医師ブログ

2022.02.01更新

いやあ、オミクロン、すごいです。


連日感染者数の最高値を更新するニュースで世の中は持ちきりですが、当院でも今までに見たことがない数の陽性患者さんが出ております(もちろんすべて隔離エリアでの診察です)。

またちょっとした症状でも陽性となるケースが見られており、診察には非常に気を遣う日々が続いています(ちょっとでも風邪を疑った方、必ず受付で申し出てくださいね!)。


そして、やはりというか、「オミクロン株はやっぱりまだ風邪じゃなかった・・・」ということを実感しています。

特にワクチン未接種の方、高齢や基礎疾患のある方に、呼吸がしづらくなったり、様々なつらい症状が長く続いたりするケースがぼちぼち見られる印象です。一方もちろん伝えられているように風邪症状、もしくはそれ以下で済んでしまう方も実際多いです。
インフルエンザとも似ていると言われていますが、インフルエンザよりも重い方向、軽い方向双方に大きくぶれる印象ですね(このブログ記事の通りの印象です)。

今の私のオミクロン株に対する印象は、「もしかかったら“ガチャ”で外れが出ないことを祈る病気」、そして「やっぱりまだまだ広まってもいい病気じゃあない」といったところです。

そのオミクロン株に対する大きな武器となるワクチンの3回目ブースター接種が2月から始まります。

このごろ最近、よく3回目接種の接種率が低調とのニュースが時々みられ、その中には「副作用を怖がり避けている人が多い」との論調をしばしば目にします。
しかし現場から言わせてもらうと、その原因の大部分は、単純に1月にはワクチンが現場に届かず接種が開始できていない、それに2回目からの接種間隔が長すぎる(本格的な前倒しの開始が3月にされてしまっており、1月に接種できる高齢者はごく少数です)ことです。

少なくとも当院の患者さんの声は「はやく接種したい」というのがほとんどです。
「副作用を怖がって打ちたくない」というお声は非常に少なく、そのような理由で接種が進んでいないと論評する一部マスコミの言説やSNSが、かなーりミスリードを誘っている印象です。
ワクチンについての意見、考え方はいろいろあるでしょうが、一個人の考えを社会記事に反映させてしまう(もしくは意図がなくてもそう取られてしまう)のはやはりいただけません。
このような社会を大きく動かしかねない、センシティブな問題は、是非憶測ではなく現場の声を聴いてから伝えてもらいたいものです・・・

当院では1月12日、15日に職員の3回目接種を行いました。
当院は市からの配送に従い、3回ともファイザー接種となっております(当院に選択権はありませんでした)

今回もそのレポートをしようと思います。

私は3回目接種を1月12日18時頃に、今回も当院自慢の熟練ナースに、優しく接種してもらいました。チクッ。


えーん、やっぱりいたーい( ノД`)


1回目の痛くなかった筋肉注射は何だったのか・・・2回目同様、私は痛かったです。

でもまあ注射だし、痛いのはしょうがない。
私は2回目までもそこまで全身的な症状は出なかったので、その後は期待して待つことにしました。

しかし接種してすぐ、刺したところの痛みはそのまま早くも筋肉痛に移行しました。
前回よりもやや早く、そして強い感じです。

しかし全身の症状は出ずにそのまま就寝しました。



翌日は休診日です。

やや筋肉痛は強くなって、やはり2回目よりいくぶん強くなったかなという印象です。ただ腕は何とか上まで上がります。


一方、全身症状ですが、こちらは皆無でした。
本当に何もなく休みを満喫し、子供と自転車でサイクリングにも出かけました。

3日目も元気いっぱい、通常診療を行いました(元気いっぱい過ぎて、110人も診させていただきましたので、さすがに終了後は全身倦怠感に襲われました・・・)。
腕の痛みは多少残っていたものの、3日目夜にはほぼなくなっている状態でした。


そして、こちらが当院職員の副作用一覧となります(以前より職員が増えました)。

3回目接種副反応

↑3回目接種の副反応↑

 

2回目接種副反応

↑2回目接種の副反応↑

 


グラフを見ると、腕の痛みはやはり私と同様、2回目より強く感じた人が多かったようです。
一方、発熱、だるさは全体的に減っている印象です。
というか今回は出る人は2回目同様にしっかり出たのですが、全く何も出なかった人が2回目と比べてだいぶ多かったようでした。

全体的には3回目接種、副反応という面では、当院のデータから見た限りではそれほど恐れなくてもいいのではという印象は持っていいものかと思います。

 

さて、今回の我が国の3回目接種では、モデルナワクチン(昨年12月にようやく商品名がつき、「スパイクバックス」という名前がつきました)も使用する予定となっています
そして2回目までと異なるワクチンの接種「交互接種」が全世界的に認められております。

ですので2回目までがファイザー製のワクチンであった方もモデルナは接種可能となりました。

モデルナのワクチンはファイザーのワクチンよりも副反応が多い傾向があるとされていました(その原因としては、こちらにも書いた通り、モデルナワクチンの方がファイザーより使用するメッセンジャーRNAの量が多かったためではないかと推測されています)。

そこで今回の3回目接種で、モデルナワクチンを今までの半分にして、それによってできる抗体量を調べてみたところ、十分な抗体量を作ることができることがわかりFDA, 2021.Vaccines and Related Biological Products Advisory Committee October 14-15, 2021 Meeting Briefing モデルナを使用する場合は半分量の投与と決まりました(ファイザーは2回目までと変わりない量となります)。

またファイザー → ファイザー → モデルナの方が、ファイザー → ファイザー → ファイザーよりも抗体量が多くできる可能性が指摘されておりmedRxiv. 2021 Oct 15;2021.10.10.21264827未査読、実際オミクロン株に対する感染予防効果はファイザーをわずかに上回る可能性を示すデータも出ていましたよね。

副反応に関しては、十分な検討はこれからとされていますが、モデルナの半量投与では副作用の出現が少ない傾向が見られており、総合的に見てファイザー → ファイザー → モデルナは、個人的にはあまり悪くない選択肢だと思います。

国は頑張って交差接種のススメをしていますが、確かに客観的に見ても、3回目はモデルナも一つの選択肢として考えて頂くのもいいかもしれませんね。

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信