医師ブログ

2010.12.14更新

HbA1C
・ヘモグロビンAのΒ鎖N末端のバリンにグルコースが非酵素的に結合(グリケーション)したもの
  -グルコースは液相(血液中など)では、常に一定の割合でタンパク質と結合する
  -もとのタンパク質の機能を阻害する
・過去1~2ヶ月の平均を反映 血糖の上下が激しい場合は反映されない
・偽高値
  アルコール多飲、大量のビタミンC、高ビリルビン血症
・偽低値
  溶血亢進、肝硬変、鉄欠乏性貧血の回復期、EPOによる貧血治療中、出血後、妊娠

 グルコアルブミン GA 
・グルコースとアルブミンが非酵素的に結合したもの
 アルブミンはグリケーションされやすいため食後高血糖はHbA1cより反映される
・過去2~4週間の血糖の平均を反映
 -アルブミンの半減期は20日でヘモグロビンより短い 
・偽高値
  肝硬変、甲状腺機能低下症、栄養障害
  アルブミン半減期が延長する場合
・偽低値
  ネフローゼ症候群、甲状腺機能亢進症、火傷
  アルブミン半減期が短縮する場合

    HbA1cとGAについて
・多くの臨床研究や診断基準がHbA1cであるため、HbA1c測定が一般化されている。
・GAは、その構造上の特徴や半減期などからHbA1cよりも血糖の変化にたいして早く、大きく変動することから臨床的な意義は大きいものと思われる。
 -糖尿病の治療効果の早期判定に有用
 -HbA1cの偽高値、偽低値を示す不適切な場合も有用
・血糖が安定している状況下では、GAはHbA1cの約3倍といわれている

 HbA1c、GAの問題点
・相関回帰式から理論値の土20%以上乖離する例が全体の10%いじょうある
・合併症を有する症例、血糖の日内変動が激しい例では乖離が高い
 -日内変動上昇によりGA/HbA1c比が高値となり実際の血糖コントロールよりもHbA1cが低くなる
 *HbA1cは、食後高血糖を反映しない

 GAを測定すべき病態
・不安定型糖尿病
・糖尿病の治療早期
・糖尿病の急性増悪によるコントロール評価
・妊娠糖尿病
・血液透析
・肝硬変、重度肝疾患
・HbA1cの偽高値、偽低値を示す疾患
・血糖とHbA1cの乖離があるとき

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

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