呼吸器、アレルギー疾患

呼吸不全の治療

呼吸を支える治療で

息苦しさの不安を減らし

安心できる毎日を取り戻しましょう

呼吸不全とは?

呼吸不全とは、肺の働きが低下し、体に十分な酸素を取り込めなくなったり、二酸化炭素をうまく排出できなくなった状態のことをいいます。

私たちは呼吸によって、酸素を体に取り込み二酸化炭素を体の外に出しています。

このバランスが崩れると、全身の臓器に影響が出ます。

呼吸不全は大きく分けて:

Ⅰ型呼吸不全:酸素が不足するタイプ
Ⅱ型呼吸不全:酸素不足に加え、二酸化炭素が体にたまるタイプ

があります。

慢性的に呼吸不全となった場合は、その状態を改善することが大事となってきます。

 

呼吸不全を起こす主な疾患

呼吸不全は、肺や気道の病気によって起こることが多く、代表的なものにCOPD(慢性閉塞性肺疾患)や肺気腫、気管支喘息、間質性肺炎などがあります。
これらの病気では肺の機能が低下し、体に十分な酸素を取り込めなくなったり、呼吸がうまくできず二酸化炭素が体内にたまることがあります。

また、過去の肺結核や肺炎などの後遺症によって肺が傷つき、呼吸不全を起こす場合もあります。
さらに、気管支拡張症のように痰が多くなりやすい病気では、感染を繰り返すことで呼吸状態が悪化することがあります。

呼吸不全は肺だけの問題ではなく、筋肉や神経の病気が原因となることもあります。
筋ジストロフィーやALSなどでは呼吸に必要な筋肉が弱くなり、呼吸が浅くなることで酸素不足や二酸化炭素の蓄積が起こります。

そのほか、胸郭の変形や重度の側弯症などで肺が十分に広がらなくなり、慢性的に換気が不十分となる場合もあります。
さらに、肥満や睡眠時無呼吸症候群に関連して呼吸が浅くなることで、夜間に呼吸不全が進行するケースもあります。


このように呼吸不全はさまざまな疾患によって起こり、原因となる病気に応じて治療方法や必要なサポートが異なります。
そのため、呼吸状態を正確に評価し、適切な治療を行うことが重要です。

呼吸不全が全身に及ぼす影響

呼吸不全になると、体に取り込まれる酸素が不足したり、体の中に二酸化炭素がたまりやすくなります。
酸素は全身の臓器が働くために欠かせないため、呼吸不全は「息苦しさ」だけでなく、体全体にさまざまな影響を及ぼします。

まず、脳が酸素不足になることで、集中力の低下やぼんやりした感じが出たり、日中の眠気が強くなることがあります。
特に二酸化炭素がたまるタイプの呼吸不全では、朝の頭痛や強い倦怠感がみられることがあります。

また、酸素不足が続くと心臓はより多くの血液を全身に送ろうとして負担が増え、動悸や息切れが悪化しやすくなります。
さらに肺の血管にも負担がかかり、肺高血圧という状態になると、心不全やむくみにつながることもあります。

筋肉も酸素が不足すると十分に働けなくなるため、疲れやすさや体のだるさが強くなり、少し動いただけでも息切れを感じやすくなります。
その結果、活動量が減り、筋力が落ちてさらに息切れが悪化するという悪循環に陥ることがあります。


このように呼吸不全は全身に影響を及ぼすため、呼吸不全の状態を改善することは、症状を軽くするだけでなく、体全体の負担を減らし生活の質を保つために重要な治療となります。

 

呼吸不全に対する治療の意義

呼吸不全に対する治療の目的は、単に息苦しさを和らげることだけではありません。
体に十分な酸素を届け、たまった二酸化炭素を適切に排出できるようにすることで、全身の臓器を守ることが大きな意義です。

酸素不足の状態が続くと、心臓や脳に負担がかかり、心不全や意識障害など重い合併症につながることがあります。
また、二酸化炭素が体内にたまると、頭痛や強い眠気、倦怠感が出現し、日常生活に大きな支障をきたします。
治療によってこれらを改善することで、日中の活動性が高まり、生活の質の向上が期待できます。

さらに、適切な治療は急な悪化や入院を防ぐ効果もあります。
慢性呼吸不全では、状態が不安定になると肺炎や感染症をきっかけに急激に悪化することがありますが、在宅酸素療法やNPPVを導入することで呼吸状態を安定させ、増悪のリスクを減らすことができます。

また、一部の疾患では、長期的な酸素療法が生命予後を改善することも明らかになっています。

つまり、呼吸不全の治療は症状の緩和にとどまらず、合併症の予防や寿命の延長にもつながる重要な治療なのです。

呼吸不全はゆっくり進行することが多いため、「まだ大丈夫」と思っていても、早めに評価し適切な治療を開始することが、将来の体への負担を減らすことにつながります。

HOT(在宅酸素療法)について

肺の病気や心臓の病気などで慢性的に酸素不足に陥っている場合に、生活の中で酸素を使用していただくことで状態の悪化を防ぐ治療法です。

血液中の酸素濃度を保つことで、心臓への負担を軽減し、息切れの軽減、生存率の改善をもたらすことができます(COPDなどで、HOTを使用すると寿命が延びることが証明されています)。



基本的には自宅に酸素濃縮器を置き、外出用に携帯型酸素ボンベを使っていただきながら、鼻にカニューレという細いチューブを装着し、酸素を吸入します。

その他現在は液体酸素を用いて携帯型酸素ボンベを小さくする機種や、酸素濃縮器が移動可能となっている機種も出てきています。他にも機種によってさまざまな特徴があり、患者さんの生活スタイルによって適切な機種をご提案することも長く行っていただく治療には大事であることと考えております(保険適応医療となり負担額の差はほとんどありません)。

当院では治療の適応があるかの判断を、近隣総合病院の呼吸器専門医と連携しながら行った後に、治療を行っております。

 

在宅NPPV(非侵襲的陽圧換気)療法

重症な呼吸不全の方の中には、血中に二酸化炭素が蓄積しており、血液が酸性に傾きやすい状態となっている方がいます。

この状態の方に対し、主に夜間就寝時に密着型のマスクをつけていただくことで二酸化炭素を追い出す治療法がNPPV療法です。

この治療により血中二酸化炭素濃度の低下、朝の頭痛や眠気などの自覚症状の改善、睡眠の質や生活の質の向上、病気の予後や生存率の改善などが期待できます。

本治療も近隣総合病院の呼吸器専門医と連携し、必要な検査を行い治療適応を判断した後に当院で治療を続けていただくことが可能です。