循環器疾患

下肢閉塞性動脈硬化症

たばこは、この病気の最大のリスクです。
足が冷えて痛いにも関わらず、整形外科の先生に問題ないと言われたら
一度はこの病気のことも思い出してください!

どんな病気?

全身の動脈硬化が進むと、心臓から脚へ注ぐ動脈も、硬く、狭くなって、血流が詰まりやすくなってしまいます。
脚への血流が悪くなってくると、脚へ栄養や酸素を十分に送ることができなくなるため、これに伴って様々な症状が出てくるようになります。

どんな症状?

まずは、脚の血流が少なくなってしまうので、普段から足先が冷えるようになってきます。

また歩くなどの脚の運動すると、脚の組織の酸素需要量が増えますが、このような血管の状態では、増えた酸素の需要に応えられる十分な血流を送り出すことができません。
そのために、心臓から遠く、かつ歩くときに力を発揮するふくらはぎを中心として組織が酸欠状態に陥り、痛みがでて歩けなくなったりします。
これを間欠性跛行(かんけつせいはこう)と呼び、歩くと脚が痛く、重く感じ歩けなくなり、休むと改善するといった症状となって現れるのです。

動脈硬化が進んで脚への血流が極端に減ると、歩かなくても痛みが出たり、小さな傷をきっかけとして潰瘍などを生じてしまい、その部分から感染症を引き起こして、腐ってしまうこともあります。
その場合は足の切断を考えなければならなくなってしまいます。

 

どんな人がなってしまうの?

喫煙が最大のリスクです。

たばこを吸うと、血管は収縮します。
そのため細い血管に向かう血流を減少させてしまいます。
またこれにより、心臓は通りにくくなった血管に無理やり血流を送り込もうと、血圧をあげて対応するため、高血圧になってしまいます。

一方たばこは、コレステロール上昇による影響を増強させるとも言われています。
これらによって、たばこは動脈硬化を著しく進めてしまいます。

加えてたばこは、直接血管の内皮を傷つける作用もあり、これによっても動脈硬化を悪化させてしまいます。


下肢閉塞性動脈硬化症の方の多くが喫煙者だったというデータもあります。

また、動脈硬化を悪化させる生活習慣病である、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの方も、注意が必要です。


どんな検査をおこなうの?

血圧脈波検査(CAVI/ABI)が有用です。
この検査は足首と腕の血圧を測定し、腕の血圧に対する足首の血圧の比(これをABIと言います)を計測します。

通常、血流は腕よりも足の方が高くなります。
ところが足の血管が詰まってくると、徐々に足首の血圧は低くなってきます。

ABIが0.9未満(足首の血圧が腕の血圧の0.9倍しか出ていない)になると、足の動脈がすでに狭くなっている可能性が高くなっている状態と考えられます。

この検査は体への負担も少なく、簡便にできる検査で非常に有効です。

もちろん採血を行い、糖尿病や脂質異常症などの状態を調べることも大事になります。
また、これらの検査で脚の血管の狭窄が疑われる場合は、下肢動脈超音波検査CT検査、MRI検査、カテーテル検査などで、血管の狭窄・閉塞している部分を調べます。

どうやって治療するの?

まず、喫煙をしている方は、禁煙が必須となります。
また動脈硬化の原因となる生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症)の改善が必要です。
肥満の方は減量も重要です。
これらによって、まずは症状を悪化させるリスクを減らしておきます。

また運動療法も大事になります。
歩くことで、新たに血管が成長し側副血行路と呼ばれる血管が発達してきます。
すると脚の血流が増加し症状の改善につながります。
また運動することで生活習慣病の改善にもつながります。

薬としては、抗血小板薬(血液サラサラの薬)を使用します。
抗血小板薬によって、狭くなった血管の中で血栓ができるリスクを減らすことが重要になります(この薬剤は、同じ動脈硬化を原因とする脳血管疾患心血管疾患にも有効です)。

脚の動脈硬化が進んでいる場合は、血行再建術を行うことも考えます。
これはカテーテル治療や外科的治療を行うことで脚の血流を改善させる方法です。

近年、カテーテル治療の道具の発展が進んでおり、従来のステント(血管の中に筒状のワイヤーを入れて血流を確保する)治療だけではなく、バルーンでの治療(血管内で風船を広げて、血管を広げて血流を確保する)も多く行われるようになっています。

 

茅ヶ崎内科と呼吸のクリニックでは何ができるの?

下肢閉塞性動脈硬化症を疑ったとき(歩くと足が痛くなる、足が冷えているなど)は、まずは診察で足の脈を診てみます。
この病気では下肢の血流が減っているので、脈が弱くなります。

続いて血圧脈波検査を行います。
当院では血圧脈波検査は即日実施可能で、検査結果もその日にわかります。

血圧脈波検査でも脚の血管の狭窄が疑われる場合は、下肢動脈の超音波検査を行うことができます。
当院にはこの超音波検査を施行可能な専門の検査技師が検査を行うことができます。

急を要する場合や、より専門的な検査が必要な場合、また血行再建術を視野に入れる必要がある時は、連携する総合病院に紹介することも可能です。