アレルギー性鼻炎・花粉症

「毎年この時期になると、仕事や家事に集中できない」「鼻水だけでなく、咳も続いてつらい」……。

花粉症をはじめとするアレルギー性鼻炎は、今や国民病とも言われるほど多くの方が抱える悩みです。
単なる鼻風邪と思われがちですが、放置すると生活の質(QOL)を大きく下げてしまうため、適切な治療や対策が必要です。

当院では、アレルギーの状態を専門的にとらえ、お一人おひとりの症状やライフスタイルに合わせた治療を行っています。

なぜアレルギーは起こるの?(発症のしくみ)

私たちの体には、ウイルスなどの異物から身を守る「免疫」という仕組みが備わっています。
しかし、花粉やダニなどの本来は体に無害なものに対して、この免疫が「過剰に」反応してしまうのがアレルギーです。

このアレルギー反応を詳しくひも解くと、以下のようなことが体の中で起きていることがわかっています。

身体の「見張り役」が異物に反応する

本来身体は、異物が入ってくると、本来は異物を排除するための「飛び道具」である「抗体」が作られます。
花粉などが鼻の粘膜に付着すると、それらは異物として認識され、体の中で「IgE抗体」という抗体が作られます。
ところがこのIgE抗体は、本来の異物除去ではなく、「アレルギー反応」を起こしてしまう、カラダにとって都合の悪い抗体なのです・・・

アレルギー物質放出の準備が整う

このIgE抗体は、炎症を引き起こす物質を蓄えた「マスト細胞」とくっつきます。

スイッチが入る

再び花粉が入ってくると、IgE抗体は花粉とくっつきます。
するとIgE抗体はスイッチが入り、マスト細胞が抱えていたヒスタミンやロイコトリエンなどの化学物質が放出させます。
これらの化学物質によって、身体は鼻水やくしゃみという形で異物を追い出そうとします。

この反応が過剰になると、鼻水が止まらない、鼻が詰まって苦しいといったつらい症状につながってしまいます

注意したい「鼻と咳」の深い関係

「鼻水は落ち着いたのに、咳だけが長く続く」という経験はありませんか?
実は、上部にある鼻と喉、そして下部となる肺へと続く気道はつながっているため、お互いに炎症が影響し合うことがわかっています。
医学的にはこれを「一つの気道、一つの病気(One Airway, One Disease)」と呼んでいます。

喘息が合併しやすい

花粉症の方の約3割に喘息が、逆に喘息の方の約7割に花粉症があるというデータがあります。

咳が連鎖する

鼻水が喉に垂れる(後鼻漏)と、たれ落ちた鼻水が喉の粘膜を刺激したり、「痰」として貯まることで、それを排除しようとして咳が出ることがあります。
また、喘息を持っている場合、鼻のアレルギー性の炎症が気道に影響して、喘息の症状として咳や息苦しさをもたらすこともあります。

咳が続く場合、複数の原因が重なり合っていることが珍しくなく、鼻の治療だけでなく、喉や肺のケアを同時行うことが、症状をコントロールするのに必要であるケースは少なくありません。

あなたを悩ませている原因は?

原因を知ることは、効果的な対策の第一歩です。

季節性(花粉症)

春: スギ(2〜4月)、ヒノキ(3〜5月)
初夏: イネ科(5〜7月/カモガヤなど)
秋: キク科(8〜10月/ブタクサ、ヨモギなど)

通年性(一年中)

原因: ダニ、ハウスダスト、ペットの毛、カビなど
※夏から秋にかけては、ダニの死骸やフンが増えるため、一層症状が強まりやすくなります。

当院で行う検査と治療

当院ではアレルギー症状を専門的見地から様々な角度でお伺いし、各種検査で正確に診断したうえで、効率的な治療を組み立てていきます。

検査について

アレルギー検査(採血)

「自分は何に対してアレルギーがあるのか」を血液検査で手がかりをつかむことができます。
一度の採血で複数のアレルゲンを調べることが可能です。
また、より正確に調べるために、「プリックテスト」という、皮膚にアレルゲンエキスを反応させるテストも可能です。

レントゲンやCTなどによる画像検査

鼻炎はたびたび咳などの症状を起こします。
また症状が実は副鼻腔炎から起こっていたり、アレルギー性鼻炎が副鼻腔炎を引き起こしていたりするケースもあり、症状の出方(咳が止まらない、鼻水が黄色いなど)によっては、レントゲンやCT検査を行うことで新たな診断、治療法が必要になることが判明することもあります。

治療について

内服薬

眠気の出にくい第2世代抗ヒスタミン薬や、ロイコトリエン拮抗薬を中心に、ライフスタイルに合わせて処方します(症状に応じて、あえて古いタイプの薬や、他のアレルギー薬、去痰薬など、様々な薬を使用するケースもあります)。

点鼻ステロイド薬

鼻の粘膜の炎症を抑えます。直接鼻に届くため、全身への副作用がほとんどなく、効果が高いのが特徴です。
点鼻ステロイド薬にも種類があり、症状に応じて使い分けることが有用です。また症状の特徴によって、より効果的な使い方もお伝えします。

漢方薬

他のお薬と組み合わせて処方することで、症状がよりコントロールできるケースもあり、体質や症状に合わせて適切な漢方薬を選択します。

重症鼻炎の方への新しい選択肢「ゾレア」

上記の治療をしっかり行っているにもかかわらず十分な効果が得られない、重症のスギ花粉症の方には、IgE抗体を直接抑える「ゾレア」の注射治療という選択肢があります。
「ゾレア」を使用することで、長年苦しんでいた花粉症が劇的に改善するケースが多く見られます。

※使用には年齢や血液検査等の条件があります。

くわしくはこちら!

体質を改善する「舌下免疫療法」

スギ花粉、ダニによるアレルギー性鼻炎に対し、アレルギーの原因物質を少量ずつ体内に取り入れ、体を慣らしていく治療です。
1日1回、舌の下に薬を入れて溶かして内服します。
最低3年間続けて頂くと、体質が変わり、その後症状が長期にわたって軽減することが期待できる治療法です。

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日常生活でできる花粉対策

お薬だけでなく、生活の工夫で症状を和らげることもできます。

・帰宅時に玄関前で衣類の花粉を除去する
・ツルツルした素材の服を着る
・マスクや眼鏡(ゴーグル型)を着用して、粘膜に付着する花粉の量を減らす
・鼻うがいで鼻の中に入り込んだ花粉を物理的に洗い流す
などなど・・・

※より詳しい内容はこちらの医師ブログより。

このブログの内容は日本テレビ「ZIP!」に取り上げられ、理事長が出演しました。

さいごに

アレルギー性鼻炎の治療は、単に「鼻水を止める」だけではありません。
仕事のパフォーマンスを維持し、夜ぐっすり眠り、日々を元気に過ごすための「トータルケア」です。

当院では、内科・呼吸器の視点からも含めた多角的な診療を行っています。
「たかが花粉症」と思わず、どうぞお気軽に相談にいらしてください。

一緒に最適な解決策を見つけていきましょう!

2020.2.11 花粉症のしくみと、基本的な治療について
2020.3.1 花粉症と咳のただならぬカンケイ
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