医師ブログ

2019.11.21更新

速報:当院のブロガー(兼受付)の深田さんがようやく退院されました!入院生活お疲れさまでした!

さて、今回は私の抗インフルエンザ薬についての考えを少しだけお話ししてみたいと思います。
まずインフルエンザの治療の主役は抗インフルエンザ薬ではなく、休息、水分補給です。ウイルス感染症は基本、体に備わる免疫で排除するものです。抗インフルエンザ薬を飲みながら仕事や学校に行くなど、体に負担をかけることはできるだけやめましょう。また健常者の軽症例では発熱から丸2日以上たったら抗インフルエンザ薬は効果はありません(重症例では別です)。


さて本題に移ります。
抗インフルエンザ薬として最初に出てきたのはタミフルでした。タミフル5日間内服する薬で、感染後早期に開始すると、約半日~1日程度解熱を早めることが出来ることがわかっています。

一方デメリットとしてタミフル耐性ウイルスの存在を考える必要があり(新型インフルエンザ騒動の前年には、流行したほぼすべてのインフルエンザがタミフル耐性だったこともありました)、また5%程度の確率で腹痛や下痢が起こることがあります。


次にリレンザです。こちらは5日間吸入治療をする薬で、タミフルと比較し、耐性ウイルスがほとんどないといわれています。B型に対しては効果が高いとの報告もあります。吸入がしっかりとできるかが大事な点です。


一方イナビル1日だけ吸入治療を行えばいい薬です。こちらも耐性ウイルスはほとんどないといわれています。

ただ、主に日本人が多く含まれていた国際試験で、「タミフルを使用した群」と比べて効果は劣っていないとの結果は出ていますが、「使用しなかった群」との試験は行われておらず、実は「使用しなかった場合と比べて」有効かどうかは保証されてはいません(欧米主導で行われた試験では、イナビルを使用しなかった時と比べて効果がなかったとの試験結果があり、発売されていません)。


点滴薬であるラピアクタですが、効果は他剤と比べて優れているという結果が出ているわけではありません(劣っていないとの結果だけです)。

 

これらの薬剤使用に関し、重症化予防に関してはいくつか見解があり、効果があるとの見方とそれほどないとの見方がありますが、ただやはり重症化しやすい方への投与は推奨されます。
成人の方については、65歳以上の方や基礎疾患をお持ちの方、妊婦の方は投与をしたほうがいいです。そうでない場合、メリットとデメリットの差が少ないので投与すべきかは個々の判断となります。

 

使用する場合やはり基本薬は、一番データの多いタミフルだと私は思っています(昨年からジェネリックも使用できるようになり、一番安価でもあります)。
1日で治療が完結するメリットが多いと考えられる場合は(有効性を示すデータは心もとないですが)イナビルも一応選択肢です。
ただ1日で終わることのデメリットは副作用が出た時にはどうしようもないということです。5日間投与する薬ならその時点でやめればいいのですから。それに喘息をお持ちの方であれば吸入薬であるイナビル、リレンザは念のため避けたほうがいいようです(気道を刺激する可能性があるため)。
ラピアクタはかなり高価ですし、上記の理由から、内服や吸入が不可能な方のみに使っています。


一方昨年発売され、大々的にマスコミでも取り上げられた、1回だけの内服で治療が終わるゾフルーザです。
この薬剤も症状改善、ウイルス排泄量の減少が報告され、新薬にも関わらず昨年はかなり大きなシェアを取る薬になりました。
ただ新薬というのは未知の副作用という大きな懸念があります。他にも新薬としての懸念点があったため私は昨シーズン、在籍していた市立病院で1年間様子を見ることにしてみました(当時院内感染制御も兼務していたため、院内では成人に関してはひとまず第一優先の薬剤としては勧めない方針としていました)。
結果、シーズン後半から薬剤の耐性ウイルスが多く検出されたという報告が上がってきました(タミフルの耐性の頻度より明らかに多い頻度でした)。
この薬剤は今までの薬剤と全く違う仕組みを持ちます。今までの薬が、感染した細胞からウイルスが新たに放出されるのを防ぐ薬剤なのに対し、ゾフルーザはウイルスが細胞内で増殖するのを抑える薬です。そのためタミフルの耐性とゾフルーザの耐性は別のものと考えられています。
ゾフルーザは使いどころを間違えなければ効果の高いいい薬だと思います。だからこそ大事に使って耐性のリスクを減らさないといけません。私はリスクのより高い方や、他の薬で無効だった方に使うべき薬と考えています(決して1回飲むだけで楽だからという理由だけでは処方してはいけないのではと思っています)。

このようにいろいろとある抗インフルエンザ薬ですが、実はインフルエンザにはもう一つの有効な対処法があります。それを次回お話ししようかと思います。

 

あと私事ですが、昨日晴れて40代の仲間入りをしました。うれしいのかどうかはよくわかりませんが、30代に居残るジムチョーはサヨナラと言い放ち、周りで聞いていた他のお姉さま達からはヒンシュク買ってましたw

ケーキ

 

40代の院長も引き続きよろしくお願いします。

投稿者: 医療法人社団加藤医院

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