医師ブログ

2026.01.05更新

皆様、あけましておめでとうございます!
2026年も皆様にとってよいお年でありますように願っております!

(「ロゴ」は後半で発表いたします!)

私は年末年始、山梨で温泉につかって、束の間の休日を過ごしました。
山梨といえば、武田信玄!!
武田信玄といえば、信玄餅!?

というわけで、元日、桔梗信玄餅 工場テーマパーク」へ行ってみました。

私、実家は八王子の高尾山の近くなのですが、八王子って中央線でつながっている関係で、どちらかというと山梨方面になじみが深い土地柄なのです(湘南はどちらかというと静岡ですもんね)。
八王子駅の駅ビルでも山梨の特産品は結構扱われており、信玄餅の直営店もあるほどです。

そんな信玄餅工場テーマパークでは、製造現場を見ることができます。

信玄餅といえばフィルムの風呂敷で包まれているのが特徴ですが、あの風呂敷、すべて人の手で結んでいるんですって。

その姿を見学することができました。

ベルトコンベアーで流れてくる風呂敷を8人が力を結集してすべて結ぶ。いやあ、すごい集中力・・・
特に、一番後ろの人のプレッシャーって言ったらハンパないだろうな、と考えてました。

工場

その後、お土産を買って、くじ引きで信玄餅の詰め放題チケットゲット!

くじ

全部で42個の信玄餅をゲットしてきました(笑)

詰め放題

帰宅後2日経過しましたが、いまだに信玄餅祭り状態・・・
無事しばらく私の昼ごはんになる模様です。

 

よもやま話はここまで!


さて、当院の今年の最大のトピックといえば、やはり「平塚内科と呼吸のクリニック」のオープンです!

その院長の池田秀平先生も、実は八王子西部の出身。

池田先生と私は同じ横浜市立大学呼吸器内科の医局出身でのつながりだったのですが(八王子全然関係ない・・・)、あとから聞いてびっくり、実はお互いの実家が歩いても行けるくらいの距離だったのでした。

世の中、どんな偶然があるか、わかりませんね。


そんな「平塚内科と呼吸のクリニック」の現在の建築の様子はこちらのブログ「平塚建築日記」でご覧いただけますが、年明けから一気に工事が進む予定です。

今後、壁で仕切られてから続々と設備が設置されていきます。


そして今回は、待合室と点滴室に、ものすごい面白いモノをつけることになりました。
部屋が間違いなくさわやかな雰囲気になるでしょう。

私も実物をショールームで体験してきたのですが、確かにこれはすごいな、と。

今から実装されるのが私もとても楽しみです!

えっ、何をつけるのかって?その答えはもう少々お待ちください・・・


さて、そんな「平塚内科と呼吸のクリニック」のロゴがついに決まりました。
以下のロゴになります!

 平塚内科と呼吸のクリニックロゴ

平塚内科と呼吸のクリニックロゴ

まず、大局的には茅ヶ崎本院と同じコンセプトとし、茅ヶ崎ロゴでもシンボルとして使用している、さわやかな呼吸をイメージする「羽根」のデザインを中央に配置。
そして、Chigasakiの「C」に対し、平塚のロゴはHiratsukaの「H」をデザイン化しました。

ロゴの中に茅ヶ崎と同様、5色を配置し、いろんな「色」を持った方にご来院いただきたいという、茅ヶ崎のロゴと同様に願いを込めました。

また茅ヶ崎ロゴの「湘南ブルー」を平塚でも使用し、色使いを共通化させることで、ここ湘南の地、茅ヶ崎と平塚で、同様のコンセプトで医療を展開していきたいという目標を落とし込みました。


一方、平塚のシンボルカラーには「紫」を採用しました。

平塚といえば七夕。

平塚七夕
七夕の祭りには、人々の願いが込められています。

七夕の短冊には陰陽五行説に基づき、緑、赤、黄、白、そして紫が用いられ、このうち紫は「水の要素」として、深い思慮や神秘、癒しを象徴する色なのだそうです。


この紫という色で、当院にいらっしゃる方の、健康、病気の治癒を末永く願うという気持ちを込めました。

そんな「平塚内科と呼吸のクリニック」のオープンは4月上旬を予定しております。

そしてオープンに先立ち、3月下旬に内覧会を予定しております。
新しいクリニックのお披露目となるとともに、普段は入ることのできないクリニックの裏側も見れる貴重な機会。

ぜひ皆様でお越しください!
近くになりましたらまたご案内させていただきます。

そして、オープンに向けて、現在、看護師、臨床放射線技師、医療事務の方を絶賛募集中です!

詳細はこちらのページからご覧ください。

平塚院長の池田先生も、そして私も、ぜひ皆さんと一緒に平塚の地で「私たちの思い描く理想の医療」を体現できることを楽しみにしております!

投稿者: 茅ヶ崎・平塚 内科と呼吸のクリニック 理事長 浅井偉信

2025.12.26更新

いよいよクリスマスも終わり、今年も残りわずかとなってきました。

今年1年も大変多くの患者様にご来院いただきました(今年は初めて、当院に来院頂いた患者様が年間延べ3万人を超えました)。

改めて、咳や呼吸のことでお悩みの方がこれほども多いものかと、改めて実感した一年でした。

今年も茅ヶ崎内科と呼吸のクリニックをご愛顧いただき、誠にありがとうございました。


インフルエンザはようやく一段落してきましたが、やはりそのあとに続く咳の方などで、当院へのご相談は引き続き非常に多くいただいております(ご予約は混雑状況を見ながら適宜開けていますので、一度確認されたときにご予約枠が無かった場合も、時間を開けて後ほど再度予約サイトを覗いていただければと思います)。

咳が続く原因には、喘息、後鼻漏、胃酸の逆流など色々あるのですが、そんな中、最近は“意外なところ”に原因が潜んでいる方もご来院されています。


その一つが、「睡眠時無呼吸症候群」です。

「いやいや、いびきの話でしょ?」
「咳とは関係なさそうだけど…?」

と思われるかもしれません。

でも、これがなかなか侮れません。
実は、咳と睡眠時無呼吸症候群は、「見えないところでつながっていることがある」のです。
SAS

今日は、その意外な関係をお話してみましょう。


そもそも睡眠時無呼吸症候群って?

一言でいうと、「寝ているあいだに、呼吸が止まったり弱くなったりする病気」です。

特に、仰向けに寝たときに、舌の根元がのどに落ち込んでしまうことによって、気道が塞がれてしまうのが一番多い原因です。
睡眠時無呼吸症候群

通り道が狭くなると、狭い通路を空気が勢いよく通るので、周りの組織が震えてしまい大きないびきをかいてしまいます。
その狭くなった通り道が完全にふさがれると、その間呼吸が止まってしまうのです。

夜中に呼吸が止まると、体や頭に酸素が行きわたらなくなり、いろんな場所が「酸欠状態」になります。

すると、まるで何度も全力疾走をしているような負担が全身にかかり、朝起きたときに疲労感が残る、頭痛が起こる、よく寝た感じがしないという症状があらわれます。

それに当然眠りの質が落ちるため、昼間に強い眠気を感じるなどの症状が起きてしまいます。

睡眠時無呼吸症候群

 


生活習慣病も悪化させる

また血圧も上がります。

一晩に酸欠状態が何十回~何百回と繰り返して起こることで、体の中には炎症が生じ、その結果血管を傷つけ、動脈硬化を引き起こします。

また体を興奮させる「交感神経」が刺激されることも合いまって、血圧が上がってしまいます。

加えてインスリンの効きが悪くなったり、体の中の糖をうまく使えなくなるということも起き、糖尿病の悪化因子となります。

つまり睡眠時無呼吸症候群は、日中の眠気だけではなく、生活習慣病を悪化させる原因にもなるのです。


と、ここまでが一般的な睡眠時無呼吸症候群のお話しです。

しかし、今回の本題はここからです。

では、どうして、そんな睡眠時無呼吸症候群は「咳」と関係してくるのでしょう?


睡眠時無呼吸症候群で咳が出る理由3つ!

咳と睡眠時無呼吸症候群は、次のような「つながり」があります。

① 無呼吸で“気道が引っぱられる”

無呼吸が起きている間、体は酸素が欲しくて必死に胸を動かします。
でも気道は塞がれたままなので、その吸いこもうとする力で、気道に強い陰圧がかかることになります。

睡眠時無呼吸症候群

これが気道に刺激を与えてしまうことで、気道の粘膜が敏感になり、咳をしやすい体質に変わってしまうのです。


② 胃酸が逆流しやすくなる

睡眠時無呼吸症候群では、無呼吸のたびに息を大きく吸おうとします。
すると、体は横隔膜を下げて肺を広げようとしますが、実際は気道がふさがれているので空気が入ってきません。

すると、横隔膜から上の領域(胸腔といいます)に強い陰圧がかかります。

そうなると、同じくその領域にある食道にも陰圧がかかり胃にある胃酸が食道に吸い上げられてしまい、食道に胃酸が逆流しやすくなるというわけです。

睡眠時無呼吸症候群

胃酸が食道に上がると咳が出やすくなります(そのメカニズムについて詳しくはこちら→2025.7.7 「長引く咳」の隠れた要因 ~「胃・食道逆流」や「逆流性食道炎」で、なぜ咳は出ちゃうの?~)。

そんな時は、朝の咳、声枯れなどもよくみられます。

「夜中から朝方にかけて咳がひどい」「朝起きると喉が変」という方は、この仕組みが影響しているかもしれません。


③ 気道の免疫が落ちてしまう

睡眠時無呼吸症候群では、深い眠りがとれず、体が休まりません。

睡眠の質が落ちると、粘膜のバリア機能や免疫が弱くなり、いつもより気道が“刺激に反応しやすい”状態になります。

睡眠時無呼吸症候群

すると、感染症や冬の乾燥した空気、エアコンの風、花粉やハウスダストなど、咳を誘発しやすくなる因子に触れると、とたんに咳が悪化してしまうというわけです。


“こんなサイン”があれば無呼吸かも?

睡眠時無呼吸症候群は、なかなか気づかれにくいところが厄介です。
そんな中で、「こんな症状があったら疑ってもいいかも」という事柄を挙げてみましょう。

・家族に「呼吸が止まってたよ」と言われた
・寝ているのに、なぜか疲れが取れない
・起床時に頭が痛い
・日中ぼーっとしてしまう
・就寝中に胸やけがある
・体重が増えて、首が太くなってきた

などという方は「いびきはあまりないけど…?」という方でも、実は睡眠時無呼吸症候群だったということは珍しくないのです。

睡眠時無呼吸症候群

そして、残念ながら「睡眠時無呼吸症候群で咳が悪化する」ということは、世間のみならず、一般内科の医師の間でもほとんど知られていないのが現状です。

そのため、睡眠時無呼吸症候群が咳の原因だった場合、いろんなところでドクターショッピングを繰り返してしまい、長期にわたり解決できないケースが非常に多いのです(私の外来でも、10年以上原因不明の咳として扱われていた方が、当院で睡眠時無呼吸症候群によるものと診断し、一発でよくなった方もいらっしゃいました)。


治療で「人生」が変わることも

睡眠時無呼吸症候群は、しっかりと治療をすれば、症状をかなり改善することができます。

代表的なのはCPAP(シーパップ)という治療で、寝ているあいだに少しだけ圧をかけながら空気を送り、気道が閉じないようにします。

このCPAPの機械には加湿機能があり、これによって乾燥に弱い気道の加湿を促すことができるのです(特に乾燥する冬の季節は特に有効です)。
これによって、長いこと悩んでいた長引く咳が大きく改善することも、実は少なくないのです。

だるさ、眠気、長引く咳という、体力を余計に消耗してしまう状態を改善させることで、思った以上に“人生が軽くなる”という感覚を実感することができます。

睡眠時無呼吸症候群


長引く咳に悩んだら、一度視野を広げてみましょう

睡眠時無呼吸症候群は、「いびきの病気」、「日中の眠気、だるさ」というイメージが強いですが、実は長引く咳とも深くつながる病気です。

特に中年以降で、咳とともに
「昼間なんだかなるいなあ」とか、
「朝起きるとやたら疲れているなあ」とか
「最近体重がふえたなあ」とか
「血圧も最近なんだが高いなあ」

ということを感じている方は、一度「夜間の呼吸」を振り返ってください。

“咳の原因はのどや肺だけではないかもしれない”

そう視野を広げてみると、改善のヒントが見つかることがあります。

ぜひそんなときは、様々な角度から咳を分析できる、呼吸器専門医に頼ってみてください!

投稿者: 茅ヶ崎・平塚 内科と呼吸のクリニック 理事長 浅井偉信

2025.12.08更新

今回はご報告です。

この度、私が、アメリカのウォール・ストリート・ジャーナル米国版の特集記事で取り上げられました。

wall street journal

ウォール・ストリート・ジャーナルは、アメリカを代表する新聞であり、世界の政治・経済だけでなく、社会や文化、テクノロジーなど幅広い分野を取り上げる国際的メディアです。

wall street journal

アメリカ国内で最大の発行部数を誇っているということであり、しかも今回は(日本語版ではなく)本国の英語版とのことで、完全に私のような場末の医師には極めて縁遠いメディアのはずなのですが・・・

今回は“Next ERA Leaders”という、「次の時代を形づくる可能性を持つ人物」という企画に取り上げられました。
なので、「医師」という肩書ではありながらも、いつもとちょっと違う立場での掲載で、ちょっとおしりがむずむずしています・・・(笑)

今回は特に「医療とAI」「AIではできない人間の医師としての医療の形」というテーマをメインに話してきました。
記事のリンクは一番下に用意しておりますので、後ほどご覧頂くとして、今回はそこからもう少し話を拡げて「AIが、そして人間の医師が医療でできること」について、私なりの考えをお話ししてみようかなと思います。


AIの知識に人間は敵わない

AIの登場以来、AIは毎年目覚ましい進歩を遂げ、医療の現場もAIにより大きく変わろうとしています。
近い将来、AIが人間の医師を駆逐するのではといった過激な論調もあります。

確かにAIは診断には非常に役立ちます(私も最大限活用しており、ChatGPTもgeminiも有料版に入り使い分けています)。
知識の面においては、いくら医師が知識を詰め込もうとも、やはりAIによる「集団知」の前においては、到底かなうはずもありません。



診断で大事な、正しい「インプット」

「診断」という行為は、患者さんから得た症状などの情報に対して、私たち医師がその情報をもとに推測しながら答えを見つける作業です。
患者さんから情報を得ることが「インプット」となり、医師が導き出した答えが「アウトプット」ということになります。


「圧倒的な知識量」を誇るAIは、「正確な情報のインプット」に対しては、実に正確なアウトプットを出してくれます。


しかし実際は、診療の場では、患者さんから正確なその「インプット」情報を導くことが、実は非常に難しいのです。



正しい「インプット」って、意外に難しい・・・

実際の診察では、患者さんが「何がわからないのかわからない」といった場面に、よく出くわします。

例えば、診察を始めた時に、患者さんは「自分が重要だと思っていること」をお話しになります。
しかし、私たち医師は、診断の見当をつけるために、患者さんとは違った視点で見ていくことが少なくありません。

患者さん自身が「まさか重要だとは思っていなかった」診断に不可欠なエピソードを、話を進める中ではじめて聞き出すことができることもあります。
そして、それが診断に決定的な影響を与えることもあるのです。


しかし、相手がAIだと、それらの情報はすべて患者さん自身が打ち込まないとなりません。
今の時点では、AIは、患者さんの表情や、話し方から見える性格などを参考にすることはできません。

すると、そこで導き出されたアウトプットがずれてしまうということが起き得るわけです。
加えて、その目の前にある答えが、ずれているかそうでないのか、患者さん側からは、それを判断することも難しく、「ブラックボックス」の状態ともいえる訳です。


つまり、その「インプット」を正確に聞き出す、ということが、私たち人間の医師の存在価値なのだと思うのです。



「治療方針」と「キャラクター」

また、ある病気に対して治療法がある場合、「その治療法が患者さんのキャラクターに合っているか」どうかというのも、治療を継続してそのメリットを患者さんが漏れなく享受するにはとても大事なことです。


例えば、喘息の治療をする場合、吸入薬を使いますが、吸入薬にはそれぞれメリットとデメリットがあります。

1日1回で済む吸入薬、調子の悪いときに追加で使用できる吸入薬、吸ったことを確認しやすい吸入薬、声がれの出にくい吸入薬・・・

人によってどれを重視すべきかは様々です。
その方の考え方、性格、職業、生活リズムなどなどによっても最適な吸入薬は変わるわけであり、最適な薬を選ぶことができるのは、その方の特性の理解が欠かせないのです。

私たち医師は、そんな患者さんのキャラクターまで見て、治療を考えているのです。


「答えがない」問題に答える

また、医学にはまだはっきりとはわからないことも少なくありません。
データだけでは見えないものというのも、確実にあります。

特に呼吸器分野は、症状がデータで測れないことが非常に多いのが特徴でもあります。
咳の代表的な原因である喘息は、採血やレントゲンでは異常が見られないのが普通ですし、喘息の診断に有効な呼気一酸化窒素試験でも数字が上がってこない喘息は山ほどあります。

データとして何も出ていなくても、実際症状がある場合、診断は困難を極めます。
こんな時、やはり医師としての経験に基づく「直感」が診断に結び付くことも、まだまだあるものなのです。

私もどうしても診断に迷ったときにチャッピー(→chatGPTのことね)に聞いてみることもあるのですが、結局自分の直感と合わないなって感じた場合、結果的にはAIの診断より自分の直感が当たっていたということの方が多いものです。


それに医学は「必ず答えがある」学問ではありません。

数年前まではどうにも治療できなかった「難治性の咳」の原因も、そのメカニズムがこの数年で解き明かされました。
でもおそらく、まだわかっていない咳の原因も、おそらくはまだたくさん残っています。

そのような「答えのない」状況でも、人間の医師はより患者さんにとって「ベター」な状態を目指して、患者さんと相談しながら方針を立てていきます。

そのような「マニュアル」的な対応は、まだAIには難しいところでしょう。


人間の医師しかできないこと

現時点のAIは、やはり典型的ではないインプットに答えられるだけの臨床推理はまだ難しいのなと思っています(あくまで「世間に公表されている集合知のまとめ」というそのAIの性格上、それは仕方がないことなんじゃないかと思っています)。


やはり、そこをカバーする「人と人の関係」が、正しい診断にはとても大事だったんだということを、これだけ進化した今の時代のAIを使って思いました。

そうした“人と人との間に生まれる気づき”は、どれほどAIが進歩しても廃れるものではないものだと日々感じています。

逆に言えば、今後そのような関係性を築こうとしない医師は、AIに取って代わられる存在となりうるわけです。
そのような医師は、そう遠くない未来に、AIに駆逐されてしまうのでしょう。

私たちは常にそのことを肝に銘じておかなければならないと思っています。



「平塚」でも大切にしたいこと

当院はこれまでも、気軽に立ち寄って、話していきたいと思っていただける雰囲気を大切にしてきました。

「こんなことで来ていいのかな」と迷われている方にも、気兼ねなく来ていただけるクリニックでありたいと、ずっと思っています(そういいながらも予約が取りづらくなってしまっていることが大変心苦しいのですが・・・)。

今回の平塚の新クリニックの設立も、そのようなコンセプトをより広げ、より多くの方に頼ってほしいとの思いで動き出したプロジェクトです。


そのような中で、患者さんとの濃密なやりとりを通して問題を解決するという姿勢が幸いにも周りに伝わっていたことが、ひょっとしたら今回の紹介につながったのかな、なんて考えています。


人とAIが「最高のコラボ」をするために

AIなどの新しい技術は、医療に限らず、社会のいろいろな面を支えてくれる大切な存在になるでしょう。

ただ、それを一番メリットの大きい形で使いこなすのは、やはり人の役割、人と人とのコミュニケーションなのだと思います。

技術だけでも、人の気持ちだけでも十分ではなく、その二つがうまくコラボレーションすると、最も良いものが生まれる ーーー

それの最たる分野が医療だと思っています。


記事はこちらからどうぞ ↓↓
ウォール・ストリート・ジャーナル
ただし英語版となりますので、日本語訳も用意して頂きました。


日本語訳はこちらからどうぞ!

投稿者: 茅ヶ崎・平塚 内科と呼吸のクリニック 理事長 浅井偉信

2025.11.16更新

発熱・感染症外来が爆発中です。

ここしばらく、本ブログの中でも触れていた「今年のインフルエンザのピークが1~2ヵ月前倒しでやってきそう」という予想が現実のものとなってしまいました。

11月11日に、茅ヶ崎市のインフルエンザ患者数が、1医療施設当たり33.0人/週と、警報の基準となる30人/週を超え、茅ヶ崎市にも警報が発令されました。
茅ヶ崎の小中学校でも、今週1週間で1学年の学年閉鎖、31クラスの学級閉鎖と、一気に増えています。

インフルエンザ流行2025

神奈川県衛生研究所HP11/14発表より。
こちらは神奈川県のグラフですが、神奈川県全体でも36.6人/週と、全県で増加しています。


そんな中、もともと喘息を持たれた方が、インフルエンザなどの感染症をきっかけに悪化してご相談にお越しになるケースが非常に多くなっております。

実際今の時期は、発熱、感染症外来に加えて、内科・呼吸器外来にも、多くの方が訪れるようになっています(この土曜日は、発熱感染症外来を除いても、半日で18名もの新患の方がいらっしゃいました)。

また当院におかかりつけの方の予約外受診の方も増えてきており、本当に喘息の方にとっては怖いシーズンになってきているようです。


でも、インフルエンザと喘息って、別の病気ですよね?
なんで喘息とは違うインフルエンザの感染で、喘息が悪くなってしまうか、あまり詳しくは考えたことのない方も少なくないのではないでしょうか?

そこで今回は、「なぜ喘息が、インフルエンザなどの呼吸器感染症によって悪化してしまうのか」、そのメカニズムに迫ってみようと思います。

 

まず、インフルエンザ感染でも起きる「炎症」とは?


インフルエンザウイルスなどの呼吸器系ウイルスは、感染している方の飛沫(つばや痰、鼻水など)の中に含まれ、鼻や喉を入り口として、気管支の粘膜細胞から侵入します。

ウイルスが侵入すると、体は「敵が来た!」と判断し、ウイルスを排除すべく、免疫システムを発動させ、闘モードに入ります。
喘息とインフルエンザ

戦闘モードに入ると分泌されるのが、インターフェロン、IL-6、IL-8、TNF-α などの「炎症性サイトカイン」と呼ばれる物質です。

炎症性サイトカインが働くと、体温が上がり、感染部位に闘う細胞が呼び寄せられ、そしてそこに細胞を運ぶ血管も拡張します。
これを「炎症」と呼ぶのですが、炎症は本来、ウイルスと闘うための「戦場」となる環境を、守る体にとって有利にするための反応です(体温が高ければ闘う細胞は活性化しますし、細胞が集まりやすければその分闘いも有利に進められます)。



体にとって感染したときの炎症反応は、ウイルスと闘うための大事な反応なのですが、これによって体の辛い症状を引き起こすことも事実です(熱、だるさ、痛みなども炎症から引き起こされます)。

基本的にインフルエンザなどの呼吸器系ウイルス感染症では、これらの炎症を和らげながら、体の免疫反応がウイルスを追い出してくれるのを待つという治療戦略になります(もちろんウイルスの増殖を抑える「抗ウイルス薬」も、インフルエンザやコロナでは使うことができます)。


喘息では、この「炎症」が過剰に強くなりやすい・・・

ところが、喘息の人ではこの炎症反応が過剰に強く起こってしまいます。
喘息とインフルエンザ
もともと喘息という病気は、症状がないときでも、炎症を引き起こす「好酸球」や「リンパ球」が気道に集まりやすい状態となる病気です。
ですので、喘息の場合、気道そのものが、常に「炎症を起こしやすい状態」になっています。

また喘息の状態で感染症が起きると、炎症性サイトカインの作られる量が病気のない方よりも多いという特性があります。

加えて、アレルギー反応もこれらの炎症性サイトカインによってより強まることもわかっています。

気道に強い炎症が起こると、気管支が腫れあがってしまい、かつ過敏になってしまうため、気道が狭くなり、また咳がとても出やすい状態になってしまうというわけです。


痰が増え、気道が詰まりやすい状態に

また、気管支に炎症が起こると、気管支粘膜から痰が分泌されます。

本来、痰は異物を外に追い出すためのものなのですが、痰が多くなると気管支の中にたまっていき、空気の通り道を塞いでしまいます。

また喘息の時に分泌される痰はとても粘っこく、気道にこびりつきます(あまりにもひどいと、栓のような状態となり気道を完全にふさいでしまいます)。

喘息とインフルエンザ

気道がもともと狭くなってしまったところに、さらに硬く、粘っこい痰が細くなってしまった気道の通り道を塞いでしまうので、ほんの少し痰の分泌が増えるだけで息苦しさが急に強くなってしまうのです。


気道を覆う繊毛にもダメージが

気管支の内側には「繊毛(せんもう)」という細かい毛がびっしり生えています。
繊毛は、気道にとっての異物を捕らえ、外へ押し出す“ベルトコンベアー”のような役割を持っています。

ところが、インフルエンザやコロナなどの呼吸器系ウイルスは、この繊毛上皮を直接破壊してしまいます。
喘息とインフルエンザ

繊毛が傷むと、痰がうまく外へ出せなくなって気道にたまってしまうため、呼吸のしにくい状態がなかなか改善しません。

また、異物が気管支に残り続けてしまうため、気管支の炎症も続いたままとなってしまい、気管支の壁の炎症、むくみがなかなか良くならず、咳やゼイゼイ、ヒューヒューといった呼吸が続いてしまうといった悪循環が起きます。

つまりウイルス感染は、喘息にとって「気道の掃除機能が働かなくなる」状態であり、症状が長引く理由のひとつとなるわけです。


自律神経のバランスが崩れてしまう

ウイルスに感染すると、気道にある「上皮細胞」がはがれてしまい、そのすぐ下にある神経が表面に露出してしまいます。
すると、そのすぐ下にある神経が表面に露出してしまい、刺激されやすくなります。


その刺激が迷走神経を介して脳に伝わると、「迷走神経反射」という反応が活性化されます。

「迷走神経反射」は、自律神経の副交感神経系の反射で、この反応によって、気管支の筋肉には「アセチルコリン」という物質が放出されます。

アセチルコリン

この「アセチルコリン」は、気道収縮を強く起こしてしまう物質であるため、気管支がさらに縮み続けるという現象が起きてしまいます(この「アセチルコリン」の働きを弱めるのが、「抗コリン薬」という薬で、テリルジー、エナジア、スピリーバなどといった吸入薬に含まれている、喘息治療でも重要な位置を占める薬です)。


気道が“修復モード”に入っても、しばらく過敏なまま残る

ウイルス感染そのものが治っても、気管支粘膜はすぐには元通りになりません。

先ほどお話しした、剥がれた「上皮細胞」が再び再生するまで、ある程度の時間が必要です。
その間はしばらく神経への刺激が続いてしまいます。

喘息とインフルエンザ


また感染後は、神経を直接刺激する物質(プロスタグランジン、ブラジキニン、ヒスタミンなど)も多く分泌され、神経が過敏状態となりますが、この「敏感にチューニング」された状態が、ウイルスがなくなった後もしばらく続きます。

そのため、冷気や深呼吸、笑ったり話したりというちょっとした刺激で咳が出るという、「神経の感作」が起こり続けるのです。

「風邪は治ったのに咳が続く」という状況は、まさにこの仕組みから起こります。

 

結局、感染症は喘息にとって“最もやっかいな敵”

アレルギーや気温差、運動など、喘息を悪化させる要因はいくつもありますが、やはり一番喘息を悪化させやすいのはウイルス感染であることが、多くの研究で確認されています。

特にインフルエンザは、ウイルス感染の中でも炎症が強く起こりやすいウイルスで、これらの反応もより強く出てくる傾向にあります。

この時期はインフルエンザにかかるリスクもとても高いため、インフルエンザ感染は喘息悪化の最大なリスクと言っても過言ではないのです。


普段からのしっかりしたコントロールが超大事!

その対策としては、まずは喘息の炎症を普段からしっかり抑え込むことです。

喘息の炎症の種火が残っていると、いざインフルエンザに感染した時に簡単に燃え広がってしまいます。

「症状のある時だけ治療をする」「症状は残っているけど、まだ我慢できる程度なのでそれ以上の治療をされていない」など、炎症の種火を残している状態を作らないことが重要です(喘息のコントロールについてはこちらの記事 2022.4.20 「喘息って火事!? ~「炎症」と「延焼」をかけてみました~」もご覧ください)。

喘息治療の目標は「トータルコントロール」という、完全に症状がなくなる状態を続けられることですので、そのように治療を続けていくことが、いざ感染した時でも喘息悪化を起こさせない、とても大事な要素となります。


ワクチン接種」もお忘れなく!

そしてワクチン接種も大事です。

ワクチンは感染→発症そのもののリスクも減らすことができますが(こちらのブログ 2025.1.1「インフルエンザワクチンって効果あるの? ~論文の読み方からも考えてみよう~」も参照!)、喘息など呼吸器系の病気を持っている方は、いざ感染してしまった後にそのウイルスが増殖しすぎないという面も大事です。

ウイルスの増殖によって炎症は大きく悪化してしまうので、その増殖を抑える手段としてのワクチンが有用であるのは、データからみても、普段の診療の肌感覚から見ても、やはり間違いはないと思います。

かなりタイミングは遅くなってきてしまってはいますが、まだ接種できていない喘息の方は、今からでもしっかりワクチン接種して、しっかりと対策をしていただければと思っております!


お知らせ

①11月15日より、当院にまた強力な仲間が加わってくれました。

佐々木昌博医師の内科、呼吸器科診療が開始となりました。

佐々木昌博

 

佐々木医師秋田大学医学部、横浜市立大学で呼吸器内科学教室の准教授を歴任され、専門分野である慢性咳嗽で長年臨床、研究の最前線に立っておられた先生です。
私の学生時代の指導教官でもあり、私を呼吸器内科の道に導いてくれた恩師でもあります。

 

今回長年のオファーが実り、当院でその豊富な経験を活かしていただくことが叶いました。

 

土曜日は院長、福田医師、佐々木医師による3診体制となります。

 

土曜日は受診ご希望の方が非常に多く、予約が取りづらくなっていることで皆様にはご迷惑をおかけしておりましたが、佐々木医師の加入で診療枠が充実したため、今後はご予約がお取り頂きやすく、また待ち時間も短くできそうです。

ぜひ土曜日の診察もご利用ください!

 

 

➁平塚の新クリニックの工事がいよいよ始まりました。

現在は建物の空調、防災設備などの工事を行いながら、今後の内装の基礎となる「墨出し」という工程を行っているところです。

平塚内科と呼吸のクリニック

平塚内科と呼吸のクリニック

平塚内科と呼吸のクリニック

平塚内科と呼吸のクリニック

平塚内科と呼吸のクリニック 

平塚内科と呼吸のクリニック

今後、内装の本格的な工事も始まります。

工事の状況も引き続きHPや下記のinstagramなどで発信していきます。


③当院のinstagramがリニューアルされました!

先月から当院の公式instagramが新たな体制となり、内容もリニューアルされました。

今後は更新頻度も上げて、動画コンテンツなども積極的に発信する予定です。

是非フォローをよろしくお願いします!

投稿者: 茅ヶ崎・平塚 内科と呼吸のクリニック 理事長 浅井偉信

2025.11.07更新

11月になって、予想通り、インフルエンザ流行の爆発の予兆が見えています・・・

市内の学校でも、学級閉鎖が増えてきており、当院の発熱・感染症外来も、ここ2~3週間で明らかに受診ご希望の方が増えるようになりました。

今年のインフルエンザ流行は、例年より1~2カ月早い状況です。
いつもの年末年始が今の状態です。

インフルエンザ流行

神奈川県衛生研究所HPより改変

 

ワクチンの予防接種も、2ヵ月前倒しで考える必要があり、もはや今接種しておかないともう間に合わない状況になりつつあります。

当院では、午後接種の場合は予約なしでふらっとご来院頂いて接種できる体制にしておりますが、この状況に対応するため、経鼻インフルエンザワクチン「フルミスト」も、注射のワクチン同様、接種の予約システムを撤廃し、午後はふらっとご来院頂いて接種できる体制になりました。

経鼻、注射ともに午前中の接種を希望される場合はご予約をお願いします(診察と同時なら午前、午後いずれもご予約は不要です)

さて、そのような対策を打っても、周りの流行が著しいときは残念ながら感染してしまうことも少なくありません(もちろんワクチンを打っていれば、ウイルスの増殖が抑えられて症状が軽く済むことも少なくありません)。

インフルエンザ感染

この時期、発熱、喉の痛み、突然の咳など、何かしらの風邪症状が疑われる場合は、インフルエンザであるかどうかの判断を早期にすることがとても大事になります。
そして、インフルエンザの感染を診断する時に行う代表的な検査が「インフルエンザ迅速抗原検査」です。


そこで今回は、その判断をするための強力な武器、「インフルエンザ抗原迅速検査」について、お話ししてみようと思います。

 


ウイルスの構造と免疫の仕組み

「インフルエンザ迅速抗原検査」とはなんぞや?というのを知るために、まずはインフルエンザウイルスの構造、それに免疫の仕組みを知ることから始めてみましょう。

インフルエンザウイルス構造

インフルエンザウイルスの表面にはタンパク質でできている突起物がついています。
これらはウイルスに特有の構造であり、私たちの体から見ると「異物」です。

体は免疫反応でこの異物を検知して排除しようとするわけですが、この排除すべき異物を、免疫の世界では「抗原」と呼びます。

一方、異物を排除するために、体が作る武器が「抗体」です。

抗体は抗原と結びつくことで、様々な方法で抗原の毒性を無力化する「抗原抗体反応」によって、最終的にウイルスを排除できるというわけです。


抗原検査ってどういう原理?

インフルエンザ迅速検査は、この「抗原抗体反応」を利用した検査です。

まずは簡単な模式図を書きましたので、下の文と一緒にご覧ください。

インフルエンザ検査

まずは鼻やのどの粘膜を綿棒でこすり、ウイルスを含む分泌液(検体)を採取します。
インフルエンザに感染していると、この検体の中にウイルスが含まれます。

綿棒を専用の液に入れてよく混ぜると、ウイルスが壊れ、ウイルスの表面にある抗原が、抽出液の中に溶け出します。

さて、検査カートリッジには、セルロース膜という、紙に似た素材が使われており、膜の途中には、抗体が「金コロイド」という粒子と結合して塗られています(金コロイドが目印の役割をしているため、これを「標識抗体」と呼びます)。

この「標識抗体」は、インフルエンザの抗原とピタッとくっつく性質を持っています。

抽出液をテストカートリッジに垂らすと、液はセルロース膜に浸み込んでいきます。
液の中にインフルエンザウイルスの抗原があれば、液が浸み込んでいく過程で抗原がこの標識抗体とくっつき、液と一緒に浸み込んで移動していきます。

セルロース膜の先端には、膜上に「キャプチャー抗体」が線状に塗られています。
くっついているインフルエンザ抗原と標識抗体が浸み込みながらここまで流れ着くと、インフルエンザ抗原はここにある「キャプチャー抗体」ともくっつき、ひとつの大きな複合体となります。

この状態になると、標識としてくっついている金コロイドが赤く発色し、線として目に見えるようになるのです。

一方インフルエンザの抗原がなければ、このキャプチャー抗体とくっつくこともないので、標識抗体はキャプチャー抗体をスルーし、線が出ないというわけです。


検査の解釈には気を付けるべき注意点が

この検査は陽性か陰性か、結果が2つしかないので、一見単純にも見えます。

しかし、この検査を行ったときの、結果の解釈には大きな注意点があります。
ここからは検査の解釈について、その気を付けるべき点をお話ししてみたいと思います。


発熱からすぐは陽性になりにくい。でも・・・

この仕組みの特性でもあるのですが、この検査は、ウイルスの量(つまり抗原の量)がある程度多くならないと、線が出るほどの反応が起きません。

陰性

インフルエンザは、感染した後、症状が出た後もしばらくウイルスの増殖が続きます。

インフルエンザにかかってから発熱後12時間以内では、まだウイルスが十分に増えておらず、陰性になってしまうことがよくあります。
逆に、発熱から半日〜1日たつと陽性になりやすくなります。

そのため、あまりに早いタイミングでの検査は正確性が下がってしまうことは知っておくとよいでしょう。

しかし、だからと言って、「陽性になるためにわざと受診を遅らせる」というのはよろしくありません。

治療は早く始めたほうが効果は高いわけです。
検査の結果が診断の全てと考えてはいけないのです。

次はそのことに触れてみましょう。


検査の「感度」と「特異度」

人間の体に行うすべての検査は、病気をすべて陽性として拾い上げ、病気でない状態をすべて陰性と出せる検査は残念ながら存在しません。

そのため、検査は「感度」「特異度」という指標で、その正確性を表現します。

この「感度」と「特異度」は、やや話が複雑なので、詳しくはこちらのブログ「2020.2.29 「検査」を正しく理解するには ~ 難しいけどなるべくわかりやすくしてみます ~をご覧ください。

カンタンにまとめると、「感度」とは、感染している人を正しく“陽性”と判断できる割合「特異度」とは、感染していない人を正しく“陰性”と判断できる割合となります。

これをもう少しわかりやすく言い換えてみます。

「特異度」が高い場合、感染していない人を、ほぼ正しく(-)と出すことができます。
逆に言えば感染していない人を(+)と出すことはほぼありません。

つまり、(+)と出れば、感染していると確実に言えるということになります。


一方「感度」が高い場合、感染している人を、ほぼ正しく(+)と出すことができます。
逆に言えば感染している人を(-)と出すことはほぼありません。

つまり、(-)と出れば、感染していないと確実に言えるということになるというわけです。


抗原検査は、感染者を見逃す可能性がある検査

さて、インフルエンザ抗原検査では、感度はおよそ60%、特異度はほぼ99%とされており「特異度」がとても高い検査です。

言い換えると、この検査で(+)と出れば、インフルエンザに感染していることはほぼ間違いないと言っていいわけです。

一方、この検査で(-)と出た場合はどうでしょう。

感度が60%ということは、感染している人のうちの60%しか(+)と出せません。

つまり感染している人の4割は見逃す可能性があるということです。

インフルエンザ検査


ここからちょっと難しい話を

ただ、話はもっと複雑です。

検査は、誰にやっても同じように結果が出る訳ではありません。
当たり前の話ですが、症状がある人は(+)になる可能性は高いですし、症状がない人は(-)になる可能性が高いです。

実際の臨床現場では「その状況がどれだけインフルエンザ“っぽいか”(もしくは“っぽくないか“)」という「事前確率」が重要になります。

そこには「尤度比」という指標を使うのですが、ここは詳しく説明するととんでもなく複雑で長くなりそうなので、はしょりながらも独り言として今からぶつぶつしゃべります。

「尤度比」は「陽性尤度比」「陰性尤度比」があり、これらは以下の式で求めます。

陽性尤度比=(感度)/(1-特異度)
陰性尤度比=(1-感度)/(特異度)

この意味合いは

陽性尤度比:病気でない人に比べて、病気の人は、何倍(+)になりやすいか?
陰性尤度比:病気でない人に比べて、病気の人は、何倍(-)になりやすいか?
という指標です。

一般的に陽性尤度比が10以上であれば、確定診断に優れ、陰性尤度比が0.1以下であれば除外診断に優れる検査と言えます。

インフルエンザの抗原検査の場合、上の数字(感度60%、特異度99%)を使うと、陽性尤度比は60、陰性尤度比は0.4になります。

つまり抗原検査はやはり「確定診断」に優れた検査であると言えるわけです。

また、
検査前のオッズ×尤度比=検査後のオッズ

という式が成り立ちます(これを「ベイズの定理」と言います)。

オッズとは、(病気の確率)/1-(病気の確率)という数値で、病気の確率が25%なら0.25/(1-0.25)=0.25/0.75≒0.33、病気の確率が80%なら0.80/(1-0.80)=0.8/0.2=4となります。

もし、検査前の確率が25%なら、先ほどの式からオッズは0.33。すると、もし検査で陰性なら陰性尤度比は0.4なので
0.33×0.4≒0.13
つまり、0.12/(1-0.12)がおおよそ0.13となるので、12%の確率でインフルエンザ、すなわち88%の確率でインフルエンザではないと言えます。

一方、検査前の確率が80%なら、オッズは4。すると、もし検査で陰性なら陰性尤度比は0.4なので
4×0.4=1.6
となり、0.62/(1-0.62)がおおよそ1.6となるので、すなわち検査では陰性にも関わらず、62%の確率でインフルエンザの可能性が残ってしまったと言えるわけです。

つぶやき終わり!


検査前に「インフルっぽいか」を見極めろ!

つまり、何が言いたいのかというと・・・

「検査前に、インフルエンザである確率がどれくらいありそうか」というのを見極めることが、検査の解釈の精度を上げるにはとても大事なのです。

つまり「この状態はたぶんインフルエンザじゃないだろうな」と思ったら、検査で(-)の結果を予想して検査するわけです。
そして実際(-)なら、インフルエンザ以外の原因だと言いやすくなるということです。

一方「この状態はたぶんインフルエンザだろうな」と思ったときに検査で(-)の結果が出ても、インフルエンザを否定するには不十分ということになり、結局インフルエンザは否定しきれない、つまり、検査が(-)でも、インフルエンザの診断にすることはあり得るということです。

(これはこの検査が感度がいまいちな検査だからです。特異度はめちゃくちゃいいので、インフルエンザっぽいときはもちろん、インフルエンザっぽくなくても、(+)なら、その見立ては大きく覆り、おそらくインフルエンザと言い切っていいということになります)。


検査結果をしっかり解釈するには

これが、私たち医師が行う診察の重要性ということになります。

つまり、流行状況、周りの状況、感染リスク、症状の特徴、身体に現れる所見などで、「検査前の確率」をしっかり見極めることが、正しい診断、適切な治療に大きく影響するということになるわけです。

ですので、やはり確度高く、確実に治療を成功させるためには、このことをしっかり理解している医療機関で診療を受けて頂きたいところです。


今後年末にかけて、感染リスクはおそらく急上昇します。
(当院もできる限りの対応はしておりますが)感染状況がひっ迫すると、医療機関もなかなか受診しにくくなってしまいます。


まずは早めのワクチン接種で、しっかりと予防対策を!

そして体の異変が出た時は、できるだけ早めに私たちなど医療機関にご相談ください!



さいごにお知らせ!

先日の「エクセレントドクター」に続き、今度は株式会社WeBridgeさんが運営されているWebメディア「医師道」に、私のインタビュー記事が掲載されました。
私がこのクリニックを継承するまでの経緯や、今抱く診療への想い、今後の展望などについてお話ししています。
ご興味のある方は、ぜひご一読を!

▼ インタビュー記事はこちら

▼ 本企画の運営元
運営元:株式会社WeBridge
HP:https://webridge.co.jp/

投稿者: 茅ヶ崎・平塚 内科と呼吸のクリニック 理事長 浅井偉信

2025.10.16更新

永遠に続くと思われたクソ暑い夏もようやく終焉を迎え、朝晩はだいぶ涼しくなってきましたね。
夜にエアコンがいらない生活は、本当にホッとします。

しかし・・・!

呼吸器、アレルギーを専門とする当院では、この10月以降から、調子を崩す患者さんが増えて、新患の方や、予定外の受診を希望されるかかりつけの方で急激に予約が埋まってしまうのが毎年この時期の風物詩です・・・。
(ただし、今年は医師が増えたことにより昨年よりもだいぶ枠に余裕ができたことで、新患の方や予約外受診の方の受け入れが幸い比較的スムーズにいっています。よかった・・・)

秋にアレルギーが悪化する理由はいくつかあります。

例えば秋の花粉ブタクサなどイネ科の雑草など)、気温の低下、それに台風の襲来など・・・


しかし、一番大きな原因でありながらもあまり知られていない、秋のアレルギーの主役がいるのです。


それが「ダニ」です。

(ちなみに「ハウスダスト」とは文字通り、家のホコリのことで、ダニだけではなくヒトの皮屑、衣類の繊維、カビ、花粉、細菌なども全て含みますが、一番含有量が多いのがダニ抗原で、結局はダニとほとんど同じ結果が出るため、ほぼ同じものとして捉えてしまってもよいと思います。)

ダニアレルギーは、アレルギー性鼻炎や結膜炎、アトピー性皮膚炎、それに気管支喘息の原因としてよく知られていますが、実はその症状のピークは、意外なことに夏ではなく、今、この秋なのです。


でもダニって一年中いるし、むしろ暑くなる夏に増えそうな気もしませんか・・・?

そんな疑問にもお答えするべく、今回は、「ダニアレルギーのピークが秋である」その理由と対処法を、医学的な視点から紐解いてみたいと思います。

 

夏の「繁殖期」が秋の「ピーク」を生む

ダニの代表種である「ヒョウヒダニ」は、気温25〜30℃、湿度60〜80%という高温多湿な環境を好みます。

つまり、日本の夏はダニにとって最適な繁殖環境です。
特に寝具や布団、カーペット、ソファなど、ダニが一旦絡まったら飛んでいかないような場所では、ダニが急速に増殖してしまいます。

研究によれば、7〜8月にかけて家の中のダニの数は一番増え、1平方メートルあたり数千匹にも達することがあるのです(環境アレルゲン学会報告 2018)


ところが、9月以降、気温と湿度が下がるとダニは急速に死んでしまいます。
つまり「ダニの死滅期」を迎えるわけです。

ここに重要な点があります。

実は、様々なアレルギー症状を引きおこす最も強力なアレルゲンは、このような死んだダニの死骸やフンなのです。


アレルゲンとしての「死骸」と「フン」

ダニの体内には、アレルギーの原因、つまりアレルゲンとなるタンパク質が含まれています。
これらはダニの消化酵素の一種で、体の中やフンに多く存在します。

秋になるとダニは死んでしまって死骸になるのですが、死骸になると乾燥して軽くなります。

乾燥したダニの死骸、ダニのフンは簡単に砕けてしまうので、舞い上がるのは、実はダニの死骸のかけら、フンが粉状に分解したものなのです。

ダニの体の大きさは0.3mmくらいで、この大きさだと鼻毛に引っかかり気道には入らないのですが、砕けたダニの死骸やフンは0.01~0.04mm程度と非常に小さくなってしまい、しかも軽くなって空気中に漂うため、容易に吸い込んで気道に入り込んでしまいます。

そうして吸い込むと、その破片に含まれたアレルゲンが気道や鼻粘膜で免疫反応を引き起こし、「ヒスタミン」や「ロイコトリエン」いった、アレルギーの炎症を強く起こす物質を放出させることで、鼻炎や喘息症状が出現してしまうのです。


つまり、「生きたダニ」ではなく「ダニの死骸とフンが乾燥して細かくなったもの」がアレルギー反応を引き起こしているというわけです。

そして、9〜11月は、夏の繁殖期で増えたダニの大量死が重なりなることで、これらのアレルゲン量が年間で最も高くなるため、「ダニアレルギーのトップシーズン」と呼ばれるわけです(日本アレルギー学会誌, 2016)


「乾燥」と「環境の変化」が後押しする

ダニが死滅期を迎えることが、秋にピークを迎える理由ですが、他にも秋特有の環境が、その「あと押し」になります。

まずは秋になると外気が乾燥し、ダニの死骸やフンの乾燥をより進めてしまいます。

また徐々に寒くなってくると窓を開ける機会も減り、換気量が少なくなるので、室内のハウスダストが滞留しやすくなります。

このような物理的環境の変化も、アレルゲンの濃度上昇をさらに助長してしまいます。


ヒトのカラダも秋に変化が

また、秋は一日や日ごとの寒暖差が大きくなり、特に気温低下が気道に刺激を与えます。

加えてその温度差、秋雨前線や台風の襲来が、自律神経のバランスに崩れをもたらし、鼻や気道粘膜の防御機能が低下しやすくなってしまいます。

粘膜バリアが弱ることで、少量のアレルゲンでも炎症反応が起こりやすくなってしまい、結果的にアレルギー症状が強く起きてしまうとも考えられています。


また免疫の観点からも、秋にアレルギー反応が強まりやすい理由があります。

人間のカラダは、アレルギーを引き起こす物質にさらされ続けていると、「感作」という現象によって、よりアレルギー症状が起きやすくなります。

夏の間に増えたダニに体が曝露され続けると、免疫系が「感作」されやすくなり、「ダニ成分に対して過敏に反応する体質」になりやすくなるます。

そして、その状態で秋を迎えると、死骸やフンといったアレルゲンを吸い込んだ際に即座に免疫反応が起こり、アレルギー症状が強く起こってしまうという訳です。

つまり秋は、アレルギー反応を起こしやすいように「準備されたカラダ」が、大量のダニアレルゲンに一気に反応してしまいやすい季節と言えるのです。


住環境も原因です

また、ダニアレルギーは近年ますます増えているとも言われています。

現代の住宅環境は気密性が高く、室内のアレルゲンがそのまま留まってしまいやすい環境です。
またカーペットやラグ、ぬいぐるみなど、ダニの好きな場所も以前より多い家が多く、ダニアレルギーを吸ってしまうリスクが増していると言われています。


まずはしっかり掃除を!

では対策に話を移しましょう。

秋のアレルギー、つまり「ダニアレルギー」に対する一番の対策は、その「ダニの死骸、フンを取り除くこと」です。

具体的には以下のことに気をつけて掃除しましょう。

 ①寝具をきれいに

布団や枕は、ダニの温床です。
週1回の天日干しや、布団乾燥機の使用が効果的です。
さらに、布団カバー、枕カバーも定期的に洗濯するようにしましょう。

 ➁掃除機は「ゆっくり」「こまめに」

ハウスダストは軽いため、すぐに舞い上がってしまいます。
掃除機をかける際は、ゆっくりと時間をかけて吸引しましょう。

また、物の影や部屋の角の床は、手が届きにくい場所です。
物をなるべく床におかないようにしましょう。

 ③カーペット・ソファの見直し

布製のカーペットやクッションにもダニが繁殖しやすいです。
まずは出来る限り掃除しますが、可能であればフローリングやレザー素材への切り替えも検討を。

 ④カーペットだけではなく、フローリングにも注意!

フローリングはダニの隠れる場所がなく、ダニが増えにくい環境です。
ただその分、ホコリが動きやすく、容易に舞い上がりやすい環境でもあります。

フローリングの掃除も定期的に行いましょう。

 ⑤空気清浄機の活用

HEPAフィルターを搭載した空気清浄機は、ダニアレルゲンやホコリを効率的に除去できます。
特に寝室に設置することで、夜間の吸入を減らせます。


治療も先読みを!

とはいえど、100%アレルゲンを除去することは不可能です。
現実的にはある程度のダニアレルゲンと共存する必要があります。

アレルギーの治療は「天秤」「綱引き」の関係とも言われます。

「その人が症状を起こすアレルギーの環境」を「治療の強度」が上回っていれば、症状をしっかりと抑えることは可能です。


また、アレルギーに限らず、炎症は起きた炎症を抑えるより、炎症が起こらないようにすることの方がずっとエネルギーが小さくて済みます。

悪化する季節を予想して、先回りして治療を行うことが非常に効果的なのです。

秋のこの時期に向け、あらかじめ抗アレルギー薬を飲み始めたり、ステロイド点鼻薬、アレルギー点眼薬などを準備しておき、悪化時にはすぐに開始できるようにしておくことも、重要な対策の一つです。

また、副作用を我慢しながら治療を続ける、困っている症状があまりよくならない、薬の飲み方が自分の生活リズムには合わないなどということが起きると、治療を続ける事は難しくなり、結局シーズン中に症状をコントロールすることができません。

シーズンの間、無理なく治療を続けていくために、自分に合った薬をしっかり選ぶということも大事です。

また気管支喘息の方で、秋に症状が悪化しやすい方に関しても、悪化しやすい時期に向けて、あらかじめ吸入薬の強さを上げたりする「事前の調整」を行うことが有用です。

とはいえ、いつ頃から、どの程度の治療を始め、どの程度治療を上げ、どこで戻していくかといった細かい「さじ加減」は、なかなか自分の判断では難しいところです。


やはりその方に一番合った「オーダーメード」の治療を行うには、その方のバックグラウンドや、その年のアレルギー状況の傾向を熟知している呼吸器専門医、アレルギー専門医に任せて頂きたいと思います。


舌下免疫療法による根本治療

ダニアレルギーは、スギ花粉症と並んで、舌下免疫療法が保険適用で行える疾患の一つです。

舌下免疫療法とは、そのアレルゲンエキスを毎日少量ずつ舌の下に投与し、体を少しずつアレルゲンに慣らしていくことで、長期的にアレルギー反応を弱める体質を作る治療法です。

効果が出るまで時間はかかりますが、継続することで根本的な体質改善が期待でき、秋のピーク時でも症状が軽くなっていくため、是非考えて頂きたい治療です。



正しい知識と適切な対策で、快適な秋を!

秋は過ごしやすい季節である一方、ダニアレルギーを持つ人にとっては症状が悪化しやすい「要注意の季節」です。

でもその背景を正しく知り、対策を取ることによって、しっかりと症状をコントロールすることができます。

しっかりとその対処法を知り、必要時には私たちプロに頼って、気持ちいい秋を過ごしましょう!

投稿者: 茅ヶ崎・平塚 内科と呼吸のクリニック 理事長 浅井偉信

2025.10.03更新

さて、前回はインフルエンザワクチンを接種したい時期についてお書きしました。

神奈川県も昨日、1医療機関当たりの週の感染者数が流行開始の目安となる1.0人を超え、1.24人に達しました。
前回のブログでもお書きしたように、かなり速いペースで流行がはじまってしまっているようです。

そんな中、今回はその時の予告の続編、今年から当院でも取り扱いを始める、鼻にスプレーするタイプのインフルエンザワクチン「フルミスト」について、お話ししてみようと思います。


フルミストとは?開発の経緯と仕組み

フルミストは「生ワクチン」に分類されます。
生ワクチンは、インフルエンザウイルスそのものを使用しますが、とはいっても病気そのものを引き起こすのではなく、病原性を弱くして、実際に症状が出ない「ワクチン仕様」に改良されたインフルエンザウイルスにして使います。

弱毒ウイルス

これを鼻の奥にスプレーすると、ウイルスは上気道の粘膜でほんの少しだけ増えます。
その結果、そのウイルスを追い出そうと体は免疫反応を示します。

抗体反応

その免疫反応によって、身体にインフルエンザの「抗体」が出来上がり、本物のインフルエンザウイルスが入って来たときに、すでに作ってあった抗体がウイルスを排除してくれるという仕組みです。
そして、鼻からスプレーして、鼻の粘膜から吸収されるフルミストは、鼻やのどの粘膜で抗体を作ってインフルエンザを食い止める「粘膜免疫」として働くという特徴をもっており(後でお話しをするように)この部分がちょっと有利な一面をもっているのです。

このワクチンはアメリカで先に開発され、2000年代から広く使われてきました。
WHO(世界保健機関)や米国CDCも「注射ワクチンと並ぶ選択肢」として位置づけています。


効果はどのくらいあるの?

「新しいけど本当に効くの?」と心配になる方も多いと思います。

実際の研究をみると、年や流行したウイルスの型によって効果の強さに多少のばらつきがあります。
過去にはH1N1型のシーズンで効果が弱かった時期もありましたが、その後株の改良が行われており、その後の研究では既存のワクチンと遜色ないものとなっています。

最近のメタ解析(複数研究をまとめた分析)では、フルミストの有効率は 61.9%に対し、注射ワクチンは 45.7%
フルミストに軍配が挙がったという報告があります。

ただ別の研究では逆に注射の方がやや効果が高かったという報告もあり、完全に「フルミストが圧勝」とまでは言えません。

総合すると、フルミストと注射の効果はそれほど変わりはないのでは、と考えてよいのかなと思います。


メリットは?

フルミストの最大のメリットは、注射をしなくていいことです。
注射じゃない

お子さんで「注射が怖いからワクチンは嫌!」というケースは少なくありません。
でも、フルミストなら鼻にスプレーするだけなので、心理的ハードルがぐっと下がります。

さらに、先ほどお話しした「粘膜免疫」が働くというのもメリットです。
インフルエンザは通常、鼻やのどの粘膜から体内に侵入しますが、「粘膜免疫」が働いている状態では、その侵入経路の入り口である粘膜に多くの抗体があります。
「門番」として抗体が力強く働くことで、感染そのものを防ぐ力も期待でき、保育園や学校など人との接触が多い場面では理にかなった方法ともいえます。


どんなふうに打つの?

片鼻に1回ずつ、両鼻にスプレーします。
スプレーした時に鼻からゆっくりと吸い込んでもらいます。

フルミスト

対象年齢は 2歳から18歳までですが、当院では6歳以上の方を対象とさせて頂きます(いかんせん、小さい子の扱いは医師、看護師ともに慣れていないクリニックですので、お子さんにご迷惑をおかけしたくなくって・・・)。

鼻水があるようなら、打つ前にしっかり鼻をかんでおくことが重要です(鼻水だらけだとうまくワクチンが吸収されません)

鼻をかむ

また接種当日の入浴・洗顔は可能ですが、接種した鼻や顔を直接こするような洗浄は避けてください。
また激しく鼻をかむのも避けたほうがいいです。


鼻水、鼻づまり、くしゃみ、のどの痛みなど、風邪のような軽い症状がたまに起きることがあります(ウイルスが多少増えるときに、ごく軽く反応するためです)。

軽い発熱やだるさが出ることもありますが、数日で自然に治まることがほとんどです。

ただし注意が必要な方もいます。
症状がたびたび出るなど、症状の重い喘息の方は、喘息が悪化する可能性があるため避けたほうが無難です(症状がしっかり抑えられていれば心配はいりません。というかしっかり症状を抑える治療ができていることがそもそも大事です)。

喘息発作

弱毒ウイルスとはいえ生ワクチンなので、それに打ち勝てない可能性のある、免疫不全の病気をお持ちの方、免疫を抑える治療を継続的に行っている方も、避けたほうがいいでしょう。

こうした場合はフルミストは使わず、従来型の注射ワクチンを選んだほうが安全です。

また、接種後はしばらくの間、鼻やのどから弱いウイルスが排出されることがあります。
そのため、免疫不全の病気のある家族と一緒に暮らしている場合には注意が必要です。


どんな人におすすめ?

フルミストをおすすめしたいのは、

注射が怖くて接種をためらってしまうお子さん
注射嫌い

保育園や学校など、感染のリスクが高い集団生活をしているお子さん
集団生活

1回で接種を終わらせたいお子さん
フルミスト

といったところです。


まとめ

フルミストは「痛くないインフルエンザワクチン」として、新しい選択肢を提供してくれる存在です。
効果も注射のワクチンと遜色なく、特に「注射が嫌で接種を避けてしまう」ケースでは大きな意味を持ちます。

ただし、生ワクチンならではの注意点もあるため、接種するかどうか迷ったときには、ぜひ医師と相談し、自分やご家族の状況に合った方法を選んでください。


とにかく何より大切なのは、「毎年きちんと接種すること」
注射でもフルミストでも、続けることが最大の予防につながります。

流行が始まりつつある今、皆さんとご家族、周りの方のため、お早めの行動をお願いします!

投稿者: 茅ヶ崎・平塚 内科と呼吸のクリニック 理事長 浅井偉信

2025.09.24更新

まだ9月だというのに、当院の発熱・感染症外来ではインフルエンザ陽性の方が出続けています。

インフル感染

コロナ禍の前までは、インフルエンザは12月から3月にかけて流行のピークを迎えることが常識でしたが、コロナ禍で一旦インフルエンザがこの世の中から消え、そしてそのコロナ禍が明けてからは、何だがインフルエンザウイルスの秩序が大きく変わったかのように見えます。

インフルエンザ流行

 


神奈川県衛生研究所HPより


具体的には、感染対策が緩んできた2022年~2023年の冬に流行が再開した後、その流行が翌年秋まで1年間収まることない、異例の展開となりました。

その後2023年9月から再度大流行し、またその流行が5月ごろまで続き、GW過ぎまでインフルエンザに感染する方が出続けました。

そして昨年年末は、1999年の統計開始以降最多の患者数を記録する大流行へとつながっていきました。

その後も、この夏場に至るまでインフルエンザ陽性の患者さんが定期的に見られるなど、もはや「インフルエンザは冬の病気」だという認識を改めなきゃいけないのかもと感じています・・・

夏のインフル


なぜ季節外れの流行が起きているのか

コロナ禍の前までは、インフルエンザの流行は明らかなパターンがありました。
そのため、そのパターンに合わせてワクチン接種の時期を決めるなどの対策も取りやすい状況でした。

しかし、コロナ禍以降の今は、このパターンが崩れているようにも見えます。

インフル

この現象の背景には、いくつかの要因が考えられているので、まずはそれをいくつか見てみましょう。


免疫の“空白期間”ができた

コロナ禍では、マスク・手洗い・人との接触制限が徹底され、多くの呼吸器ウイルスが姿を消しました。
このことは(特にこの頃のコロナは感染する重症化する株でしたので)とても有意義で必要な事ではありましたが、一方その間に、本来なら毎年少しずつ感染して免疫をつけていた子どもたちが、ウイルスに出会わずに成長してしまうという側面もあったのは事実です。
インフル

これを「免疫ギャップ」「免疫の借金」と呼ぶことがあります(Baker RE et al. Science 2020; Li Y et al. Lancet Infect Dis 2021)

接触制限が緩和され、ウイルスが再び伝播しやすい状況となったあと、この数年分の“借金”が一度に返済されるように、流行が大きく、しかもいつもと違うタイミングで起こるようになったと考えられています。


ウイルス同士の駆け引き

実は、ウイルス同士にも“なわばり争い”のような関係があります。

あるウイルスにかかると、しばらく別のウイルスにかかりにくくなることがあり、これを「ウイルス干渉」といいます(Nickbakhsh S et al. Proc Natl Acad Sci USA 2019; Jones N. Nature Reviews Microbiology 2023)

ウイルス干渉

たとえばコロナ禍前はインフルエンザとRSウイルスの流行が微妙にずれたりしていました。
これも「ウイルス干渉」の影響があると考えられています。

しかし、コロナ禍のあと、この力関係がリセットされ、流行時期のズレや重なりが目立つようになったのです。


行動や生活習慣の急激な変化

コロナ禍では学校が休校になったり、職場も在宅勤務が増えたりしました。

人の集まり方や移動の仕方が一時的に大きく変わり、その後一気に元に戻ったことで、感染症が流行する「きっかけ」や「広がり方」が乱れました(Shi T et al. Nat Commun 2022)

人の流れ

流行の立ち上がりが例年より早かったり遅かったりする背景には、こうした社会のリズムの変化も影響しているのではと言われています。


ウイルス自体の進化

インフルエンザウイルスは新型コロナウイルス同様、ウイルスそのものも少しずつ姿を変えています。

ウイルス変異
型の違いや変異によって、感染しやすさや広がる速さが変わることもあります(WHO FluNet 2023; Vatti A et al. Vaccines 2023)。


これらの要因が重なって、流行のパターンをさらに不規則にしているのです。

 

今シーズンは早期から流行するかも?

コロナ禍明けの近年は、インフルエンザ流行開始が前倒しになり、かつ急激に感染が広がる傾向があります。

局所的ではありますが、この暑い盛りの9月に、全国規模でインフルエンザ流行による学級閉鎖がすでにみられているようなのです(全国で9月8日~14日に学級閉鎖になったクラスは88か所あったそうです。コロナ禍以前はこの時期は多くても10未満でしたので、やはりこの面から見てもウイルスの秩序は変わったのでしょうね)。

実際、当院でも9月上旬からインフルエンザ陽性者が確認されており、これがいつ本格的流行になってもおかしくない状況と言えます。


それに長期化する可能性も・・・

そして、近年は流行期間の長期化が見られ、今年も同様に懸念されています。

コロナ禍以降は、以前のように完全に収束することなく、ダラダラと流行が続くことが増えており、今年もこの秋から冬、そして来春まで、断続的に流行が続く可能性があるのです。


ですので、ワクチンの接種推奨時期も、今までの常識にはとらわれない考え方が必要となるのです。

インフルエンザの有効性については、今年の元旦のブログで触れました(2025.1.1 インフルエンザワクチンって効果あるの? ~論文の読み方からも考えてみよう)。

それでは、インフルエンザワクチンは、今までの知見上有効であるという前提に立って、ではいつインフルエンザのワクチンを打ったらよいかを考えてみましょう。


ワクチンの効果が続く期間

インフルエンザワクチンを接種すると、免疫ができるまでに2週間程度かかります。そしてその効果は 4〜5か月程度続くとされます。

ワクチン

つまり、まずは流行のリスクの高いシーズン(12月〜翌年3月ごろ)をカバーできるようにしておきたいところです。


でも、早めの接種も考える必要あり

例年なら「11月に打てば間に合う」と考えられてきましたが、先ほどのお話しのように、最近は 9月や10月から流行が始まるケースが目立っています。

このため「従来のペースで11月に接種したら、すでに流行が始まっていて間に合わなかった」という状況もあり得るのです。


接種時期の考え方

このような背景から、接種のおすすめ時期は人によって少し変える必要があるのです。
次は接種時期をパターン別に考えてみましょう。


高齢の方、基礎疾患をお持ちの方

高齢者

高齢の方は、インフルエンザにかかると肺炎や心不全、脳梗塞の誘発など、合併症のリスクが急上昇します。

入院や死亡の大半を占めるのは高齢者層で、特に 65歳以上では致死率が小児や若年成人よりも桁違いに高いと報告されています。

それに一般的に効果は接種後4〜5か月とされますが、仮にさらに流行が春先まで長引いても、その効果は「まったくゼロになる」のではなく、重症化予防効果はある程度残ることが分かっています。

つまり「早めに接種して初期流行を防ぐ」メリットの方が、春に効果がやや弱まるデメリットを上回るため・・・

 →10月中の早めの接種がお勧めとなります。


受験生の方

受験生

受験生の方は若いため、重症化のリスクは低いですが、本番前の数週間にインフルエンザでダウンすることは絶対に避けなくてはなりません。

発熱で試験を欠席する、体力を落として本来の力が発揮できない──れを避けることが最優先になります。

効果発現までに2週間かかること、効果は4〜5か月持続すること、12月〜2月の受験シーズンをしっかりカバーすることを考えると・・・

 →10月中に接種すれば、12月〜2月の本番期をしっかり守れます。


また、秋の模試や学校行事に影響したくない場合は、より早めの9月下旬〜10月上旬に接種するのが安心です。

インフルエンザにかかると 1〜2週間は回復に時間がかかるため、追い込み期に発症してしまえば受験勉強のラストスパートに大打撃になります。

リスクを下げるためにも必ず接種しておいていただきたいところです。


一般の方

一般の方

リスクは上記の方と比べると低めではあるので、例年通り接種すれば、シーズン全体をしっかりカバーできる可能性が高まります。
つまり・・・

 →10月中旬~11月がベストと言えるでしょう。

但し、ご自身のイベントによって、どうしても抑えたい時期は人によって変わるかと思います。

接種から2週間で効果が出て、4~5ヵ月間は効果が続くと考え、自分に一番合った接種時期を考えて頂ければよいかと思います。

 

12歳以下のお子さん

子ども

12歳以下のお子さんは、2~4週空けて2回接種が必要です。
学校は特に流行をしやすい環境であり、早めに流行が始まる可能性もあります。

すると本格的に流行が開始する可能性のある11~12月までには、2回目の接種を終わらせておきたいところです。

となってくると、効果が上がってくるまでの2週間、そこから1回目接種の時期を逆算していくと・・・

 →9月下旬~10月中旬くらいまでには1回目接種を行っておくのがベストだと考えます。


さてそんな中、昨年から日本でも、鼻から噴霧する、針を刺す必要のないワクチン「フルミスト」が認可されました。

フルミスト

このワクチンはお子さんでも1回で接種が終了するという優れモノ!
ただ、注意点もいくつかあります。

今年から、当院でも6~18歳の方を対象に、接種受付を開始します(接種は予約制とさせて頂きます)

その「フルミスト」についての効果や特徴、注意点についての記事を、次回はお話ししてみようと思います!



★お知らせ!★

前回発表させて頂いた、平塚新クリニックの新院長をご紹介します!

新クリニックの院長は、現在金曜午後に診療を担当している池田秀平医師が就任します。

池田秀平

池田先生は、横浜市立大学医学部卒業後、茅ヶ崎市立病院、横浜医療センター、横浜市立大学附属市民総合医療センターなどで内科、呼吸器、アレルギー診療のメソッドを徹底的に叩き込まれ、現在は呼吸器専門医を取得して横浜栄共済病院で多種多様な呼吸器疾患に対峙しながら中心的役割を果たしながら、当院でもそのスキルを発揮していただいています。

呼吸器専門医として、広く、かつ深い視野で症状の原因を的確に見抜くと同時に、診察の際の物腰は非常に穏やかで、とてもきさくで話しやすいと評判の先生です。

私が考えても新クリニックの院長を任せるには彼以上の適任はなく、彼の決断のおかげもあり今回満を持して平塚院の院長に就任していただくことが叶いました。
池田新院長を、今後ともよろしくお願いいたします!


今後も新クリニックの詳細、最新情報につきましては、これから随時本ホームページやLINE公式アカウントなどでお知らせいたします!

投稿者: 茅ヶ崎・平塚 内科と呼吸のクリニック 理事長 浅井偉信

2025.09.13更新

突然ですが、本に載せていただきました!

産経新聞生活情報センター企画さんから出版された「信頼のエクセレントドクター 2025年版」に選出いただき、先日全国で発売されたとのことです。

エクセレントドクター

エクセレントドクター


「呼吸器領域の専門医として、地域で質の高い呼吸器診療を行いながら、ブログなど積極的に患者のニーズに沿う情報発信を行っていること」
が、今回選出していただいた理由とのことでした(なんだか自分で書いててこっぱずかしいのですが・・・)

私が呼吸器科に進んだ理由や、目指していきたい診療スタイル、そして今後の展望、などなどを取材頂き、10ページもの記事を作成していただきました。

大きな病院さんなども掲載されており、そんなところに載せて頂いており、なんだかおしりがこぞばゆい・・・

ですが、せっかく選出していただきましたし、この名に恥じぬよう、これからも精進していきたいと思います!

本は全国書店の他、Amazonや楽天ブックスなど、主要オンライン書店でも取り扱われております。

Amazon販売ページ

楽天販売ページ

また当院には抜粋版をご用意しております(出版社のご厚意で戴きました)ので、もしよろしければお手に取っていただければ嬉しいです。


記事の内容は以下からもご覧いただけますので、ご興味のある方は是非ご覧ください!


特設ページはこちら!

 

さて今回、その記事の中でも公表させて頂いた、当クリニックにとっての重大発表を、本日は行いたいと思います。


「2026年春、平塚に、駅直結の新たなクリニックを開設します!!」


おかげさまで当院は2020年に現院長が加藤医院を継承後、多くの患者さんにご愛顧いただき、1日平均140名を超える患者様にご来院頂くまでになりました。

そして患者さんは茅ヶ崎市内のみならず、市外からも多くいらっしゃっております。

この状況は大変ありがたいことではあります。
が、その分、院内の混雑は年を追うにつれて増してきており、せっかくお越し頂いている患者さまにご迷惑もお掛けしている状況です。


また、当院には(県西部に呼吸器専門の医療機関が少ないこともあり)、特に平塚以西より患者さまが多くいらっしゃっている状況もありました。


そこで、今回、平塚駅直結の駅ビルに、新たなクリニックを開設することになりました!

こちらの平塚新クリニックでは、茅ヶ崎の本院と同様、「長引く咳の専門医」のコンセプトの元、一般内科に加え、質の高い呼吸器専門診療を提供する予定です。

(以下の写真はすべて完成予想図CGです。完成時には仕様が異なる可能性がありますのでご了承ください。)

平塚内科
  受付

茅ヶ崎本院の1.6倍の敷地に、4つの診察室を備え、茅ヶ崎本院と同様、採血やレントゲン、各種呼吸機能検査などの検査機器を取り揃えます。

更には80列マルチスライスCT(肺を4秒で撮影出来て、しかも放射線量も少ない超高性能機です)を導入し、今まで以上に精密な呼吸器診療が提供できる体制となります。

平塚内科
  CT、レントゲン室

そしてこのCT導入によって、茅ヶ崎本院でCT検査が必要になった方も、早ければ当日中にこちらの新クリニックにお越しいただき(何てったって改札から徒歩1分ですので、茅ヶ崎の本院からドアtoドアで最短10分で到達可能です)、その日のうちに結果をご説明できるようにもなります。

加えて、新クリニックでは、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)に加えて、下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)も導入します。
今まで茅ヶ崎の本院では行えなかった大腸カメラを、胃カメラとともにワンストップで行うことができるようになり、飛躍的に利便性が向上する見込みです。

平塚内科
  内視鏡室


平塚に開院する新クリニックは、まずは現在茅ヶ崎本院に来ていただいている、多くの平塚以西の方にとって、今よりも近く、気軽に受診できるクリニックとなります。

また新クリニックは駅ビル内ということもあり、駅まで到達すればそこはもうクリニック!
東海道線辻堂以東や相模線、小田急線沿線の方も、東海道線平塚駅まで来て頂ければ、クリニックは改札から1分、雨にも濡れずにお越し頂ける立地ですので、こちらの方面の方にとってもお越し頂きやすいクリニックとなります!

平塚アクセス

そして、こちらの新クリニックの開院によって、茅ヶ崎本院も混雑緩和、待ち時間短縮などの効果が期待でき、今までよりも、より快適にご利用いただけるようになると思われます。

それに、お越しになりたくてもなかなかご予約がお取り頂けなかった長引く咳の方も、今より格段にご来院頂きやすくなると考えています。


新クリニックの詳細、最新情報につきましては、これから随時本ホームページやLINE公式アカウントなどでお知らせをします。

私たちは、これからも内科、呼吸器専門診療を通して湘南地域のカラダのお悩みのゲートキーパーとして、そして長引く咳の最後の砦として、精一杯頑張ります!


以下にその他の完成予想図をいくつか掲載します(先ほどもお話ししたように、完成時には仕様が異なる可能性があります)。

平塚内科
  受付から待合

平塚内科
  待合(診察室側から)

平塚内科
  待合(診察室側に向かって)

平塚内科
  処置、検査室

平塚内科
  診察室


最新情報は今後、HP、LINE公式アカウント公式instagramなどで随時掲載予定です(instagramはしばらく更新をお休みしておりましたが、今後積極的に運用を再開します!)


是非平塚新クリニックの完成、開院を楽しみにお待ちください!

投稿者: 茅ヶ崎・平塚 内科と呼吸のクリニック 理事長 浅井偉信

2025.08.24更新

前回のブログ(①原因編)はこちら!

さて、お盆も終わり、夏の甲子園もフィナーレを迎えました。

甲子園も、初戦で(我が)金足農業を下した沖縄尚学が見事優勝で幕を閉じました。

日々熱戦が繰り返される甲子園、見ていたらなんだかうずうずしてきて・・・

私もやりたくなっちゃいました(笑)

という訳で、およそ1年ぶりに、草野球チームの試合に参戦してきました(高校同期で25年前に創設したチームで、一応私も創設メンバーではあったのですが、仕事の忙しさもありほぼ幽霊部員状態です・・・)。

久しぶりに打席にも立ち、何とかヒット1本は打ち、(肉離れ覚悟で)全力疾走し、先制点のホームも踏みました。
野球

 

野球

当院の運用サポートに入っていただいている有友さんも(人数不足でしたので)急遽助っ人として参戦。
40代、多忙にも関わらず、毎週地元の草野球チームでキャッチャーを務める「猛者」です。

野球

試合は残念ながらサヨナラ負け・・・でしたが、まあ、当日試合の行われた府中市の気温は37℃、昼12時からの試合ということもあり、とにかく無事に帰宅できたことが一番の結果です(皆さんも熱中症にはくれぐれもご注意ください!)。


ここからが本題です!


さて、前回は、鼻やのどが原因で起こる咳について、その原因についてお話ししてきました。
今回は、その見極め方や治療、自分でできる対処法について引き続きお話ししてみようと思います。

まずは見極め方です。
鼻やのどが原因で咳が起こる場合、そのパターンは人それぞれですし、鼻症状と他の病態が合併することも良くあることなので、その症状だけで見極めるのは難しいものなのですが、ある程度の傾向はあるので、ここではそれをお話ししてみようと思います。


後鼻漏では夜と朝の、痰の咳

後鼻漏による咳では、鼻水が喉に落ちてくることによって咳が出るため、痰を伴う咳になることが多いですが、喘息ではしばしば痰の伴わない咳になることがあります(もちろん喘息でも痰を伴うことは珍しくありません)。

 

後鼻漏による咳では、比較的夜間から寝る前までの咳が多くなってきます。
また、朝起きがけの時に増える咳も特徴的です。

20250828

ただ、夜中に咳で起きてしまったりするケースは少ないようです(寝ているときに咳が出るケースは実はよくあるのですが、どういう訳か本人は咳をしていることに気づかず、周りだけが気にしているというケースが多いです)

一方喘息でも夜にかけて悪化するのですが、寝ている時(特に夜中3時頃)に咳が悪化して起きてしまうのが一番特徴的です。


後鼻漏は仰向けで咳が出る

姿勢による症状の変化も参考になります。

後鼻漏による咳の場合、流れ落ちる鼻水が増えると咳が悪化します。
そのため、夜寝るときに仰向けで寝ていると咳が悪化しやすい傾向があります。

20250828


後鼻漏の咳は急に出て、止まる

咳の出方についても、後鼻漏による咳は、喉に一定量の痰が溜まるとそれを排出しようと咳が出るので、一度出ると止まらず、一旦出切るとピタッと止まる「発作性咳嗽」の形を取りやすいです。

一方喘息では、症状の出やすい夜や、環境の悪いところにいるタイミングなど、症状が悪化しやすい環境では割とコンコンと続けて咳が出るケースが多いようです。


喘息みたいにヒューヒューはしないけど・・・

喘息では気管支が狭くなると、特に息を吐いたときにゼーゼー音が鳴ることがあります。

一方後鼻漏による咳では気管支は狭くならないのでゼーゼーすることはありません。
ただし、後鼻漏によって声帯がうまく開かなくなることがあり、この場合息を吸ったり吐いたりしたときに低いゼーゼー音が鳴ることがあります。

一方喘息でも、気管支がそこまで狭くならずにゼーゼーとはならないケースは少なくなく、音のあるなしで後鼻漏と喘息を見極めることは、素人判断では難しいのかなと思います。

私たち呼吸器科医は、まずは症状の特徴をお伺いし、傾向を見極めながら、採血や呼吸器の検査(スパイログラム、呼気一酸化窒素検査、モストグラフ)、それにレントゲンや、必要に応じて肺、それに鼻や副鼻腔のCT検査を行うことで見極めていますので、ここら辺の判断は我々にお任せいただければと思います。


さて、後鼻漏による咳とわかれば、それに合わせた治療を行うことになります。
続いては治療法についてお話ししてみましょう。


副鼻腔炎に抗菌薬は慎重に

アレルギー性鼻炎であれば、そのアレルギー反応を抑えるべく、抗アレルギー薬の飲み薬に加え、粘膜の炎症を抑えるステロイド点鼻薬などを使用します。

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また、細菌による鼻炎や副鼻腔炎があり、そのせいで膿がたまっているようであれば、その排除がとても大事になります。

副鼻腔にたまっている膿に対して、それを出しやすくする去痰薬や、細菌をやっつける抗生物質(本来は抗菌薬という言葉を使いますが、広く知られている抗生物質という言葉で説明します)などを考えます。

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ただし、副鼻腔炎は繰り返したり慢性化したりすることも少なくない病気ですので、毎回抗生物質を使ってしまうと、徐々に細菌が抗生物質に強くなってしまい、「耐性」を獲得し効きにくくなってしまいます。

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すると他の抗生物質に変更することになるのですが、これを繰り返していると、徐々に効果のある抗生物質が少なくなってしまい、治療がどんどん難しくなってしまいます。

抗生物質は「使うべき時に」「使うべき種類の薬を」「正しい量と正しい期間」で使っていただくことで、耐性化を防ぐことができます。
何かと抗生物質に頼る治療法には注意をする必要があります(余った抗生物質を使ったり、他の人に出された抗生物質を使うことは避けましょう)


あえて抗生物質を少なく、長期に使う特殊な方法もある

一方あえて、あるタイプの抗生物質を長期間使用することで、慢性的な炎症を抑え込めるケースがあることもわかっており、病態によってはこの治療を選択することもあります(耐性化は覚悟の上ですが、そのデメリットよりも病状コントロールできることによるメリットが大きい時に選択します

いずれにせよ、抗生物質の治療は安易に行うことなく、治療に詳しい主治医の先生とよく相談されることをおすすめしています。


他には・・・?

副鼻腔炎は、アレルギー性鼻炎によって鼻の粘膜がむくんで、それによって自然口がふさがれてしまっておこるケースもあり、この場合は鼻の粘膜のむくみを取るために、アレルギー性鼻炎と同じ治療ステロイド点鼻、抗アレルギー薬など)を加えることもあります。

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また、症状を抑えるには漢方を使用することも少なくありません。
鼻水の性状や、症状、体質によって細かく使い分ける性質のものですので、こちらも主治医の先生とよくご相談のうえご使用ください。


スギ花粉ダニが鼻炎症状の原因となっている場合は、根本的に炎症を置きにくくする「舌下免疫療法」を行うことも有用です。



最後に自分でできる、生活上の注意点についてお話ししましょう。


まずは空気をキレイに!

まずは室内にいる花粉やダニ対策の対策を行いましょう。


アレルゲンには、まず掃除機などで寝具を定期的に掃除し、なるべく取り除きます。
布団乾燥機で寝具を熱処理をすると、ダニの除去には効果的です。

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またHEPAフィルターを備えた空気清浄機加湿器による湿度管理も行い、アレルゲンがなるべく空気中に舞い上がらないように対策を行いましょう。


鼻うがいは多めの生理食塩水で

また鼻うがいも有効です。

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生理食塩水を用いた鼻うがいは、アレルゲンや分泌物を洗い流し、鼻腔内の環境を整えるセルフケアとして大変有効です。
市販の鼻うがいキットで手軽に実施できます。

150~200ml以上の、比較的多量の生理食塩水でしっかり洗い流せるキットを選んでください(当院でも取り揃えております)。


水分摂取、禁煙もして、鼻に優しい生活を

脱水状態になると、分泌される鼻水や痰の中に含まれる水分が少なくなり、粘り気が強くなって排出しにくくなってしまいます。
十分な水分補給(1.5~2L/日)を粘膜の潤いを保ち、鼻水や痰を排出しやすくしましょう。

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タバコは気道の刺激になり、後鼻漏であってもその咳を悪化させる原因になります。
禁煙は気道炎症の根本改善に欠かせません。

最後に十分な睡眠とストレスケアで抵抗力を高めましょう。


以上、長引く咳と、鼻やのどの症状との関係について、2回にわたってお話をしてみました。

長引く咳の方では、鼻やのどの要素が(患者さんによっては数年以上も・・・)見過ごされ、なかなかすっきりと治らないケースが少なくない印象があります。


一方、鼻炎、後鼻漏による咳であれば、一見何に対しても効きそうな「咳止め薬」の効果があまりない一方、咳とは全く無関係に見えるこれらの治療で咳がよくなってしまうので、患者さんも不思議がることが少なくありません。

「一通りの治療をしてもらってもなんだか咳がスッキリしないな・・・」と感じた場合は、私たちのような咳の専門医に、是非ともご相談ください!

投稿者: 茅ヶ崎・平塚 内科と呼吸のクリニック 理事長 浅井偉信

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