医師ブログ

2023.01.21更新

年が明けてからも、当院には発熱・感染症外来のお問い合わせを非常に多くいただいており、当日の枠が受付開始後数分で埋まってしまう日も珍しくありません。

コロナの流行もあいかわらずなのですが、以前のブログでお書きした、今年はインフルエンザにも注意したほうが・・・という予想が、残念ながら当たってしまったようです。

インフルエンザは全国的にも広がりつつある状態ですが、特にここ茅ヶ崎ではどういうわけだかかなりインフルエンザの患者数が増えており、現在「注意報レベル」までになってしまったとのことです。

神奈川インフルエンザ

【定点当たり報告数の保健所別推移(神奈川県 2022年第50週~第52週)】 神奈川県衛生研究所HPより

 

当院へお越しになる発熱・感染症外来の方でも、今年はコロナだけでなく、インフルエンザ陽性の方が少なからずいらっしゃいます。
私の肌感覚では全体の6~7割がコロナかインフルエンザ陽性、その中でコロナ:インフルは7:3くらいかなという印象です。

また当院でもフルロナ or フルコビットと呼ばれる、コロナとインフルエンザの同時感染の方も数名出ております(「ウイルス干渉」でどちらかしか流行ることがないとの説はずっと有力でしたが、やはりウイルスのふるまいとはそんな単純なものではなく、まだまだ予想しきれないことも多いようです)。

この冬まだしばらくの間、試練の日々は続きそうです。


一方そんな当院の外来風景で今年、例年とは少し違った兆候が見えているように思います。

なんだか今年は、1月のこの時期にやたら「花粉症」の症状を訴えられる方が多い気がするのです。

 

今年の花粉飛散予測は、例年よりも多くなる予想で、特に関東など東日本で、昨年の倍かそれ以上の飛散量が予想されています。

神奈川県の発表によると、県内のスギ林、ヒノキ林で、花粉を飛散させる雄花の状態を調べてみると、今年はスギの雄花が過去30年で最もフィーバーしてしまっているようなのです(着花点数が昨年の37.8点、平年の45.8点を大きく上回り、77.8点だったとのこと)・・・。
ヒノキもここ11年で2番目に多い状態であり、今年はかなーり花粉が多く飛ぶのは間違いないようなのです・・・ああ、もうこれ書くだけで目や鼻がかゆくなる・・・

神奈川県スギ花粉

 

神奈川県ヒノキ花粉

神奈川県HPより


思い出してみると、昨年の6~7月は季節外れの猛暑となり、40℃近くになった日もありました。
この時期の「高温・多照・少雨」が、スギの花芽の形成にはとても有利になるんだそうです。

公式発表では現在のところまだ飛散開始とはなってはいないのですが、今年は例年に比べてすでにスタンバイしている花粉が非常に多く、局所的にフライングして飛び出した花粉も多いのではと見込まれ、それが例年にないこの時期の症状を訴えられる方の多さにつながっているのでは、と考えられるのです。


ということで、花粉症の方は心してかかった方がいい2023年春、それではいつから治療を始めたほうがいいのでしょうか?


花粉症治療では、「初期療法」という考え方があります。

「初期療法」とは、花粉飛散時期前の症状のない時期(もしくはごく軽度の時期)から治療を開始する方法で、特に大量飛散すると予想される年には有効とされている治療法です。

 

目安としては例年の症状が始まる時期の1~2週間前に始める方法となり、それはちょうど今の時期にあたるのです。


ではなぜ初期療法がおすすめなのでしょうか?

 

花粉症のアレルギー性鼻炎では、症状が出ない程度の花粉の曝露でも、鼻の粘膜には炎症が起き始めていることがわかっています。

また、粘膜にある血管には、アレルギー症状を引き起こす細胞を引き寄せるタンパク質(これを「接着分子」と呼びます)が現れますが、初期治療を行うと、このタンパク質が出にくくなることが知られており、いざ本番となったときにもアレルギー症状が起きにくくなると考えられています。

(喘息もそうなのですが、)アレルギーは「燃え広がってから鎮火する」より、「燃え広がる前に初期消火をする」、もしくは「燃え広がらないように防火する」ほうが圧倒的に有利なのです。

 


そして薬の使い方なのですが、花粉症治療では主に「アレルギーの飲み薬」(抗ヒスタミン薬やロイコトリエン拮抗薬など)がベースとして用いられるので、まずはこれらを初期療法として用います。

また鼻炎ではステロイド点鼻薬(市販でよく売られている、多くの鼻づまりを治す系 ~血管収縮薬~ ではダメです。その理由はこちら)、抗アレルギー点眼薬(ステロイド点眼薬は長期に使うと眼圧が上がるため、初期療法には適していません)も、初期療法として用います。

これらの薬は効果を示すのにしばらく時間がかかるという特徴があるので、そのような意味でも早めの治療が効果的なのです。


当院に通っていただいている花粉症をお持ちの方にも、今年は特に早めにお薬をお出しし、来たる大飛散に備えるようにしています。

花粉症の方は、特に今年はお早目の治療開始、ご検討ください!

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2022.12.27更新

クリスマスも終わり、オミクロンに振り回された2022年もようやく幕を閉じようとしています。

しかし最後の最後まで当院はバタバタです・・・

寒くなってから、空気が乾燥してから、そしてコロナを含めた感染をきっかけとして、当院には日々、県内全域からなかなか治らない咳に悩まれる方からのご相談が絶えません・・・

新患の方のご予約がだいぶ先まで埋まってしまい、受診ご希望の方のご期待にお応えできないことも増えてしまっており、大変心苦しく思います・・・
急な症状にすぐに受診していただくのが難しい状態は、今の当院のキャパでは如何ともしがたく申し訳ないのですが(かかりつけの方の症状悪化はなるべく全て対応いたしますので遠慮なくご連絡ください!!)少しでも多くの患者様を受け入れられるよういろいろとやりくりをしています。

外来受診枠を増設した際の1番早い情報源は当院LINE公式アカウントになりますので、ぜひご登録の上、最新情報をご確認いただければと思います!


そして発熱・感染症外来もここ最近は数十分で枠が埋まってしまう状況です(発熱・感染症外来は毎朝8:30頃にWeb上で枠を開放しています。詳しい運用はこちら)。
12月に入り、やはりコロナも増えてきていることが実感されます。

ただ、7波までとは明らかに違う光景が見られるようになりました。

そう。ここ2年間、来るぞ来るぞといって来なかったインフルエンザが、いよいよ出はじめてきたようなのです・・・

当院でも先週頃からインフルエンザ陽性の方が出てくるようになってきました。
また近隣の教育機関でも、いわゆる「クラスター」の状態となっているところがあるようです。

残念ながら、懸念していたこの状態いよいよ現実のものとなりつつあるようです・・・


そこで今回は「コロナ」と「インフルエンザ」感染症、どこが似ていてどこが違うのか、少し考えてみたいと思います。
今回は皆さんが気になっているであろう、主に症状やその経過についての違いを考えてみましょう。
ここでは公に発表されているデータに、私の主観も織り交ぜてお話ししてみたいと思います。


症状について

やはり発熱、全身の筋肉痛や関節痛、頭痛、喉の痛みなどはどちらでもよく見られます。

ただやはりこちらのブログでもお話ししたように、インフルエンザは、突然発熱をはじめとした上記のような症状がいっぺんにでる典型的なパターンが多い印象です(日本感染症学会からも、インフルエンザの無症状感染は10%しかないとのデータがでています)。

一方コロナは、無症状に近い方からインフルエンザ以上に症状が激烈な方まで、幅広くいらっしゃいます発熱のない方でインフルエンザ抗原が陽性になる例はあまりありませんが、コロナ陽性になる方は大勢いらっしゃいます)。
症状の出方も急な方からゆっくりといろいろな症状が出てくる方まで、やはりいろいろです。

とはいっても、症状で見極めることはやはり難しいです。

当院でも周囲にコロナ患者の方がいて、かつ症状が非常に軽い場合はコロナだけの検査を行うことがありますが、基本的に典型的な症状が出てきた場合は、周りの状況に関わらずインフル、コロナどちらも検査します(家にインフルエンザの方がいても、外からコロナをもらっちゃっていた方、実際にいらっしゃいました・・・)

また喘息やCOPDなど、呼吸器の病気をお持ちでない方にも息切れが出ることがあるのが、コロナの特徴かと思います。
一方インフルエンザも咳は起こしますが、激しい息切れはあまり見ません(喘息、COPDなどが悪くなったり、インフルエンザに続いて最近の二次感染を起こしたときはその限りではありません)。

呼吸器にダメージが大きいのはやはりコロナだと思います(実際私が10年以上病院での呼吸器内科医として勤務していた間、純粋なインフルエンザウイルス肺炎は1人しか担当したことがありませんでしたが、コロナの肺炎はこの2年で少なくても30人は診ていると思います・・・)
オミクロンになって確かに肺炎の方は減りましたが、それでもまだまだいらっしゃるため、インフルエンザとはやはり違う病気なんだなというのが私の印象です。

ですので呼吸器系の重症化リスクコロナの方が断然高いです。
また血栓症などもコロナの方がリスクが高いです。

ただインフルエンザも特に高齢者では命取りになることがあるので、どちらもワクチン、手洗い、必要時のマスクなどの感染対策は必要です(年明けのコロナワクチンはコチラで、インフルエンザワクチンはコチラで引き続き受け付けています)。

あとは、コロナの方が下痢が多い印象です。
また味覚嗅覚障害もコロナに多いのはご存知の通りです。


感染から発症までの期間について

次に症状が出るまでの期間ですが、こちらもインフルエンザよりコロナの方が幅広いという印象です(WHOも感染から発症までの期間はインフルエンザで1~4日、コロナで2~14日と報告しています)。


後遺症について

最後に後遺症ですが、ご存知のようにコロナにはさまざまな後遺症が起こります。

当院の特性もあるのでしょうが、やはり呼吸器系の症状(咳や息苦しさ)が何週間、場合によっては何カ月も続くケースが数多くいらっしゃいます。

一方インフルエンザにもコロナではないにせよ、咳などの症状が続く方はいらっしゃいます。
ただ、インフルエンザ後の長時間続く咳は、大半がいわゆる「感染」をきっかけとした喘息やCOPD、鼻炎の悪化が大半なのですが、コロナの場合はこれに加えて純粋な感染後遺症としての長引く咳が一定数いらっしゃり、診断、治療がより難しいという特徴を持っているように思います。


という訳で、楽しみな年末年始を前にしていよいよ現実味を帯びてきてしまった「フルロナ同時流行」台無しにしないためにも必要な対策はしっかりとって、楽しく元気に過ごしましょうね!

それでは皆様よいお年を!

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2022.12.04更新

ワールドカップ、日本代表の目覚ましい活躍で、患者さんも寝不足の人だらけですね(笑)

私もそりゃ見たいと思っていますが、朝4時に起きて見てしまうと間違いなく臨床能力が落ちてしまいます・・・
応援できる方は、精一杯画面の向こうにパワーを送ってください!

そういえば、数年前、元日本代表の岡崎慎司選手が「アスリート喘息」であることを告白したことが話題になりました。
他にも有名どころではフィギュアスケートの羽生弓弦選手、レスリングの吉田沙保里選手などがこの病気をお持ちのようです。

 

そしてこの時期は、体育や部活,運動などで苦しくなるということで受診される方が増えるのです。

 

そこで今回はこの「アスリート喘息=運動誘発性喘息」にフォーカスを当ててみたいと思います。

喘息はこちらでも書いている通り、気管支が敏感になることで咳が出やすくなり、気管支の壁がむくんだり、炎症の結果痰が多く分泌されるようになるために空気の通り道が狭くなり、ゼーゼー、ヒューヒューいったり、息苦しくなる病気です。

喘息模式図

その喘息が起きるにはいろいろな原因があります(アレルギー、感染症、環境などなど)が、その中でも「運動」が原因となる場合があり、これを「運動誘発性喘息」と呼んでいます。

運動誘発性喘息は気道に乾いた、冷たい空気が多く入ってくることによっておこると言われています(一方、喘息を持たない人が、運動の時だけ同じような症状が起こることがあり、これは「運動誘発性気管支攣縮」とよばれています)。

具体的には、乾いた空気が入ることで気管支表面の細胞から水分が失われ、それが刺激となっていろいろな炎症が起こるのではないかと言われています。
冷たい空気は温かい空気に比べ、含まれる水分量が少なくなるため、より細胞の渇きが強くなっていまい、寒く、乾燥するこの時期に症状が出やすくなってしまいます。

また当然運動量が増えると口呼吸となります。
口呼吸は
、副鼻腔で加温・加湿された空気を取り込める鼻呼吸と比べて、冷たく乾いた空気が入ってきやすくなる上、「鼻毛」というフィルターを通さない分、様々な異物・刺激物を通過させてしまうため、気管支の刺激になってしまいやすいのです。

 鼻呼吸、口呼吸

そしてこの現象は、より冷たく乾いた空気が多く入る、マラソンサイクリング、走る距離の長いサッカースキースケートなどのウインタースポーツで起きやすいと言われています(今回のワールドカップでも鎌田大地選手は初戦のドイツ戦で12km以上走ったそうです。野球部だった私には到底想像できない運動量です・・・)。

一般にはあまり知られていない病気のため、このような状態になっているのに気づかない方もいらっしゃいます。
最近急にパフォーマンスが悪化した、成績が急に落ちたということで、心配された監督やコーチから医療機関を受診されて診断できたケースも少なくありません(他に、特に女性の場合なら貧血なども原因として考えておく必要があります)。

さて、このような運動誘発性喘息が起きた時、一番皆さんが心配されるのは、「私は運動をしてはいけないの?」といったことです。
実際、当院に来院される方のお話しでは、他の医療機関や学校で運動を避けたほうがいいとずっと言われていたため、体育を何年も休んでいたという方もいらっしゃいました。


結論から言うと、運動をあきらめる必要はないのです!あきらめてはいけません!

しっかりと対策をすればほとんどの場合、症状はしっかりとコントロールができるからです。

事実、運動誘発性喘息、つまりアスリート喘息は、一般の方よりアスリートの方に有病率が高いと言われています(より激しい運動で誘発されやすくなるので、当然と言えば当然です)。

しかし、しっかりと対策をしてパフォーマンスを維持できた多くのアスリートが輝かしい実績を残すことが出来ているのです(上記に挙げた3人はいずれも世界トップクラスの実績を残しましたよね)。
「正しい治療」を行った場合、そのパフォーマンスに影響は出ないことがわかっていますImmunol Allergy Clin North Am. 2018 May;38(2):205-214

 

ではどのような治療をすればいいのでしょうか?

 

まず、一番有効性が高いのが、運動をはじめるちょっと前(5~20分前)に、気管支拡張薬の吸入薬(サルタノールとかメプチン)を使用することです。
これは効果がすぐに現れ、2~3時間効果が続くとされています。

また「キプレス」「シングレア」「オノン」などの、ロイコトリエンという炎症性物質の働きを抑える薬も有効性が高いというデータも出ています。

そして喘息についてはしっかりと吸入ステロイド中心とした喘息予防薬を使用しつづけることが大事になります(運動誘発性喘息ではなく単なる気管支攣縮なら必要ありませんが、喘息は診断まで数年の間ずっと見逃されていた例にしばしば出会いますので、喘息がないという判断はかなり慎重に行う必要があります)。

喘息のコントロールが悪いと、当然ながら運動時に症状は明かします。

さらには、薬剤を使用しない方法も試してみたいところです。

例えばウォーミングアップとして、運動強度を10~15分かけて徐々に強めることで、気管支の炎症反応を起こりにくくする効果があるとされ、こちらは結構データがそろっています。Am J Respir Crit Care Med. 2013 May 01;187(9):1016-27

また肥満がある場合はやせることで気管支の炎症が起こりづらくなることもわかっています。Respiration. 2015;89(6):505-12

他にもマスクを着けた運動なども有効性が考えられていますが、そもそもマスクだと強度の高い運動はしづらくなるので、やはりしっかりと薬剤を使用したほうがよさそうです。

レベルの高いアスリートだと、ドーピングなども気にしなければいけないことになりますが、基本的に吸入ステロイドを基本とした長期管理目的の吸入薬は、ほとんどが全く問題なく使用できます(エナジア、アテキュラのみまだ使用できず、特例申請が必要です。レルベア、テリルジーは2020年まで禁止でしたが、2021年から使用可能となっています)。

「発作止め」に当たる吸入気管支拡張薬については、サルタノールは申請なく使用可ですがメプチンは通常使用できず、どうしても使用しなければならない場合、特例申請が必要となります(もちろんメプチン錠、メプチンミニ錠など、メプチンの内服薬も使用できません。そもそも現在の治療で、どうしてもこの薬がないといけない場面は、私はほとんどないと考えていますが・・・)。

内服薬もキプレスなどのロイコトリエン受容体拮抗薬、それに抗ヒスタミン薬(いわゆる花粉症の薬ですね)は申請なく使用できますが、よく巷では使用される「ホクナリンテープ」は通常使用ができないので注意が必要です。

内服のステロイド薬(プレドニン錠、デカドロン錠、リンデロン錠など)はもちろん使用できません。
(なおこの情報は2022年時点のものになりますので、最新情報は都度ご確認ください)。

喘息治療薬とドーピング

 

という訳でなんだか最近運動すると苦しいなと感じられた方、まずはお近くの呼吸器内科(お子様なら小児科)に、お早めにご相談ください!

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2022.11.09更新

一通りの改装工事から約1か月半が経過しました。
改装工事後のクリニックは、もちろん快適性が大幅に増し、居心地のいい空間にはなっていますが、やはり運用面では工事前には予期していなかったことも多く起き、まだまだ試行錯誤が続いています。


そして改装後はさらに多くの方にお越しいただくようになり、いよいよ深刻なスタッフ不足・・・

運用面でも患者様には多くのご迷惑をお掛けしてしまうことがあります。

ソフト面、ハード面双方でまだまだ当院は改良が必要な状態であり、スタッフ一度頑張って対応いたしますので、今しばらくお待ち頂ければと思います(もし当院の仲間になってお力になっていただける看護師の方医療事務の方がいらっしゃいましたら、是非お力をお貸し下さい!!)


という訳で、すっとバタバタな院長はこの1か月、全くブログに手を付けることができませんでした。
このままズルズル行くと更新が止まってしまいそうだったので、心をオニにして、深夜に記事を書く決心をしました!


最近はどうしてもコロナ関係の記事が多くなっていましたが、やはりここは初心に帰り、当院のキモである「咳」について書いてみたいと思います。

 

以前にもお話しした通り、咳は3週間以内で改善する「急性の咳」と、8週間以上続く「慢性の咳」に大きく分けられます(3週間~8週間はその中間となり、両方の特徴が交じり合います)。
3週間以内で改善する「急性の咳」は、多くが感染症(多くがウイルス、時に細菌)です(もちろん「慢性の咳」の出始めという可能性も否定はできません。しかしその場合は、今回の咳の前にも何かしらの似たようなエピソードがあることがほとんどです)。


そして、当院が一番治療に力を入れている「長引く咳」、つまり「慢性の咳」は、その原因が非常に多岐にわたります。


その中でも一番多いのが、(咳喘息や気管支喘息を含む)「喘息」です。


「長く続く咳」のうち、約7割がこの喘息と言われており、私の外来でも確かに少なくても半分強の方は喘息の要素を持っておられるように感じます。Niimi A et al. Cough Variant and Cough-Predominant Asthma are Major Causes of Persistent  Cough: A Multicenter Study in Japan. J Asthma. 2013 Jul 11.


しかし、思いのほか、他の原因で咳が続くことも少なくありません。

その原因としてすべてを列挙して説明しようとすると、1日かけても説明しきれないので、実際に比較的多く見かける原因について、2つ挙げてみようと思います。

 


まずは、鼻やその後ろの炎症によって鼻水ができ、その鼻水がのどの奥をつたって喉にたまってしまう「後鼻漏」という状態です(実はコロナ後の咳でも、これが原因であることが少なくありません)。
この「後鼻漏」を引き起こす原因として、やはり一番多いのが「アレルギー性鼻炎」となります。
花粉症やハウスダストなどによって引き起こされる鼻炎で、基本的にはさらさらした、水っぽい鼻水が喉の奥に落ちます。

この場合、アレルギー性の炎症性物質を含むため、喉の奥がかゆくなることが少なくありません。


また、いわゆる蓄膿といわれる「副鼻腔炎」も後鼻漏を引き起こします。
副鼻腔炎はその原因によって治療法が変わるため、それを見極めることも必要です。
副鼻腔炎による炎症が起こると、鼻水はドロッとした、色のついた鼻水になることが多いです。


これらによる咳の場合、咳の出方に特徴が出る場合があります。


喘息では、比較的咳がずっと続いていることが少なくないのですが、後鼻漏による咳は、一回出るとしばらく止まらず、咳ができるとピタッとやむというのを繰り返すことが多いです。
流れ落ちた鼻水が一定量たまると咳が出始め、咳によって全て痰が出きると咳がやむとのを繰り返すからと言われています。

そして仰向けで悪化するというのも一つの特徴です。やはり仰向けだと喉の奥に流れ込みやすくなるためだとされています(横を向いて寝ると少し良くなったりします)。

 

 

次によく見られるのが、胃酸が食道に逆流をして、その刺激で咳が出てしまう、「胃・食道逆流」と呼ばれる状態です。


胃酸は結構強い酸です。その胃酸が何かしらの原因で食道に逆流してしまうと、食道にある粘膜を刺激してしまいます。
食道の下部には、迷走神経という神経が分布しており、一方気道にも迷走神経が分布しています。食道の迷走神経が胃酸で刺激されると、反射的に気道の迷走神経も刺激されてしまい咳が出てしまうとされています。

また逆流した胃酸のうち、微量の胃酸が誤嚥されてしまうこともあり、微量ながらも強い胃酸が気管・気管支を刺激して咳を起こすというメカニズムも考えられています。


この咳は、肥満や最近体重が増加した人に多く、また食後や夜横になったときに症状が出やすいとされています。

また喉の押される感じや違和感を感じることが多いのも特徴です。

 

胃カメラで「逆流性食道炎」食道の粘膜の炎症が見られなくても、胃・食道逆流の可能性は否定できないというのがまた我々にとっては悩ましい所です(多少の逆流なら粘膜を傷つける訳ではないのですが、それでも刺激は与えて、咳をきたしてしまう可能性があるからです)。

 

そして、これらの診断をさらに難しくするのが、「喘息」「後鼻漏」「胃・食道逆流」は、お互い被ることがあるということです。

例えばここでもお話しした通り、「アレルギー性鼻炎」は「喘息」と一緒に存在することが少なくありません(どちらもアレルギー性の炎症で、起きる場所が違うだけという考え方です)。
副鼻腔炎でも、アレルギー性の副鼻腔炎では同様のことが考えられます。


「喘息」と「後鼻漏」は、残念ながら相性が良いのです・・・

 

一方「胃・食道逆流」はどうでしょう。


こちらも「喘息」が影響する場合があります。
喘息で咳が止まらなくなった時、その咳はお腹に腹圧をかけます。すると胃が押されてその勢いで胃酸が逆流することがあります。
そして、胃酸の逆流によって咳がでると、更に腹圧をかけてしまい、より多くの胃酸が逆流をして咳が悪化するという悪循環に陥ることもあります。


もちろん「後鼻漏」による咳がきっかけでも同じことは起こります。

 

これら3つは容易に被ることはあります(不幸なことに3つ被ってしまっている例も時々見られます)。

全て見抜いて治療をすることで初めて症状はコントロールできます。
どれか1つでも見逃すと、症状はなかなか良くならないのです。

 

もちろんこれ以外にも私たちが考える原因はタヒぬほど多くあります(他に想定すべき20~30種類以上の病気、その想定される病気の強さ、それぞれの薬が正しく使われているかどうか、それに患者さんの置かれている環境などなど・・・)

それらを見抜くことで、初めて咳の治療は成り立つと、私たちは考えています。

 

とにかくこの時期、長引く咳に悩まれる方はこんなにも多いのかとびっくりします。

受診を希望される方を長くお待たせしてしまっているこの状況は、ただただ申し訳なく思う限りです・・・

受診ご希望の方は、お早めに受診のご予約いただけますよう、よろしくお願い致します!

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2022.10.06更新

当院の院内改装も、ようやくゴールに近づきつつあります。


9月24日まで行った第2期工事では、診察室とは廊下を挟んで反対側のエリアを中心に行いました。

まずは検査室

検査室
いままで散り散りになっていた検査機器をほぼ一か所に集めて、より動線が分かりやすくなりました。

 


また、心電図検査に関しては、新たに専用の心電図室を設け、患者様が気軽に上着などを脱げる環境を作りました。

心電図室

 


こちらは内視鏡室ですが、広さはやや狭くなったものの、より効率的に配置換えを行い、この部屋で超音波検査も行えるようにしました。

内視鏡室

 


廊下ですが、内視鏡室からスペースを多少もらい、待合席を数席増設し、なるべく一人でも多くの方がお座りになってお待ちいただけるようにしました。

廊下

 

 

そしてこちらが発熱・感染症外来待合室になります。

発熱外来

トイレを移動させ、患者さんがお待ちいただくスペースをさらに大きく確保しました。

1期工事終了後より、より余裕をもってお待ちいただけるスペースを作りました。

 

3期以降では主に収納などの新設を行うので、動線としてはこれでほぼ完成です。

 

またソフト面でも、電話自動応答システムを導入しました。
今まで応対業務で職員がなかなかお電話に出られず、皆様にはご迷惑をお掛けしておりましたが、電話自動応答システムの導入で、皆様によりスムーズにご案内できるようにします(併せて受付業務の迅速化も目指しています)。

 

まだまだ慣れないことも多い新体制ですが、少しでも皆様が受診しやすいクリニックになれるように、引き続き頑張っていきます!

 

さて、当院のインフルエンザワクチン接種は10月11日より開始することとなりました。
今年は現時点では比較的ワクチン入荷に余裕があるため、当院おかかりつけの方は予約なしで受診時に接種いただける見込みです。

ワクチンのみご希望の方は後日改めてワクチン接種専用予約枠を作成いたしますので、今しばらくお待ちください。

 

 

で、本題。


今年のインフルエンザはどうなるのでしょうか・・・


正直、一昨年、昨年とほとんど流行することなく終わっており、昨年ブログでも「念のため流行には注意しましょう」と呼び掛けていた私にとっては、やや気まずいのも事実です(とは言っても、呼びかけたこと自体は間違っていないのですが。何事も悪い方に備えるのは鉄則ですので)。


毎年「流行る流行るサギ」みたいになってしまうのは正直いやなのですが、それでもやはり今年は警戒しておいたほうがいいのかもと、私は思っています。


一般的にインフルエンザの流行状況は、南半球で先取りすると言われています。
まずここ数年の日本。ご存知の通り、ここ2年は全くと言っていいほど患者がいませんでした。

日本 インフル


一方、南半球のオーストラリアの状況ですが、オーストラリアも2020年、2021年とほとんどインフルエンザの患者は出ませんでしたが、2022年に入り4月下旬からインフルエンザの患者数が増加し、コロナパンデミック前の2015~2019年よりもむしろ多い患者数となっています。

オーストラリア インフル
またブラジル2022年初旬に大流行を起こし、多くの死者を出しました(こちらは季節外れの夏~秋に流行した、やや珍しいパターンでした)。アルゼンチンも同様です。

ブラジル インフル

アルゼンチン インフル
そしてアメリカですが、こちらも北半球にもかかわらず、2022年の夏にかけて、インフルエンザの患者が出ています。これは他の北半球のいくつかの国にも見られた現象です。

アメリカ インフル
他の国も見てみたのですが(皆さんも下のリンクから見てみてください)、実は2020年のパンデミック発生以降、インフルエンザ患者が発生していない国はむしろ非常に珍しいのです(日本、韓国、香港などアジアがほとんどです)
WHO Influenza virus detection charts(世界各国のインフルエンザ発生者数)


ここら辺を考えてみると、日本にいると実感がないのですが、やはりインフルエンザウイルスは残念ながら未だ健在なのです。
そして、他国の様子を見ると、例年と違う時期に流行が発生する可能性が否定できないのです。

一方、今年も例年ほどは流行しないかもしれない要素もあります。

パンデミックからインフルエンザ患者をほとんど出していない東アジアの国々は、わが国を含め、欧米や他の地域の国と比べ、未だに厳しめの感染対策を行っている国々です(それが正しいかどうかはここでは置いておきます)。

新型コロナはインフルエンザよりはるかに広がりやすい疾患です。
今の日本のような感染対策だと、感染力の強い新型コロナには無力化もしれませんが、インフルエンザにはまだ効くかもしれません。

たださすがに日本でも以前ほど対策は厳格ではなくなっており、この状況を縫ってインフルエンザが広がっていく可能性もあり得ます。

また新型コロナも当然のことながら他国でもまだまだ感染者は出ており、実際にコロナ・インフルの同時流行は当たり前に起きているのが世界の現状です。


と考えると、やはり今年こそは流行する可能性はあると考えなければなりません(「こいつまた言ってんな」と言われてしまいそうなのがツラいとこなのですが・・・)


という訳で、今年もインフルエンザワクチンを打った方がいい理由は以下の通りです。

まずはいつもの年と同様、高齢者ではインフルエンザの予防接種は重症化を予防することができます。

65歳以上の方に対しては発病予防効果34-55%死亡予防効果82%と報告されていますPrevention and Control of Influenza. Recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices, 2008. MMWR 2008:57(RR07):1-60
また若い方に対しても、アメリカの軍隊内の若い兵士を対象とした報告で70~90%の発症予防効果があるとされていますDavenport F : Control of influenza, symposium on influenza. Med J Aust Spec Suppl 1973 ;1 : 33-38


加えて、やはりコロナ患者さんの増加と重なったときの、受診のしづらさは確実に起きるだろうということです。

私も9月にコロナに罹りましたが、正直インフルエンザの症状とよく似ており、検査をしないと見極めはおそらく不可能です。

そしてパンデミックの前のような、通常外来に多くの発熱患者さんがいるという世界線はおそらくしばらくは目にすることはないでしょう(私は、やはりインフルエンザはまだコロナとは同列には語れないと思っています。ここ最近多く目にするコロナの後遺症の多さはやはり脅威で、これは(少なくとも従来の)インフルエンザにない特徴です)。

発熱した場合、症状がつらい場合、そんな時にやはり不安の中で過ごすことになるのは精神的にも応えます。

もちろん我々医療機関も正直第7波の状況の再来はできれば避けたいのが本音です(もちろんそのような状況になればやるしかないのですが・・・)

個人の視点からも、社会の視点からも、そのリスクはなるべく下げておくべきだと思います。
幸い今年はインフルエンザワクチンの供給不足の情報は流れておりません。一昨年、昨年よりは接種しやすい状況かと思います。

他国のようなイレギュラーな時期の流行があるかもしれないという現状では、今年は少し早めの接種も考えておいてもいいかもしれませんね。

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2022.09.11更新

私、院長は9月1日にコロナ感染が判明し、院長外来はこの10日間、休診期間を頂きました。
この間は加藤医師の診療で対応させていただきました。


この間に受診予定だった方には受診日時の変更や、担当医師の変更など、多大なるご協力を頂きました。
ご協力いただいた方々にはこの場を借りて深くお詫びを申し上げるとともに厚く御礼申し上げます。


なお、9月12日からは通常の診療体制となりますが、16日、17日の院長診療に変更がありますので、詳しくはHPの最新情報をご確認ください。

 

そこで今回は自らがコロナ感染をしたその記録、そしてその立場から考えた雑感を書いてみようかと思います。


私は9月1日に抗原検査で感染が判明したわけですが、発症は前日の就寝中でした。
改装による19日間の休診を経て8月26日から診療が再開し、来院いただく患者さんが非常に多い状態で多忙を極めており、私自身は診察に集中していたこともあって、まったくと言っていいほど体調の変化は感じていませんでした。

特に31日は忙しく、家に帰ってきた時には0時を回っていました。

帰ってきて風呂に入った後に布団に入りましたが、首と腰が張る感じがあったもののいつものことと思い就寝しました。
ところが2時間ほどたち、その首、腰の張りがいつもよりもかなり強い感じを自覚しました。


「相当疲れてるな」と思いながらも、「万が一そうだったら」と思い、寝室から出て自主的に隔離を始めました。


翌日朝にはその張りはさらに強くなり、いよいよこれは通常とは違うなと感じる程度となりました。
この時点で抗原検査を行ったところ陽性の反応が出ました。


まずこの首、腰の張りは陽性後3日目がピークでした。
ピークのころは横になってなるのもしんどいくらいの首、腰の痛みを自覚し、一時は頭痛にもなりましたが、カロナールやロキソニンを内服するとその痛みは半分程度に紛れる感じでした。

発熱は2日目の夜のみ37.6℃を記録しましたが、その後はずっと平熱で推移しました。
食欲などはほぼ落ちることはありませんでした。

2日目ごろからは喉の痛みが出現、その翌日には多少の空咳がでてきました。
のどの痛みは3-4日目がピークでしたが、食事をとるのに支障があるほどではありませんでした。
空咳もこのころがやはりピークで、徐々にのどの後ろに流れ落ちる鼻汁(後鼻漏といいます)が痰となる咳に変化しつつ咳は減少、現在は0ではないものの1日2-3回程度まで減少しています(これは一般的に「風邪」の典型的な経過となります)。

幸い味覚障害や倦怠感などの、いわゆる「後遺症」と呼ばれるような症状は今のところ残っていません。
これは本当に人によりけりなのでしょう。


この自らの療養期間の最中に、療養期間の変更というニュースが飛び込んできました。
(発症日を0日目として)有症状者は10日→7日、無症状者は7日→5日というものです。

私の療養7日目にこの方針が実施されると発表されたこと、その規定で解除となる9月9日にはほぼ症状が残っていなかったことから、この日から診療を再開することは不可能ではなかったのですが、立場上皆様に少しでも感染リスクが否定できない状態での診療再開は好ましくないとの判断で、かつての規定通りの10日間の療養とさせていただくこととしました。


そこで、この7日間への療養期間短縮が妥当だったのか、今一度考えてみます。

以前のブログにも書いたように、オミクロン株の場合、PCR陽性からウイルスが検出されなくなるまでの期間は平均5日程度とされています。N Engl J Med 2022; 387:275-277
ただそれにもばらつきがあり、軽症患者であっても約25%の人が発症後8日を経過後にウイルスのRNAが他者に感染できるレベルの量で検出できる状態であったとの研究もあり、これはオミクロン株とデルタ株で、そしてワクチン接種と未接種でその割合に差はなかったとまとめられていますTownsley, H.et al.Preprint at medRxivhttps://doi.org/10.1101/2022.07.07.22277367
そして、様々な今までの研究から、感染性が10日以上継続することは非常に珍しいことがわかっていますhttps://www.nature.com/articles/d41586-022-02026-x


では、現時点での隔離期間はどれくらいが適切なのでしょうか。

結論から話すと、絶対的な正答はありません。

しかし今回の経験を経て、私の私見では7日間の隔離は妥当ではないかと考えています。


確かに8~10日目は約1/4の人に感染の可能性が残るのは事実です。
しかし10日間という期間は、社会的には非常に負担に感じる期間でもあります。
私は10日間を守りましたが、10日間何も行動ができないというプレッシャーによって、検査や診察に行かなかったり、自主検査で陽性が出てもそれを報告しない人が出てくる可能性は十分ありえますし、そうしたくなる人の気持ちも手に取るようにわかりました。


この期間が長くなればなるほど、正しく診断されない人は増えるでしょうし(極端な話、隔離が1年だったら、検査を受ける人はほとんどいないでしょう)、短くなればなるほど、そのプレッシャーは軽くなります。


もちろん短くすればするほど、社会の中に感染性を有する人は増えます。
しかし長くしても(正直に申告する人が減るので)やはり社会の中に感染性を有する人が増えるというジレンマが生じます。


これは白黒で決められるものではなく、お互いの変数の掛け算で決まるものなのです。


その中でバランスが取れる期間を設定する必要があるのですが、私個人としては少なくても現時点では、7日間はそのバランスをとれた適切な期間設定ではないかと思います。

確かに8日目の時点で感染性のある人が25%は残りますが、その人たちも一般的には感染性のピークは過ぎているのは事実です。

それにより発生するリスクが。隔離期間を短くすることで得られるメリットを下回ればいい
わけです。

もちろんトータルでなるべくリスクの少ない状態を作り出すことが必要ですから、療養期間が明けて数日は、リスクの高い行動を控える、つまり室内や三密状態でのマスクを外す、会食や会合は避けるなどの、通常よりも徹底した感染予防が必要だと思います。


しかし、隔離期間の短縮は世界の趨勢です(アメリカやフランスは通常5日、韓国でも7日だそうです)。
どの国もそれぞれの方法でバランスを取り始めているわけです。

コロナは普通の風邪と一緒だというつもりもないですし(この時期にこれだけ流行って、様々な症状が残る風邪はいまだに見たことがありません)、一方ゼロコロナを目指すような政策もデメリットが大きすぎてすべきではないでしょう。

みんながうまくバランスを取りつつ、お互いの考え方も理解して、落ち着いて行動できる、「平和な」社会になってほしいと強く感じる次第です。


今回の経験を通じて、恥ずかしながら実際に感染をした場合の状況を実感できました。
皆様にご迷惑をおかけした分、今後の診療に少しでも活かしていきたいと思います。

明日からしっかり頑張ります!また皆様宜しくお願い致します!!

 

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2022.08.23更新

もう一回改装工事の様子を公開すると言っていたのに、もう工事がほとんど終わりになってしまいました・・・

休み中に、この時期にしかできない仕事をすすめておけばよかったのですが、「まだ大丈夫、まだ大丈夫」と思っているうちに瞬く間に日が過ぎ、お尻に火がついているこの頃です。

結局ブログを書くのが後回し・・・

 

あぁ、オレ小学生のころから変わってねーな・・・

 

という訳で、かなり完成に近い状態となってしまっていますが、診療再開を前に今の状態を少し公開したいと思います。

 

 

まずは受付。

改装工事

このように、とうとう新しいカウンターが入りました!

今までより大幅に広くなり、同時に4人の方の受付、会計が行えるようになり、スムーズに受付を通過できるようになると思います。

そして、

改装工事

こちらは自動釣銭機。

 

コンビニでよく見るアレと同機種です。

今回はこの自動釣銭機を思い切って2台導入し、少しでも受付のスピードアップを図ります。

今のところ1台は患者さん自らが操作する端末、もう1台が職員が操作する端末として運用していこうと考えています(うまくいかないようであれば変えちゃいます)。

 

ちなみにジムチョー室も新設(今まで血圧計を置いていたところがすこし削られます)。

改装工事

ここにジムチョーを押し込みます(*^-^*)

 

受付も今まで乱雑に見える当院でしたが

改装前

ずいぶんスッキリした受付の姿に変わりそうです。

 

次に診察室。

こちらは第1診察室です。

改装工事

第2診察室との仕切りは木目調のデザインにし、だいぶ印象が変わりました。

 

こちらは第2診察室。

改装工事

デザイン、広さともに第1診察室とほぼ同様となりました。

そして壁紙、床、照明ともにすべて入れ替え、かなり明るい印象になっています。

今まで院長の診療は第2診察室で行っていましたが、今後は第1診察室に移る予定です(加藤先生、髙倉先生などの診察が第2に移ります)。

待合から私の診察室が少しだけ近くなる見込みです。

 

次に廊下、中待合から発熱・感染症外来に至る通路(真ん中)と、レントゲン室(右入口)です。

改装工事

廊下と中待合の間にも扉が設置され、完全な隔離が可能となりました。

レントゲン室へのアクセスも良くなります。

 

最後に発熱・感染症外来待合(手前のぐっちゃぐちゃな所)と、その奥の発熱・感染症外来専用診察室です。

改装工事

こちらは今までより外気を取り込みやすい位置となっており、またクリーンパーティションも増設する予定ですので、今までより安心感が増すかなと思います。

椅子とかが並べば、また雰囲気がわかるかと思いますので、完成したらまたきっと掲載します。。。

 

という訳で、明日からいよいよ荷物の搬入、復元です。

果たして2日でできるのか!?

オレ、家に帰れるのか!?

 

楽しみながらみんなで作業をして、26日に笑顔で皆様をお迎えしたいと思います!!

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2022.08.16更新

当院は現在改装工事にてお休みをいただいております。

世の中はまだまだコロナ感染者数が落ち着いている状況とは程遠く、この期間にお力になれないのは申し訳ない限りですが、再オープン後は今まで通り、少しでも社会のお役に立てるクリニックでいられるよう、職員一同精いっぱい診療に取り組みます!

 

ということで、今回は今の工事の進捗状況を簡単にお写真で紹介してみます。

まずは受付から。

(前回のブログでも掲載しましたが)30年以上頑張った大理石のカウンターでしたが

改装

このように撤去され

改装

新しいカウンターを受け入れる準備を整えています。

 

次に廊下です。

こちらは中待合から裏入口(現在の発熱・感染症外来入口)を望む方向の写真ですが、

改装

途中にある壁が壊され、向こう側の裏入口とまっすぐの動線となりました(今後この間に扉ができ、通常診察室と発熱・感染症外来待合室が区切られます)。

改装

 

 

次に第2診察室(今までの院長診察室)です。

改装

このように診察室の後ろに壁ができました。

改装
それはなぜかと言うと・・・

 

こちらは中待合の受付から遠い側(身長体重計と視力・呼吸機能検査エリア)になりますが

改装

このように

改装

2つの入り口が新設されました。

手前側は

改装

このように第二診察室に通じる新しい通路です(この写真の右側の壁の裏が、先ほどお出しした第2診察室後ろに新設された壁になります)。

患者さんと職員の動線の重なりを極力減らす構造としています。

 

そしてもう一つの入り口は

改装

こちら、新しいレントゲン室の入り口となります。今までよりもレントゲン室へのアクセスが良くなります。

 

最後にこちらは元発熱・感染症外来待合エリアでしたが、

改装

間に壁が出来ました。

改装

向こう側の空間が今回新設した、常設の発熱・感染症外来診察室となり、手前側がその待合エリアとなる空間です。

こちらはその診察室を中から見た光景です。

改装

改装

 

 

工期はもう半分です。この後、また劇的に変化します。またお知らせしますのでお楽しみに!!

 

またこのホームページも(予定よりかなり遅くなってしまいましたが)改装とほぼ同時のタイミングでようやく全面改装をすることとなりました。

こちらも近日中に公開いたしますので今しばらくお待ちください!

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2022.08.10更新

怒涛の1週間が終わりました。


改装前の、過去に例を見ない長い休診期間を前に、先週は非常に多くの患者様にご来院頂きました。
加えて発熱外来、ワクチン接種の方々にご来院頂いたことで、当院はもうそれは目の回るような忙しさでした。

先週は実に平均1日200人ほどの患者様にご来院頂き、皆様には大変な混雑でご不便をお掛け致しました。


ただ幸いなことに、私たちの肌感覚では、第7波はピークを過ぎつつあるように感じます。

7月中旬~下旬は、朝の受付開始からおよそ数十分で発熱・感染症外来の枠が埋まり、かつ抗原検査の実に8~9割が陽性となってしまう惨状でしたが、最後の1週間は午前の終わりや日によっては午後まで発熱・感染症外来のお受け入れを行うことができ、抗原検査の陽性率も半分を割るくらいまで落ちてきていました。

もちろんまだまだ波は続いてはいるのですが、ピーク時に当院が休診期間に入らずに発熱・感染症外来が全うできたようなのは本当に良かったなと思います。

結局第7波に入って以降、当院ではこの約1か月の間に350人ほどの発熱・感染症外来のお受け入れを行い、約200名の新型コロナ陽性患者さんの診断を致しました。


その中でこのコロナ禍、そして第7波で感じた雑感を今日はここに残してみたいと思います。

今回の第7波では、症状はいわゆる発熱、だるさ、喉の痛みといった「普通の風邪」の症状で済む人が数多かったのは確かですが、中には肺炎にまで進行していた方や、酸素飽和度が低下して、酸素の体への取り込みが悪化してしまった方、そして数日間食事がとれず脱水気味になってしまった方も確かにいらっしゃいました。
若い方でもそのようになってしまった方がいらっしゃいましたし、またこの波では「後遺症」や「症状の長引き」としてのだるさ、頭痛、呼吸器症状などの多彩な症状が良くならないと訴えられる方も非常に多かったです。

やはりオミクロン株とはいえ、まだまだ「普通の風邪」では済まない人は一定数でてしまうんだなという印象でした。


一方そして、ワクチンの効果も実感した第7波でした。

確かに3回ワクチンを接種して感染した方は少なくなかったのですが、そのうちのほとんどの方が非常に軽い症状で済んでいました。
一方、率直な肌感覚では、若い方を中心にワクチン未接種の方や、2回目接種から時間が空いてしまった方に比較的症状が重い方が多かった印象です。

とはいっても、2年前、1年前に比べれば、我々もワクチンや治療薬といった新たな武器を手にし、一方当初よりも確実に弱毒化が進んだことも事実です。

前回のブログでも述べたように、それぞれ個々のリスクに応じて、その人にあった感染対策を取ったうえで適度にコロナを受け入れざるを得ないんだろうなとも思った第7波でした。
普通の風邪の症状で済んでしまった多くの方にとっては、発症から10日間の自宅隔離はいささか長すぎるのではと、かわいそうにも思いますし、いざ自分に置き換えて考えても10日間家に隔離されるのはそれ自体が恐怖です。
確かに10日以内の解除だと他者への感染リスクは0にはならないかもしれませんが、今年7月に発表された報告では(サンプル数が小さいものの)オミクロン株の場合、PCR陽性からウイルスが検出されなくなるまでの期間は5日程度とされておりN Engl J Med 2022; 387:275-277隔離解除後も数日は十分な感染対策を取ることを条件に、もう少し短くなってもいいんじゃないかなと思うのが正直なところです(もちろん症状が長引いたり、重くなったりした場合は話は別です)。


そして、もうしばらくは「インフルエンザと同じ5類感染症運用」は難しいとも思います。

やはりオミクロン株とはいえ、今はまだ「普通の風邪」で済まない人もいらっしゃるのは事実です。
またこの時期にこんなに流行る風邪を今まで我々はそう経験したことはありません。

やはり今でも新型コロナはインパクトのある感染症です。


そうした中、コロナを5類感染症にしたところで、コロナ禍以前みたく通常の待合室に発熱患者さんがお待ちいただく構図が社会的に許されるようになるわけではないのではないでしょうか。
単純に5類にしたらどの医療機関でも簡単に診れるようになるというのは現場を知らない人の幻想でしょう。
5類の目的がここにあったら絶対に社会や医療現場は混乱します。

2類に残すにせよ5類に移行するにせよ、行政と医療機関の連携を切らないようにしたり、負担をおそれて受診しないことで病状悪化のリスクを上げることがないよう、公費治療の枠組みは残したりと、弾力的に考えて頂かないとうまく回らない気がします。





という訳で、当院も一度ここで一時的に最前線から離れることになりました(もちろん再開後はいままで通り全開で頑張ります!)。ここからは改装に関して、すこし情報を。

今回の改装は、現在3期~4期にわけて工事を行う予定で、今回の1期工事が最大となります。
今回は受付エリアから診察室にかけての改装レントゲン室の移設発熱・感染症外来診察室の恒久設置化を中心に行います(受付エリアは窓口を最大4つに拡大し、併せて自動釣銭機を導入することで、少しでも受付でのお待ち時間を減らせるようにする予定です。)

早速月曜から工事が開始となり、30年以上頑張ってくれた受付カウンターも、すでに旅立ってしまいました・・・

受付工事

そして2期工事は9月のシルバーウィークを利用し検査室エリアの拡張廊下の拡張発熱・感染症外来待合エリアの拡張を予定しております(1期工事と2期工事の間はほんの少しですが、待合エリアが小さくなってしまう可能性があります。ゴメンなさい・・・)。

3期工事以降は未定ですが、いろんなところの見た目が変わることを考えています。


という訳で、皆様にはご迷惑をお掛け致しますが、当院の機能をさらに向上させる改装工事となります。
当院の診察再開まで、今しばらくお待ち頂ければと存じます。

なお、当院が休診の間は、その分発熱患者さんを受け入れられる医療機関が少なくなってしまっています。
ましてやこれからお盆の時期で、開いている医療機関もさらに少なくなってしまうことが予想されます。

現在発熱して、医療機関にどうしても受診できない場合は、行政から配布されている抗原キットを利用し、陽性であれば、重症化リスクがなければ自主療養を届け出していただくことが可能です。

解熱薬に関してはアセトアミノフェン(商品名:カロナールなど)が推奨されておりますが、今は大変な品薄になっています。
ロキソプロフェン(商品名:ロキソニンなど)やイブプロフェン(商品名:イブなど)など、当初コロナの重症化が危惧された解熱鎮痛薬についても、コロナに関してはあまり悪さをしないというデータも多く出てきておりLancet Rheumatol. 2021 Jul;3(7):e498-e506. Drug Saf. 2021 Sep;44(9):929-938.とりあえず手に入る解熱鎮痛薬で急場をしのいでいただければよいかと思います(ロキソニン、イブプロフェンは多く使うと胃が荒れるので、使い過ぎに気を付けてください。また小児の方はロキソニンはダメですので注意してください)。

皆様がこの第7波を切り抜けて頂き、楽しい夏をお過ごしいただけることを切に願っております。

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2022.07.18更新

いやあ、ヤバいっす・・・

2週間前から発熱・感染症外来の受診を希望される方が突然急増しました。

1月の時のデジャブを感じますが、今回はワクチン接種や特定検診の方もいらっしゃること、1か月後に控えた改装工事のための受診調整も重なっていることから、当院は第6波の頃よりもそのヤバさが際立っています。

間もなく改装工事が始まり、クリニックの中は待合スペースの拡張、受付エリアの拡張、発熱・感染症専用診察室の新設など、今よりも多くの患者さんに対応できるようになる予定ですが、それまではご不便をおかけするかもしれません。

できるだけ一人でも多くの、症状に困っていらっしゃる患者さんに対応したいとの思いで診察をつづけておりますので、ご理解、ご協力の程、よろしくお願い致します。

 


さて今回はそんなコロナのオミクロン株、今わかっていることと、これからやるべきことをまとめてみようと思います。

 

おそらく今回の第7波の中心となるのは、オミクロン株の中でもBA.4BA.5という変異型(その中でもBA.5が主役になるでしょう)になるだろうと言われています。
東京都のデータによると、このうちのBA.5は、感染力がBA.2(第7波の前の主流)の27%増しとされており、今まで以上に広がりやすい可能性が考えられています。

またこのBA.4、BA.5は、「感染阻止」の面では、既存のワクチンの効果が出にくいとも言われ、さらには第6波以前に感染した人も感染する可能性が十分にあることが示唆されています。
これは、以前ワクチンの仕組みでお話しした、ワクチンによって産生できる抗体(中和抗体と言います)が、ウイルスにくっつきにくくなるようなウイルス側の構造の変化がおきたため(つまりそれを引き起こす変異があるため)と考えられています。

今回のBA.4、BA.5に関するデータは、5月に流行した南アフリカから(査読前ですが)報告されています。https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2022.06.28.22276983v2.full.pdf

これによると、BA.4、BA.5が流行した期間に感染した人の割合は、1回が12.9%、2回が36.1%、3回以上が6.7%とされています。
さらには再感染と判断された人が19%にものぼります。
南アフリカのワクチン接種率は40%前後とのことであり、2回目接種の人の割合がこれだけ多いとなると、少なくとも2回接種程度ではワクチンの感染予防効果は多くなさそうと考えられます。

それではワクチンが全く意味がなくなったのかと言うと、そうではなさそうです。

重症化・死亡率は、2回ワクチンを打った人は全く打っていない人に比べて63%3回以上打った人は全く打っていない人に比べて83%も下がったともされており、(後遺症のリスクは別にすると)しっかりとワクチンを打っていれば従来の風邪にかなり近い存在になってきたとも言えるようになっているのかもしれません(逆から見るとワクチン未接種だと重症化・死亡リスクが約3~6倍に上がってしまうとも言い換えられます。動物実験ではこの変異株は従来のオミクロン株よりも肺で増殖しやすく重症化につながる可能性が指摘されており、ワクチンが全く未接種の人はまだまだ注意する必要がありそうです)。

ワクチンを接種してからの期間も、重症化率と関連があるデータが多く出ているので、2回目からの接種から時間の経っている方は3回目の接種を考えていただいたほうが良さそうです。
また高齢者の方や重症化リスクの高い方は以前のブログでお示しした通り4回目の接種を済ませておくメリットは大きいかと思います。

 


次は感染リスクをなるべく下げるために、私たちはどうしたらいいのか、このことについても色々と新しい知見が出てきています。

 

まず、コロナの感染は飛沫、エアロゾルを介して感染するのが主流であることがわかっておりClin Infect Dis. 2022 Mar 10;ciac202マスクを着用することで感染リスクが下げられることが分かっていますBMJ. 2021 Nov 17;375:e068302
そして、そのエアロゾルや飛沫が床やテーブルに落下するとウイルスは比較的短時間で死滅するため、環境から感染する確率は飛沫、エアロゾルからの感染の1万分の1以下でありEnviron Sci Technol Lett. 2021 Feb 9;8(2):168-175環境を消毒することによる感染予防効果は低いことがわかっています。Am J Infect Control. 2021 Jun;49(6):846-848. Nat Hum Behav. 2020 Dec;4(12):1303-1312.
手洗いの感染予防効果は50%程度BMJ. 2021 Nov 17;375:e068302ソーシャルディスタンスを取ることによる感染予防効果は25%程度とのことでした。BMJ. 2021 Nov 17;375:e068302
そして感染予防に効果的なのは換気であることが示されています。Clin Infect Dis. 2021 Oct 30;ciab933.J Hosp Infect. 2022 Jan;119:163-169.


という訳で、これを踏まえたうえで、今後のコロナに対する私たちのあり方について、僭越ながら私見を話してみたいと思います。

軽症の範疇でもコロナの場合、普通の風邪よりも症状が重い方もいらっしゃいます。
後遺症をきたす方もいらっしゃいます。

それでもワクチンをしっかり打っている人で肺炎や酸素化の悪化等、重症化した方を見る機会は非常に稀になりました。

そして今後今の状態が収まることはもう当分はないのかもしれません。
これがいわゆるウィズコロナ、アフターコロナの状態なのだと思います。

もちろんウィズコロナ、アフターコロナの世界では、常にコロナの感染と隣り合わせの状態になるので、なるべく感染しないような、そして一人でも重症化を少なくする対策は必要です。
リスクの高い場所でのマスクはまだ致し方ないと思います。

一方、屋外など、空気の流れている場所でのマスクの必要性は低いと言って差し支えないと思います。


費用対効果の高い対策(手洗いや換気、換気の悪い場所での適度な距離など)は行っていきつつ、費用対効果の低い対策(屋外や他者と十分な距離の取れる場所でのマスクや環境消毒、空間除菌など)はどんどん止めていくことが必要かもしれません。

これを行ったうえで、規定通りワクチンを打っている人は普通の生活を、ワクチンを打っていない人や重症化リスクの高い人はもう一歩踏み込んだ感染対策を行いながら生活をすることがニューノーマルとなるでしょう。
そして感染はだれにでも起きうることですし、上記の対策をした上で、感染リスクはある程度は受け入れていく必要があるのかもしれません(それはインフルエンザなど、他の感染症とも似た形と考えます)。

感染をした際の隔離期間や濃厚接触者の対処も、最新の知見をもとに柔軟に、より最適化された形に変えていくことが必要なのだと思います(それを迅速に決められる行政の力が試されます)。

 

秋にはオミクロン株に対応したワクチンができる見込みではあるようですが、その間にも新しい変異が生じて効果が下がってしまうことも十分に考えられます。
ですのでこの状態は当分は変わらないでしょうし、緩くても長い期間続けられる対策が、長い目で見たら一番有効なのかもしれません。

 

現場は非常にヤバいのですが、それでも私達医療者は精いっぱい、力の限り頑張ります。
是非政治、行政の方々、少しでも早く、みんなが少しでも過ごしやすい世の中にしていただけるように、今こそ知恵をいっぱい絞ってください!心から応援しています!

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

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