、「普通の風邪」に近づけるツールとしての4回目のワクチンを行うことは、理にかなっていると思います。

オミクロン株のその後

そして、この「普通の風邪」との距離を、みんなが受け入れるようになれば、この「コロナパンデミック」は終了する、そのように私は解釈しています。

オミクロン株のその後
その距離がどれくらいなら受け入れられるのか、あとどれくらい近づけばいいのか、あとどれくらいの人がその許容される距離内に収まればいいのか。それが人それぞれなのでこの議論はもつれます。
しかし「普通の風邪」との距離が0になるまで待つのはおそらく現実的ではないので、どこかで妥協する必要は必ず出てくると思います。

 

それが「今」であるべきかどうかは私にはわかりませんが、どこかのタイミングで「決断」をしなければならない時がくるでしょう。そしてそれが、より多くの人が納得する形での「決断」の形にして、社会に分断を残さないようにしないといけないのです。

今後の我が国の経済や教育、その他のことも総合的に考えて、しかるべき時に、しかるべき方法で「決断」をする覚悟、それが我が国にとって今一番大事なのかもしれません。

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2022.05.09更新

「茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック」として新しい船出をしてから1ヶ月、おかげさまで少しずつ新名称にも慣れてきました。

当初はスタッフの言いまつがいもありましたが、最近は新名称がスムーズに出てくる様になっています。


直接電話応対をすることの少ない私が、実は一番慣れてません(笑)

 

また4月から髙倉先生の循環器専門外来が開始し、おかげさまでこの1ヶ月で、すでに多くの患者さんにご来院いただいております。

この時期、花粉症から始まった長引く咳など、咳のなかなか治らない多くの患者さんにもご来院いただいており、それは医師冥利につきますが、いよいよ院内の待合スペースに限界が来つつあります。

 

そこで今回、GWを利用して、少しだけ待合室を拡充する工事をしました。

 

入口のスロープを少し狭めて(車椅子も通れる十分なスペースは残しています)ベンチを下げ、できたスペースにテーブルでお待ちいただける待合スペースを増設しました。

玄関改装

よしできた!工事が終わってホッとしていたのですが、

 

「椅子、ないじゃん・・・」

 

スペースを作ることばっかり目を向けて、椅子を買うことを忘れてました(๑´ڡ`๑)テヘペロ♡

とりあえず院内にあるパイプ椅子をかき集めて何とか3席確保しました(あとでちゃんとした椅子、買います!)。

入口改装

このスペースでの飲食はできませんが、本を読んだり、書き物をしたり、PCなどを使って作業することもできたりするスペースです。なるべく待ち時間を少なくできるように努力しますが、貴重なお時間をお使いいただくスペースとして是非ご活用ください!

 


さて、スギ、ヒノキの花粉症の方も、ようやく症状のピークを超え、今年も一般的な花粉症シーズンは終わりを迎えつつあります。

しかし、中にはこれからの季節も花粉症シーズンが続く方がいらっしゃいます。

そして、実はこの時期に合わせて、果物などの食物を食べると口の中が痒くなったり、じんましんが出てきたりする「食物アレルギー」の症状が出てくる方がいらっしゃいます。

 

実は、一部の食物アレルギーの方には、ある花粉症と関連がある場合があります。

 

例えば、バラ科の果物、例えばモモやビワ、さくらんぼ、苺、りんご、梨など、それに豆類特に豆乳では強く出やすく、アナフィラキシーまで起こる可能性があり要注意!、ヘーゼルナッツ、セロリやニンジンなどで、喉や口のかゆみなどの症状が出たりする方の中に、カバノキ科(ハンノキ、シラカバなど)の花粉症がある方がいらっしゃいます。

この花粉には、「PR-10」というタンパク質が含まれているのですが、このタンパク質へのアレルギーを持っていると花粉症を発症します。

そして、先に挙げた食べ物にも、この「PR-10」というタンパク質が含まれているため、アレルギー症状を起こしてしまうのです。

そして、この花粉症の時期が4〜6月、つまり今頃であり、この時期に食物アレルギー反応の症状が出やすくなることも知られています。


また、ブタクサ、ヨモギ、イネ科の花粉症の方も、同様に花粉に含まれる、「プロフィリン」というタンパク質に対するアレルギーを持っている場合、ウリ科の果物など、例えばメロンやスイカ、カボチャ、きゅうりなど、それに柑橘系の果物、トマト、バナナなどにも含まれる「プロフィリン」にも反応をしてしまい、アレルギー症状を起こしてしまう例も知られています。

これらの花粉は初夏〜秋がシーズンなので、こちらもこれから気をつけるべき季節となります。

その他にも、スギやヒノキの花粉症に関連したバラ科や柑橘系果物、梅干しなどの食物アレルギーなども知られており、これらは「花粉-食物アレルギー症候群」と呼ばれ、症状をコントロールするには、花粉症の治療も正しくしっかりと行うことが大事になります。

 

 


またゴム製品に対してのアレルギー(ゴム手袋をしていると手が赤くなったり腫れたりするといったエピソードが多いです)があると、食物(特にバナナ、栗、桃、キウイ、パパイア、パイナップルなどの果物やアボカドが代表的です)アレルギーを発症してしまう「ラテックス-フルーツ症候群」という病態があったりもします。

 

これらはいずれも、一見関係なさそうな2つの症状が関係しあっている、知らないと気付かない病態です。


食物アレルギーといえば子供の方が圧倒的に多く、一般的には小児科で取り扱われることが多い病気なのですが、実は上に挙げたような病態は大人特有のものなのです。

大人の食物アレルギーを診断、治療できる医療機関が非常に少ないため、何年も原因不明として扱われてしまい、生活の質が低下したまま長年が経過するケースも少なくありません。

このような症状は、やはりアレルギー専門医にご相談されると、花粉症ともどもうまく治療できると思います(鼻の中を見たり、処置までできたりするという意味では、食物アレルギーにも非常に精通している耳鼻科の先生がベストかもしれませんが、耳鼻科的な処置までは必要なく、薬だけでよくできる程度であれば、我々の様な内科のアレルギー専門医でも大丈夫だと思います)。

手前味噌ですが、当院でも今後皮膚アレルギーテストの導入を予定しており、採血だけではわからないアレルギーの原因をより見極めることができるようになる予定です。


アレルギー診療は、原因の見極めや薬の選択、さじ加減、それに正しい薬の使い方や生活面での指導など、診療の質の違いが結果の差になって現れます。

 

なんか治りがイマイチだなあ・・・と感じる時は、是非アレルギー専門医の受診をお考えになってみてください!

 

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

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