呼吸器、アレルギー疾患
アレルギー性鼻炎・花粉症
花粉症は近年新しい治療が続々出ています。
また咳を合併した際は両方とも治療をすることが大事です。
普段の生活の質を上げるためにもしっかりと治療をしましょう!
どんな病気?
アレルギー性鼻炎は、主に花粉によって引き起こされる季節性アレルギー性鼻炎と、一年中症状に悩まされる通年性アレルギー性鼻炎に分けられます。
花粉によって引き起こされる症状が花粉症です。眼に作用するとアレルギー性結膜炎も引き起こします。
通常「アレルゲン」というアレルギーを引き起こす物質が体内に入り、粘膜に付着すると、これを排除しようとする免疫反応が起こります。
この時に免疫グロブリン(Ig)という物質を作って排除しようとするのですが、IgEというちょっとおバカさん(?)な免疫グロブリンが作られてしまうと、異物の排除だけではなく、内部にたっぷりアレルギー性の炎症を起こす物質を蓄えているマスト細胞という細胞に、その内部の物質(ヒスタミンなど)を放出するように働きかけてしまい(脱顆粒と言います)、放出された物質によりさまざまなアレルギー症状を引き起こしてしまいます。
どんな症状が出るの?
一般的にはさらさらした水のような鼻水に鼻づまりを伴うことが特徴的です。また目に症状が生じる際は目のかゆみや眼脂を生じることが多いです。
これらにより生活パフォーマンスが低下してしまうことが問題となり、仕事面での失敗や勉学面での成績低下のリスクが上昇してしまうデータも報告されています。
またアレルギー性鼻炎は咳を合併する頻度が少なくありません。アレルギー性鼻炎そのものによるアトピー咳嗽や後鼻漏の咳の他に、喘息を合併することもあります(花粉症の方の約3割に喘息が、喘息の方の約7割に花粉症が合併しているというデータもあります)。
アレルギー性鼻炎と喘息は違う場所で起こる同じ病気とも考えられており、同時に双方とも治療することが大事です。
原因はなに?
季節性アレルギー性鼻炎は、主に花粉によって起こります。
スギ花粉がとても有名ですが、ヒノキの花粉はスギと非常に似ている構造を持っており、スギに対してアレルギーを起こす方は、ヒノキにも症状を起こすことが非常に多いとされています。
またカモガヤやオオアワガエリなどのイネ科の花粉は5-6月、ブタクサやヨモギ、カナムグラは8-10月にピークを迎える花粉で、夏から秋に花粉症が起こることも少なくありません。
またハウスダストと言われているものは、ダニや人を含む動物のフケ、ホコリ、繊維、カビなどの総称です。
この中で特にアレルギー反応を引き起こしやすいのがヤケヒョウダニ、コナヒョウダニなどのダニの死骸や糞です。
春から夏にかけ繁殖し、夏の終わりに死んで死骸となるため、ピークは夏から秋になります。症状が軽い人はこの時期の季節性アレルギー性鼻炎になりますが、症状が強いと通年性アレルギー性鼻炎になってしまいます。
どのように診断するの?
まずは同じ季節や同じ環境で症状が繰り返されているかを確認します。
疑われる場合は血液検査で体内の総IgE量を調べたり、それぞれのアレルゲンに対するIgEを調べたりすることで診断することが一般的です。
針で皮膚を傷つけた後にアレルゲンを皮下に浸透させるプリックテストやアレルゲンを皮内注射する皮内テストもあり、血液検査だけでわからないときは有用ですが、検査時はしばらく抗アレルギー薬を中止しなければならず、痛み、かゆみが伴うなどの欠点もあります(なお薬品をしみこませたテープを2日間皮膚に貼り付けて反応を見るパッチテストはこれらとは異なります)。
どうやって治療するの?
治療の基本は抗ヒスタミン薬と言われる抗アレルギー薬の内服になります。
また内服だけで不十分な場合は点鼻薬を使用します。主に使われるのはステロイド点鼻薬で、シーズン中は毎日使っていただくことで優れた効果を発揮します。吸入ステロイドと同様、全身投与ではないのでいわゆるステロイドの副作用はほぼ気にしなくて大丈夫です。
また鼻づまりが強いときは血管収縮薬と呼ばれる点鼻薬もありますが、こちらは長く使い続けると効きが悪くなったり、かえって症状が悪化したりすることがあるので要注意です。市販の点鼻薬にも多く使われているにもかかわらず、あまり知られていない事実でもあるので、使用の際は十分注意する必要があります。
それと漢方薬の併用も症状を改善するには効果的です。
また重症花粉症でこれらの治療を行っても症状が改善しない場合は、2019年12月より生物学的製剤と呼ばれる注射剤が使用できるようになりました。
加えて、これらの症状を起こりにくい体質にする治療として、免疫療法があり、近年は簡便に治療できる舌下免疫療法が注目されています。
茅ヶ崎内科と呼吸のクリニックでは何ができるの?
当院ではアレルギー専門医である院長の診断の元、治療をオーダーメイドで行っています。
内科としての強みは、アレルギー性鼻炎に合併しやすい咳の治療を共に行うことが出来る面です。これらは喘息である場合や花粉症による咳である場合などがあり、両方をしっかり治療しないとどちらの症状も残ってしまうことがあり、まずは両方とも適切な治療をすることが大事になります。
治療に関しては、まずは花粉症などの症状を起こしにくくする生活面でのアドバイスを行い、ご希望の方やこちらが必要と判断した方には血液検査によるアレルギーの原因検索を行います。
治療に関しても、内服の抗ヒスタミン薬は作用の強いものやマイルドなもの、眠気が起こりづらいものややや起こりやすいもの、鼻づまりにも強いもの、飲み方や飲むタイミングなど、それぞれにさまざまな特徴があり、またステロイド点鼻薬もそれぞれに使用感の違いや長所、欠点があるので、患者さんの生活様式や使用感、薬との相性で各薬剤を適宜使い分けて治療を行っていきます。
生物学的製剤である「ゾレア(一般名:オマリツマブ)」については現在のところ、1週間以上内服、点鼻を使用しても症状が改善しない12歳以上の方で、血液検査で一定以上のスギ花粉症が確認された方に対し使用できます。
使用できる医師の要件に関しては、内科では3年以上「季節性アレルギー性鼻炎を含むアレルギー診療の臨床研修」を修了している医師のみが使用できることとなっており、当院では勤務医時代にアレルギー専門診療を長く行っていた院長のもとで、もちろんゾレアによる花粉症治療を行うことができます(なおこの薬剤はもともと重症喘息に使用されていた薬剤であり、当院院長は本薬剤の使用経験も豊富にあります)。
また当院でスギ、ダニに対するアレルギー性鼻炎に対し舌下免疫療法も行っております。
スギに対する舌下免疫療法は花粉症のシーズンは施行できませんので、当院では6月から11月までを治療開始可能期間としています。
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