肝機能異常

健康診断などで「肝機能の数値(AST, ALT, γ-GTPなど)が高い」と指摘されたことはありませんか?

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、病気が進んでも自覚症状がほとんど出ません。

数値の異常は、肝臓からの「SOS」のサインです。

どんな状態?

血液検査で肝臓の細胞が壊れたり、働きが低下したりしていることが示されている状態です。

近年、特に注目されているのが「脂肪肝」です。これは肝臓に中性脂肪が溜まった状態で、以前は「お酒の飲みすぎ」が主な原因でしたが、最近ではお酒をあまり飲まない人の脂肪肝(MASLD:マッスルディー)が急増しており、国民病の一つとも言われています。

主な症状は?

繰り返しますが、肝機能の異常には、ほとんど自覚症状がありません。

初期: 全くの無症状。

進行期(肝硬変など): 強いだるさ、黄疸(白目や皮膚が黄色くなる)、お腹に水が溜まる(腹水)。

「どこも痛くないから来年まで様子を見よう」と放置してしまうと、気づかないうちに肝硬変や肝がんへと進行してしまう恐れがあります。

原因はなに?

肝機能が悪くなる原因は、生活習慣からウイルスまで多岐にわたります。

脂肪肝(MASLD/MASH): 肥満、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病が背景にあるもの。

アルコール: 長年の過度な飲酒。

ウイルス性肝炎: B型肝炎、C型肝炎などのウイルス感染。

その他: 免疫の異常や、サプリメント・お薬の副作用など。

特に脂肪肝の中には、炎症を伴って急速に悪化するタイプ(MASH:マッシュ)があるため、専門医による見極めが重要です。

どうやって診断するの?

数値の原因を突き止め、肝臓が今どのような状態かを調べるために以下の検査を行います。

詳細な血液検査: どの程度肝臓がダメージを受けているか、ウイルス感染はないかなどを詳しく調べます。

腹部エコー検査: お腹の外から超音波を当てて、肝臓の見た目(脂肪のつき具合)や形を直接観察します。痛みはなく、その場で肝臓の状態や、脂肪肝・胆石などの有無を確認できる非常に有用な検査です。

どうやって治療するの?

原因に合わせて、最適な対策を立てます。

生活習慣の改善(食事・運動): 脂肪肝の治療の基本です。体重を数キロ減らすだけでも、肝機能の数値が劇的に改善することがあります。無理のない範囲での運動や食事のコツをアドバイスいたします。

お薬による治療 :背景にある糖尿病や脂質異常症の治療薬、あるいは肝臓の炎症を抑えるお薬を処方する場合があります。

定期的な経過観察: 肝臓の状態が悪化していないか、エコー検査や血液検査で定期的にチェックし、大きな病気を未然に防ぎます。

当院の消化器専門外来では何ができるの?

当院では、消化器病専門医が健康診断の結果を詳しく読み解き、一人ひとりに合ったアドバイスを行います。

「再検査と言われたけれど、どこに行けばいいか分からない」「お酒は飲まないのに数値が高かった」という方は、ぜひ結果表を持ってご相談ください。 肝臓の病気は、症状がない「今」のうちに対処を始めることで、将来の健康を大きく守ることができます。専門医と一緒に、大切な肝臓を労わっていきましょう。