医師ブログ

なぜ、今年はインフルエンザがこんなに早く流行ってるの? んで、ワクチンはどうする??

最近、AIにハマってます(笑)

4月から平塚院の診療も始まり、診療だけではなく、2院分の様々な打ち合わせや事務作業などなど・・・

若いと思っていた私ももう40代後半、疲れが抜けず徐々に体力の低下も実感し、もう「毎日ネコの手も借りたい!」と泣き言の一つも出てしまう毎日です。

しかし、今は強い見方がいます。

そう、AI!

もちろん今までも壁打ちや質問を投げかけたりと、一般的な使い方はしていましたが、これからの時代、取り残されるわけにはいかない、と、バイブコーディングを夏休みの間に勉強しました。

そしてclaude codeをこの夏から使い始めています。

結論、すげーや。

まず練習として、受付に使ってもらえそうな「駐車券管理アプリ」を作ってみました。

ものの2時間で完成!
毎日「正」の字で数えて、あとから表を埋めるという作業から解放されました。

次は、看護師さんが毎年管理に四苦八苦しているインフル、コロナワクチンの管理アプリも作ってみました。

これも1日で完成!
ワクチンの使用期限や過去5年の当院のデータも取り込んで、需給予測、発注メドまで立ててアラートをかけてくれるアプリに仕上がりました。
当院完全カスタマイズのアプリです!

これで看護師さんの業務が大きく削減され、その分患者の皆さんの待ち時間短縮にもつながればいいなと思ってます。

しかし今のバイブコーディングは、何も難しいコードは一切書く必要がなく、「こんなのあったらいいなあ」ってドラえもんに話すが如くclaude codeにつぶやくといつの間にかできていると。

やはり時代にはついていかなければなりません!

調子に乗って、今の診察にあたって我々が最新情報を知っておかなければならない「感染症・花粉ダッシュボード」も作ってみました。

今までは定期的に厚労省や県、保健所のホームページを回っていましたが、もう勝手にデータを集めてくれています。

とまあ、ここ1カ月で、一気にクリニックの生産性が上がってきました!
昨年の冬にWall Street Journalに取材頂き、AI時代に置ける人間としての医師のあり方というインタビューを掲載していただきました。

もちろん、医療は人対人です。
(しっかりとした診療なら)AIが人に取って代わられることはないと、私は今でも思っています(適当な診療ならAIのほうがましですからね、そう言われることのないように精進します)。

でも、やはりAIを避けるのも間違っているでしょうね。
診療の大きな助けになっていますし、このように業務改善もかつてないほど進めることができます。

医学だけでない勉強、まだまだやらなきゃいけなそうです!

さて、そんな感染症ダッシュボードを眺めてて、改めて思いました。

インフルエンザ、もうガチで流行期です!

数字で見てみましょう。

  • 神奈川県が「流行開始」のラインを超えたのは、今年は8月中旬でした。昨年は9月末です。つまりおよそ1か月半も早い。
  • そこからの1週間で、県内の患者報告はおよそ2倍に増えました。
  • そして茅ヶ崎市は、県の平均よりもさらに高い水準で、9月17日にインフルエンザ流行注意報が発令されました。

※ 数字は2026年9月中旬時点(神奈川県衛生研究所・感染症発生動向調査)。流行状況は毎週更新されますので、最新の数字は変わっている可能性があります。

せっかくなんで作ったダッシュボードから持ってきました。

皆さんがかつて「常識」と考えていた「コロナ」前の世界と比較してみます。

2018年は、12月に入り徐々に感染者が増え、年明けに爆発しました。
今でも皆さんの頭に思い浮かべるであろう「典型的」な経過です。

ところが、この図をみてみると、2024年は11月中旬から流行が始まっています。
そして冬休み前にピークを認めました。この年も通常よりはかなり早いと大騒ぎになりました。

そして翌2025年、流行は更に早まり、9月下旬から始まり10月に広がり、11月に第1のピークを迎えました。

もはや今までの常識が通用しないパターンでした。

そして今年です。
「異常」と思われた昨年のパターンから、更に1か月以上も早い時期からの流行なのです。

「学級閉鎖のお知らせが来たけれど、まだそんな季節じゃないのでは?」——コロナ前の感覚を持っていたら、その違和感は、確かに正しいのです。
しかし、実はもうインフルエンザの流行の時期の「常識」は、コロナ前後でまったく変わってしまったと考えなければならない、そんな状況なのです。

ちなみに、この流行が日本で最初に始まったのは沖縄でした。
なぜ、南から始まったのか。
実は、ここに今年の流行の正体が隠れています。

なぜ、今年はこんなに早いの?

理由1:主役が入れ替わった

インフルエンザには、いくつかの型があります。
同じ「インフルエンザ」と呼んでいても、体にとっては、まったくの別物です。

去年の冬に流行したのは、H3N2型、いわゆるA香港型でした。
多くの方が、この型に対する免疫を手に入れました。

ところが今年、先に来ているのはまったく別の、H1N1pdm09と呼ばれる型です(2009年にパンデミックを起こした型で、今ではよく流行する型の一つになりました)。

そしてこの型は、昨シーズン、ほとんど流行していない型なのです。

つまり今、社会全体では、この型に対する免疫がほとんどありません。
免疫を持っていない人が多ければ、ウイルスは社会の中で速く広がります。 

では、なぜそんな型が今流行っているのでしょうか?

理由2:海の向こうから来た

香港や台湾でも、実は8月に季節外れのインフルエンザ流行が起こっています。

台湾では、8月にインフルエンザの流行が始まりました(通常は11月が流行時期だそうです)。
前シーズンはH3N2(いわゆるA香港型)型が流行していましたが、この8月からはH1N1pdm09型、つまりいま日本で流行っている型が季節外れの流行を起こしていたのです。

香港では、継続的に6月から継続的にインフルエンザが流行しています(香港はもともと冬と夏にインフルエンザが流行しやすい土地柄です)が、6月はA香港型だったものがやはり7月下旬ごろにH1N1pdm09に入れ替わり、流行がさらに広がっている状況です。

そして2026年7月の訪日外国人数は、過去最高を記録しています。
台湾、香港に近い沖縄は、こちらの方面からの観光客も多く、事実先ほどお話しした通り、日本の流行は沖縄が先行しています。

お隣韓国でも同様にH1N1pdm09が季節外れの流行を起こしているとのことで、国境を越えて、東アジア全体でH1N1pdm09が猛威を振るっている状況なのです。

理由3:「夏休み」後の新学期

それと、この時期に流行が始まったのも、一気に広がりやすくなってしまった一つの要因かと思われます。

夏休みのあいだ、人と人との接触は大きく減ります。
それが新学期で一気に戻りました。

また、9月初旬はまだまだ冷房を使うことも多い気温です。
冷房のために窓を閉め切った部屋で、長い時間を過ごすと当然、換気は減ります。

ある意味、長期休みの後というタイミングでの密閉しやすい状況というのは、偶然にも、例年の冬休み明けとまったく同じ状況となってしまったのです。
この状況で一旦インフルエンザが流行り始めると、冬同様に一気に広がる原因となります。

「インフルエンザは冬の病気」——この言葉はもう、時代遅れになりつつあるのかもしれません。

去年かかったのに、また?

まだ夏なので去年の流行も記憶に新しい時期です。
昨年かかった、昨年ワクチンを打った。
そんな人でもまたかかるのでしょうか・・・?

残念ながら、またかかります。

型が違えば、去年つくった免疫は使えません。

去年A香港型にかかった方も、今年のH1N1pdm09型に対しては、ほぼ無防備です。
それどころか、同じシーズンのうちに2回かかる方も実際にいらっしゃいます。前半にA型、年明けにB型、という形です。

今年のワクチンは、昨シーズンからの全面的な変更で、中身が3種類ともすべて入れ替わりました。
今年流行が予測されている株は、初めから昨年と全く違う株と予想されていたのです。

つまり、去年打ったワクチンは、今年はもう効かないというわけです。


ピークが2回来る可能性も・・・

今回の予測では、流行のピークは10月から12月にかけてと見られています。

そして年明けに、別の型(B型)によるもう一つの山が来る可能性があります。
実際、昨シーズンも山は2回ありました。

昨年は11月にピークが来たのとほぼ同じ高さの山が、2月にもやって来たのです。

ここから言えることは、はっきりしています。

今年は「冬の2週間を乗り切る」という話ではありません。秋から翌年春までの長丁場になる可能性があるとして考える必要があります。

受験、年末年始の帰省、卒業式、旅行。
外せない予定を先にカレンダーに置いて、そこから逆算する必要があります。

ワクチンは、いつ打つ?

今年に関しては、打てるようになったら、早めに。
これが、今年の答えです。

「早く打つと、冬に切れない?」

毎年いちばん多い質問です。
ここについて少し考えてみましょう。

ワクチンは、打ってから効き始めるまでに約2週間かかります。
そして効果は、およそ5か月続きます。

つまり、秋のうちに打てば、何とか3月ごろまでは届く計算です。
10〜12月のピークにも、おそらく来るであろう年明けの第2波にも、何とか効き目を維持することはできそうです。

一方で、今のこの感染状況で、待っているあいだにかかってしまっては、元も子もありません。

もし受験などで冬の防御力を最大限あげておきたいなら、今の時期を何とか粘り、10~11月に接種するという手も、もちろん考えておく必要はあります。
しかし、全体を考えるのであれば、第一の山はこの1か月以内に来る可能性が高いと見込まれます。

この山に間に合うように、つまりなるべく早いうちに接種することが大事になるというわけです。

なお、今年のワクチンの供給量は例年並み以上が見込まれています。
数の心配よりも、タイミングの心配をしていただければと思います。

お子さんは、逆算が必要です

  • 13歳未満のお子さんは3〜4週間あけ2回接種(ただし、海外では9歳以上は過去の接種歴が十分なら1回で十分としている国もあります。毎年接種している9歳以上の子では、絶対に2回打たなければならないとまでは考えなくてよいという考え方もあります。)
  • 13歳以上の方は1回接種

2回必要なお子さんは、1回目を先に押さえてください。
1回目が遅れると、2回目がピークに間に合わなくなります。

注射が苦手なお子さんには、鼻にスプレーするタイプもあります。
2歳以上19歳未満が対象で、1回で完了します(当院では6歳以上の方と、5歳以下のかかりつけの方を対象とさせて頂いております)。

家族単位で考えましょう

一人がかかると、ご家庭のなかではほぼ確実に広がります。

実際に発熱感染症外来でも、家族内でうつってしまい、皆さんでご来院頂く方が非常に多くなっています。

ご高齢の方、持病のある方、小さなお子さんと同居されている方は、早めに周りの大人が打つことに、大きな意味があります。

接種を待たない方がいい場合は?

茅ヶ崎市・寒川町・平塚市の65歳以上の方の定期接種(公費助成)は、10月1日からです。
対象の方は、10月1日以降に接種すれば自己負担が軽くなります(平塚院では公費接種の取扱いはございません)。

ですから65歳以上の方では、基本的には10月1日以降に、できるだけ早めに接種を済ませることがおすすめです。

ただし、公費の開始を待たないほうがよい方も、いらっしゃいます。

先ほどもお話ししたように、ワクチンが効き始めるまでに、約2週間かかるのがその理由です。

10月1日に打つと、守られ始めるのは10月中旬です。
いまの流行の速さを考えると、山がピークに達するのに間に合わないケースもあります。

次に当てはまる方は、公費の開始を待たずに接種されることをおすすめします。

  • ぜんそく、COPD、心臓病、糖尿病などの持病がある方
  • ご高齢の方や乳児と同居されている方
  • 医療・介護・保育・教育の現場で働く方

迷われたら、遠慮なくご相談ください。

熱が出たら、いつ受診する?

よく、熱が出てからしばらく待ってから来院したほうがいいと言われることもあります。
検査で陰性が出てしまうと、治療が遅れるという理由からです。

しかし私たちは抗原検査の結果だけで陽性かどうかを決めません。

周囲の状況なども加味しながら、検査の結果にとらわれず治療を開始することもできます。
(そのためにあの感染症ダッシュボードを作ったわけです)

そして、抗インフルエンザ薬は早ければ早いほど効果も高いです。

もちろん医師はその症状をみながら判断を行うので、必ず熱が出たらインフルエンザと診断するわけでもありません。

そこは私たち医師の判断にお任せいただき、症状が変わったらすぐに再度お問い合わせいただければと思います。

まとめ

今年は、コロナ前に常識だった接種スケジュールが、おそらく通用しない年です。

「いつもと違うんだ」ということを意識し、行動をアップデートして頂ければと思います。

これから秋の行楽シーズン、1年で一番過ごしやすい時期です。
この時期を楽しく過ごすためにも、ぜひお早目の対策、ご検討ください!

茅ヶ崎・平塚内科と呼吸のクリニック
理事長 浅井偉信(医師紹介はこちら)