ああ、いそがしい・・・
世界はオミクロン株で大騒ぎですが、わが国では今のところ蔓延にはいたっておらず、新型コロナの患者さんもしばらく当院にはお見えになっておりません(オミクロン株についてはまだわからないことが多く、私も現時点ではほとんど情報を持ち合わせておりません。情報が増えてきたら、もしニーズがあればまたブログ内でまとめてみようかなと思います、余力があれば・・・)。
しかし、昨年の冬に比べて、発熱、風邪症状をきたして来院される方は、明らかに多くなっている印象です。
当院では発熱患者さん用の待合を4席準備しておりますが、ここ最近混雑時には満席となってしまうことも珍しくありません。
新型コロナ、インフルエンザの検査をしても陽性の方は今のところほとんど出てはいませんが、発熱の方が増えているということは、やはり何かしらの病原体(おそらくその多くはウイルスです)感染が広まりつつあるのでしょう。
日本の方々は他国よりも、現在でもより徹底した感染対策を行ってはいるとは思いますが、やはり昨年の今頃よりは社会に多少の余裕を感じます。
その他にもいろんな環境が昨年と異なり、今年の状況になっているのかもしれません。
病原体は、常に世の中に潜んでおり、そしていつでも拡がる可能性を秘めています。
そして、インフルエンザワクチンの接種も佳境を迎えています。
12月に入りワクチンの入荷が見られるようになり、だんだんとニーズにお応えできるようになりました。
ただワクチンの在庫も少なくなってきており、接種できる期間も残り少なくなっています。希望される方はワクチンの残っている今、早めの接種をお願い致します。
で、そのインフルエンザ、今後はどうなるのでしょうか。
以前のブログでインフルエンザの流行の可能性について書いてみました。
そこから時間が経過した今の状況を眺めてみましょう(図はWHOのページからです)。
まずは国内。
ご覧のようにインフルエンザ、国内では全く流行っておりません。
通常この時期はインフルエンザの患者さんがちらほらと見つかる時期ですが、国内からの報告でも直近1週間(11月22日~28日)の、定点からの国内患者数報告は46人、神奈川は2人です(定点とは、全国から人口比率に応じて無作為に選ばれた医療機関で、茅ヶ崎には11医療機関があるそうです。それでも全くいないわけではないんですね)。
ところが海外に目を転じてみると、昨年とは様相が異なるようです。
まずはアメリカ
1年前のこの時期と比較し、明らかにインフルエンザの患者数の動きが異なります。
例年よりはまだ少なめのようですが、昨年よりは明らかに増加しているようです。
アメリカで検出されているインフルエンザの大部分がA型(H3N2)だそうですhttps://www.cdc.gov/flu/weekly/
つづいてヨーロッパ。
フランスやロシアでも、昨年とは違う動きが見えており、インフルエンザの患者数の増加傾向が見られます。
他にもクロアチアやインドでは、秋ごろに季節外れのインフルエンザ流行が見られ、特にクロアチアではコロナ前の例年を超える流行だったそうです。
またアジアでは中国の増加傾向がみえるようです(こちらはB型ですね)。
こちらはコロナが流行っていないためにわが国よりは感染対策も厳密ではないことが影響しているかもしれません。
またこちらはネット記事からですが、ブラジルのリオデジャネイロでは現在、夏に差し掛かる時期にもかかわらず、急激なA型インフルエンザの流行が起こっているようです。
《リオ市》インフルエンザの患者急増=夏前なのにH3N2型へ2万1千人感染
もちろん今の日本と同様、全く流行が見られない地域も多くあります。
しかしコロナ前の状態とまでは言えないものの、昨年と比べるとインフルエンザの流行の兆しがみられる地域は確実に増えているようです。
またこれらのうち、中国を除く各国では今でもコロナの流行が収まっていません。
つまり、コロナとインフルの同時流行、ツインデミックは起こり得ると考えなければいけないかもしれません。
加えてブラジル、クロアチア、インドの例に代表されるように、必ずしも決まった時期にインフルエンザが流行るとも言い切れません(実際2009年の新型インフルエンザ騒ぎの時は、夏から流行が始まり、秋にピークを迎えています)。
ウイルスの動きは以前もお話しした通り、わかっていないこともまだまだたくさんあります。
ましてや昨年からウイルスの秩序が変わってしまっています。
「いつもがこうだからこうなるはず」「去年がこうだったからこうなるはず」が、必ず通用するとは限らないのです。
そこでインフルエンザワクチンの効果を考えてみます。
複数の臨床試験データをまとめた報告では、成人でのインフルエンザワクチンの効果は、発病を69%低下させるとされています。Lancet Infect Dis. 2012 Jan;12(1):36-44
ファイザー、モデルナの新型コロナワクチンの、発病を95%抑える効果には及びませんが、それでもその有効性は十分客観的データに裏付けられています。
またこちらはアメリカのデータにはなりますが、人口の最大67%がワクチンを打つと、インフルエンザの社会的流行を抑えられるという試算が出ていますJ Res Health Sci. 2018 Fall; 18(4): e00427.
当然、家族内や学校内、会社内など、小さい単位での流行阻止にも大きく役立つわけです。
インフルエンザワクチンは大きな副反応の頻度も経験上少なく、個人的にも社会的にも、やはり接種するメリットは、そのリスクを大きく上回ると思います。
ワクチンを打てる機会が終わるまでに一人でも多くの方に接種をしていただき、少しでも皆さんが安心材料を増やしてこの冬を乗り越えて頂ければと思います。
なおインフルエンザの状況に関しては、大きな変化があればまたこちらでご紹介しようと思っています、余力があれば・・・
最後にお知らせです。
現在の院内の混雑を少しでも改善するために、今週末から呼び出しシステムの試験導入を開始します。
受付でお渡しする専用端末をお持ちいただければ、受付後に院外に出て頂いても順番が近づいたらお呼び出しすることが可能となります。
まだ試験導入の段階であり、運用も試験的なものとなりますが、ご希望の方は受付にてお申し頂ければと思います(可能でしたら今後の運用の参考にさせて頂きますので、アンケートにご協力頂けるとありがたいです!)。
その他にも混雑緩和、待合室の環境改善、予約状況の改善などの対策を現在全力で行っております。
ここ最近の混雑で患者様には多々ご迷惑をお掛けしておりますが、今しばらくお時間を頂ければと思います。