残念ながら、一度落ち着いたと見えたコロナ禍がまたぶり返してしまったのでしょうか。
茅ヶ崎でも先週約1か月ぶりに感染者が検出された後、本日までに3例の感染事例が報告されているようです。
街を歩いているとクラスターになりかねない屋内の密集も少なからず見かけます。
頭の片隅には常に感染防御を意識してもらいたいと、医療機関として切に願っております。
さて、ここ最近疲れやすいとおっしゃる患者さんが増えてきた印象があります。
だいぶ暑くなり、雨も多く湿度も増したことでバテやすい陽気になってきたことがあるようです。
ただ、この疲れやすさの中に気を付けなければいけないものが混じっているケースが少なくないようです。
それはこのブログにも何度か登場している「COPD」による疲れやすさです。
COPDは主にタバコを長年吸っていた(以前吸っていたけどやめた人を含む)ことにより、肺の機能が低下してしまう病気のことです。ここら辺のブログ記事やこのページで詳しく解説しているのでご覧ください。
で、このCOPDという病気は、本人がなかなか気づくことができない、厄介な一面を持っています(実際このコロナ禍で、いつもあった呼吸器症状が気になるようになり、受診していただいたおかげで診断、治療に結び付いた方が少なからずいらっしゃいます)。
喘息は若いのに息苦しくなったり、突然激しい咳が続いたりするケースが多いので割と本人が気づきやすい一面を持っています。
一方COPDは中高年の方に多く発症し、症状が徐々に進むので、息切れが強くなっても年のせいだと片付けてしまうケースが少なくありません。
また咳、痰も続くのですが、タバコを吸っている方はある意味咳、痰に慣れてしまっている側面があり、この症状も仕方がないといってやり過ごしてしまう方が非常に多いのです。
日本には現在500万人以上のCOPD患者さんがいるのではと推定されています。
しかし診断、治療をされているのはその中のわずか5%、26万人程度しかいません。
ある一つの都市の検診の結果をまとめた研究があります。40歳以上の人のうち、1割の人に呼吸機能低下が見つかりましたが、その割合は女性より男性の方が、そして40代、50代、60代、70代と年齢を経るに従いその割合は増えました。
70代の男性の実に3割弱が肺機能が病的に低下していることがわかったのです。
そしてCOPDは、ただたばこで肺が壊れるだけの病気じゃないこともわかってきまhiた。
肺が壊れる原因としては、肺に起きる慢性的な炎症が原因といわれています。
この炎症は肺だけでなく全身で起きるようです。すると病気は肺だけでなく、他の臓器の病気も引き起こしやすくなります。
心臓病、糖尿病、骨粗鬆症、うつ病など様々な病気がCOPDに合併しやすくなることがわかっており、これらが放置されると、将来の生活の質や、場合によっては命にかかわることも少なくありません。
ですので、COPDはご自身で一日も早く気づいて、しっかりと診断をしてもらって、治療が遅れないようにすることが大切になるのです。
ではどのような状態になったら気を付けたらいいのでしょうか。
簡単に確認してみましょう。以下にいくつか当てはまる場合は相談して頂いたほうがいいと思います(実際臨床で使用されている、いくつかのCOPD診断のセルフチェックツールも参考に作ってみました)。
□ 普段から普段から1日の中で何回か痰が絡んで咳をする。
□ 毎年1年に数回は風邪をひく。
□ 駅の階段を上がりきったら一度休憩したい。
□ それがいやだから、いつも上るときはエスカレーターやエレベーター。
□ 同年代の方(夫、妻や友人など)と歩いたら置いて行かれる。もしくが相手が合わせてくれている。
□ 重い荷物を運ぶのがしんどい。
□ ゆるい坂道を休みなしで上るのがしんどい。
□ 10年以上タバコをすっていた。
肺が壊れる原因としては、先ほども挙げたように、タバコの煙によって起きる、肺の慢性的な炎症です。
人によってこの炎症が起きやすいか、起きにくいかで、タバコを吸っていてもCOPDになりやすいか、なりにくいかが左右される面があります。
それにもともと生まれつき肺が小さい人がCOPDになりやすいことも最近わかってきました。
COPDになりやすいか、そうでないかは人それぞれです。
あなたの知り合いがタバコを吸い続けて元気だったとしても、それがあなたに当てはまるとは限りません。
そして、今は特定健診の時期です。今までタバコを吸われていたことがある方は、健康診断でぜひ肺機能の検査も行ってみて下さい。
この時期、一生に二つしか持つことのできない大事な自分の肺、一度向き合ってみてみませんか?