一般内科

高血圧症

高血圧は「サイレントキラー」
放っておくとある日突然・・・
油断しないで適切な対策を!

血圧って何?

血圧とは、血管の中を流れる血液が、血管の壁に向かってかける圧力のことです。

血液は心臓がポンプとなり、全身に血管を通して押し出されてきます。
つまり血管は、中に血液が流れる「ホース」の役割ともいえます。

心臓は縮んだり(収縮)、ゆるんだり(拡張)しながら全身に血液を送り出します。

心臓が縮む(収縮)と、血液を送り出す時の血圧が最も大きくなり、また心臓がゆるむ(拡張)と、血液を送り出す時の血圧が最も小さくなりなります。

前者を「収縮期血圧」といい、これがすなわち「上の血圧」「最高血圧」となり、一方後者を「拡張期血圧」といい、これがすなわち「下の血圧」「最低血圧」となります。

この血圧が高くなることを「高血圧症」と呼びます。

 

 

なんで血圧が高いと良くないの?

血圧が高いと、ホース、つまり血管の壁に強い圧力がかかるようになりますが、そのような強い圧力に血管の壁がさらされ続けると、血管の壁は圧力に耐えきれず傷がついてしまいます。

その傷から、血管内に血液とともに流れているコレステロールが入り込むと、コレステロールは壁の中で待ち構えている「マクロファージ」に食べられてしまい、そのマクロファージの死骸によって血管の中のコブ「プラーク」が作られてしまいます。

これにより、血管は「動脈硬化」の状態となってしまいます(コレステロールによるプラークの影響は「脂質異常症」のページで詳しく!)。

すると、柔軟性を失った血管は血液の圧力を吸収しきれず、さらに血圧が高くなったり、最悪の場合、圧力に耐えきれずに裂けてしまい、突然死したり、重い後遺症を残してしまったりします。

また、プラークには血の塊(血栓)がつきやすくなってしまいますが、これが剥がれて血流にのってしまうと、遠くに血栓が飛んでしまい、その先の血管が詰まることで、脳卒中などの脳血管疾患や心臓病、腎疾患など多くの疾病を引き起こしやすくなります。

 

どうして血圧って高くなるの?

高血圧の原因としてはホルモンの異常や睡眠時無呼吸症候群、腎臓への血流不良などによっておこる「二次性高血圧」と、そのような原因がない「本態性高血圧」があります。


「本態性高血圧」は、遺伝体質に加え、生活習慣も大きく影響します。


生活習慣の中では、塩分の摂り過ぎや肥満、ストレス、飲酒、喫煙が血圧を上げてしまう主な原因と言われています。


ではまず、「過剰な塩分摂取」が血圧を上げてしまう理由からお話ししましょう。

カラダの中は、水分に塩分が一定の割合で混ざっています。
そこに塩分が余計に入ってくると、カラダはその分水分を蓄えて、一定の濃度を保とうとします。
すると、血管を流れる水分が増えて、血管がパンパンに膨らんでしまい、血圧の上昇につながってしまいます。


次に「肥満」です。

脂肪細胞に脂肪がため込まれて膨らむと、その間を流れる血管が圧迫されて狭くなってしまいます。
そのためカラダは、すみずみに血液をくまなく届けるために、血圧を上げて対応しようとします。

体重過多はコレステロール上昇、血糖値上昇も招きやすくなるため、それらの相乗効果で動脈硬化を進めてしまいます。

つづいて「ストレス」です。

人間はストレスがかかると、「交感神経」が強く働くようになります。
交感神経はいわゆる「闘う」自律神経です(一方副交感神経「休む」自律神経です)。
交感神経が活発に働き、カラダが闘いモードになり続けていると、その影響で血圧は上がりやすくなってしまいます。

 

最後に「喫煙」です。

たばこ血管に炎症を起こし、動脈硬化を進めることがわかっています。
またたばこによって体に一酸化炭素が入ると、慢性的な酸欠状態となる上に、血液が固まりやすくなり、血栓ができやすい状態となります。
これにより血管の壁が傷つきやすくなり、さらに動脈硬化が進行することで血圧上昇を悪化させます。

 

どれくらいの血圧だといいの?

病院や健診施設などで測定した血圧値が140/90mmHg以上の状態高血圧といいます。
自宅で測定する家庭血圧では、それより低い135/85mmHg以上高血圧とされます。

血圧は測るたびに変動することが多く、通常1回目の血圧より2回目の方が下がります。

2回の血圧の平均値で求めると、一番本来の血圧の値に近い結果が得られます(何度も測りすぎると、かえってバラつきが大きくなり、正しい血圧の値にならなくなると言われています)。

測り方も重要となります。詳しくは以下をご覧ください。
 
2021.11.20 医師ブログ「クリニックで測る、血圧のホントに正しい測り方」

 

血圧を下げるにはどうしたらいいの(生活習慣編)

まずは「敵を知る」ことです。
血圧が高いのは、健康診断や他の病気の診察中に見つかることが多いのですが、そのような血圧は、ある意味「通常の状態」の血圧とはちょっと違います。

まずは「通常の状態」での血圧、つまり「家庭血圧」を把握することが大事になります。

血圧を朝起きた時(起きてトイレに行って少し休んだあと)と、夕方(いろいろタイミングはありますが、夕食前、入浴前、就寝前など)を測って記録します(1日2回が難しければ、まずは朝の血圧を記録しましょう)。
医療機関では「血圧手帳」をもらえますので、そこに記録するとわかりやすいです。

次に生活習慣を見直します。
「本態性高血圧」の場合、食事面での「減塩」、食事や運動などによる「減量」、生活の中での「ストレス軽減」、それに「禁煙」をすることが大事になります。

 

まずは「減塩」についてです。

高血圧の方の塩分摂取量の目標値は1日6gとされています。
一方現在の日本人の平均塩分摂取量は10~12gとされており、6gは正直なかなかきつい数字です。

ただ薄味に慣れると、少しの塩分でも味がしっかり感じられるようになるとも言われています。
まずは塩分摂取量を2割程度、減らすことを目標にしましょう(当院では高血圧で診療中の方は、採血と尿検査から割り出す推定塩分摂取量を測定して、減塩に役立ててもらっています)。

次に「減量」についてです。

まずはカロリーコントロールや脂質、糖質、たんぱく質を適正な割合で摂ることが基本です。

とはいっても、1日に1~2食にしたりすると、かえって一回の食事の過食につながって(その分インスリンが大量に分泌されることで)脂肪蓄積につながったり、一方極端なカロリー摂取減少による「リバウンド」につながりやすくなります(リバウンドは後で説明します)。

できれば1回の食事を腹六~八分にとどめ、間食(甘いものの摂りすぎはもちろんダメ!)で補うのも一つの方法です。

また歩いたり、自転車をこいだりという有酸素運動で脂肪を燃焼すること、筋力トレーニングで筋力アップをして、基礎代謝を上げることも有効な手段です。

体重の理想値はBMI(つまり体重÷〔身長×身長〕)が22前後と言われています。
この体重が理想ですが、一気に減らそうと極端なカロリーコントロールを行うと、カラダは「飢餓状態」となり、かえって基礎代謝を落としてしまいます。

すると体重はむしろ減りづらくなり、一旦ダイエットを止めてしまうとリバウンドにつながってしまいます。

1ヵ月に落とす体重は、だいたい重の2~3%、多くても5%以内にはとどめておくようにしましょう。

続いて「ストレス軽減」です。


しっかりと規則正しい生活で睡眠をとること、仕事や日常生活でもしっかり適度な休息を取ることがストレス軽減に役立ちます。
熱すぎないお湯にしっかりと入浴することも、ストレス軽減に役立ちます(血管拡張作用も有効に働きます)が、お湯が熱すぎたり、長湯をしすぎたり、脱衣所や洗い場などが冷えていたりと急激な血圧上昇につながり危険なことがありますので注意しましょう。

 

最後に「禁煙」です。


出来るだけ早めに禁煙を行うことが、動脈硬化を悪化させないためにはとても重要になります。
なかなか自分の力で禁煙が難しいときは、医療の力を借りて「禁煙外来」で禁煙をサポートしてもらうことも、とても有効な方法です。

 

血圧を下げるにはどうしたらいいの(お薬の治療編)

「二次性高血圧」の場合は、その原因を治療することで血圧が低下するため、これらの原因がありそうな場合は、まずその有無を調べることから始まります。

「本態性高血圧」の場合は、まずは上記のように生活習慣の改善を行いますが、それでも血圧が高い状態が続く場合は、薬による治療を行うことが有効です。

現在血圧の薬は、種類別にそれぞれ違う部分に働きかける薬が用意されています。

その方の血圧の上がっている原因や、持っている他の要因によって、それぞれの薬を使い分け、さらには場合によっては重ね合わせて使うことで、より適切な降圧効果を引き出していきます。

血圧の治療目標値は、現在は75歳未満の方であれば125/75mmHg、75歳以上の方であれば135/85mmHg(できれば130/80mmHg)とされています。
糖尿病、蛋白尿のある腎機能低下、脳や心臓の血管の病気にかかった方年齢に関わらず125/75mmHgが目標値となっています。

当院では高血圧で治療をされている方に「血圧手帳」をお渡しし、日常の血圧をしっかりと把握したうえで薬剤を調節しています。