医師ブログ

2019.09.30更新

今日で私が加藤医院に赴任してからちょうど半年が経ちました。

医療の最前線を走る総合病院勤務医から、一人ひとりの患者をトータルにマネジメントする地域のプライマリケア医となり、とにかく新しい視点に慣れることに奮闘した半年間でした。

おかげで多少余裕も出てきて、患者の皆さんにゆっくり向き合うことが出来つつあります。皆さんが困っていらっしゃることに今まで以上にお応えできればと思いますので、引き続きよろしくお願い致します。

さて、今年のインフルエンザですが、どうも流行のタイミングがいつもの年と違っているようです・・・

通常9月中はほぼ流行はしないものなのですが、今年は9月中旬から沖縄を中心とした西日本で流行が始まり、どうもこちらにもその波がやってきつつあるようです。
お隣の東京ではすでに学級閉鎖が30クラス位発生しているようであり、下旬に入りこちら茅ヶ崎でも学級閉鎖が発生したようです。神奈川県では、昨年は11月20日に初めての学級閉鎖発生があったので、今年は約2か月ほど早い状況となっています。
まだまだ流行は初期段階で今後の動向はまだわかりませんが、これだけ早い流行はあの2009年の新型インフルエンザの時以来であり、そろそろ注意深く様子を見始めてもいいのかもしれません。



インフル流行状況国立感染症研究所HPより

 

ということで当院では例年より早く、明日10月1日よりインフルエンザの予防注射を開始することに致しました。接種のタイミングは悩むところではありますが、インフルエンザワクチンは接種後約2週間で抗体がつき、そこから約5か月間効果は持続するとされていますので、遅くても11月中には接種を完了したほうが良いですし、このまま流行が早く始まってしまうのであれば早急に接種したほうがよいでしょう(流行が早いと終息も早い傾向があります)。

特に65歳以上の方や、気管支喘息、COPDなどの肺の病気をお持ちの方、心臓病、腎臓病、糖尿病などをお持ちの方は、免疫力が低下しているため重症化するリスクが高いといわれていますので、ぜひ接種をお願いいたします!

 

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2019.09.14更新

当院は明日から9月19日までお休みをいただきます。20日から診療を再開しますのでよろしくお願い致します。
さて、台風やら猛暑やらで大変な夏も過ぎ去りつつあり、ようやく涼しくなってきました。
そして、秋の季節の到来とともに「風邪」の方が当院にお見えになることが増えてきております。

実はこの「風邪」という病気、私は診察、治療することが大変難しい病気だと思っています。

風邪は正確には「急性上気道炎」と言い、その原因のほとんどがウイルスです(インフルエンザはまた別の病気と考えます)。
ウイルスには抗生物質(正確には「抗菌薬」なのですが、マニアックな話になるためここではわかりやすくなじみ深い用語でお話しします)が効かないので、風邪に抗生物質を使っても意味がありません。
ただ風邪診療の難しいところは、「風邪に見えて本当はかぜではない」病気が数多くあるからです。
例えば細菌による肺炎や気管支炎、副鼻腔炎などの病気の初期症状は、咳、鼻水、喉の痛みだったりと、風邪と似ていることも多いのですが、これらの病気には抗生物質が必要となることがあります。
また熱が出てだるいという症状であればそれこそ、ここにはとても載せきれない様々な病気の初期症状にもなります。
また高齢の方など免疫力が弱っている方では、ウイルスによる「風邪」にかかることで免疫力が落ち、そこに新たに細菌がついてしまうことで肺炎や副鼻腔炎などのより重い病気に移行することもあるので、簡単に様子を見ましょうともいえない面もあるのも事実です。
かといって、抗生物質をむやみに処方することはいろいろな面で害が大きいことが最近は知られてきていますので、やはり抗生物質の取り扱いについては慎重にならないといけないことでもあります(このことについてはまた別の機会に触れたいと思います)。

本当の「風邪」:つまりウイルス性の急性上気道炎に対して、根本的に治す抗ウイルス薬というものはないのが現状です(インフルエンザは別です)。

ただ可能な範囲で症状を抑えることは体の休息につながりますし、正しい対症療法は私はやっぱり意味があると思います(ただ風邪の症状とは、体が風邪を治すための反応でもあるという面もあり、どこまで症状を抑えたらいいかはその都度判断しないといけません)。
また漢方は実は風邪とは相性のいい治療法です。漢方は病気ではなく、症状や体全体を診ることで発展してきた分野なので、風邪についても豊富な経験が積み重ねられているからです(一方西洋医学は病気に対して治療するので、ウイルスに対抗する薬がない以上かぜに対抗することは難しいともいえるのです)。


と、我々が「風邪を診る」ということは、やはり内科医としての総合力を試されているということなのではないかと思っています。もっと勉強しないとな・・・

でも結局風邪をひかないに越したことはありません。

風邪をひかないために有効なのは感染予防であり、一番は手洗いです。
またインフルエンザや、高齢者なら肺炎球菌の予防接種を打っておくことは、風邪の重症化を防ぎます。
当院では肺炎球菌の予防接種を随時行っておりますし、インフルエンザの予防接種も秋から開始となります(開始の際はこのホームページでもお知らせします)。

ぜひ早めの対策をしていきましょう!

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

2019.09.03更新

まだまだ暑い日が続いておりますが、9月になり少しだけ暑さのピークは過ぎてきたように思います。
これから徐々に涼しくなり、だんだんと過ごしやすい季節になります。食欲の秋、スポーツの秋・・・いろいろ楽しみなことが多い時期です。

ただ!喘息の患者さんは要注意の季節でもあります!
9月は喘息の悪化が急に増えてくる時期です。

喘息は大きな温度の変化、空気の乾燥、気候の変化やアレルゲン(アレルギー反応を引き起こす物質)の増加などで悪化を引き起こします。
秋は夏と比べ、寒暖差が大きくなり、空気が乾燥するため、悪化を引き起こしやすくなります。また秋はしばしば台風がやってきたり、秋の長雨があったりし、これによる気候の大きな変化により悪化を引き起こす例も多くあります。
加えて部屋や布団にいるダニは、夏に勢いよく増殖し、その死骸が秋にたまる(気分を害した方、すみません・・・)とされているため、これらがアレルゲンである場合もこの季節は悪化します。
つまり喘息が悪化する要因がそろっているのが9月から始まる秋というわけなのです。

またこれに加えて私個人としては、夏場はどうしても喘息が安定しやすい時期になるためについつい油断して吸入薬をはじめとする治療をサボってしまう人が増えるのも一つの要因なのでは・・・と思っています。

喘息は以前もここに書いたように、気道の慢性的な炎症によって引き起こされます。
強い炎症が起こると、あの有名な「ヒューヒュー」となる呼吸音が出てくるのですが、炎症の程度が軽いとこのような音はならないこともしばしばあります。
そのため症状も大したことがないと、あたかも喘息がだいたい治ってしまったかのような錯覚に陥ります。
しかし、だからと言って少しでも気道の炎症が残っていると、上に書いたようなことをきっかけとして容易に喘息が悪化してしまうのです。

喘息は

『落ち着いているときに、いかにしっかりと治療を続けられるか』

が長い目で見た時の治療成功のカギです。症状が落ち着けば薬を段階的に減らしていくことができる場合も多く、結局は患者さんの負担が減る一番の近道となります。
ぜひしっかりとお薬を続けていただき、少しでも変だな・・・と思ったらお気軽にご相談ください!

投稿者: 茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック 院長 浅井偉信

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