前回お伝えした入り口のプチ改装、GW明けより稼働しております。
おかげ様で新たに設置した待合席は、ちょっとした読書や作業などをしていただけるとご好評の声をいただいております。
まだまだ混雑でご迷惑をお掛けしておりますが、少しでも新しい席がお役に立てれば幸いです。
そしていよいよ、当院は今回、大改装を行うこととなりました!
今回は当院のレイアウトそのものが大きく変わります。
具体的には①受付エリアの刷新、②レントゲン室の移動・新設、③第2診察室の移動・新設、④検査室の拡充、⑤新たな発熱外来診察室の設置と⑥発熱外来待合室の拡充、⑦内視鏡・エコー室の新設を行います。
これだけの内容を行いますので、今回は数回に分けて工事を行うことになりました。
まずは第1期工事をこの8月に行います。
今回の工事がメインで、①~③と⑥を行う予定です。
これらのレイアウト変更に伴い、お待ちいただけるエリアも今までより少し広くなる予定です。
という訳で、今回当院は夏季休暇を長めに頂きます。
8月7日(日)~25日(木)まで、19日間のお休みをいただきます。
これに伴い、今年の8月の特定検診の受け入れ枠が少なくなります。
茅ヶ崎市の特定検診は例年6~8月に行われておりますので、当院で検診をご希望の方は、できるだけ7月までにお早めにご予約、ご受診を頂けると大変助かります。
例年8月は駆け込み受診が多くなりますが、今年は十分なお受け入れができないと思いますので、是非ご協力頂ければと思います。
さて、ようやくコロナワクチンの3回目もピークを過ぎ、当院もひとまず6月4日で一度終了することにしておりますが、そうこうしているうちに4回目のワクチン接種開始の通達が出されました。
いったいいつまで続くのやら・・・と思いますが、4回目のワクチン接種について、今回もやはり客観的データでその妥当性を判断していこうと思います。
現時点で一番大きなデータは、ニューイングランドジャーナル・オブ・メディシン(医学界では一番信用度の高い雑誌です)に4月に発表された、イスラエルのデータ(N Engl J Med 2022; 386:1712-1720)だと思います。
まずはこのデータを見てみましょう。
このデータではイスラエルでオミクロン株が流行していた今年1月~3月に、4回目をファイザーのワクチンで接種した60歳以上の方、120万人を対象としています。
N Engl J Med 2022; 386:1712-1720より改変
まず感染予防効果ですが、3回目接種の方と比べ、4回目を接種した方は、接種後3~4週間で効果が最大になり、感染予防効果が3回目接種の方と比べて約2.1倍(つまり53%リスクを減らす)となりました。しかし接種後8週が経過するとその効果は約1.1倍(つまり10%もリスクを減らせない)となり、2カ月で感染予防効果はほとんどなくなってしまいました。
一方重症化予防効果ですが、こちらは接種後徐々に効果が高まり、接種後6週間で4.3倍(つまり70~80%予防できる:3回目しか接種しない場合を100とすると、4回目を接種すると20~30くらいまで減らせる)ことがわかりました。
ただオミクロンはそもそもが重症化しにくいウイルスです。
割合が大きく減ったとしても、その実際の重症化を起こす人の数がもともと少なければ、重症化を予防できる実際の人数はたかがしれている、というのもあながち間違いの主張ではありません。
そして若い方については4回目接種についてのデータはほとんどありません。
またイギリスからの報告では、3回目接種についてのより長い期間の情報が出ており、18~64歳の方では、3回目の接種による効果は接種後15週(約3か月半)を経過しても、入院リスクを67.4%、重症化リスクを75.9%減らせるデータが出ておりCOVID-19 vaccine surveillance report Week 16 UK Health Security Agency 2022/4/21、3回だけで十分との考え方もあろうかと思います。
一方、現時点では4回目の接種による副反応は3回目とそれほど大きな差はなく、一部で懸念されているADE:抗体依存性免疫増強(ワクチンの影響でかえって病気が重症化しやすくなる現象)も、現在のところは客観的データとしては認められません。
というわけで、わが国ではリスクの高い方のみ、すなわち
60歳以上の方
18~59歳の、基礎疾患を持っている方
を対象に、3回目接種後5カ月を経過したら接種ができるという運用をされることとなりました。
※基礎疾患とは以下の病態です(頻度の高いものを太字にしました)
1.慢性の呼吸器の病気(喘息、COPDを含む)
2.慢性の心臓病 (高血圧を含む)
3.慢性の腎臓病
4.慢性の肝臓病(肝硬変等)
5.インスリンや飲み薬で治療中の糖尿病、他の病気を併発している糖尿病
6.血液の病気(鉄欠乏性貧血を除く)
7.免疫の機能が低下する病気(治療中の悪性腫瘍を含む)
8.内服や注射のステロイドなど、免疫の機能を低下させる治療を受けている
9.免疫の異常に伴う神経疾患や神経筋疾患
10.神経疾患や神経筋疾患が原因で身体の機能が衰えた状態 (呼吸障害等)
11.染色体異常
12.重症心身障害(重度の肢体不自由と重度の知的障害とが重複した状態)
13.睡眠時無呼吸症候群
14.重い精神疾患
私は、まあ妥当かなと思っています。
正直このオミクロン株によるコロナをここ5カ月ほど診療していますが、ほとんどの方が普通の風邪症状です。
確かに肺炎の方もいらっしゃいました(それは普通の風邪にはまずない兆候でしょう。インフルエンザウイルスの肺炎も、出会うのはもっと稀です)。
そして後遺症として様々な症状をきたす方も少なからず当院にはいらっしゃっています(よく診察をしたら、実は後遺症ではなく喘息やアレルギーだったという例も少なくないのですが)。
ですので、まだまだ「普通の風邪」ではありません。
ただ、デルタのころと比べれば、確実にその性質は風邪に「近づいて」います。
そして、高齢者や基礎疾患をお持ちの方にとっては、まだ少し「普通の風邪」から距離があり、一方若い方にとっては、「普通の風邪」との距離が非常に短くなっている。そのように考えれば、よりリスクの高い方にしぼって、「普通の風邪」に近づけるツールとしての4回目のワクチンを行うことは、理にかなっていると思います。
そして、この「普通の風邪」との距離を、みんなが受け入れるようになれば、この「コロナパンデミック」は終了する、そのように私は解釈しています。
その距離がどれくらいなら受け入れられるのか、あとどれくらい近づけばいいのか、あとどれくらいの人がその許容される距離内に収まればいいのか。それが人それぞれなのでこの議論はもつれます。
しかし「普通の風邪」との距離が0になるまで待つのはおそらく現実的ではないので、どこかで妥協する必要は必ず出てくると思います。
それが「今」であるべきかどうかは私にはわかりませんが、どこかのタイミングで「決断」をしなければならない時がくるでしょう。そしてそれが、より多くの人が納得する形での「決断」の形にして、社会に分断を残さないようにしないといけないのです。
今後の我が国の経済や教育、その他のことも総合的に考えて、しかるべき時に、しかるべき方法で「決断」をする覚悟、それが我が国にとって今一番大事なのかもしれません。