医師ブログ

2024.02.09更新

久しぶりに茅ヶ崎でも雪が降り、冬本番の寒さが続いています。

そういえば、インフルエンザが流行り始めたのが昨年の8月から。
今とは真逆の、うだるような暑さの中で、3年ぶりの、しかも季節外れの流行が始まっていました。

「コロナが終わったと思ったら今度はインフルかよ・・・」と思いつつも、通常インフルエンザの流行は2~3か月で落ち着くので、「次のコロナの流行とはかぶらなそうだな、まあタイミング的には悪くなかったかな」などと、甘い戯言を言っていました。

それが・・・

インフルエンザの流行はダラダラと異例の長期にわたった挙句、半年を経た今になってまさかのピークを迎えつつあり、そうこうしているうちにとうとうコロナの流行までも始まってしまいました・・・

3年間の眠りから目覚めたインフルエンザ、やはりえげつねーっす・・・

茅ヶ崎市のインフル、コロナ流行状況
インフルエンザ、コロナ流行状況

2024年2月8日発表 茅ヶ崎市保健所管内感染症情報

加えて、今年は溶連菌感染症もまだ警報級の流行を見せており、あまつさえやや早くから始まってしまった花粉症、そしてそれらをきっかけに悪化してしまった咳に困っている方も非常に多いようで、当院の新患枠、発熱感染症外来枠は、開けても開けてもすぐに埋まってしまう、阿鼻叫喚の状態です・・・



当院としては、もちろん一番の得意技である咳の診断、治療はできる限り行いたい、咳で困っている方を何とかしてあげたい、その気持ちはあふれるほど持っています。

しかし、限界を突破した更なる限界の状況で、逆立ちしてもどうあがいても今はこれ以上お受入れできないという状態の今、どうしても受診がかなわない、今お困りの患者さんに何とか少しでも罪滅ぼしはできないのだろうか・・・

ということで、今回は、病院にすぐには行けない時にも、何とか自力で咳を抑えこむ方法をお伝えしてみたいと思います。


まずは、普段、咳のあまりしない方で、急に咳がでてしまった方です。

風邪の咳

この場合、上気道炎や気管支炎といった感染症の可能性が高いと思われます。
そして通常、健常な方の場合は、その原因の9割以上がウイルスといわれています(つまり抗生物質は効きません。詳細はこちらのブログ:2019.10.17「かぜ」と「抗生物質」)。
そしてインフルエンザ、コロナを除けば、これらのウイルスを直接やっつける薬は通常ありませんインフルエンザコロナには薬があるので、受診できるのであれば受診、診断を受けて処方をもらうのがベターなのはもちろんです)。

薬のないウイルス感染症である場合は、そのウイルスが自分の免疫で体内から追い出されて、ウイルスに傷つかれた気道が修復されるまで、咳を根本的に止めることはできないというのが実情です。

症状を和らげて時が過ぎ去るのを待ちましょう。

痰を伴わない乾いた咳の場合は、市販の風邪薬の中の成分に「コデイン」が含まれているものは効果があるかと思います。
また我々が時に使用する「デキストロメトルファン(商品名メジコン)という成分も、今はOTC薬がでて、薬局で買えるようになっているようです。
加えて、比較的乾いた咳の場合は、「麦門冬湯」という咳止めがよく効く場合があり、これもドラッグストアで手に入る薬剤なので使用してみてもいいかと思います。


次に、風邪を引いた前後に鼻が悪くなって、鼻水がのどに落ち込む場合です。

鼻炎の咳

この場合は、痰がのどに絡んで、それが刺激となって咳が出るため、痰を取り除くこと、痰のもととなっている鼻水を減らすことが重要になります。

流れ落ちる鼻水や痰がさらさらして、水みたいになっている場合は、アレルギー性鼻炎が起きている可能性があります。
まずは薬局で抗アレルギー薬「アレグラ」とか「アレジオン」とか「クラリチン」とか)を探してみてください。また漢方では「小青竜湯」という薬があっています。

またこちらのブログも参考にして、花粉をなるべく体に取り込ませないようにしてください(2023.2.10 薬だけじゃない!自分でできる、シーズン中に実践したい花粉症対策

また、その鼻水や痰が粘っこい場合は、まずその痰を柔らかくして出しやすくしてあげる必要があります。
「カルボシステイン」「ブロムヘキシン」などの成分が含まれた「鎮咳去痰薬「クールワン」とか「ストナ」とか)」を選ぶといいかと思います。

この時、あまり咳止めの成分は入っていなくてもいいかもしれません。
この時の咳は痰を出すための「エンジン」ですので、それを止めると余計痰がたまってしまい、痰がらみが強く感じてしまう可能性があるからなんです。

どうしても咳がつらい場合に咳止め成分を入れるかどうかは、上記のデメリットも頭に入れて判断してください。

また、副鼻腔炎が原因となっている場合もありますので、この場合は「辛夷清肺湯」を含む薬も使えます(「チクナイン」などが該当します)。


次に、タバコを吸う方で、ふとした時に咳がよく出る方です。

タバコの咳

そりゃもちろん「タバコやめろ」という話ですが、それがすぐには難しいこともよーくわかっています(ただもちろん、時間をかけてでもいいので、これに懲りていただき「いつかは」やめられるようにしましょう。当院禁煙外来のページについてはこちら)。


やはりこの場合は痰が増える場合が多いので、その痰をしっかり出していただくことが大事です。

上記でお話しした「鎮咳去痰薬」をまずは使用してみて下さい。
漢方系では、悪化した肺や気管支の環境を整えることができる「清肺湯」という漢方が効果があることがあります(「ダスモック」とかも清肺湯を含みます)。


胃酸が逆流しても咳が出ることがあります。

逆流性食道炎の咳

やや太り気味の方や、食後や横になると胃酸が上がってきて咳が増える方は、胃酸を抑える「ガスター」も試してみてください。


そして、いわゆる「喘息」っぽい咳が出る方ですが・・・

喘息の咳
とりあえずできることは挙げては行きますが、さすがにこれは医療機関に受診しないと厳しいです・・・

「アストフィリン」とか「アスクロン」とか、無理やり気管支を広げるようなお薬も売ってはいますが、副作用も多く効果も一時しのぎでさほど出ないことが多いため、「急場をしのぐ」以外の用途では、正直あまりお勧めはしません。

あと、いわゆる上で挙げた「デキストロメトルファン」とか「コデイン」の含まれている咳止めは、基本的にはダメです。まず効果はありません(特に「コデイン」は『ダメ、ゼッタイ』です。気管支収縮作用があり、喘息を悪化させます)

咳の種類によって、「麦門冬湯」「小青竜湯」「五虎湯」「麻杏甘石湯」といったあたりの漢方は、多少なりとも効果が期待できるかもしれません(もうここら辺の使い分けはさすがに一般の方には難しいと思うので、ドラッグストアの薬剤師とご相談ください)。

お子さんでは「はちみつ」がこのような咳に効くというデータも出ていますので(1歳未満はボツリヌス菌感染のリスクがあるため、はちみつは『ダメ、ゼッタイ』です)、試していただいてもいいかもしれません。

生活面では、とにかく冷たい空気、乾いた空気が一番の刺激になるので、マスク(夜寝るときもつけて下さい)、マフラー(首元にある気管を冷やさないようにです)、部屋の加湿、しっかり水分補給(できれば気道を冷やさないように温かいもので)などを心がけて、受診できる機会が来るまで何とかやり過ごすしかないです。


ひとまず、医療機関に受診しないできる対策は挙げられるだけ挙げてみましたが、でも結局なかなか症状がおさまらないということも少なくはなく、やはりこの場合は医療機関への受診が必要となります。

なのに・・・
なかなか予約がお取りいただけない状況で・・・


誠に申し訳ないっす。ぴえん。

ぴえん


でもね・・・

 

ようやく!

きらきら

当院は4月から、呼吸器診療を大幅にパワーアップすることになりました!!
2人だった呼吸器内科医が、4月から一気に5人に増えます!

そして、基本的にすべての日で2人以上の医師が対応できるようになります!

この1~2年間は、本当に予約が取りづらい状態でご迷惑をおかけし続けていましたが、4月からは一気に受診していただくことができやすくなるはずです!

詳細は決まり次第、改めてLINE公式アカウントや当院HPで公表いたします。
それまでの間は、何とか今日お話しした対処法も参考にしていただきながらお過ごしいただき、4月をお待ちいただけますと幸いです(もちろん新患枠は準備はしておりますので、予約がお取り頂けたらすぐお越しください!)

また当院おかかりつけの方は、症状悪化時はいつでも受診を受け付けておりますので、遠慮なくお電話やメールでお問い合わせください!

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

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