医師ブログ

2020.02.11更新

ここ数日は冬らしい寒さになっていますが、それでも少しずつ花粉が飛び始め、症状を訴えられる患者さんも当院にお見えになるようになってきました。来週あたりからは気温も上昇し、本格的にスギ、ヒノキの花粉が飛散しそうです。

人間の体には異物を除去するための免疫機能が備わっています。
このうち、免疫グロブリンという、血「液」や体「液」の中にある武器を利用して異物を除去する免疫を「液性免疫」と言います。
この免疫グロブリンにも種類があり、通常は体にとって有益な仕事をしてくれます。

ところが、IgEとよばれる免疫グロブリンはちょっと困った免疫グロブリンで、これを使った免疫反応が起きてしまうと、体には起こってほしくない反応が起こってしまいます。これがアレルギー(正しくはⅠ型アレルギー)症状です。

花粉症は簡単に説明すると、体にとっての異物である花粉を排除しようとしたときに、残念ながら有害なタイプのIgEによる免疫反応が起こってしまうことで起きます。
花粉症の方は、このIgEによる免疫反応が起こりやすい体質を持った方と言えます。

ですので、治療としてはこの有害反応を起こりづらくして、症状を抑えることが目的になります。
まずは花粉を寄せ付けない対策(つるつるした生地の服の着用、帽子やマスク・めがねの使用、帰ったら玄関で花粉を落とす、家の窓を開けすぎない、など)が大事です。また薬による治療ですが、症状が出てから始めるよりも、シーズン開始の2週間くらい前から始めたほうが効果的ともいわれています。

花粉症の治療は、まずは抗ヒスタミン薬と呼ばれるタイプの抗アレルギー薬が使われます。この薬も近年さまざまな特色を持った薬剤が出てきているので、症状や体質、その方の生活や体質に合った薬剤を使用することで効果的な治療が可能になってきています。
また鼻づまり(=鼻の粘膜のむくみ)に関しては、これを引き起こすロイコトリエンという物質を抑える、抗ヒスタミン薬とは違った抗アレルギー薬(ロイコトリエン受容体拮抗薬)の飲み薬が有効です。
さらには鼻の粘膜に直接効かせる点鼻薬(点鼻ステロイド薬や、場合によっては短期間の点鼻血管収縮薬)も有効となってきます。
一方眼に対しても抗アレルギー点眼薬、症状が強いときはステロイド点眼薬などを用いて症状を抑えます。
また別の観点から、漢方による症状の緩和もかなり有効とのデータが集まってきているようです。

花粉症の症状があると、仕事の効率が落ちたり、睡眠がとりにくくなって疲れやすくなったりと、日常生活に与える影響が大きくなります。なのでガマンしてもあまりいいことはなく、しっかりとアレルギーに詳しい医療機関(内科や耳鼻科、眼科など)で診てもらって症状をコントロールしたほうがいいと思います(し、患者でもある私は実感しています)。

それと!実は花粉症に代表されるこれらのアレルギー反応が、近年咳にも大きく関与していることがわかってきました。次回はそのお話をしようと思います。

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

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