医師ブログ

2024.01.02更新

新年早々、北陸地方で非常に大きな地震が発生してしまいました。
現在も救助を待っている人がおられると聞きます。
まずは皆様がご無事であることと切に祈っております。

そして、現在家が被災し、避難所におられる方も多いかと思われます。
その中には、喘息などの呼吸器疾患を抱えておられる方もいらっしゃるかと思います。

特に喘息は、環境の変化や温度の変化、ストレスなどで悪化しやすい病気です。
また、避難所の中で発作などになると、自らも苦しい上に周りからの目も気になるため、非常にお辛いかと思います。

喘息をお持ちの方は、災害時に、どのような事に気を付けておけばいいのか?

今非常時に、喘息をお抱えの方が少しでも無事にお過ごしいただけるように、遠い茅ヶ崎からではありますが、少しでも情報提供ができればと思います。


まず、喘息の治療は、症状が落ち着いているときも継続して続けていくべきものです。

ただ喘息の方の中には、症状が悪化したときのみ治療を行っている方も少なくないのが実情です。

喘息をお持ちで「現在お薬を使っていない方」は、症状がなくても、今日から薬を始めてください。
もちろん「今まで治療を継続していた方」も、そのまま治療をお続けください。

さて、その喘息の治療ですが、治療薬の中では吸入薬が一番大事になります。

吸入薬の一覧を載せておきます。
吸入薬一覧

毎日続けるべき吸入薬は(わかりやすく五十音順にしてあります)

1日1回で使用する薬剤
・アニュイティ
・アノーロ
・ウルティブロ
・エナジア
・エンクラッセ
オルベスコ(1日2回の使用法のこともあり)
・オンブレス
・シーブリ
・スピオルト
・スピリーバ
・テリルジー
・レルベア

1日2回で使用する薬剤
・アズマネックス
・アドエア
・エクリラ
・オーキシス
・キュバール
・シムビコート
(その後発品であるブデホル
・セレベント
・パルミコート
・ビべスピ
・ビレーズトリ
・フルタイド

・フルティフォーム

になります。

青地のものは1回の吸入回数が2吸入赤字のものは1回の吸入回数が症状の強さに変わるものとなっています。
医師から定められた使用方法を知っていたら、その指示通りやりましょう。
ネブライザーで使用されている方も、何とか電源を確保して行うようにして下さい。

一方、症状が悪化した時に使用する「発作止め」の吸入薬は、メプチン、サルタノールなどです。
これらは症状が悪化した時に1回2吸入(小児は1吸入)使用することとなっています。

また、シムビコート(と、その後発品であるブデホル)は、基本的には毎日使いながら、いざというときには発作止めとしても使用できます。
発作時の使用の仕方は、メプチンサルタノールと同様です。



この「発作止めの吸入薬」の使用のポイントは、「できるだけ苦しくなるに使用すること」です。

これらの吸入薬を「症状が我慢できなくなってから使う」と理解されている方が少なくないのですが、そこまで我慢するとすでに効かない状態になっていることが少なくありません。

「呼吸の調子がおかしいな」と、違和感を感じたら、早めに使用してください。



また症状が悪化し、「発作止めの吸入薬」が効かなかった場合は、添付文書上は3時間以上間隔を空けることになっていますが、近くに医療チームがいなく、症状も我慢できない場合は20~30分間隔で使用することもやむを得ないと思います(もちろん医療チームがいたらそちらに頼ってください)
もともと心臓機能が弱っている方や極端な高血圧のある方などは、繰り返しの使用で、心臓の負担や更なる血圧上昇のリスクが出ることがありますが、そうではない場合はそこまで大きな問題にはならないことが多いです(ドキドキや震えは出ることがありますが、1時間程度待てば治まります

吸入の方法が正しくないと、効果が十分に上がらず悪化の原因となります。

環境再生保全機構という団体が、各吸入薬の使用方法のポイントをまとめていますので、ご参考になさってください。

また当ブログでも吸入方法のポイントを過去に掲載しています。
リンクを貼りましたので、よろしかったらこちらもご覧ください。

吸入薬の落とし穴 <エリプタ編>

吸入薬の落とし穴 <タービュヘイラー編>

吸入薬の落とし穴 <ブリーズヘラー編>

吸入薬の落とし穴 <エアゾール編>

また、喘息は冷たい空気、乾燥した空気を吸うことで、気管支が刺激を受けて悪化するケースが少なくないです。

避難所にいたり、家にいても停電などで寒い状態の場合は、気道を守るためにマスクの着用をしてください(これは、粉じんなどの、やはり喘息を悪化させる空気の汚れから気道を守ることにもつながります)。

また避難所などで使用する布団、毛布などはホコリやダニがある可能性もあるので、これらを取り扱う際は、なるべくホコリが立たないように、優しく静かに扱うようにして下さい。
そして空気の悪いところ(がれきの粉じん、焚火の煙、たばこなど)にもなるべく近づかないようにして下さい。

喘息発作の症状が強くなると、命にかかわる可能性も出てきます。

先ほどもお話ししたように、気道は乾燥すると悪化しやすくなります。

普段からよく水分を取るようにしていただき、悪化した時も水分を取って楽な姿勢を取るよう(布団などを重ねて寄りかかれるようにできるといいです)して下さい。
悪化の際には周りの方々に躊躇なく協力を仰げるように(なるべく早く医療チームの診察を受けられるように)、コミュニケーションをとって下さい。

ひとまず情報をいち早くお届けしたいので、書けることを書きました。
殴り書きですので、あとで見直してまた更新します。

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

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