医師ブログ

2019.05.09更新

さてこの4月より、加藤医院はわたくし浅井の赴任に伴い、呼吸器、アレルギー科を中心とした専門診療を開設いたしました。今後呼吸器、アレルギーの病気に関してもこちらのブログでいろいろと書かせていただきたいと思います。

呼吸器、アレルギー診療のページでも掲載している通り、当院ではせきに対する専門診療を行います。一言で咳と言っても、そこにはいろんな原因が潜んでいる場合があります。そんな咳に対して、私のような呼吸器の専門医がどのようにアプローチしてるのか、ちょっと長くなりますが、かいつまんで紹介してみたいと思います。

我々はまず咳をどれくらいの期間続いているかで分類します。専門的には3週間以内の咳を急性咳嗽、8週間以上続く咳を慢性咳嗽と決めています。
基本的には咳が出てそれほど時間が経ってなければ感染症の可能性が高く、時間が経っていれば経っているほど感染症以外の原因が考えやすくなります。ただ出始めてから時間が経っていないせきでも、今までに同じようなせきを何度も繰り返している場合には感染症以外の原因を疑うこともあります。
また分け方としては痰がからむ湿った咳なのか、たんがからまない乾いた咳なのかということも重要です。原因の推測にも役立ちますし、感染症の場合は病原体の鑑別にもつながります。またこれにより症状の抑え方が大きく変わることもあります。
あと咳の出やすい時間も重要です。喘息は比較的夜更けから早朝に多く、鼻アレルギーによる咳は寝入りっぱな、早朝に多い傾向があります。食後に増えれば誤嚥や逆流性食道炎、横になると苦しくなるのであれば心臓が原因など、いろいろ特徴があります(もちろんすべてにおいて例外も数多くあります)。
このほか、咳の出かたや胸の音、喫煙やアレルギー体質の有無、他に持っている病気、家族歴、職業、住宅や仕事場などの環境、内服している薬や健康食品などなど、いろいろなことが咳には関係してきます(時にはだいぶプライベートに踏み込んだ質問もさせていただくかもしれませんが、このような訳があることをご理解いただければと思います)。また、今まで咳をずっと診察していた専門医としての直感、ひらめきも案外当たることがよくあります。

これらで方向性がある程度見えたら、その可能性を確かめる検査をしたり、治療による反応を見たりしながら診断を確定していくのです。

ここに挙げたのは、それでも我々が考えている一部です。もちろんここには書ききれない他の気にする点も数多くあります。咳の診察は本当に謎解きのような感じです。しかも病気によってはどんなに正しい治療をしてもすぐには良くならないこともありますし、咳の原因が複数にわたることもあり、全部を治療しないとよくならないこともあるので、素人判断で自己診断したり、治療をやめたりすることはおすすめできません。困ったとき、迷ったときはどんな些細なことでもいいので、ぜひぜひ相談してくださいね。

今後は不定期にはなりますが、咳をきたす具体的な病気について、このブログでさらに深く触れてみようと思いますので、ご興味がありましたらお付き合い下さい。ではまた。

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

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