当院の院内改装も、ようやくゴールに近づきつつあります。
9月24日まで行った第2期工事では、診察室とは廊下を挟んで反対側のエリアを中心に行いました。
まずは検査室。
いままで散り散りになっていた検査機器をほぼ一か所に集めて、より動線が分かりやすくなりました。
また、心電図検査に関しては、新たに専用の心電図室を設け、患者様が気軽に上着などを脱げる環境を作りました。
こちらは内視鏡室ですが、広さはやや狭くなったものの、より効率的に配置換えを行い、この部屋で超音波検査も行えるようにしました。
廊下ですが、内視鏡室からスペースを多少もらい、待合席を数席増設し、なるべく一人でも多くの方がお座りになってお待ちいただけるようにしました。
そしてこちらが発熱・感染症外来待合室になります。
トイレを移動させ、患者さんがお待ちいただくスペースをさらに大きく確保しました。
1期工事終了後より、より余裕をもってお待ちいただけるスペースを作りました。
3期以降では主に収納などの新設を行うので、動線としてはこれでほぼ完成です。
またソフト面でも、電話自動応答システムを導入しました。
今まで応対業務で職員がなかなかお電話に出られず、皆様にはご迷惑をお掛けしておりましたが、電話自動応答システムの導入で、皆様によりスムーズにご案内できるようにします(併せて受付業務の迅速化も目指しています)。
まだまだ慣れないことも多い新体制ですが、少しでも皆様が受診しやすいクリニックになれるように、引き続き頑張っていきます!
さて、当院のインフルエンザワクチン接種は10月11日より開始することとなりました。
今年は現時点では比較的ワクチン入荷に余裕があるため、当院おかかりつけの方は予約なしで受診時に接種いただける見込みです。
ワクチンのみご希望の方は後日改めてワクチン接種専用予約枠を作成いたしますので、今しばらくお待ちください。
で、本題。
今年のインフルエンザはどうなるのでしょうか・・・
正直、一昨年、昨年とほとんど流行することなく終わっており、昨年ブログでも「念のため流行には注意しましょう」と呼び掛けていた私にとっては、やや気まずいのも事実です(とは言っても、呼びかけたこと自体は間違っていないのですが。何事も悪い方に備えるのは鉄則ですので)。
毎年「流行る流行るサギ」みたいになってしまうのは正直いやなのですが、それでもやはり今年は警戒しておいたほうがいいのかもと、私は思っています。
一般的にインフルエンザの流行状況は、南半球で先取りすると言われています。
まずここ数年の日本。ご存知の通り、ここ2年は全くと言っていいほど患者がいませんでした。
一方、南半球のオーストラリアの状況ですが、オーストラリアも2020年、2021年とほとんどインフルエンザの患者は出ませんでしたが、2022年に入り4月下旬からインフルエンザの患者数が増加し、コロナパンデミック前の2015~2019年よりもむしろ多い患者数となっています。
またブラジルも2022年初旬に大流行を起こし、多くの死者を出しました(こちらは季節外れの夏~秋に流行した、やや珍しいパターンでした)。アルゼンチンも同様です。
そしてアメリカですが、こちらも北半球にもかかわらず、2022年の夏にかけて、インフルエンザの患者が出ています。これは他の北半球のいくつかの国にも見られた現象です。
他の国も見てみたのですが(皆さんも下のリンクから見てみてください)、実は2020年のパンデミック発生以降、インフルエンザ患者が発生していない国はむしろ非常に珍しいのです(日本、韓国、香港などアジアがほとんどです)
WHO Influenza virus detection charts(世界各国のインフルエンザ発生者数)
ここら辺を考えてみると、日本にいると実感がないのですが、やはりインフルエンザウイルスは残念ながら未だ健在なのです。
そして、他国の様子を見ると、例年と違う時期に流行が発生する可能性が否定できないのです。
一方、今年も例年ほどは流行しないかもしれない要素もあります。
パンデミックからインフルエンザ患者をほとんど出していない東アジアの国々は、わが国を含め、欧米や他の地域の国と比べ、未だに厳しめの感染対策を行っている国々です(それが正しいかどうかはここでは置いておきます)。
新型コロナはインフルエンザよりはるかに広がりやすい疾患です。
今の日本のような感染対策だと、感染力の強い新型コロナには無力化もしれませんが、インフルエンザにはまだ効くかもしれません。
たださすがに日本でも以前ほど対策は厳格ではなくなっており、この状況を縫ってインフルエンザが広がっていく可能性もあり得ます。
また新型コロナも当然のことながら他国でもまだまだ感染者は出ており、実際にコロナ・インフルの同時流行は当たり前に起きているのが世界の現状です。
と考えると、やはり今年こそは流行する可能性はあると考えなければなりません(「こいつまた言ってんな」と言われてしまいそうなのがツラいとこなのですが・・・)
という訳で、今年もインフルエンザワクチンを打った方がいい理由は以下の通りです。
まずはいつもの年と同様、高齢者ではインフルエンザの予防接種は重症化を予防することができます。
65歳以上の方に対しては発病予防効果が34-55%、死亡予防効果が82%と報告されていますPrevention and Control of Influenza. Recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices, 2008. MMWR 2008:57(RR07):1-60
また若い方に対しても、アメリカの軍隊内の若い兵士を対象とした報告で70~90%の発症予防効果があるとされていますDavenport F : Control of influenza, symposium on influenza. Med J Aust Spec Suppl 1973 ;1 : 33-38
加えて、やはりコロナ患者さんの増加と重なったときの、受診のしづらさは確実に起きるだろうということです。
私も9月にコロナに罹りましたが、正直インフルエンザの症状とよく似ており、検査をしないと見極めはおそらく不可能です。
そしてパンデミックの前のような、通常外来に多くの発熱患者さんがいるという世界線はおそらくしばらくは目にすることはないでしょう(私は、やはりインフルエンザはまだコロナとは同列には語れないと思っています。ここ最近多く目にするコロナの後遺症の多さはやはり脅威で、これは(少なくとも従来の)インフルエンザにない特徴です)。
発熱した場合、症状がつらい場合、そんな時にやはり不安の中で過ごすことになるのは精神的にも応えます。
もちろん我々医療機関も正直第7波の状況の再来はできれば避けたいのが本音です(もちろんそのような状況になればやるしかないのですが・・・)
個人の視点からも、社会の視点からも、そのリスクはなるべく下げておくべきだと思います。
幸い今年はインフルエンザワクチンの供給不足の情報は流れておりません。一昨年、昨年よりは接種しやすい状況かと思います。
他国のようなイレギュラーな時期の流行があるかもしれないという現状では、今年は少し早めの接種も考えておいてもいいかもしれませんね。