医師ブログ

2022.12.27更新

クリスマスも終わり、オミクロンに振り回された2022年もようやく幕を閉じようとしています。

しかし最後の最後まで当院はバタバタです・・・

寒くなってから、空気が乾燥してから、そしてコロナを含めた感染をきっかけとして、当院には日々、県内全域からなかなか治らない咳に悩まれる方からのご相談が絶えません・・・

新患の方のご予約がだいぶ先まで埋まってしまい、受診ご希望の方のご期待にお応えできないことも増えてしまっており、大変心苦しく思います・・・
急な症状にすぐに受診していただくのが難しい状態は、今の当院のキャパでは如何ともしがたく申し訳ないのですが(かかりつけの方の症状悪化はなるべく全て対応いたしますので遠慮なくご連絡ください!!)少しでも多くの患者様を受け入れられるよういろいろとやりくりをしています。

外来受診枠を増設した際の1番早い情報源は当院LINE公式アカウントになりますので、ぜひご登録の上、最新情報をご確認いただければと思います!


そして発熱・感染症外来もここ最近は数十分で枠が埋まってしまう状況です(発熱・感染症外来は毎朝8:30頃にWeb上で枠を開放しています。詳しい運用はこちら)。
12月に入り、やはりコロナも増えてきていることが実感されます。

ただ、7波までとは明らかに違う光景が見られるようになりました。

そう。ここ2年間、来るぞ来るぞといって来なかったインフルエンザが、いよいよ出はじめてきたようなのです・・・

当院でも先週頃からインフルエンザ陽性の方が出てくるようになってきました。
また近隣の教育機関でも、いわゆる「クラスター」の状態となっているところがあるようです。

残念ながら、懸念していたこの状態いよいよ現実のものとなりつつあるようです・・・


そこで今回は「コロナ」と「インフルエンザ」感染症、どこが似ていてどこが違うのか、少し考えてみたいと思います。
今回は皆さんが気になっているであろう、主に症状やその経過についての違いを考えてみましょう。
ここでは公に発表されているデータに、私の主観も織り交ぜてお話ししてみたいと思います。


症状について

やはり発熱、全身の筋肉痛や関節痛、頭痛、喉の痛みなどはどちらでもよく見られます。

ただやはりこちらのブログでもお話ししたように、インフルエンザは、突然発熱をはじめとした上記のような症状がいっぺんにでる典型的なパターンが多い印象です(日本感染症学会からも、インフルエンザの無症状感染は10%しかないとのデータがでています)。

一方コロナは、無症状に近い方からインフルエンザ以上に症状が激烈な方まで、幅広くいらっしゃいます発熱のない方でインフルエンザ抗原が陽性になる例はあまりありませんが、コロナ陽性になる方は大勢いらっしゃいます)。
症状の出方も急な方からゆっくりといろいろな症状が出てくる方まで、やはりいろいろです。

とはいっても、症状で見極めることはやはり難しいです。

当院でも周囲にコロナ患者の方がいて、かつ症状が非常に軽い場合はコロナだけの検査を行うことがありますが、基本的に典型的な症状が出てきた場合は、周りの状況に関わらずインフル、コロナどちらも検査します(家にインフルエンザの方がいても、外からコロナをもらっちゃっていた方、実際にいらっしゃいました・・・)

また喘息やCOPDなど、呼吸器の病気をお持ちでない方にも息切れが出ることがあるのが、コロナの特徴かと思います。
一方インフルエンザも咳は起こしますが、激しい息切れはあまり見ません(喘息、COPDなどが悪くなったり、インフルエンザに続いて最近の二次感染を起こしたときはその限りではありません)。

呼吸器にダメージが大きいのはやはりコロナだと思います(実際私が10年以上病院での呼吸器内科医として勤務していた間、純粋なインフルエンザウイルス肺炎は1人しか担当したことがありませんでしたが、コロナの肺炎はこの2年で少なくても30人は診ていると思います・・・)
オミクロンになって確かに肺炎の方は減りましたが、それでもまだまだいらっしゃるため、インフルエンザとはやはり違う病気なんだなというのが私の印象です。

ですので呼吸器系の重症化リスクコロナの方が断然高いです。
また血栓症などもコロナの方がリスクが高いです。

ただインフルエンザも特に高齢者では命取りになることがあるので、どちらもワクチン、手洗い、必要時のマスクなどの感染対策は必要です(年明けのコロナワクチンはコチラで、インフルエンザワクチンはコチラで引き続き受け付けています)。

あとは、コロナの方が下痢が多い印象です。
また味覚嗅覚障害もコロナに多いのはご存知の通りです。


感染から発症までの期間について

次に症状が出るまでの期間ですが、こちらもインフルエンザよりコロナの方が幅広いという印象です(WHOも感染から発症までの期間はインフルエンザで1~4日、コロナで2~14日と報告しています)。


後遺症について

最後に後遺症ですが、ご存知のようにコロナにはさまざまな後遺症が起こります。

当院の特性もあるのでしょうが、やはり呼吸器系の症状(咳や息苦しさ)が何週間、場合によっては何カ月も続くケースが数多くいらっしゃいます。

一方インフルエンザにもコロナではないにせよ、咳などの症状が続く方はいらっしゃいます。
ただ、インフルエンザ後の長時間続く咳は、大半がいわゆる「感染」をきっかけとした喘息やCOPD、鼻炎の悪化が大半なのですが、コロナの場合はこれに加えて純粋な感染後遺症としての長引く咳が一定数いらっしゃり、診断、治療がより難しいという特徴を持っているように思います。


という訳で、楽しみな年末年始を前にしていよいよ現実味を帯びてきてしまった「フルロナ同時流行」台無しにしないためにも必要な対策はしっかりとって、楽しく元気に過ごしましょうね!

それでは皆様よいお年を!

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2022.10.06更新

当院の院内改装も、ようやくゴールに近づきつつあります。


9月24日まで行った第2期工事では、診察室とは廊下を挟んで反対側のエリアを中心に行いました。

まずは検査室

検査室
いままで散り散りになっていた検査機器をほぼ一か所に集めて、より動線が分かりやすくなりました。

 


また、心電図検査に関しては、新たに専用の心電図室を設け、患者様が気軽に上着などを脱げる環境を作りました。

心電図室

 


こちらは内視鏡室ですが、広さはやや狭くなったものの、より効率的に配置換えを行い、この部屋で超音波検査も行えるようにしました。

内視鏡室

 


廊下ですが、内視鏡室からスペースを多少もらい、待合席を数席増設し、なるべく一人でも多くの方がお座りになってお待ちいただけるようにしました。

廊下

 

 

そしてこちらが発熱・感染症外来待合室になります。

発熱外来

トイレを移動させ、患者さんがお待ちいただくスペースをさらに大きく確保しました。

1期工事終了後より、より余裕をもってお待ちいただけるスペースを作りました。

 

3期以降では主に収納などの新設を行うので、動線としてはこれでほぼ完成です。

 

またソフト面でも、電話自動応答システムを導入しました。
今まで応対業務で職員がなかなかお電話に出られず、皆様にはご迷惑をお掛けしておりましたが、電話自動応答システムの導入で、皆様によりスムーズにご案内できるようにします(併せて受付業務の迅速化も目指しています)。

 

まだまだ慣れないことも多い新体制ですが、少しでも皆様が受診しやすいクリニックになれるように、引き続き頑張っていきます!

 

さて、当院のインフルエンザワクチン接種は10月11日より開始することとなりました。
今年は現時点では比較的ワクチン入荷に余裕があるため、当院おかかりつけの方は予約なしで受診時に接種いただける見込みです。

ワクチンのみご希望の方は後日改めてワクチン接種専用予約枠を作成いたしますので、今しばらくお待ちください。

 

 

で、本題。


今年のインフルエンザはどうなるのでしょうか・・・


正直、一昨年、昨年とほとんど流行することなく終わっており、昨年ブログでも「念のため流行には注意しましょう」と呼び掛けていた私にとっては、やや気まずいのも事実です(とは言っても、呼びかけたこと自体は間違っていないのですが。何事も悪い方に備えるのは鉄則ですので)。


毎年「流行る流行るサギ」みたいになってしまうのは正直いやなのですが、それでもやはり今年は警戒しておいたほうがいいのかもと、私は思っています。


一般的にインフルエンザの流行状況は、南半球で先取りすると言われています。
まずここ数年の日本。ご存知の通り、ここ2年は全くと言っていいほど患者がいませんでした。

日本 インフル


一方、南半球のオーストラリアの状況ですが、オーストラリアも2020年、2021年とほとんどインフルエンザの患者は出ませんでしたが、2022年に入り4月下旬からインフルエンザの患者数が増加し、コロナパンデミック前の2015~2019年よりもむしろ多い患者数となっています。

オーストラリア インフル
またブラジル2022年初旬に大流行を起こし、多くの死者を出しました(こちらは季節外れの夏~秋に流行した、やや珍しいパターンでした)。アルゼンチンも同様です。

ブラジル インフル

アルゼンチン インフル
そしてアメリカですが、こちらも北半球にもかかわらず、2022年の夏にかけて、インフルエンザの患者が出ています。これは他の北半球のいくつかの国にも見られた現象です。

アメリカ インフル
他の国も見てみたのですが(皆さんも下のリンクから見てみてください)、実は2020年のパンデミック発生以降、インフルエンザ患者が発生していない国はむしろ非常に珍しいのです(日本、韓国、香港などアジアがほとんどです)
WHO Influenza virus detection charts(世界各国のインフルエンザ発生者数)


ここら辺を考えてみると、日本にいると実感がないのですが、やはりインフルエンザウイルスは残念ながら未だ健在なのです。
そして、他国の様子を見ると、例年と違う時期に流行が発生する可能性が否定できないのです。

一方、今年も例年ほどは流行しないかもしれない要素もあります。

パンデミックからインフルエンザ患者をほとんど出していない東アジアの国々は、わが国を含め、欧米や他の地域の国と比べ、未だに厳しめの感染対策を行っている国々です(それが正しいかどうかはここでは置いておきます)。

新型コロナはインフルエンザよりはるかに広がりやすい疾患です。
今の日本のような感染対策だと、感染力の強い新型コロナには無力化もしれませんが、インフルエンザにはまだ効くかもしれません。

たださすがに日本でも以前ほど対策は厳格ではなくなっており、この状況を縫ってインフルエンザが広がっていく可能性もあり得ます。

また新型コロナも当然のことながら他国でもまだまだ感染者は出ており、実際にコロナ・インフルの同時流行は当たり前に起きているのが世界の現状です。


と考えると、やはり今年こそは流行する可能性はあると考えなければなりません(「こいつまた言ってんな」と言われてしまいそうなのがツラいとこなのですが・・・)


という訳で、今年もインフルエンザワクチンを打った方がいい理由は以下の通りです。

まずはいつもの年と同様、高齢者ではインフルエンザの予防接種は重症化を予防することができます。

65歳以上の方に対しては発病予防効果34-55%死亡予防効果82%と報告されていますPrevention and Control of Influenza. Recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices, 2008. MMWR 2008:57(RR07):1-60
また若い方に対しても、アメリカの軍隊内の若い兵士を対象とした報告で70~90%の発症予防効果があるとされていますDavenport F : Control of influenza, symposium on influenza. Med J Aust Spec Suppl 1973 ;1 : 33-38


加えて、やはりコロナ患者さんの増加と重なったときの、受診のしづらさは確実に起きるだろうということです。

私も9月にコロナに罹りましたが、正直インフルエンザの症状とよく似ており、検査をしないと見極めはおそらく不可能です。

そしてパンデミックの前のような、通常外来に多くの発熱患者さんがいるという世界線はおそらくしばらくは目にすることはないでしょう(私は、やはりインフルエンザはまだコロナとは同列には語れないと思っています。ここ最近多く目にするコロナの後遺症の多さはやはり脅威で、これは(少なくとも従来の)インフルエンザにない特徴です)。

発熱した場合、症状がつらい場合、そんな時にやはり不安の中で過ごすことになるのは精神的にも応えます。

もちろん我々医療機関も正直第7波の状況の再来はできれば避けたいのが本音です(もちろんそのような状況になればやるしかないのですが・・・)

個人の視点からも、社会の視点からも、そのリスクはなるべく下げておくべきだと思います。
幸い今年はインフルエンザワクチンの供給不足の情報は流れておりません。一昨年、昨年よりは接種しやすい状況かと思います。

他国のようなイレギュラーな時期の流行があるかもしれないという現状では、今年は少し早めの接種も考えておいてもいいかもしれませんね。

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2021.12.09更新

ああ、いそがしい・・・

世界はオミクロン株で大騒ぎですが、わが国では今のところ蔓延にはいたっておらず、新型コロナの患者さんもしばらく当院にはお見えになっておりません(オミクロン株についてはまだわからないことが多く、私も現時点ではほとんど情報を持ち合わせておりません。情報が増えてきたら、もしニーズがあればまたブログ内でまとめてみようかなと思います、余力があれば・・・)。

しかし、昨年の冬に比べて、発熱、風邪症状をきたして来院される方は、明らかに多くなっている印象です。
当院では発熱患者さん用の待合を4席準備しておりますが、ここ最近混雑時には満席となってしまうことも珍しくありません。

新型コロナ、インフルエンザの検査をしても陽性の方は今のところほとんど出てはいませんが、発熱の方が増えているということは、やはり何かしらの病原体(おそらくその多くはウイルスです)感染が広まりつつあるのでしょう。

日本の方々は他国よりも、現在でもより徹底した感染対策を行ってはいるとは思いますが、やはり昨年の今頃よりは社会に多少の余裕を感じます。
その他にもいろんな環境が昨年と異なり、今年の状況になっているのかもしれません。
病原体は、常に世の中に潜んでおり、そしていつでも拡がる可能性を秘めています。

そして、インフルエンザワクチンの接種も佳境を迎えています。
12月に入りワクチンの入荷が見られるようになり、だんだんとニーズにお応えできるようになりました。

ただワクチンの在庫も少なくなってきており、接種できる期間も残り少なくなっています。希望される方はワクチンの残っている今、早めの接種をお願い致します。

で、そのインフルエンザ、今後はどうなるのでしょうか。

以前のブログでインフルエンザの流行の可能性について書いてみました。

そこから時間が経過した今の状況を眺めてみましょう(図はWHOのページからです)

まずは国内。

日本インフル
ご覧のようにインフルエンザ、国内では全く流行っておりません。

通常この時期はインフルエンザの患者さんがちらほらと見つかる時期ですが、国内からの報告でも直近1週間(11月22日~28日)の、定点からの国内患者数報告は46人、神奈川は2人です(定点とは、全国から人口比率に応じて無作為に選ばれた医療機関で、茅ヶ崎には11医療機関があるそうです。それでも全くいないわけではないんですね)。

ところが海外に目を転じてみると、昨年とは様相が異なるようです。

まずはアメリカ
アメリカインフル

1年前のこの時期と比較し、明らかにインフルエンザの患者数の動きが異なります。
例年よりはまだ少なめのようですが、昨年よりは明らかに増加しているようです。
アメリカで検出されているインフルエンザの大部分がA型(H3N2)だそうですhttps://www.cdc.gov/flu/weekly/

つづいてヨーロッパ。

フランスインフル
ロシアインフル

フランスやロシアでも、昨年とは違う動きが見えており、インフルエンザの患者数の増加傾向が見られます。


他にもクロアチアやインドでは、秋ごろに季節外れのインフルエンザ流行が見られ、特にクロアチアではコロナ前の例年を超える流行だったそうです。

 

またアジアでは中国の増加傾向がみえるようです(こちらはB型ですね)

中国インフル

こちらはコロナが流行っていないためにわが国よりは感染対策も厳密ではないことが影響しているかもしれません。

またこちらはネット記事からですが、ブラジルのリオデジャネイロでは現在、夏に差し掛かる時期にもかかわらず、急激なA型インフルエンザの流行が起こっているようです。

《リオ市》インフルエンザの患者急増=夏前なのにH3N2型へ2万1千人感染

もちろん今の日本と同様、全く流行が見られない地域も多くあります。
しかしコロナ前の状態とまでは言えないものの、昨年と比べるとインフルエンザの流行の兆しがみられる地域は確実に増えているようです。

またこれらのうち、中国を除く各国では今でもコロナの流行が収まっていません。

つまり、コロナとインフルの同時流行、ツインデミックは起こり得ると考えなければいけないかもしれません。

加えてブラジル、クロアチア、インドの例に代表されるように、必ずしも決まった時期にインフルエンザが流行るとも言い切れません(実際2009年の新型インフルエンザ騒ぎの時は、夏から流行が始まり、秋にピークを迎えています)。

ウイルスの動きは以前もお話しした通りわかっていないこともまだまだたくさんあります。

ましてや昨年からウイルスの秩序が変わってしまっています。
「いつもがこうだからこうなるはず」「去年がこうだったからこうなるはず」が、必ず通用するとは限らないのです。

そこでインフルエンザワクチンの効果を考えてみます。

複数の臨床試験データをまとめた報告では、成人でのインフルエンザワクチンの効果は、発病を69%低下させるとされています。Lancet Infect Dis. 2012 Jan;12(1):36-44
ファイザー、モデルナの新型コロナワクチンの、発病を95%抑える効果には及びませんが、それでもその有効性は十分客観的データに裏付けられています。

またこちらはアメリカのデータにはなりますが、人口の最大67%がワクチンを打つと、インフルエンザの社会的流行を抑えられるという試算が出ていますJ Res Health Sci. 2018 Fall; 18(4): e00427.
当然、家族内や学校内、会社内など、小さい単位での流行阻止にも大きく役立つわけです。

インフルエンザワクチンは大きな副反応の頻度も経験上少なく、個人的にも社会的にも、やはり接種するメリットは、そのリスクを大きく上回ると思います。
ワクチンを打てる機会が終わるまでに一人でも多くの方に接種をしていただき、少しでも皆さんが安心材料を増やしてこの冬を乗り越えて頂ければと思います。

なおインフルエンザの状況に関しては、大きな変化があればまたこちらでご紹介しようと思っています、余力があれば・・・

 

最後にお知らせです。

現在の院内の混雑を少しでも改善するために、今週末から呼び出しシステムの試験導入を開始します。
受付でお渡しする専用端末をお持ちいただければ、受付後に院外に出て頂いても順番が近づいたらお呼び出しすることが可能となります。
まだ試験導入の段階であり、運用も試験的なものとなりますが、ご希望の方は受付にてお申し頂ければと思います(可能でしたら今後の運用の参考にさせて頂きますので、アンケートにご協力頂けるとありがたいです!)。

その他にも混雑緩和、待合室の環境改善、予約状況の改善などの対策を現在全力で行っております。

ここ最近の混雑で患者様には多々ご迷惑をお掛けしておりますが、今しばらくお時間を頂ければと思います。

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2021.09.07更新

首都圏は一旦コロナのピークを越えつつあるようです。

ここ茅ヶ崎でもやや落ち着いてきたのか、当院でもPCRが陽性になる方が減ってきている印象です。
もちろん全体でみると検査数が少ない(=発熱でも受診する患者が少ないor受診できない)事情もあるかもしれませんが、8月中旬の当院でも繰り広げられた「PCR出せば陽性」という壮絶な状況でなくなったところを見ると、やはり実際に落ち着いてきているというのが私の肌感覚です。

とはいえ、まだ一昔前の患者数とはけた違いの患者数ですし、まだまだ先は長そうです。

コロナのワクチンも茅ケ崎市からの通達では10月までにほぼすべての希望者にワクチンが行きわたるとのことで、9月をもって個別医療機関へのワクチン配送を終了するとの通達がありました。
しかし、当院で先週60人分の予約枠を開放したところ、5分かからず埋まってしまい・・・実際は接種したくても枠を待っている方が非常に多いのが実情です。
集団接種の枠もなかなか取れず、当院で打ちたいとおっしゃる患者さんも多く、正直もっとうちにワクチンを打たせてくれよ!というのが本音です。
ですが、一零細医療機関にはいかんともしようがありません。
市の言う通りなら10月には集団接種も予約が取りやすくなることと思います。ぜひ焦らず行動をしていただきたいと思います。

そうこうしているうちに、来月ごろからはインフルエンザワクチンの接種が始まります。
昨年はワクチンの接種希望者が非常に多く、10月はややパニックになったにも関わらず、結局インフルエンザは全く流行せずに終わったのはご存じのとおりです。

それでは今年のインフルエンザワクチンはどうしようか、迷っておられる方も多いと思います。

インフルエンザワクチン、やっぱり今年も打つべきなのでしょうか?

まず昨年の状況から振り返ってみます。
昨年は1月にコロナが出現、その後4月までには世界中に広がっていき、世界中でロックダウンなどが行われました。
その結果でしょうか、通常3~5月から流行が始まり、6月にピークを迎える南半球のインフルエンザは、まったくと言っていいほど流行しませんでした。

そしてその後日本を含む北半球も全く流行しなかったのはご存じのとおりです。

もちろんコロナによるソーシャルディスタンスマスクや手洗いの徹底という要素や、国際的な人の移動の減少という要素は大きかったと推測されています(ウイルス干渉説もあるようですが、昨年のコロナの患者数は、例年のインフルエンザの患者数と比べてけた違いに少ないため、あったとしてもあまり大きなファクターではなかったかもしれないと私は考えています)。

そして今年ですが、やはり南半球ではインフルエンザは流行していないようです(オーストラリアやニュージーランドでは今でも大都市でロックダウンが行われているようです)。
そしてわが国でも緊急事態宣言で相変わらず人との接触機会が減っている状態です。

この状態を考えると、やはり今年もインフルエンザは流行しないのでは、そんな風に考えることは自然なことだと思います。

ただ本当にそうなるのか、それはまだ誰にもわかりません。

今年の6~7月、突如子供たちの間でRSウイルスが大流行をきたしました。
当院にも子供たちからうつってしまい、発熱したり咳が止まらなくなったお母さんお父さんが非常に多く来院されました。
本来RSウイルスは9月ごろに流行を起こすウイルスです。
ところが今年は例年よりも2か月も早く流行し、その規模は例年以上でした。

その原因としては、RSに罹ったことのない子が今年は多かった可能性が指摘されています。本来RSウイルスは2歳までにほぼ全員が感染するといわれていますが、昨年は感染対策をした結果、RSウイルスにかからなかった子が多くいて、その子たちが初感染を起こしたためではないかともいわれています。
つまり集団免疫が弱かったことが示唆されています。

ただ、ウイルスの挙動は、必ずしもすべてが簡潔に説明できるとは限りません。


このRSウイルスの流行も、ピークを迎えてから約1か月でほぼ完全に収束してしまいました。
減り始めたのは7月中旬からであり、夏休みはまだ始まっておらず、極端な人流の変化もなかったはずです。
外的要因だけでは説明できないように思えます。

ひるがえってインフルエンザですが、こちらも毎年1月下旬ごろをピークに減少していきます。
今までは気候の影響と言われて我々もそれを信じていましたが、よく考えてみると2月はまだまだ寒さ、乾燥のピークです。
なのに2月下旬には急激な減少傾向になっている年が多いのです。
しかも気温だけの要素なら北国のほうが大流行するはずですが、実際は全国でそれほど差はありません。
気候だけでも説明できないように思います。

と考えると、ウイルスの流行のメカニズムって、やはりそう単純なものではないもののようです。
確かに感染対策や人の移動に影響をされることは確かですが、集団が持つ抵抗力や、もしかしたらウイルスそのものの特性も関与しているのかもしれません(今回のコロナ第5波の急激な減少にしたって、人流や感染対策は8月になり急に大きく変化をしたわけでもないですよね。やはり別のファクターを考える余地はあります・・・)。

ウイルスの挙動は、まだまだ分からないことが数多くあります。

 

そして昨年インフルエンザが流行しなかったことが懸念点に挙げられる考え方もあります。
昨年はほぼすべての方がインフルエンザに罹患していません。
実はその前のシーズン(2年前)も流行は小さいものでした。
そのため2年間にわたって感染によって免疫をつけるという機会は奪われていました。これはインフルエンザが流行する世の中になってからは初めてのことです。

集団免疫という点では不利になる可能性は否定できません。

つまり、今年のインフルエンザに関しては、流行しない可能性も低くはないとは思いますが、流行する可能性もないわけではないのです。

昨年が大丈夫だったからといって、今年は流行しないとの決め打ちはやはり危険であるように思います。

そして社会的には、まだまだ発熱をすることに非常に気を使わなければならない状況は続くと思われます。
もしインフルエンザが流行してしまったときに、それをもらってしまうと大変面倒です。
もちろん発熱患者診療を受け入れる医療機関は頑張るでしょうし、当院でも今まで通りできる限り受け入れます。
でも数少ない発熱診療医療機関に非常に多くの方が押し寄せると、さすがにパンクしてしまうでしょう。再度の医療崩壊の悪夢もよぎります・・・

そのような状況を考えると、ワクチンを打つことでそのリスクを減らせるチャンスがあるのであれば、是非インフルエンザワクチンは打っておいていただきたいと考えています。
コロナワクチンほどではないにせよ、インフルエンザワクチンも一定の発症、重症予防効果はしっかりと示されています。
重篤な副反応も非常にまれであることは、皆さんが実感されていると思います。

そしてそれがたとえ空振りになったとしても、春まで皆さんが無事なら良いわけです。

ぜひ、今年も皆さんにはインフルエンザワクチンを接種していただき、そのワクチン接種が本当に空振りに終わってしまうことを、切に願っています!

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2020.08.24更新

まだまだ新型コロナ禍は終わりを見せませんが、全国的には発表される陽性患者数はピークを過ぎつつあるという見方もあるようです。
ただまだこの状況がこのまま落ち着くかはまだわかりません(実際ここ茅ヶ崎でも本日は過去最高の1日9例の陽性患者を確認したようです)
またこのまま仮に落ち着いたとしても、冬にかけてはまた新たな波がやってくる可能性も決して小さくはありません。

当院でも発熱、咳、だるさなど、いわゆる「風邪」の症状にお困りの方がこの時期でも1日数人はお見えになります(感染症についての現在の院内感染対策はこちらをご覧ください)。
既往歴や症状の経過など、いろいろな情報からその症状の原因を見極めていきますが、やはり新型コロナ感染症の見極めは困難を極めます。

新型コロナ感染症はその症状の程度の幅広さが特徴です(ほぼ無症状の方から、命に係わる最重症の方まで様々です)。
感染症にはその症状の強さによって病原体が見極められるケースも少なくないのですが、そのため新型コロナに関しては症状の強弱による見極めがあまりできません。
特に軽症の場合は、味覚嗅覚障害以外には特徴となる症状があまりないため、他の病気の可能性が高いと言えない限り、新型コロナ感染を否定することが難しいというのが実情です。

そこでやはり心配になるのがインフルエンザシーズンに入った時の対応です。
かつて新型コロナがいない頃のインフルエンザ感染症は、流行期に症状から強く疑われる場合はインフルエンザ抗原の検査をせずとも治療を開始することが許されていました。これは検査前確率がすでに高く見積もられる上に、例え診断を外した場合でもその後重症化するリスクが極めて低いためです。
ですので、典型的な症状でないときがインフルエンザ抗原検査の一番の出番でした。

ただ今年は状況が違います。

新型コロナはインフルエンザと比べて、重症化率が高い可能性があり、その治療法もまだ確立されていないという大きな課題があります。
また新型コロナのその性質から、隔離期間もインフルエンザより長く設定する必要があり、その間も重症化の兆候を見逃さないように注意深く観察する必要があります。

ですのでもし新型コロナをインフルエンザと誤認すると、隔離が不十分となり他者への感染リスクとなったり、その後悪化するタイミングを見逃したりする問題が出てきます。逆にインフルエンザを新型コロナと誤認すると、隔離期間が長くなったり、必要のない対応をしなければならなくなったりと、本人の生活への無用な影響や医療資源の浪費につながってしまうという面が出てきてしまいます。

以上を考えると、今年は発熱患者さんには今まで以上に積極的にインフルエンザ抗原検査を行う必要があると思われます。もちろん新型コロナ検査も、見極めが難しいときは積極的に検査しなければならないものと思われます。

そしてご存知の通り、インフルエンザ抗原検査鼻腔粘膜から採取する検体で行います。
この検査法は咳やくしゃみを誘発するため、万全の感染対策が必要であり(本来今までもこのようにするべきでしたが、新型コロナがいない時代はここまでしていませんでした。それは万が一感染しても重症化率が低いため、労力や費用対効果に合わなったためとご理解ください)なかなか診療所レベルでは鼻腔検査は難しかったのが実情ですが、今冬にむけてそんなことも言ってられない状況になりそうです。

当院でも今、知恵と財布をフルに絞って、通常診療を行いながら、通常診療を妨げずに何とか冬の発熱患者さんに適切な検査、治療ができる体制が整えられないか、鋭意検討中です。体制が決まりましたらHPでお知らせしたいと思います。

 

 

また今冬は発熱するだけでご本人やその周囲の方の負担はかなりのものになってしまうと思われます。

ですので今冬はどちらの感染症にもできればなるべきではないと思います。

残念ながら新型コロナを予防するワクチンはまだありませんが、できる限りの対策を取る必要がある今冬は、インフルエンザワクチン接種の重要性が非常に高いと考えられます。
おそらくマスコミでも同様の情報が今後流れることが予想され、ワクチンの需要が非常に高まると思われます。
まずは65歳以上の高齢者の方は打ちそびれないように、今年はなるべく早くに打っておいた方がいいかもしれません(来春にインフルエンザの流行が続いていた場合に作用切れで効果が低下するリスクはありますが、結果接種できなかった場合と比べればかなりマシでしょう)。
もちろんワクチンが潤沢にあれば、今年は接種可能なすべての方が接種を強く推奨されます。毎年接種をされている方のみならず、いつもは接種していない方も今年は接種をご検討ください。

当院では現時点では例年通り10月頃から接種を開始する予定です(流行状況や入荷状況などにより調整する場合があります)。

予防接種を行うにあたっての院内感染対策も今後策定する予定ですので、接種方法、感染対策などは引き続き当院HPにてご確認いただけると幸いです。

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信