医師ブログ

2021.06.27更新

世の中は高齢者の方へのワクチン接種が佳境に入ってきており、当院でも1日最大42人のペースで接種を続けております。
とりあえず当院で接種予定の高齢者の方は、7月第3週までには何とか1回目が終わりそうです。また集団接種で接種されている方もちらほらいらっしゃり、少なくても当院の周りでは接種は順調に進んでいるようです。

また若い方からも、職域接種などによる接種の予定のお話を多く伺うようになりました。
これに合わせ、接種についての不安点、疑問点をお聞きいただく方も増えてきております。
こちらのブログも参考にされつつ、少しでもわからないこと、不安なことがありましたら、お気軽にお聞きいただければと思います。


2021.2.21 いよいよ新型コロナワクチン接種開始! ~ところでコロナワクチンってどんなもの?~

2021.4.18 「私、ワクチン打っていいの?」にお答えします。


当院の若年者へのワクチン接種も、茅ヶ崎市や医師会からのゴーサインが出たら速やかに予約を開始しますので、ご希望の方は以下のページを随時ご確認いただきます様よろしくお願い致します。

一般の64歳未満の方への新型コロナワクチン接種について

このようなご時世で世の中はまだまだコロナだらけですが、我々はコロナ以外の病気もおろそかにはできません。
当院には咳が続いて、風邪なのかそうでないのかを心配される方が多く来院されます。

日本においては慢性咳嗽の原因の最多は喘息(咳喘息を含む)とされています(欧米では後鼻漏逆流性食道炎の頻度が日本よりは多いようです)。ともかく喘息は、実に多くの方が持っている病気ですので、当院だけでなく多くのクリニックで適格に診断、治療する必要性が高い病気です。
ですので少しでもそのお手伝いをすべく、先日一般クリニックの医師向け講演会の座長をして参りました。
岐阜県で、全国に吸入指導の啓発活動をされている大林浩幸先生を(リモートで)お迎えし、吸入薬の使い方に関する講演をお手伝いさせていただきました(この界隈ではかなり有名な先生です)。
講演会

その中でもやはり患者さんご本人が思いのほかうまく吸入薬を使えていないことが少なくないとのことであり、その実例を多くご紹介いただきました。
その中には、私の診療中にも出会ったうまく使えていない方の例と類似のケースも多く、やはり患者さんが間違えやすいポイントを我々医療者がしっかりとお伝えしないと、せっかくの薬剤が患者さんのためにならないんだなあと改めて実感しました。

というわけで、おそらく半年以上ぶりの吸入薬の落とし穴シリーズ第4弾、エアゾール製剤について今回は書いてみましょう。


エアゾール製剤と言いましたが、簡単に言うといわゆる「スプレー」のタイプの吸入剤です。
現在吸入薬にはパウダーを自分で吸う「ドライパウダー」タイプの吸入薬が多くありますが、それと一線を画するものとなります。

スプレータイプの吸入薬は、まず何よりもわかりやすいことがメリットです。
押せば霧が出てきますし、それを吸えば吸入したこともわかりやすいので(何となく吸入薬のイメージというとこれを想像される方は多いのではないでしょうか)、この点が使いやすいポイントの一つです。

ただ、やはりこの吸入薬にも落とし穴があるのです。

まず吸入薬については、ボンベの中が分離する薬剤があるので、これらは使用前に振らないといけません。以下のものが振るべきものとされていますが、わからなければ何でも振っちゃって大丈夫です(笑)
吸入器を振るべきかどうか
そして次は持ち方です。
先日の講演でも例があり、私も出会ったことがあるものですが、ボンベを逆さまに持ってはいけません。

とはいってもどっちが逆さまか・・・

ヘアスプレーや殺虫剤は噴射口が上に来ますが、吸入薬は噴射口が下です。噴射口が上、つまりヘアスプレーや殺虫剤と同じ向きにすると逆さまになってしまいます。
このことは大林先生の講演にもありましたが、結構違いやすいポイントなのかもしれません・・・

次は吸入の仕方です。
このタイプの吸入薬は、パウダータイプのものと比べて、それほど吸入をするのに強い力はいりません。
ただ、粒子径が比較的小さいため、奥まで深く吸い込み、それを沈着させることが必要になります。
ですのでこのタイプの吸入薬は、ゆっくり、深く大きく吸って最低5秒程度、息止めをする必要があります。浅いと吸いきれないですし、小さく吸ってすぐ吐くと、薬が肺に沈着しないでそのまま外に出て行ってしまうと考えられています。

次に、このタイプの吸入薬は、吸入力はあまり必要ないものの、タイミングを合わせる必要があります。
タイミングは押してから直後に吸い始める、です。これが合わないと、口からスプレーのミストが漏れ出てくるのが分かります。
こうなっていないか、周りの方や、おひとりの時は鏡などで確認されるとよろしいかと思います。

最後に、当然ボンベは押さないと出てこないのですが、握力が弱かったり、手を痛めていたりしていると、ボンベが固くて押せないケースが時々あります。
その場合は写真のような補助器具が無料で使え、力が半分ぐらいで済みます。
通常の調剤薬局なら準備があるはずなので、処方薬をもらう際に薬剤師にご相談ください。

吸入補助具
以上、今回はスプレー剤であるエアゾールについて書いてみました。
あと吸入薬のメジャー処では、COPDや比較的重症の喘息に使われているレスピマットが残っています。
コロナに関しては旬なネタがいろいろ出てきますが、コロナの話題ばかりだといささか食傷気味にもなるので、コロナの話題の合間にまた書いてみようと思います。

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

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