医師ブログ

2025.04.28更新

先日、私が担当させてもらっている公立中学校の、年に1回の健診業務に行ってきました。
私が担当するのは10クラス約400人。

健診

診察の際はカーテンですべて仕切って、生徒さんと養護教諭の先生と、3人きりになります

 

普段の診察ではまず診ることのない人数で、座りっぱなしでおしりは痛いし・・・聴診器つけっぱなしで耳は痛いし・・・(*´ω`)

しかし、流れ作業にせずしっかり診察すると、やはり見つかっていない病気が見つかるものです。

昨今、学校の健診で服を脱がせるのかどうかが議論になっています。
呼吸器内科医として聴診器を自分の体の一部のように扱うように育てられた私は、やはり服の上から聴診器を当てることによって、聞こえるべきものを逃してしまうのはどうしてもイヤなのです。。。
ですので私はもちろんシャツはまくし上げないように配慮しながら、できる限り肌に直接聴診器をあてて診察したいなと思っています。

今回見つけた方のうち何人かは、おそらく服の上から聴診器を当てていたら逃していた自信があります・・・

心臓の音に問題が見つかった方が何人かいらっしゃった一方、呼吸の音でも、気管支が狭まっていたり、痰が絡んでいたりする音が聞こえた方を何名か見つけました。

お話しを聞くと、「今まで咳が出るのが当たり前だと思って、我慢して生活していた」「よっぽど困ったときだけ病院に行っていた」というようにお話しする生徒がいました。
その方たちには、「まず医療機関にかかって、しっかりと診察を受けましょうね」とお話をしました。

その一方、しっかり病院やクリニックにかかっているのに、「喘息という診断をされて、吸入薬は出されたことがあるけど、『なるべく使わないで』と指導されていた」という生徒が複数いらっしゃいました。
曰く「吸入薬は、心臓に負担がかかるからあまり使ってはいけないよ」、と。

せっかく受診しているにもかからわず、十分に症状がコントロールできずに、日常生活でも咳や息苦しさに制限される生活を強いられていたのでした。

もちろん現在の観点では、この治療は適切ではありません。
現在の正しい治療法は、このブログで一億万回述べたように、基本薬は吸入ステロイドとなり、その他、抗アレルギー薬などさまざまな薬を組み合わせながら、調子が悪化した時にいわゆる「発作止めの吸入薬」を使う、というものです。

症状がずっと出ているにも関わらず、吸入ステロイドを使用していない時点で適切ではないという訳です。

という訳で、しっかりと正しい治療をしましょうね、ということなのですが、
今回お話ししたいのはそこではありません。


この場面でののもう一つの問題点、なぜ「発作止めの吸入薬は、なるべく使ってはいけないよ」と言われてしまうのか?

そもそも「発作止めの吸入薬」と言われる薬は、いったい何者なのか?
そして「発作止めの吸入薬」は、どの様に使ったらいいのか??

喘息の治療の中で、「発作止めの吸入薬」はとても重要な役割を果たします。
しかし結構誤解されている部分も少なくありません。

そこで今回は「発作止めの吸入薬」について、少しずつ紐解いていこうと思います。


そもそも「発作止めの吸入薬」って何?

いわゆる「発作止めの吸入薬」と言われている薬、これは正確には「吸入短時間作用型β₂刺激吸入薬」(これを「SABA吸入薬」と略します。これ以降はわかりやすく「SABA」という単語で記載します。「サバ」と呼んでください)という薬です。
名前の通り、効果が短時間で出てきて、その効果持続時間も短時間であるというのが特徴です。

代表的な薬剤にはサルブタモール(商品名:サルタノール、ネブライザーで行う場合はベネトリン)、プロカテロール(商品名:メプチン)などがあります。

SABA

 

ところで、β2って何でしょうか?

正確には、「交感神経」のβ2受容体という部分の事を指しており、この部分が刺激されると平滑筋(血管、気管支など、いわゆる内臓の筋肉が緩み気管支が拡がります

同時に、「交感神経」を刺激されると心臓は脈が速く、強くなります(血管が過剰に開くことで頭痛も発生することがあります)。
また骨格筋(いわゆる体を動かす、皆さんが通常イメージする筋肉)に対しては、「交感神経」が刺激されると、筋肉が緩んだり縮んだりを繰り返し、「ふるえ」の症状になって現れます。

ですので、この部分を刺激する薬を入れると気管支が拡がるため、喘息の時に急に気管支が狭くなって息が苦しくなったときの“駆け込み寺”的な薬として使用されるわけです。
一方、使いすぎると、その心臓への働きから動悸や頭痛、ふるえなどの症状が出てしまうのです。


喘息の治療の歴史

吸入ステロイドはゆっくりと効果を発揮し、気道の炎症を抑えて発作の起こりにくい状態に改善する役割を担います。

大昔には吸入ステロイドはこの世の中に存在せず、初めて吸入ステロイドが用いられるようになったのは1978年、今から46年前の事でした。
しかし最初の吸入ステロイド薬は、喉への刺激も強く、また一回に噴霧できる量も少ないため、回数を多く使わなければならないなど、煩雑なものでした。

その上、吸入ステロイドはその「ステロイド」というイメージから、長期で使用する事の抵抗感が患者だけでなく医師にも強かったようです。
その為、発売から十数年たっても喘息治療では、SABAを中心に「息苦しくなったら吸入」「楽になったらやめる」をくり返すような使われ方が当たり前でした。

 

しかし吸入ステロイドは炎症を抑える一方、SABAは炎症を抑えません(気管支を拡げるだけです)。
その上、SABAはずっと使用していると効きづらくなるという仕組みがあることがわかりました(ずっとSABAを使っていると、なぜだかβ2受容体が減っていってしまうのです)。

※なお、このことは後の時代になって明らかになったことでした。



そのような治療を続けた場合、炎症が持続的に起こりっぱなしになるため治りづらくなり、その上徐々にSABAも効かなくなってしまいます。
するとSABAの使用量はどんどん増えてしまうのですが、するとその副作用である動悸、頭痛、ふるえなどがどんどん悪化し、最終的には心臓がくたばってしまうわけです。

事実、現在年間の死者は1000人前後である気管支喘息のこの時代の死亡者数は、実に7000人を超えていたのです。

その後、気道の炎症を抑えることが大事だという考え方がようやく30年ほど前から広がり、また吸入ステロイドを長期で使用することの危険性も低いことがわかって、1993年に吸入ステロイド薬はようやく治療ガイドラインに載ることになり、その後2000年前後から吸入ステロイド薬は一気に広がることとなりました。

現在では、炎症を抑えるための「コントローラー」(=吸入ステロイド)に、発作を抑えるための「リリーバー」(=SABA)を組み合わせることで、発症予防と症状緩和を両立させる治療が基本となりました。


SABAの位置づけは変わったが

この変化に伴って、SABAの位置づけも“主役”から“脇役”へと移行することになりました。

日常的な使用は控え、症状が出たときのみに限定することで、過剰な副作用を抑えるように注意することが大事となりました。

しかし、吸入ステロイドの普及前、症状の安定しない喘息の方が毎日のようにSABAを使用し、毎日副作用に苦しむ姿を見ていた医師、薬剤師の苦い経験は、今でも心の奥深くに刻まれています。
そして、そのような経験は、また下の代に語り継がれていきました(それはそれで大事なことですが)。

ですので、一部の医療者の間では、SABAをいわゆる「最後の砦」として、「なるべく使わない方がいい薬」との位置づけで理解されてしまうことと相成ったのです。

SABAをガマンしすぎてしまうと・・・

しかし、それによる問題も出てくるようになりました。

吸入ステロイドを使用しても、その症状の強さ、薬の強度、吸い方による気管支の奥への届き方によって、症状が十分にコントロールできない喘息の方は今でも多くいらっしゃいます。
また、普段安定している方でも、風邪や花粉症など、引き金を引いてしまうことで、ある時急に悪化してしまうこともあります。

その場合、SABAを「最後の砦」として、ギリギリまで使用しないとどうなってしまうでしょうか。

気管支が狭い状態が続くので、息苦しく、咳も止まらない状態が続いてしまいます。

苦しくなると、もちろん日常生活は著しく制限されてしまいます。
それだけでなく、苦しい状態で頻呼吸をすることで、それが気管支へのさらなる負担となってしまい(気管支は乾いた大量の空気に弱いのでした)、さらに炎症が悪化、気管支が狭くなってしまう事態となってしまいます。
そして悪化状態が続くと、喘息は悪化した状態でそのまま固まってしまうこともあり、より不安定に、より重症になってしまうわけです。

もちろん、吸入ステロイドを正しい量で、正しく使うことが一番大事なのですが、それでも調子が悪くなった時、SABAを躊躇なく使うということは、今でもとても大事なことなのです。


では、どんなときにSABAは使えばよい?

大事なことは「ガマンし過ぎない」ことです(苦しいのを耐えることが美徳という考えもあるのかもしれませんが、喘息の場合苦しいのを耐えると、次に余計苦しくなる状況がやってくるだけで、全く割に合わない努力です・・・)

たとえば、喘息の調子が悪く「なりそう」だったら、早めにSABAを使用してもらったほうが、結果的には使う総量が増えないで済みます。
逆にSABAを「最終手段」と考えて、我慢できなくなってからSABAを使用しても、もはやSABAは効かなくなってしまうのです。

確かに使いすぎると副作用は出る可能性がありますが、心臓に対する大きなダメージは、基本的に長期間継続的にSABAを使ったときです。
たまに来る、調子の悪い時のみにSABAを多く用いても、基本的には一時的な副作用の問題を引き起こす可能性があるのみです。

またすぐに効いて、すぐに抜ける薬なので、動悸、頭痛、ふるえなどの症状が出ても、その時点でやめてしまえば、その副作用が何日も続くことはありません。

苦しくなったら、メプチンやサルタノールは、躊躇なく、症状が落ち着くまでしっかり使いましょう!



「運動すると苦しくなる場合」はどうする?

一方、階段を駆け上がったあとや、自転車を急いでこいだ時、それに有酸素運動(ランニング、サッカーなど)をした時に、息切れやぜーぜーがひどくなることがあります。

「運動誘発性喘息」と言い、こちらは症状が悪化してからすぐに使うのはもちろん、運動の前や、運動を始めて最初の数分のうちに吸入してしまうことで症状を軽減できるのです。

運動で苦しくなることが予想されるときは、SABAは予防的に使ってしまいましょう!


でも、やはり「使い過ぎ」にはご注意を


ただし、SABAはあくまで「発作を一時的にやわらげる」ための薬です。
症状が出たらすぐ吸入することを忘れない一方、楽になったらすぐやめる ── これが鉄則。

また、あくまで喘息の炎症を抑えるのは吸入ステロイド。

SABAをつかったらすぐに楽になると言って、SABAに頼りきって、吸入ステロイドを飛ばしてしまうことは絶対にやめましょう。

30年前の、あの時代の治療法に逆戻りです・・・


SABAを使用する際に気を付けるべきポイント

では、最後にSABAを正しく安全に使うための注意点を以下にまとめます。


使用頻度の管理


「1日4回」など、医師の指示がない限り、あらかじめ決めた範囲を超えないよう心がけましょう。

目安を超えたら、吸入ステロイドの増量や変更など、何かしらの治療変更が必要になるタイミングです。
次回受診前でも、お早目の予約外受診を検討しましょう(当院はおかかりつけの方なら、ご連絡をいただければ診察日には必ず当日、もしくは翌日受診が可能です)。


吸入方法の確認
気管支までしっかり薬剤を届けるには、他の吸入薬と同じく、吸入器の使い方を正しくマスターする必要があります。
定期的に医師や薬剤師、それに看護師に確認してもらいましょう(当院では今年から看護師による吸入指導を開始しております!)。


全身症状に注意
手の震え、動悸、頭痛、倦怠感などの副作用が強い場合は、SABAの使い過ぎです。
人によっては、SABAが子供の量(時には幼児の量)でも、副作用が強く出てしまう方がいらっしゃいます。

SABAの使い方をカスタマイズすると、SABAをより有効に使えるようになることもあります。
喘息の治療経験が豊富な医師にご相談いただきたいところです。

また同時に、喘息の治療を適切な強度に変更したり、また時には、そもそも喘息ではなく他の疾患である可能性も考えなければいけないときもあります。
こちらも要相談です。


記録を残す
SABAを使用した時間・回数などを記録し、定期的に医師と共有しましょう。
詳しいデータがあると、医師も今の状況を把握しやすくなり、適切な指示を出しやすくなります。

 

SABAをうまく使いこなせるようになれば、喘息はずっと楽になります。
また、悪くなっても対処ができるという安心感も、長く付き合っていくには重要なことです。

ぜひ、うまくSABAを活かして、快適な生活を送ってください! 


お知らせ

茅ヶ崎駅北口のロータリーの今井薬局さんのビル3階に、糖尿病を専門とするクリニックがオープンされました。
「おおくぼ内科クリニック」さんで、茅ヶ崎市立病院代謝内分泌科出身の大久保 和哉先生が院長をされています(当院にもご挨拶に来られました)。

開院

幅が違うな~


もちろん、糖尿病専門医の資格をお持ちの先生で、血糖値のご不安に、専門医の技術で対応されます。
昨今、専門医でもないのに呼吸器、糖尿病を宣伝し、(それでも症状がよくなればいいのですが)症状がよくならずに当院に駆け込む患者さんが増えてしまっています・・・

おカラダのお悩みを相談するなら、ぜひ確かな技術を持った医師にご相談を!

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2025.04.07更新

いよいよ4月、新年度に入り、新しい生活がスタートした方も少なくはないでしょうか。

当院でも4月から診療体制の変更で、新しく池田 秀平先生、永山 貴紗子先生の2名の呼吸器内科の先生に仲間に入っていただき、金曜午後の診療時間の延長も行い、金曜午後は13時から診療を開始しております。

毎年4月上旬は、新生活でお忙しかったり、また保険の切り替えの方も少なくないからか、やや診療枠に余裕が出ることが多い時期です。
今年もパンパンだった3月までとは多少異なり、時間帯によっては枠に余裕のある日もあるようです。

また新しく2名の先生がいらっしゃったことにより、新患の方のための枠も大幅に増加しました。
(日による違いはありますが)火曜午後、金曜午後は新患の方の枠がお取り頂きやすくなっているようです。

長引く咳やアレルギー症状でお困りの方は、今なら比較的直近のご予約をお取り頂けるようですので、(当院はそんなに敷居の高いクリニックであるつもりは毛頭ございませんので・・・)ぜひお気軽にご予約下さい!


いよいよヒノキ花粉の飛散が開始!

さて、そんな4月は、スギ花粉の飛散がそろそろ終盤を迎えるのと同時に、ヒノキ花粉の飛散が始まる時期でもあります。

皆さんご存知の通り、「スギ花粉症なのに、ヒノキの花粉にも反応してしまう」方は少なくありません。
そして実際、採血検査でも、スギ花粉とヒノキ花粉の両方に陽性反応を示すケースが非常に多く見られます。

これはたまたまなのではなく、しっかりとした理由があります。


「花粉症のしくみ」

花粉症というのは、花粉という異物(抗原)が体内に入ったときに、免疫システムが過剰に反応してしまうことで起こります。
通常、免疫システムは病気を引き起こす細菌やウイルスを攻撃するために働きますが、花粉症の方の場合、無害な花粉のタンパク質にも過敏に反応してしまうのです。


花粉症の悪の主役、「おバカ抗体」IgE

具体的には、花粉が体に入ると、免疫細胞が花粉を「異物」として認識し、IgEという抗体を作ります。
以前もお話ししましたが、抗体とは異物を除去するための体内で作る「飛び道具」なのですが、IgEはいわゆる「おバカ抗体」で、このIgE抗体はあまり体に有益な働きをせずに、アレルギー反応を起こしてしまう抗体です。

異物である花粉が体内に入ってくると、アレルギー体質のある人はIgE抗体を作ってしまいます。
するとIgEは体内にあるマスト細胞という細胞にくっつきます。
マスト細胞の中には、アレルギーを引き起こすヒスタミンやロイコトリエンなどの化学物質の顆粒が大量に含まれています。

その後再び花粉が体内に入ってくると、マスト細胞にくっついたIgE抗体に、花粉のタンパク質(抗原)がくっついて、マスト細胞からアレルギーを引き起こす化学物質が大量に放出され、くしゃみや鼻水、目のかゆみといった症状が引き起こされるわけです。


「スギ」と「ヒノキ」の花粉は形が似ている!

では、なぜスギ花粉症の人がヒノキ花粉にも反応するのでしょうか?

その理由は「交差反応」という現象にあります。
「交差反応」とは、一つの物質に対して作られた抗体が、構造がよく似た別の物質にも反応してしまう現象のことを言います。

スギとヒノキはともにヒノキ科に属し、実は非常に近い植物同士です。
そして、スギ花粉に含まれるタンパク質(主要抗原Cry j1、Cry j2)と、ヒノキ花粉に含まれるタンパク質(主要抗原Cha o1、Cha o2)の構造は非常に似ています。

そのため、スギ花粉に対するIgE抗体がヒノキ花粉にも結合してしまうのです。


それゆえ、スギ花粉に対する反応を起こす患者さんは、ヒノキ花粉の時期にも症状が続いてしまいます。
スギ花粉の飛散ピークは通常2月~3月ですが、その後3月下旬から4月にかけてヒノキ花粉の飛散が始まってしまうため、春を通して症状が長く続いてしまう人が多いのです。


「ヒノキ」花粉症にはのどのいがいが、咳が多い!

とはいえ、スギ花粉症とヒノキ花粉症が全く同じという訳でもないようです。

報告では、ヒノキ花粉症はスギ花粉症より、喉の「掻きたくなるようないがいが」や、それに伴う咳の症状が多いようです。
またその症状も、ヒノキ花粉が少しでも飛び始めただけの時期でも強い症状がでることがあり、とてもヒノキ花粉に対して敏感に反応するということがあるようです(その理由はまだよくわかっていないようです)。

実際、当院でも3月下旬のヒノキ花粉飛散時期から、目に見えて喉のいがいがと、これに伴う咳の症状の方が増えています。


咳と言えば「喘息」ですが・・・

長引く咳というと、やはり「気管支喘息」のイメージを持たれる方が多いかと思います。
このブログでも何度もお伝えしているように、気管支喘息は「ステロイド吸入薬」が治療の一番の主役です。

一般的に「ステロイド吸入薬」を使用するとよくなる咳は、「気管支喘息」と診断されることが多いです(風邪の咳はステロイド吸入薬が効かないため)。



「ヒノキ」花粉症の咳は「喘息」と間違えられやすい!

しかし、この「花粉症による咳」も、実はステロイド吸入薬が効いてしまうのです。
ですのでこの時期、咳で医療機関を受診した方の中で、実際は「花粉症による咳」だったにもかかわらず、ステロイド吸入薬を使用して改善したことで、「気管支喘息」と誤診されてしまっている方も少なくありません。

でも、よくなったんだったらどっちでもいいじゃん。。。

そのように思われる方もいらっしゃるかとは思いますが、でもやはり、「気管支喘息による咳」と「花粉症による咳」は、しっかりと区別する必要があるのです。


「喘息」と「花粉症」の咳は、治療する機関が異なる

その理由は、お互いの病気を行う「治療の期間」が異なるためです。


以前にもお伝えしたように、気管支喘息は、基本的には症状がよくなっても治療を続けて頂きたい病気です(しかし吸入で症状がよくなったら止めていいというように医療機関から指示されている方が少なくないのがまた悩みの種です・・・)。

ですが一方、花粉症は(あたりまえですが)シーズンが終わったらもちろん治療を終了していい病気です。

これらを見極めることが、続ける必要がある治療、シーズン終了で終わっていい治療をしっかり区別することにつながるというわけです。


その見極めは難しい・・・是非「専門医」へ!

でも、先ほどお話したように、「喘息の咳」と「花粉症の咳」は、「ステロイド吸入薬」の反応では見極めがつかず、一般的な診療では非常に難しいと言われています。

その見極め方法は、お持ちの体質や既往歴、症状の特徴や経過、随伴症状、今までの治療の反応性などなど・・・ここで皆さんに説明するには少し複雑すぎるので。。。

そこら辺の見極めはどうぞ私たちにお任せください!

私たち専門医が、様々な角度からお話をお伺いし、いろんな検査も駆使して、その咳を止めるだけでなく、今後の長期の対策も一緒に立てていきます。


「長引く咳」に終止符を打ちたい方、私たち専門医と一緒に、その目標をぜひ叶えましょう!

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

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